(26年11月20日)京信資産継承セミナーレジュメ

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Transcript (26年11月20日)京信資産継承セミナーレジュメ

資産継承セミナー
~相続税法改正~
京都信用金庫滋賀支店 3階コミュニティホール
平成26年11月20日(木)13時30分より
1
1.税制改正の主な内容と具体例
1)税制改正のあらまし
2)具体例
2.主な相続対策とされるもの
1)生前贈与
2)生命保険の活用
3.その他の事項
1)養子縁組
2)相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
3)最後に
2
1.税制改正の内容と具体例
1)税制改正のあらまし
2)具体例
①遺産に係る基礎控除の引き下げ
②小規模宅地等の特例(限度面積の拡大)
③相続税財産評価の方法(土地・家屋)
3
①遺産に係る基礎控除の引き下げ
●公的年金で暮らす鈴木さん(75)のケース
法定相続人・・妻、長男、二男(3名)
遺産(相続税評価額による)として・・
配偶者
二男
被相続人
長男
・土地(384㎡)
2000万円(自宅)
・家屋(500㎡)
1000万円(自宅)
・賃貸マンション
2000万円
・現
5000万円(総額1億円)
預
金
4
①遺産に係る基礎控除の引き下げ
▽課税遺産総額の計算・・遺産に係る基礎控除が引き下げられます。
(改正前) 課税価格の合計額1億円 - 基礎控除額8000万円 = 2000万円
(改正後) 課税価格の合計額1億円 - 基礎控除額4800万円 = 5200万円
改正前(基礎控除 8000万円)
法定相続分①
税率②
控除額③
税額
(①×②-③)
改正後(基礎控除 4800万円)
法定相続分①
税率②
控除額③
税額
(①×②-③)
妻
1/2
1000万円 10%
100万円 1/2
2600万円 15%
50万円
340万円
長男
1/4
500万円 10%
50万円 1/4
1300万円 15%
50万円
145万円
二男
1/4
500万円 10%
50万円 1/4
1300万円 15%
50万円
145万円
計
2000万円
200万円
5200万円
630万円
(注)配偶者の税額軽減適用前の税額
5
①遺産に係る基礎控除の引き下げ
▽基礎控除および税率の改正による税負担の比較(法定相続人3人のケース)
課税価格の合計額
(改正前)税負担
(改正後)税負担
増加率
6000万円
0
120万円
-
7000万円
0
225万円
-
8000万円
0
350万円
-
1億円
200万円
630万円
3.15
1.5億円
925万円
1495万円
1.61
2億円
1900万円
2700万円
1.42
3億円
4600万円
5720万円
1.24
4億円
8100万円
9220万円
1.13
(注)配偶者の税額軽減適用前の税額
6
②小規模宅地の特例(限度面積の拡大)
▽居住用の宅地の限度面積が拡大されます。
(改正前) 限度面積 240㎡(減額割合80%)
鈴木さんのケース=4000万円-4000万円×(240㎡/384㎡)×80%=2000万円(当初)
(改正後) 限度面積 330㎡(減額割合80%)
鈴木さんのケース=4000万円-4000万円×(330㎡/384㎡)×80%=1250万円(750万円減)
(改正後) 遺産の総額1億円-評価減少分750万円=9250万円
① 相続税の申告期限までに申告しなければならない。
② 相続税の申告時に未分割の場合は特例の適用は受けられない。
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②小規模宅地の特例(限度面積の拡大)
▽特定居住用宅地等の適用要件
対象土地
相続人
配偶者
区分登記していない建物に親
被相続人(親) と住んでいた子供
が住んでいた
一定の要件を満たす子供
土地である
(注)
上記以外
申告期限までに
適用可否
なし
所有して住む
80%減額可
所有する
不可
(注)相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人が所有する
家屋に居住したことがないことなど。
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③相続税財産評価の方法(土地・家屋)
▽土地の相続税評価方法(概算)・・路線価、一定の倍数は国税庁HPで検索可能
【路線価方式】 土地に面する道路に付された路線価×面積(㎡)
※ 市街地的形態を形成する地域にある宅地や市街地農地など
※ 上記金額を基礎として、評価する土地の形状などに応じた調整(側方路線影響加算
二方路線影響加算、不整形地補正、間口狭小補正など)を行う。
【倍率方式】 固定資産税評価額×一定地域ごとに、その地域の実情に即して
定められた一定の倍率
※ 上記評価する地域以外の地域にある宅地や宅地転用地等に制限がある農地など
▽家屋の相続税評価額
原則として、固定資産税評価額に1.0を乗じて評価する。
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③相続税財産評価の方法(土地・建物)
▽具体的に土地評価額の概算を計算する方法とは・・
路線価10万円の道路
