輸出者等遵守基準

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Transcript 輸出者等遵守基準

輸出者等遵守基準等の導入に向けて
(安全保障貿易自主管理体制の整備)
平成22年10月
経済産業省 貿易経済協力局
貿易管理部
安全保障貿易検査官室
目 次
1.はじめに (今回の説明の主なポイント) ………………………………………………………………P2
2.輸出者等遵守基準の導入の背景経緯 ………………………………………………………………………P6
(1)外国為替及び外国貿易法(外為法)の一部改正 ………………………………………………………P7
(2)我が国の最近の主な外為法(安全保障貿易管理関係)違反事案 ……………………………………P8
(3)違法輸出・技術提供に対する罰則等 …………………………………………………………………P10
3.輸出者等遵守基準の内容及び対象 ………………………………………………………………………P11
(1)業として輸出を行っている者に求められること ……………………………………………………P15
(2)特定重要貨物等を扱う輸出者等に求められること …………………………………………………P28
(3)輸出者等遵守基準に係る指導・助言等 ………………………………………………………………P62
4.支援措置 ……………………………………………………………………………………………………P67
(1)安全保障貿易自主管理促進事業委託事業 ……………………………………………………………P68
(2)各種説明会 ………………………………………………………………………………………………P71
(3)輸出管理内部規程 ………………………………………………………………………………………P72
5.輸出者等遵守基準などのお問い合わせ先 ………………………………………………………………P79
6.おわりに(今後の主な注意点) …………………………………………………………………………P84
1
1.はじめに(今回の説明の主なポイント)
2
1.今回の説明の主なポイント
☆今回の説明内容は、安全保障貿易管理の基礎的・基本的な重要事項が
中心となっている「適格説明会」(※)と異なり、輸出者等遵守基準に重点を
置いています。
※一定範囲の輸出・技術提供の個別許可申請が不要となる包括許可の取得・更新の要件
として、受講が義務付けられている説明会
☆輸出者等遵守基準に重点を置いた安全保障貿易管理制度のご紹介
→ 内容は、
2.輸出者等遵守基準の導入の背景・経緯
3.輸出者等遵守基準の内容及び対象
をご覧ください。
☆輸出者等遵守基準に関連した制度など(輸出管理内部規程など)のご紹介
→ 内容は、
4.支援措置
5.輸出者等遵守基準などのお問い合わせ先
をご覧ください。
3
1.安全保障貿易管理制度(外為法)の枠組み
リスト規制
(1~15項)
国際的に合意された規制リストに
掲載された物を輸出する場合や
技術を提供する場合は、
経済産業大臣の許可が必要です。
注 意 海外の自社工場や
日系企業であっても
許可が必要です。
リスト規制対象品目に
該当するか否かを判断。
1項
武器
2~4項
汎用品
(大量破壊兵器等関連)
5~15項 汎用品
(通常兵器関連)
キャッチオール規制等
(16項)
輸出者・提供者
規制リストに掲載されていない物
や技術であっても、次の場合には、
経済産業大臣の許可が必要です。
用途や需要者から、大量
破壊兵器等や通常兵器の
開発等へ用いられるおそ
れの有無を判断。
①大量破壊兵器等や通常兵器の開発等
に用いられるおそれがあることを
