Transcript 外国人労働者増加
名古屋市立大学 経済学部 板倉研究室 3年 神谷唯奈 妙楽菜美子 横地栄志 高見亮太 岡林里奈 NO.1 現状分析 現在の日本の労働市場 国内の生産年齢人口(15歳から64歳)の減少 将来の人口予測 2013年 約7900万人 → 2020年 約7300万人 7年後には約900万人減少 2020年東京五輪における労働需要増加 全体で81.5万人の新たな人材ニーズが発生 特に建設業、サービス業、製造業では顕著 2020年までに 推計人口予測から 約900万人 + 東京五輪開催から 約81.5万人 ⇒約980万人の労働力需要が生み出される!! 6年後までにどのように労働力確保を行うべきか。 女性・高齢者・若者 潜在的労働力の活用 外国人労働者の活用 潜在的労働力の活用が 進んだ場合 2020年には 一体何が起こるのか・・・ 2020年と2012年に比較によると・・・ ①ゼロ成長・参加現状のケース ②参加・参加漸進のケース ③経済再生・参加進展のケース 5947万人 6088万人 6291万人(+20万人) 2020年までに 推計人口予測から 約900万人 + 東京五輪開催から 約81.5万人 ⇒約980万人の労働力需要が生み出される!! 潜在的労働力を 効果的に活用しても 20万人しか補うことが出来ない!! 6年後までにどのように労働力確保を行うべきか。 女性・高齢者・若者 潜在的労働力の活用 外国人労働者の活用 外国人労働者は 果たして意義を持つのか ①日本経済社会への貢献 多様な価値観やアイデアの取り込み ②労働力不足の解消 建設業・サービス業などの 労働力確保 外国人労働者受け入れ現状① 2013年10月末 外国人労働者数71万人 *全就業者数の約11% ⇒1990年代から 年々増加傾向にある 外国人労働者受け入れ現状② 東南アジア諸国への 労働力依存度が高い →¥ 外国人労働者受け入れに関して 日本が克服すべき課題① ~外国人労働者受け入れ賛成派~ ①他の東南アジア諸国との賃金格差が縮小し 労働力獲得競争が生じている ②東南アジア諸国への労働力依存度が高いため 不安定な労働力供給になりやすい 外国人労働者受け入れに関して 日本が克服すべき課題② ~外国人労働者受け入れ反対派~ ①国内労働者雇用の需要が低下し 賃金に悪影響を与える ②政治的・文化的な摩擦が生まれ 国内の治安悪化をもたらす 問題意識 ①外国人労働者は どのような要因で増加するのか ②外国人労働者増加は 国内労働者の賃金への悪影響や 国内の治安悪化をもたらすのか No.2 先行研究 先行研究① 増加要因分析に関する研究 コロンビア・アルゼンチン・エクアドルからスペインへの移民移動の要因分析 <渡部和男(2007)> ・GDPの上昇 ・消費者物価指数の上昇 ・航空運賃の低下 ・失業率の低下 ・事件発生件数の減少 ⇒日本の外国人労働者増加要因分析は 先行研究で行われていなかった 先行研究② ・賃金における影響 外国人労働者が日本に及ぼす影響① <中村二郎(2009)・茅島聡(2011)> ①男性賃金を引き上げ、女性賃金にはほとんど影響がない ⇒外国人労働者と強い代替関係にある国内労働者が 外国人労働者の少ない地域へ移動したため ②専門性的外国人労働者が増えると 日本で働く非専門性的労働者の賃金が増える ⇒専門性的外国人労働者の増加が 国内労働者の海外コネクションを増やし 語学力向上をもたらしたため 先行研究② 外国人労働者が日本に及ぼす影響② ・治安悪化に対する懸念 <野村茂治(2007)> →犯罪率の増加はリスクとして存在し 失業者の増加、国籍の偏りが原因で生じることが多い 外国人労働者増加は しかしメリットとして コストよりベネフィットが大きい!! 財政力指数の上昇 →正しいマッチング等により 1人当たりGDP増大 犯罪件数を減らし をもたらす 治安悪化を防ぐ 本稿の位置づけ *日本の外国人労働者増加要因の特定 先行研究で使用された指標と独自で考察した指標で 分析を行う *送り出し国側の現状把握 インドネシアへ現地聞き取り調査 *受け入れ国側の視察を基にする考察 シンガポールへ現地聞き取り調査 No.3 分析・調査 変数選択とモデル式 Y=α₀+β₁X₁+β₂X₂+β₃X₃+β₄X₄+u 変数名 Y:外国人労働者数 X₁:実質最低賃金 X₂:有効求人倍率 X₃:外国人観光者数 X₄:犯罪件数 データは1993年~2013年のものである。 すべて対数変換して分析。 