高精度DEMを用いた伊豆半島の海岸低地の地形・標高分析
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Transcript 高精度DEMを用いた伊豆半島の海岸低地の地形・標高分析
総合科学専攻
30016016 坂内佑紀
伊豆半島にはいくつかの海
岸低地があり、そこに人口
の大部分が暮らしている。
暮らしやすい反面、津波や
洪水などの災害と隣り合わせ
航空レーザー測量で得られた
を用いて地形や
標高の分析
(2011 Googleマップ)
各避難所の標高分析
約40%以上の避難所が20m未満である地域について、
で
を作って検討した。今回使った避難所総数は328
か所、内標高20m未満は145ヶ所、10m未満は85ヶ所、
5m未満は49ヶ所である。
2万5千分の1地形図
10mごとに等高線が引かれ
ているが、傾斜のほとんどな
い低地の地形は分かり難い。
1mメッシュ段彩図
低くなるほど青色、高くなる
ほど赤色になっていくよう5m
ごとに色分けされている。
を利用して段彩図の作成
DEM=数値標高モデル(Digital Elevation Model)
地表面の地形をメッシュ上に区切って、そのメッシュの各点の標高値
を記載したもの。
本研究では、
により得られたDEMを用いる。
航空レーザー測量
航空機から地上に向けて照射されたレーザー光が反射して戻ってく
るまでの時間差で、地上への距離を測る。
さらにGPS等から得られる航空機の位置情報により、地上の標高や
地形の形状を精密に調べることができる。
高さのデータ一つ一つに色付け
して段彩図を作っていく。
上で避難所の緯度経度データを段彩図上に重ね
る
アドレスマッチングサービス(東京大学空間情報科学研究セ
ンター提供「CSVアドレスマッチングサービス」)を用いて緯度
経度データを作成.
住所を含んでいるデータをGISで扱うために、緯度経度のような数値
による座標値を与える処理をする。
GIS(地理情報システム)
位置データと属性データをレイヤにして重ねることで、地域と現象と
の関係性を分析できる。
本研究では、ESRI社のArcGIS 9.3を使用して、海岸低地の段彩図
上に避難所の緯度経度データを重ねる。
伊豆半島全体の避難所分布図
狩野川流域
伊東市
松崎町
アドレスマッチングでは位
置精度が悪い物が含まれ
ていたが、海岸低地部の
解析に用いるため低地部
については手動で修正し
た。
今回は、狩野川流域・伊東
市・松崎町の三つの地域
について分析する。
避難所は海岸付近に多く、中央部
には少ない。
中央部で避難所になっている場所
は川沿いにある。
東伊豆側のほうが西伊豆側よりも
全体的に数が多い。
沼津市
函南町
狩野川
標高20m以下の面積が広
い。
また、沼津市と伊豆市は避
難ビルの名称をインター
ネット上で公開していない。
伊豆の国市
避難所総数:85か所
標高別避難所の数
(狩野川流域)
>20
27
0-5
14
5-10
=避難所
13
10-15
15-20
8
23
松川
伊東港
市街地の中心を松川が通っている
ため、津波が来た場合、川を遡っ
て標高が高い場所まで届く可能性
がある。
観光地なので海岸にはホテルが多
く、そこが避難ビルになっている。
避難所総数:63か所
標高別避難所の数
(伊東市)
0-5
10
5-10
>20
36
10
10-15
5
15-20
2
松崎港
海抜5m以下の地域が
広く存在するが、伊豆半
島の市町の中では避難
所の数が一番少ない。
避難ビルは、公式HPに
よると海岸付近に2か所
ある。
避難所総数:5か所
標高別避難所の数
(松崎町)
0-5
>20
1
2
5-10
2
避難所(特に緊急避難所)には、河川付近にあるもの
や標高の低い位置にあるものなど、地震が発生した
際に使用するには危険性の高いものがあった。
なぜ河川や海岸付近に避難所が多く存在するのか?
今回の分析に使用したのは、主に各市町の公式HP
避難ビルと避難所の区別をしていない市町が多かったため、混
同されている可能性がある。
交通の便等の理由から、公共施設が建設されやすい
国道135号線は、伊豆半島の海岸線をなぞる様な形をしている。
南伊豆町の青野川流域や西伊豆町など、標高20m
以下にある避難所の割合が40%を超える地域は他
にもあったので、それらの地域の段彩図も作成す
る。最終的には、海岸低地全ての段彩図を作成す
る。
道路の分布や高台への避難経路など、各地域の被
災時における交通情報について調べる。
海岸付近の避難所は、避難ビルと混同している可
能性があるので避難ビルと避難所の区別を行う。
各地域の避難所についての公開方法や災害対策
への取り組みの違いを比較し、考察を行う。