借地権割合 50%
借家権割合 30%
20m
①400㎡
①400㎡
8万円
普通住宅地区
側方路線影響加算率 0.03
20m
20m
①=10万円×400平方メートル=4000万円
②=(正面路線価+側方路線影響加算額)×面積
=(10万円+8万円×0.03)×400平方メートル=4096万円
①が賃貸マンション用地のケース(賃貸割合100%とする)
自用地評価×(1-借地権割合×借家権割合)=4000万円×(1-50%×30%)=3400万円
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2.主な相続対策とされるもの
1) 生前贈与
①暦年贈与(基礎控除110万円)の利用
②教育資金の一括贈与
③相続時精算課税
④贈与税の配偶者控除
⑤住宅取得資金等の非課税の特例
2) 生命保険の活用
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①暦年贈与(基礎控除110万円)の利用
●公的年金で暮らす鈴木さん(75)のケース
法定相続人・・妻、長男、二男(3名)
配偶者
贈与
被相続人
遺産として・・
贈与
贈与 ・土地(384m) 2000万円(自宅)
・家屋(500m) 1000万円(自宅)
二男
長男
嫁
・賃貸マンション 5000万円
・現 預 金 7000万円(総額1.5億円)
⇒ 現預金 3400万円(総額1億1400万円)
3人の子供、嫁にそれぞれ毎年120万円ずつ贈与(10年間)
し、毎年贈与税を1名あたり1万円納税する。
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①暦年贈与(基礎控除110万円)の利用
▽生前の暦年贈与による税負担の比較(改正後)
暦年贈与なし
法定相続分①
税率
②
控除額③
暦年贈与あり
税額
(①×②-③)
法定相続分①
税率②
控除額③
税額
(①×②-③)
妻
1/2
5100万円 30%
700万円
830万円 1/2
3300万円
20%
200万円
460万円
長男
1/4
2550万円 15%
50万円
332.5万円 1/4
1650万円
15%
50万円
197.5万
円
二男
1/4
2550万円 15%
50万円
332.5万円 1/4
1650万円
15%
50万円
197.5万
円
1495万円
6600万円
相続税
10200万円
855万円
贈与税
0万円
30万円
税額計
1495万円
885万円
(注)法定相続分計は基礎控除額(4800万円)を控除した金額
配偶者の税額軽減適用前の税額
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①暦年贈与(基礎控除110万円)の利用
▽ただし、形式上は子供などの名義でも実質的にはお金を出した人の預金と
判断される場合には名義預金にあたる。
名義預金と指摘されないために・・
① 口座開設時に名義人が署名する
② 銀行への届け出印を名義人本人が使っている
③ 名義人が自ら住所氏名の変更などをする
④ 通帳や印鑑、キャッシュカードなどは名義人が管理
⑤ 名義人が入出金している
⑥ 名義人が通帳に使い道などの書き込みをする
⑦ 自署による贈与契約書を作成しておく
⑧ 贈与者の手書きの日記やメモに贈与の意思が読み取れる
⑨ 贈与税の申告と納税は名義人がしている
▽被相続人が亡くなる日までの3年以内に相続等を受ける人への贈与は、すべて
相続財産に加算される。(子供の配偶者など相続人以外は適用されない)
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②教育資金の一括贈与
▽教育資金の一括贈与のポイント
送り手・・両親や祖父母など
貰い手・・30歳未満の子供
使い道・・教育資金【非課税の上限額
①、②合算して1500万円(②は500万円)】
①学校、幼稚園の入学金、授業料、入園料、入学試験の検定料など
②学校以外に支払う金銭の一定額(学習塾、予備校、スポーツ教室他)
方 法・・子・孫を受託者とする信託などを設定
期 間・・2013年4月1日から2015年12月31日まで
注意点・・貰い手が30歳になった時、残った場合に贈与税の対象に
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②教育資金の一括贈与
現金を信託など
支払証明提出
税務署
祖父母など
金融機関
領収書
現金の支払い
30歳になったときに
残っていたら課税対象に
学費等の支払い
領
大学・学校など
収
書
子・孫(30歳未満)
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③相続時精算課税
▽相続時精算課税制度とは・・
暦年贈与
相続時精算課税制度
贈るのは(贈与者)
年齢制限なし
60歳以上の親、祖父母
貰うのは(受贈者)
制限なし
20歳以上の推定相続人および孫
控除額
年間110万円
選択後に、累計2500万円まで
税率
10~55%の累進課税
基礎控除超過分に一律20%
申告は
基礎控除を超えたら申告
選択後、相続までの全ての贈与財産
相続税の課税対象は
相続開始前3年以内の贈与
選択後の全ての贈与
贈与税の還付は
ない
ある
(注)改正により贈与者60歳以上(改正前65歳以上)、受贈者に孫を追加
