Transcript 自己概念とは
1 カウンセリング:来談者中心療法 ・カール・ロジャーズが提唱 ・1940年代~本格的に ・非指示的なアプローチ ・成長と自己実現を目指す ・精神分析へのアンチテーゼ ・治療的人格変化のための必要十分条件 ・「現実と理想の不一致から神経症が生じる」 ・来談者の内的準拠枠を尊重 ・真実の直視 ・本格的な治療効果の実証研究 2 来談者「中心」? ・来談者 → クライエント 精神分析の場合 治療・検査 分析者が中心 指示的 来談者中心療法 来談者が中心 非指示的 援助 成長・欲求 来談者こそが自分の問題を深く理解でき,修正できる。 援助者は,その努力を後押しする役割を負う。 3 成長と自己実現を目指す傾向 ・「人は生まれつき,自己実現と成長に向かう」 元に 戻す 治療して正常に戻す 医療モデルの考え方 正常 異常 先に 進む 成長を促す援助 教育モデルの考え方 成長・自己実現 苦しみ 4 治療的人格変化の必要十分条件 1.カウンセラーとクライアントの「心理的接触」 →両者の間に,感情のやりとりを含む人間関係があること 2.クライアントの状態が「自己不一致」 3.カウンセラーの状態が「自己一致」 4.「無条件の積極的関心」 5.「共感的理解」 6.「カウンセラーについてのクライアントの知覚」 5 神経症の原因:自己概念の不一致 ・現実自己 → 現実の自分。自覚されない事も。 ・理想自己 → 理想の自分。性格の理想も含む。 ・当為自己 → 規範的な自分。「するべきだ」 当為 自己 現実 自己 理想 自己 理想と現実と規範の 三角関係でズレる 現実は歪曲される 当為自己に気づくこと,現実自己に目を向けること, 理想自己を現実的にすること→自己一致が目的 体験の世界と,自己概念 ☆体験とは:「カラダ」 →「いま,ここで」現実に生じていること ☆自己概念とは:「アタマ」 →自分自身に関する知識や「思い込み」 ☆感じていることと,自覚していることのズレ ・自己概念に合わない体験は否認される ・自己概念を維持するよう現実は歪曲される 体験に開かれた態度を育成し,ズレを解消していく 7 体験過程を扱う:ジェンドリン ・体験過程:感情の発生から自覚・処理までの過程 身体感覚や身体の動き に焦点を当てていく 内臓の感覚,身体の動き 自律神経系の働き,消化器系の働き 自覚が 難しい 排除したことに気付き 何がそうさせたか理解 自己概念に合わない情報の排除 感覚への気付きが弱くなる。 無意識に 生じる 感情を自覚し処理する 自己不一致状態の解消 感情の自覚や,処理が出来なくなる しかし感情は強い影響を与え続ける 症状の 形成 8 無条件の積極的関心 「受容的態度」と「積極的な関心」 相手に興味関心を向ける その人の考え方・受け取り方を 否定せず興味を示す。同調とは違う 言語的・非言語的に Welcomeしている事を示す しかし,交換条件は作らない 「言うとおりにするなら受容する」 9 共感的理解 内的準拠枠 そうだった のか・・・! 伝える 過去の 経験 「相手はそういう生き方をする理由ちゃんとがあったんだ」 「こう捉えるんだとしたら,落ち込んでも無理ないな」 相手の感情や考えを,相手の 内的準拠枠に対応させて理解し,伝える。 10 カウンセラーについてのクライエントの知覚 ・クライエントがどう感じているか。 ・伝わってない共感に治療的な意味はない。 そりゃ無理ない そうなんですよ 繰り返し 伝える 土台としての ラポール形成 理解を言語・非言語で繰り返し伝えることで 相手が「理解された」と感じ,ラポールに繋がる 11 真実の直視:Truth and Grace ・真実を直視することで,自己概念のズレを解消する →目を背けていると,何を変えれば良いか分からない。 痛まない代わりに,前に進むことが出来ない…など。 手助け 土台としての ラポール形成 直視 痛い 真実 直視する相手 を支える関係 辛い作業に取り組むクライエントを支える,手伝う。 そのために,傾聴や共感によってラポールを形成する。 12 治療効果の実証的研究 ・ロジャーズ →症状の軽減ではなく,自己不一致の解消を 治療成功の指標として,効果を実証した。 ・現代 →軽度~中等度のうつ パニック障害 などにかなり有効とされる ・成長を目的としたグループセラピーもある。 →効果を調べた研究はあまり知らない。 13 今日のまとめ ・来談者中心療法はロジャーズの提唱した心理療法である ・成長や自己実現を目的とした非指示的方法である ・自己概念の不一致によって神経症が生じると考える ・治療では,自己概念の一致を促し,成長を目指す ・治療的人格変化のための必要十分条件 →ラポールの形成に欠かすことの出来ない条件 ・来談者中心療法は真実を直視する ・真実を直視するクライエントを支えるのがラポール ・体験過程を理解し,扱うことで,自己一致を目指す ・体験過程は,身体感覚や運動への注目を足がかりに扱う ・治療効果がある程度確かめられている