輸出者等が知っている場合
【客観要件】
②大量破壊兵器等や通常兵器の開発等
に用いられるおそれがあるとして許可
申請をすべき旨の通知を受けた場合
【インフォーム要件】
経済産業省
輸出者・提供者
申請
審査
※武器については、
武器輸出三原則等に則り、
原則不許可。
経済産業省
申請
輸出・
技術提供
審査
経済産業大臣
からのインフォーム
輸出・
技術提供
輸出・
技術提供
輸出・
技術提供
規制の対象となる貨物・技術は輸出先国により異なる
-国連武器禁輸国:すべての大量破壊兵器及び通常兵器
-上記以外(米国等を除く):すべての大量破壊兵器・特定の通常兵器(インフォーム要件のみ)
4
(参考)安全保障貿易管理制度(外為法)の制度の概要
法 律
外
国
為
替
及(
外
び為
外法
国)
貿
易
法
政
(物)
貨物
第48条
第25条
役務
リスト規制
輸出貿易管理令
(輸出令)
令
大量破壊兵器
キャッチオール規制
(平成14年4月導入)
別 表
1~15項
外国為替令
(外為令)
1~15項
第 1
16項
別
通常兵器
補完的輸出規制
(平成20年11月導入)
16項
表
16項
16項
リスト規制以外で、
通常兵器の開発、
製造又は使用に
用いられるおそれ
のあるもの
(技術)
物 : 機械、部品、原材料など
技術 : 物の設計、製造、使用に関する技術
(ソフトウエアも含む)
ホワイト国 :米、加、EU諸国等の輸出管理を
厳格に実施している26カ国
国連武器禁輸国:
国連の安全保障理事会の決議により武器の輸出
が禁止されているイラク、北朝鮮、アフガニスタン等
11カ国
な規
る制
も対
の象
に
・武器
・兵器の開発等に
用いられるおそれ
の高いもの
リスト規制以外で、
大量破壊兵器の
開発等に用いられる
おそれのあるもの
地規
域制
等対
象
全地域向けが対象
ホワイト国を除く
全地域向けが対象
国連武器禁輸国向けが
対象
※特定の品目については、
ホワイト国を除く全地域
向けが対象
5
2.輸出者等遵守基準の導入の背景・経緯
6
2.(1)外国為替及び外国貿易法(外為法)の一部改正
グローバル化や情報化の進展、不正輸出事案の増加など、安全保障
貿易管理をめぐる情勢の変化を受け、技術取引規制の見直しと、
罰則強化などの措置を講ずる所要の改正を行いました。
技術取引規制の見直し
取引の許可
改正前は、居住者から非居住者
に対して技術提供を行う場合が
規制対象。
誰
で
も
改正後は、これに加えて、誰から
誰に対する提供であっても、外国に
向けて技術を提供する場合は規制
対象となります。
また、技術を提供するために
国外に技術を持ち出すこと自体が 居
住
新たに規制対象となります。
者
輸出者等遵守基準
公布 : 平成21年4月30日
施行 : 平成21年11月1日(一部を除く)
Point!
誰
で
も
提供
持ち出しの許可
USBメモリ等の持ち出し
電子メールの送信
取引の許可
提供
非
居
者
誰
で
も
技術を国外で提供するために
持ち出す者は、技術を国外に持ち
出す前に、いずれかの許可を
受けなければなりません。
Point!
提供
国内にいる非居住者が、外国に
向けて技術を提供する場合は、
許可を受けなければなりません。
国 境
仲介貿易規制の見直し
※平成22年4月1日施行
貨物や技術の輸出等を業として行う者は、経済産
業大臣が定めた輸出者等遵守基準に従い、輸出等を
行わなければなりません。
①仲介貿易取引の規制対象範囲を、貨物の売買に関するもの
から、貨物の売買、貸借又は贈与に関するものに拡大。
②武器及び大量破壊兵器等に関連する技術の仲介行為に
ついて、新たに規制対象。