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③相続時精算課税制度
▽相続税がかからないケースに特にメリットが大きい(法定相続人3人)
●暦年贈与
子供1名(20歳以上)に1000万円贈与し贈与税177万円納付
贈与
財産
1000万円
4000万円
財産
相続財産
3000万円
3000万円
相続税額ゼロ
(基礎控除4800万円以下)
贈与時
相続時
●相続時精算課税
財産
4000万円
贈与
相続財産
1000万円
(相続時の
課税対象)
財産
4000万円
(基礎控除4800万円以下)
3000万円
贈与時
相続税ゼロ
相続時
相続開始を待たずに、財産分与できる。
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③相続時精算課税
▽活用が有効なケースとは・・
①収益物件を相続人へ贈与し、賃貸収入などの財産を相続人へ移動、相続税の軽減をはかる
②推定相続人に資金が必要な場合(例:借入金を早期に返済し、金利負担を軽減したい)
③被相続人の生前に、相続させたい相続人へ不動産の名義を変更したい(例:同居の子供)
① 一度選択すると、暦年課税制度に戻れない。
② 相続時には贈与時の価額で相続税を計算するため、財産価値が下
がった場合には、通常の相続より多額の相続税を支払うことになる。
③ 相続時の財産分与で当該贈与分で親族間でもめることがある。
④ 不動産を贈与した場合には、不動産取得税(相続ナシ)および
登録免許税(相続0.4%、贈与2.0%)が必要。
⑤ 贈与税の申告期限までに申告しなければならない。
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④贈与税の配偶者控除
▽贈与税の配偶者控除・・居住用財産(注1)を無税で贈与できる条件
①贈与の時点で婚姻期間が20年以上
②財産の相続税評価額が2000万円以下
③申告期限(翌年3月15日)までに所定の書類を添えて申告する(注2)
(注1)居住用財産は贈与するだけではなく、配偶者に金銭で不動産を取得させる場合にも適用
(注2)贈与された人は取得の翌年3月15日までに住み始め、その後も住み続ける
① 不動産を贈与した場合には、不動産取得税(相続ナシ)および
登録免許税(相続0.4%、贈与2.0%)が必要。
② 贈与税の申告期限までに申告しなければならない。
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⑤住宅資金贈与の特例
▽一般的な住宅500万円、省エネ住宅1000万円まで非課税
①贈与を受ける子供または孫がその年の1月1日時点で20歳以上、合計
所得が2000万円以下
②贈与された資金は翌年3月15日までに住宅用の家屋の新築や取得、増
改築に充てること
③同日までにその住宅に住むか、遅延なく居住することが見込めれること
④居住用の部分が家屋全体の1/2以上で、延べ床面積が50㎡以上240
㎡以下であること
(注)この特例は今年12月末までの時限措置ですが、なんらかの形で延長
される可能性があります。
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2)生命保険の活用
▽生命保険の活用で相続節税できるのか(来年以降のケース)
①生命保険を活用しないと・・
・課税財産総額=1億円-(基礎控除3000万円+600万円×3人)=5200万円
・相続税額=0円(配偶者)+157万5000円×2人(子2人分)=315万円
②生命保険(870万円で死亡保険金1000万円の生命保険に加入)すると・・
・生命保険金以外の課税財産総額=1億円-870万円=9130万円
・死亡保険金の課税対象額=0円(非課税枠500万円×3人=1500万円)
・課税財産総額=9130万円-(基礎控除3000万円+600万円×3人)=4330万円
・相続税額=0円(配偶者)+124万8700円×2人(子供2人分)≒250万円(△65万円)
(注)法定相続人3人、配偶者は全体の1/2相続
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2)生命保険の活用
▽生命保険の入り方で払う税金が変わる
保険料の負担者
被保険者
保険受取人
かかる税金
父
父
子
相続税
子供
父
子
所得税・住民税
子供
父
母
贈与税
⇒ 保険金は一時所億となる
▽親が保険料を子に贈与して生命保険に加入すると・・
保険料を支払う
保険金を贈与
(110万円控除)
(被保険者)
(契約者・保険金受取人)
生命保険
会社
保険金を受領
(保険金額-振込保険料額-特別控除50万円)×1/2 ⇒ 他の取得と合算して総合課税
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3.その他の事項
1)養子縁組
2)相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
(譲渡所得の計算)
3)最後に
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1)養子縁組
配偶者
二男
被相続人
長男
●公的年金で暮らす鈴木さん(75)のケース
