組込みソフトウェアの開発規模は約4.2兆円

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Transcript 組込みソフトウェアの開発規模は約4.2兆円

プログラミング教育のための視覚的
組み込みソフトウェア開発環境
◎土田賢省(東洋大学総合情報学部)
木下陽介(東洋大学大学院)
後藤隆彰(電気通信大学産学連携センター)
長谷川侑輝(東洋大学大学院)
夜久竹夫(日本大学文理学部)
日本情報科教育学会第2回全国大会
2009年6月27日(土)
(於) 九州工業大学 情報工学部
JAEIS 第2回全国大会平成21年6月27日
(於) 九工大
本日の発表内容
1.はじめに
1.1 背景
1.2 目的
2.システム概要
・組み込みソフトウェア向けHichart開発環境
3.比較評価実験
・Hichartエディタ v.s. ロボラボ
4.まとめ
4.1 結果
4.2 今後の課題
JAEIS 第2回全国大会平成21年6月27日
(於) 九工大
1.はじめに
1.1 背景
1.2 目的
JAEIS 第2回全国大会平成21年6月27日
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1.1 背景(1/2)
• 日本の繁栄のためには高度IT人材育成が必要
(山下徹、「高度IT人材育成への提言」、NHK出版、2007年)
• 日本が優位に立てる可能性がある分野として
“組み込みソフトウェア”が注目されている
「日本がもっとも力を発揮でき,また発揮しなくてはならない分野は
組込みソフトウェアであると信じるに至りました」
(東京大学大学院工学系研究科教授 飯塚 悦功、「組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会」趣
意書より)
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1.1 背景(2/2)
• 情報分野の教育と産業とのミスマッチ
• 情報科目でも組込み系人材育成の一
助を担う必要性有
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1.2 目的
『プログラミング教育のためのHichartに基づく
組み込み系ソフトウェア開発環境を構築 』
① レゴマインドストームを具体的なターゲットとした
視覚的プログラミング開発環境の実現
② 既存の簡易開発環境ロボラボとの比較評価
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2 システム概要(1/10)
• Hichartを基にした組み込みソフトソフトウェアの
開発環境 (Hichart )
図 1 組み込み向けHichart開発環境の構成図
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2 システム概要(2/10)
• Hichartエディタを備えた視覚的プログラミング
開発環境
• 既存のNQCソースプログラムもHichartエディ
タ上で編集が可能
双方向変換系(NQCソース ⇔ Hichart内部データ)を実現
– NQCソースをHichartエディタに取り込み,
Hichartプログラム(図式プログラム)として編集し,
編集された結果をNQCソースに変換して出力する
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2 システム概要(3/10)
[本開発環境の対象]
レゴマインドストーム(
NQC( )プログラム
)を動かすための
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2 システム概要(4/10)
図2 Hichartのプログラム図
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2 システム概要(5/10)
図3 Hichartのプログラム図(レベル3以上折りたたみ)
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2 システム概要(6/10)
図4 Hichartのプログラム図(レベル4以上折りたたみ)
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2 システム概要(7/10)
図5 Hichartのプログラム図(レベル5以上折りたたみ)
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2 システム概要(8/10)
図6プログラム図(部分木をノードに折りたたみ)
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2 システム概要(9/10)
図7 図6の折りたたみノードを展開したプログラム図
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2 システム概要(10/10)
図8 図2のプログラムの縮小図
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3 比較評価実験(1/7)
• [比較の対象]
– 本研究の「NQC対応Hichartエディタ」
– レゴマインドストーム専用「ロボラボ」
• 「評価方法]
– レゴマインドストーム用のプログラムを作成
– 同じ仕様を与え、各々の環境で開発し、
開発のし易さ、 作られたプログラムの分かり易さ
を比較
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3 比較評価実験(2/7)
• [プログラム仕様](実例)
– 光センサ,モータ,ライトを用いる
– ライントレースを行いながら前進する
– ライン外に出たときはライトが光る
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3 比較評価実験(3/7)
図9 ロボラボのプログラム図
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3 比較評価実験(4/7)
表1 「NQC対応Hichartエディタ」と「ロボラボ」の比較
NQC対応Hichartエディタ
ロボラボ
レゴマインドストームRCXの殆ど アイコンとして用意されている命
の機能に対応.
令が制限されている.
(例)
アイコンを組み合わせて簡単な動
・変数が32個使える.
きをつくることは可能だが,細か
・マルチタスクを含め,細やかで,い命令が指定できない.
スムーズな動きを実現できる.
Hichartやプログラムの知識が必要 ヘルプウィンドウが用意されてい
になる.
るので,初心者でもプログラムを
作ることができる.
プログラム開発環境がロボラボに 開発環境が重い.環境によっては
比べて軽い.
動作に多大な影響を及ぼす.
折りたたみ機能や縮小図などが用 プログラムが大きくなると一画面
意されているので,ある程度大き に収まりきらなくなる.
なプログラムも見やすい.