【遵守基準で定める内容】
① 輸出管理の責任者を明確にすること。
② 関係法令の遵守を指導すること。
③ 安全保障上機微な特定重要貨物(リスト規制品)等
の輸出等を業として行う者は、その他の適切な輸出
管理を実施すること。
■ 無許可輸出・取引に係る罰則水準の引上げ
※ 経済産業大臣は、基準に従い指導や助言、違反があった際には勧告・
命令を行うことができます(命令に違反した場合のみ罰則の対象となる)。
■ 不正な手段による許可取得に対する罰則の新設
■ 法人の時効を自然人とあわせる規定の導入
その他の改正・罰則強化等
現行の
5年以下の懲役
10年以下の懲役
から、最大
に
200万円以下の罰金
1000万円以下の罰金
2.(2)我が国の最近の主な外為法(安全保障貿易管理関係)違反事案①
 昨今、外為法違反に加え、貨物の輸出又は技術の提供に係る
該非判定に際してデータを改ざんするなどの不正な行為を行う
事例が発生しています。
 こうした事例を踏まえ、安全保障貿易管理の執行強化のため、
昨年4月の外為法改正により、輸出者等遵守基準(輸出者等が
遵守すべき事項を経済産業大臣が定め、当該事項に従って輸
出等を行うことを輸出者等に求める仕組み)が導入されました。
8
2.(2)我が国の最近の主な外為法(安全保障貿易管理関係)違反事案②
判決及び行政処分の時期・内容など
平成21年11月5日(判決):
社長に懲役2年(執行猶予4年)、法人に対して罰金600万円
平成22年6月18日(行政処分) :7ヶ月間:全貨物輸出禁止
貨物・仕向地
備 考
磁気測定装置
他
ミャンマー
平成21年8月7日(判決):
社長に懲役3年(執行猶予4年)、法人に対して罰金500万円
大型タンクローリー
他
平成22年1月19日(行政処分):1年6ヶ月間:全貨物輸出禁止
北朝鮮
平成21年7月16日(判決):
社員ら4名に懲役1~2年6ヶ月(執行猶予3年)
工作機械
韓国等
法人に対して、罰金4,700万円
平成21年8月14日(行政処分):5ヶ月間:全貨物輸出禁止
平成19年6月25日(判決):
元副会長ら4名に懲役2~3年(執行猶予4~5年)
法人に対し、罰金4,500万円
三次元測定機
マレーシア等
このうち1台がリビ
アの核開発施設で
発見
平成19年6月26日(行政処分):
①6ヶ月間:全貨物輸出禁止
②2年6ヶ月間:三次元測定機の輸出禁止(合計で3年間)
平成19年3月20日(略式命令):罰金100万円
平成19年5月11日(行政処分):9ヶ月間:無人ヘリコプターの輸出禁止
無人ヘリコプター (未
遂)
中国
平成18年10月10日(最高裁・上告棄却):
代表取締役らに懲役1年6ヶ月~2年6ヶ月(執行猶予3~5年)
法人に対し、罰金1,500万円
ジェットミル
平成18年11月28日(行政処分): 2年間:全貨物輸出禁止
執行役員ら3名は
起訴猶予
イラン
9
2.(3)違法輸出・技術提供に対する罰則等
規制対象となる物・技術を、許可を取らずに輸出・提供して
しまうと、外為法に基づき、罰せられる場合があります。
刑事罰
最大
・企業イメージの悪化
・社会的制裁
・株主代表訴訟
等
・ 10年以下の懲役
・ 1000万円以下の罰金
(対象の物・技術の価格の5倍がそれぞれの
金額を超える場合はその価格の5倍以下の
罰金)
公
表
行政制裁
・ 3年以内の、物の輸出・技術の提供の
禁止
経済産業省からの
違反者に対する警告
※実際に懸念用途に用いられた場合、違反者自身のみならず日本に対するダメージは、計り知れません。
こうした事態を招かないために、
10
3.輸出者等遵守基準の内容及び対象
違法な輸出・技術提供の未然防止!再発防止!