法定相続人・・妻・長男・二男(3名)
遺産として・・
・土地(384㎡) 2000万円(自宅)
・家屋(500㎡) 1000万円(自宅)
・賃貸マンション 5000万円
嫁(養子) ・現 預 金 7000万円(総額1.5億円)
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1)養子縁組
▽遺産に係る基礎控除・・法定相続人1名分増加する
【養子なし】
基礎控除額=3000万円+600万×3名=4800万円
課税遺産総額=15000万円-4800万円=10200万円 ⇒ 税額 1495万円
【嫁を養子とした場合】
基礎控除額=3000万円+600万×4名=5400万円
課税遺産総額=15000万円-5400万円=9600万円 ⇒ 税額 1330万円
※ 来年以降の相続の場合
※ 配偶者の税額軽減適用前の税額
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1)養子縁組
▽相続人の中に養子がいるとき
1.相続税の計算をする場合、次の4項目については、法定相続人の数を基に行います。
(1)相続税の基礎控除額
(3)死亡退職金の非課税限度額
(2)生命保険金の非課税限度額
(4)相続税の総額の計算
2.1の計算で法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定制限されています。
(1)被相続人に実の子供がいる場合
一人まで
(2)被相続人に実の子供がいない場合 二人まで
① 他の相続人に配慮しないと、遺産分割でもめることも。
② 孫養子については相続税は2割加算。(被相続人の直系卑属が相続開始
以前に死亡した等により、代襲して相続人になっている場合を除く)
③ 養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少
させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、養子の
数に含めることはできません。
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2)相続財を譲渡した場合の取得費の特例(譲渡所得の計算)
▽相続した土地等を売却して、その代金で相続税を支払う場合などに・・
①相続により取得した財産(土地、建物、株式等)を相続の開始があった日の
翌日からその相続税の申告書の提出期限の翌日以降3年以内に売却
②その財産を取得した人が相続税を課税されている場合
③売却した人の相続税のうち一定の方法により計算した金額を売却した資産の
譲渡所得の計算上控除する取得費に加算することができます。
▽取得費に加算する相続税の計算(来年以降の場合)
その者の
相続税
×
その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額
その者の相続税の課税価格 + その者の債務控除額
▽譲渡所得に係る税金の計算
(売却価額-取得費-譲渡費用-加算する相続税額)×20%
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2)相続財を譲渡した場合の取得費の特例(譲渡所得の計算)
▽相続により財産を取得したAさんが3年以内に土地甲を3000万円で売却した場合
相続税の課税価格(債務控除前)・・土地甲2500万円、土地乙5500万円、その他財産2000万円
合計 1億円(納付した相続税額 2000万円)
※土地甲は被相続人が相続で取得されたものとする
▽Aさんの譲渡所得に対する税金計算【概算取得費(売却価格の5%=150万円、譲渡費用100万円)】
【特例がない場合】
(3000万円-150万円-100万円) × 20% = 550万円
※復興特別所得税は考慮していない
【本年中の相続開始分】
3000万円-150万円-100万円-{2000万円×(2500万円+5500万円)/10000万円} = 1150万円
1150万円 × 20% = 230万円
【来年以降の相続開始分】
3000万円-150万円-100万円-(2000万円×2500万円/10000万円)= 2250万円
2250万円 ×20% = 450万円
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3)最後に
▽もし、相続対策が可能としてもその納税者の方の生活自体
が苦しくなったのでは元も子もありません。
(老後の必要資金を贈与してしまったケース、節税のつもりで
賃貸マンションを建てたが入居者が計画より不足するケース)
将来の生活設計に合わせて検討してください。
▽不動産、特に土地の評価は相続の最重要ポイントですが
その形状は千差万別です。
土地によっては相続税の評価が下がる可能性(近隣に比べ
て広い、形がよくない等)があるものもありますので注意が
必要です。
30
ご静聴ありがとうございました
神 原 税 理 士 事 務 所
〒525-0059 滋賀県草津市野路六丁目11-11 A202
TEL.077-599-3480 Fax.077-599-3481
http://www.kambara-office.com
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