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3 比較評価実験(5/7)
開発環境の比較(1/3)
図10メイン画面起動直後
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3 比較評価実験(6/7)
開発環境の比較(2/3)
図11 プログラム図表示時
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3 比較評価実験(7/7)
開発環境の比較(3/3)
表2 開発環境実行おメモリ使用量の比較結果
メイン画面起動直後
プログラム図表示時
Hichartエディタ
25,408KB
38,312KB
ロボラボ
34,724KB
55,328KB
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4 まとめ(1/2)
4.1 結果
• レゴマインドストームを題材とした,プログラミング教育
のためのHichartに基づく開発環境を構築
– 組み込みソフトウェア向け図式プログラミング開発環境を実現
• ロボラボとの比較評価で、Hichart開発環境の優位性を
示すことが出来た
→情報科において、将来の組み込みソフトウェア技術
者の
人材育成のための基礎教育のツールとして有効
(ただし、Hichartエディタの使い方を学ぶ負荷も考慮に入れ
ると
小規模プログラムならロボラボの方が適している場合もあ
る)
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4 まとめ(2/2)
4.2 今後の課題
• 対象とする問題(プログラム)の規模,複雑さに応じた対
処
開発環境の拡張、レベルに応じた版の開発、
適切な開発環境、ツール、言語の選定
• 組み込みソフトウェアに関心を抱かせる工夫
やりがいのある仕事、憧れの職種(待遇も含め)、
最先端/実用版を体験(使う側の立場からも)、・・・
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レゴマインドストーム
• レゴ社がMITと共同開発(1998年に発表)し、
コンピュータで制御されたロボット工学を取り
入れた製品
– マイクロプロセッサを内蔵し,プログラミングを行
うことで,レゴブロックで組み立てた自立型ロボッ
トの開発が可能
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レゴマインドストームRCX
図A RCX (Robotic Command eXplorer)
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• RCX(Robotic Command eXplorer)
– RISキットの頭脳
– 10MHz ~ 16MHz間のクロック速度で動作するCPU
を搭載
– 16kBのROMと32kBのRAMを搭載
– ROMにはモータやセンサと通信するなど,基本的
なアルゴリズムが実装されている
– RAMにはファームウェアやユーザプログラムなど
をダウンロードするために用いる
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RIS(Robotic Invention System)
– ブロックやギアなどのLEGOパーツを利用してロ
ボットの組立を技術者以外の人にも可能にする
システム
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NQC (Not Quite C)
• マインドストーム専用の言語(Dave Baum氏開発)
[言語の特徴]
– C言語のようにif文などの制御文が扱える
– RCX関数と呼ばれるRCXのセンサやモータを動かすた
めの関数を用いて,細かな動きのプログラミング可能
– Windows上からBricxCCとよばれるソフトを用いてプロ
グラムをRCXに転送することが可能
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BricxCC(Bricx Command Center)
図B BricxCC起動中の画面
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Hichart
• HIerachical flowCHART language
• 構造的プログラミング技法に基づいて開発さ
れた木構造型フローチャート
• 基本処理記号と制御記号を用い,プログラム
の視認性と記述性を飛躍的に向上させてい
る
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ロボラボ(ROBOLAB)
• 付属されているプログラミング環境
• アイコンをクリック&ドラッグするのみで初心
者でも簡単にプログラミングできる
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「組込み人材育成インフラレポート」
(経済産業省 組込みソフトウェア開発力強化推進委員会 組込みスキル標準領域
教育部会 人材インフラ検討グループ、平成19年6月)
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ETSSにおける未経験者向け教育カリキュラム概要
(社団法人 情報処理学会 情報専門学科におけるカリキュラム標準J07 平成21年
2月 ISBNコード:978-4-915256-74-5)
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組み込みソフトウェア産業の位置付け(1/3)
(経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 組み込みソフトウェア産業活性
化プラン、平成21年6月 http://www.meti.go.jp/press/20090611001/200906110012.pdf)
・ 組込みソフトウェア業は日本標準産業分類3912として規定(平成19年11月第12回改定:平成20年4月施行)
・ 組込みソフトウェアは経済活動、国民生活の基盤を支えているソフトウェア
・ 組込みソフトウェア関連産業(輸送用機器・電気機器・一般機械等)はGDPの13.5%を占める
・ 組込みソフトウェア関連と推定される産業(業種)の事業所の合計は約15万事業所
・ 組込みソフトウェアの開発規模は約4.2兆円(年平均成長率CAGRで2004年度から15.2%の成長)
・他の産業も組込み関連機器なくしては事業が成立しない(卸売・小売業のPOS端末、金融・保険業のATM
端末、運輸・通信業の自動車・通信機器、建設業の建設機器等)
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組み込みソフトウェア産業の位置付け(2/3)
(経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 組み込みソフトウェア産業活性
化プラン、平成21年6月)
組込みソフトウェアは我が国基幹輸出製品の価値の源泉
組込みソフトウェア関連製品の輸出総額は45.9兆円(輸出構成比率56.7%)
輸送機器(自動車、同部品など):20.1兆円(輸出構成比率24.8%)
一般機械(産業用機械、建設用機械など):15.5兆円(輸出構成比率19.2%)
電気機器(音響・映像機器、計測機器など):10.3兆円(輸出構成比率12.7%)
世界市場が拡大する中で日本企業のシェアは減少傾向
主要製品の平均シェア:98年43%→06年32%
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組み込みソフトウェア産業の位置付け(3/3)
(経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 組み込みソフトウェア産業活性
化プラン、平成21年6月)
組込み製品開発費とその4割以上を占める組込みソフトウェア開発費は年々増加
組込みソフトウェア開発費:04年2.1兆円→09年4.2兆円
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