11
3.輸出者等遵守基準の内容(基礎)(平成22年4月1日施行)
 業として輸出・技術提供を行う者(輸出者等)は、輸出者等遵守基準に従って、
適切な輸出・技術提供を行うことが求められます。
 安全保障上機微な特定重要貨物(リスト規制品)等を扱う輸出者等にあっては、
Ⅰ及びⅡの基準を遵守する必要があります。なお、非リスト規制品のみを扱う
輸出者等にあっては、Ⅰの基準のみを遵守する必要があります。
Ⅱ リスト規制品の輸出等を行うに当たって遵守する基準
Ⅱ リスト規制品輸出等の遵守基準
① 組織の代表者を輸出管理の責任者とすること。
② 組織内の輸出管理体制(業務分担・責任関係)を定めること。
③ 該非確認に係る手続を定めること。
Ⅰ 輸出者等の遵守基準
④ リスト規制品の輸出等に当たり用途確認、需要者確認を行う手続
を定め、手続に従って確認を行うこと。
⑤ 出荷時に、該非を確認した貨物等と一致しているか確認を行うこと。
⑥ 輸出管理の監査手続を定め、実施するよう努めること。
Ⅰ 輸出等を行うに当たって遵守する基準
⑦ 輸出管理の責任者及び従事者に研修を行うよう努めること。
⑧ 輸出等関連文書を適切な期間保存するよう努めること。
① 輸出等を行う貨物等がリスト規制品に該当するか否か
を確認する責任者を定めること。
② 輸出等の業務に従事する者に対し、最新の法令の周知、
その他関係法令の規定を遵守させるための必要な指導
を行うこと。
⑨ 法令違反したとき及び法令違反したおそれがあるときは、速やかに
経済産業大臣に報告し、 その再発防止のために必要な措置を講ず
ること。
※ 許可例外の輸出等のみを行う者は、⑨のみの適用となります。.
※ 経済産業大臣は、基準に従い指導や助言、違反があった際には勧告・命令を
行うことができる(命令に違反した場合のみ罰則の対象となります)。
12
3.輸出者等遵守基準の対象(基礎)①
反復継続して、
①物 の 輸出
②技術の提供
を行っている。
このような場合には、経済産業大臣
が定める輸出管理に係る基準(輸出者
等遵守基準)に従っていただく必要が
あります。
主な事例

海外の自社工場や得意先に、自社の製品を輸出している。

新興国・開発途上国での需要が拡大しているので、販路拡大
を目指して新たな輸出を計画している。

外国の研究機関との間で共同研究を開始し、図面やデータを
送付する予定がある。
etc.13
3.輸出者等遵守基準の対象(基礎)②
 大量破壊兵器の開発国やテロリストは、
輸出管理が不十分な組織を狙うかもしれま
せん。それは、中小企業や大学・研究機関
であっても例外ではありません。
 外為法や安全保障貿易管理制度について
「知識」として知っているだけでなく、
組織として「実際に運用・対応」していく
必要があります。
14
3.(1)業として輸出を行っている者
に求められること
15
3.(1)業として輸出を行っている者に求められること
 輸出しようとする物や提供しようとする技術がリスト規制の1~15項に該当
する場合には経済産業大臣の許可が必要となります。
 また外為法は、リスト規制だけではなく大量破壊兵器キャッチオール規制や
通常兵器補完的輸出規制もあるので、リスト規制対象貨物・技術を確認する
だけでは不十分です。
 遵守すべき外為法関係法令が何かを知り、輸出者等内部の担当者が遵守
するよう適切に指導する必要があります。
まず、業として輸出等を行う場合、
以下の事項を行う必要があります。
 輸出又は提供される物や技術が、リスト規制品に該当
するか否か、を最新の法令に基づき事前に確認すること。
 輸出等の業務に従事する者に対し、外為法関係法令を
遵守するように指導すること。
16
3.(1)①該非確認責任者の選任①
 輸出者等は、輸出しようとする貨物又は提供しようとする技術が、特定重要
貨物等に該当するかどうかの確認(該非確認)についての責任者(該非確認
責任者)を選任しなければなりません。
【輸出者等遵守基準省令第1条第1号イ】
主なポイント
☆まずは、輸出する物や提供する技術がリスト規制品に該当するかどうか
を確認することが、不正輸出の防止の観点から重要です。
☆そのため、反復継続して輸出等を行っている者は、リスト規制品に該当