外国人労働者増加要因分析 結果 ①説明変数、被説明変数が同期 変数名 係数 標準誤差 t 実質最低賃金 6.585 *** 0.259 25.384 有効求人倍率 0.106 ** 0.045 2.349 外国人観光者数 -0.333 *** 0.048 -6.943 犯罪件数 -0.431 *** 0.104 -4.137 観測数=20 補正R2=0.986 *:10%有意 **:5%有意 ***:1%有意 筆者作成 ②被説明変数・・・t期 説明変数・・・t-1期 変数名 係数 標準誤差 t 実質最低賃金 6.5934 *** 0.463 14.253 有効求人倍率 0.209 *** 0.066 3.192 外国人観光者数 -0.263 ** 0.089 -2.969 犯罪件数 -0.359 ** 0.150 -2.390 観測数=19 補正R2=0.969 *:10%有意 **:5%有意 ***:1%有意 筆者作成 ①実質最低賃金(正) 実質最低賃金の上昇 ↓ 賃金水準の上昇 ↓ 所得の増大 生活水準の改善 ↓ 送金額の上昇 ↓ 外国人労働者増加 ②有効求人倍率(正) 有効求人倍率の上昇 ↓ 外国人労働者需要の増加 ↓ 外国人労働者増加 日本には労働需要がある ③外国人観光者数(負) 観光目的の 減少 外国人の ↓ 就労目的の 増加 外国人の (外国人労働者増加) ④犯罪件数(負) 犯罪件数の減少 ↓ 治安改善 ↓ 外国人労働者増加 聞き取り調査 日本、インドネシア、シンガポール 聞き取り調査の結果① ~日本(3機関訪問)~ Q1外国人労働者にとっての出稼ぎインセンティブは? ⇒高い賃金・社会的地位 Q2外国人労働者はどのように出稼ぎ先を選択するか? ⇒自分たちの文化・宗教に対する理解があるかどうか ⇒受け入れ体制が整っているかどうか ⇒雇用先情報や業務内容などが前もって開示されているかどう か 日本側の受け入れ体制と制度の必要性 聞き取り調査の結果② ~インドネシア(5機関訪問)~ Q1 インドネシアは多くの日本語学習者がいるが なぜ日本に訪れる人は少ないのか ⇒日本語を習得しても雇用先が無く、また日本企業側の外国人労働者の 扱いが低い Q2 インドネシア政府は自国民の来日に関して どのように考えているか ⇒農業や建築業など付加価値をつける技術力がないため、日本の高い 技術力を習得し自国に移転することは有意義である。 ⇒出稼ぎによる結婚や出産の機会の減少は危惧している ⇒出稼ぎ先での自国民に対する不当な扱い(暴力、虐待、過酷な労働環 境)から自国民を守りたい 聞き取り調査結果③ ~シンガポール(3機関)~ Q1 なぜシンガポールでは 外国人労働者受け入れに成功したのか ⇒英語などの公用語の普及 ⇒企業の参入障壁の軽減(自国産業を守る必要性低い) ⇒低い法人税率の設定 ⇒一党独裁政権による徹底的な国民管理を行っている(監視カ メラ・妊娠検査などの導入、メディア管理による情報の非対称 性) ⇒不当滞在者による厳重な処罰が行われている 国の法律や国民意識を考慮に入れることが大切!! No.4 政策提言 政策提言1 短期的視 野 東京オリンピックの 労働者不足のための政 策提言 • 東京オリンピックの労働者不足のための政策提言 最低賃金の上昇(都市部のみ) 建設業 サービス業 約33万人 約16万人 東京オリンピックにおける 都市部労働力不足の短期的な補てん 政策提言2 長期的視野 過疎地域の 労働者不足のための 政策提言 過疎地域の労働者不足のための政策提言 現状(グラフ) 現状(グラフ) 現状(グラフ) (資料出所:厚生労働省HP「地域別最低賃金の全国一覧」より筆者作成) 地域別最低賃金引き上げ方法 第一次産業:農業、林業、漁業、鉱業 第二次産 業:製造業 毎年10円程度の上昇によって 10年で100円の最低賃金の上昇を実行 (段階的な引き上げ) 受け入れ後の長期的ケア 自治体同士のネットワーク構築 自治体に対する行政支援 受け入れ体制の整備 • 過疎地域の労働者不足のための政策提言 最低賃金の上昇 地方の発展に貢献 少子高齢化の軽減 第一次産業の活性化 • 政策提言3 求人数増加・ 有効求人倍率上昇に関 する政策提言 求人数増加・ 有効求人倍率上昇に関する政策提言 幅広いマッチング 地方の雇用を掘り起こす 新しいマッチングサイトの作成 有効求人倍率・求人数 上昇 マッチングサイト作成時の注意点 都市部における 求人が大半を占め 職種の幅も狭い 人材を欲してる側と 外国人労働者を よりスムーズにマッチング ①地方に存在する 労働力不足の業種から 求人を募集 ②生活環境や バックグラウンド等を 応募用紙に記載する 地方に存在する労働需要を 明確化する 情報の透明性を高め 就職時のミスマッチを防ぐ 政策提言のイメージ図 (図 8) ② ⑨ ② <企業> 来日への インセンティブ 増加 外国人労働者 このシステムに より 増加 所得拡大 外国人労働者を増加させ 実質賃金増加 ③ ⑨ さらに追加的な外国人労働者を ⑧ ④ 効率的に日本経済発展犯に結 び つけ る 罪件数減少 企業負担増大 ④ <国内> ② 企業利益増大 ⑧ 企業活動拡大 GDP 増加(安定) ⑦ ⑥ 外国人労働者増加 ご静聴ありがとうございました