するかどうかを確認する責任者(該非確認責任者)を組織内で定めること
が必要です。
☆該非確認責任者は一人でも複数でも構いませんし、技術部門でなくても
構いません。 ただし、該非確認(該非判定)は、技術の観点及び法令の
観点、いずれの面からも、漏れのないように確認することが必要です。
☆製品を自ら製造せず購入品を輸出する場合であっても、組織内で
該非確認(該非判定)が適切に行われるよう、内部で責任者を選任する
必要があります。
17
3.(1)①該非確認責任者の選任②
×不適切な実例・想定事例
 A社は、これまでリスト規制品を扱っていなかったため、該非確認責任者を
選任していなかった。
 しかし、同社が従来から輸出していたゴムローラの部品材料の素材をリスト
規制対象品である炭素繊維に変更したにもかかわらず、該非確認を行わな
いまま、許可を取得せずに輸出を継続した。
○適切な対応例
 A社は、これまでリスト規制品を扱っていなかったが、念のため輸出等の許可
が必要か否かを確認する該非確認責任者を選任し、許可が不要であることを
確認していた。
 このため、同社が従来から輸出していたゴムローラの部品材料の素材をリス
ト規制対象品である炭素繊維に変更する際に、該非確認責任者はリスト規制
品で輸出許可が必要であることを認識し、許可を取得した上で輸出を継続し
た。
主なポイント
☆たとえ、リスト規制品を扱っていない輸出者等であっても、該非確認責任者
を選任し、本当に許可が必要なものがないか確認することが重要!
18
3.(1)①該非確認責任者の選任③
×不適切な例
○適切な例
 複数の「該非確認責任者」を
選任しているが、「該非確認
責任者」がそれぞれどういう
場合に最終的な該非確認
責任を有するのか明確に
定めていない。
責任分担が不明確だと、
漏れがあって、該非判定
を誤る可能性があります。
 商社なので、「該非確認責任
者」として、他社(メーカー)の
技術部門の社員を「該非確認
責任者」として選任した。
 技術部門に属する社員を技術面
からの「該非確認責任者」に、
輸出管理部門に属する社員を
法令面からの「該非確認責任者」
に選任し、責任分担を明確に
したダブルチェック体制を構築
した。
 技術的知見を有する社員を
「該非確認責任者」として選任
した。
誤った該非判定による
外為法違反の責任は、基
本的に輸出者が負うこと
になります。
19
3.(1) ②輸出者等内部の適切な法令遵守指導①
 輸出等の業務に従事する者に対し、最新の法及び法に基づく命令の周知
その他関係法令の規定を遵守するために必要な指導を行わなければなりま
せん。
【輸出者等遵守基準省令第1条第1号ロ】
主なポイント
☆外為法や安全保障貿易管理制度について「知識」として知っているだけで
なく、組織として「実際に運用・対応」していく必要があります。
☆そのためにも遵守するべき外為法関係法令が何かを知り、輸出者等内部
の担当者が遵守するよう適切に指導する必要があります。
☆不正輸出の防止の観点から組織内の実態に沿って、法令遵守が徹底され
るよう、必要な範囲の者に必要な指導(指示・教育・研修)を行うことが必要
です。
☆なお、個人の輸出者等の場合には自ら法令遵守のために必要な情報を
収集することが必要です。
20
3.(1) ②輸出者等内部の適切な法令遵守指導②
×不適切な実例・想定事例
 B社は、海外との共同開発を行ったことがなく、リスト規制該当技術を提供す
る際、許可が必要であることを全く社内に周知・指導していなかった。
 同社は、取引先の外国企業とオンライン通信プログラム開発の契約を締結し
た。契約に基づき、当該外国企業より外国人技術者を受け入れ、無許可で
同プログラムの開発(ソースコードの開示)を行った。
○適切な対応例
 B社は、海外との共同開発を行ったことがないが、リスト規制該当技術を提
供する際、許可が必要であることを社内に周知・指導していた。
 同社は、取引先の外国企業とオンライン通信プログラム開発の契約を締結し
た。契約に基づき、当該外国企業より外国人技術者を受け入れ、許可を取得
した上で同プログラムの開発(ソースコードの開示)を行った。
主なポイント
☆輸出や技術提供を行ったことがなくても、日頃から外為法について周知・指導
することが必要!
21
3.(1) ②輸出者等内部の適切な法令遵守指導③
×不適切な例
○適切な例
 輸出管理に係る社内研修を何
年も行っていない。
最新の法令を理解して
いないと、無許可輸出
等の法令違反を引き起
こす可能性があります。
 リスト改正があったにもかかわ
らず、改正前の判定書を使用
して該非確認を行っていた。
最新の規制内容で
該非判定していないと、
無許可輸出等を引き起
こす可能性があります。
 輸出管理のために、経済産業省
のホームページ等から最新の法
令改正の情報を入手し、社員に
対して周知・研修している。
 社内のイントラに、最新の改正
情報を掲載し、社員が閲覧でき
るような体制をとっている。
22
(参考1)輸出と技術提供との違い
-日本-
-外国-
物の輸出
注意
船積み
工場の設備
販売
設計図
データ
技術指導
ハンドキャリーで
の持ち出しも輸出
研修員受入れ(非居住者)
技術指導等
技術の提供
メール送信
注意
(技術データの提供、
技術支援等による。)
技術取引は日本国内においても発生する可能性あり!
23
(参考2)居住者及び非居住者の判定
非居住者
居住者
日本人の場合
①我が国に居住する者
②日本の在外公館に勤務する者
日本人の場合
①外国にある事務所に勤務する目的で出国し外国に
滞在する者
②2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在
する者
③出国後外国に2年以上滞在している者
④上記①~③に掲げる者で、一時帰国し、その滞在
期間が6月未満の者
外国人の場合
①我が国にある事務所に勤務する者
②我が国に入国後6月以上経過している
者
外国人の場合
①外国に居住する者
②外国政府又は国際機関の公務を帯びる者
③外交官又は領事官及びこれらの随員又は使用人
(ただし、外国において任命又は雇用された者に
限る。)
法人等の場合
①我が国にある日本法人等
②外国の法人等の我が国にある支店、
出張所その他の事務所
③日本の在外公館
法人等の場合
①外国にある外国法人等
②日本法人等の外国にある支店、出張所その他の
事務所
③我が国にある外国政府の公館及び国際機関
その他、合衆国軍隊等及び国際連合の軍隊等
※財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について(抄)」より
24
(参考3)キャッチオール規制等 輸出手続フロー
引合い
【インフォーム要件】
経済産業大臣から
輸出許可申請をす
べき通知を受けた場
合は、フロー図にか
かわらず、輸出許可
申請が必要。
YES
貨物が輸出令別表第1の1~15項に該当しない
貨物が16項の中欄に掲げるものに該当しないことが明らかか
NO
仕向国は輸出令 別表第3の国か
YES
YES
用途チェックリストの活用
NO
用途
①核兵器等の開発等若しくは②別表に掲げる行為に用いられるか
又は③(別表第3の2の国に向けては)通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるか
NO
※輸入者等に対して、需要者チェックリストに
該当するような者に販売等しないよう
十分指導する必要がある。
※用途・需要者確認時に疑義が生じた場合
は、事前に経済産業省に相談すること。
未確定
需要者
需要者チェックリストの活用
確定
YES ①核兵器等の開発等を行う(行った)か 又は
②外国ユーザーリストに該当するか
核兵器等の開発等及び別表に掲げる
行為以外に用いられることが明らかか
NO
取引中止
NO
YES
明らかガイドラインの活用
輸出許可申請
不許可
【客観要件】
許可申請不要
許可
輸 出
25
(参考4)大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれの強い貨物例
核・ミサイルへの転用懸念
・リン酸トリブチル(TBP)
・周波数変換器
核
兵
器
へ
の
転
用
懸
念
・質量分析計又はイオン源
・電圧又は電流の変動が少な
い直流の電源装置
・大型の真空ポンプ
・耐放射線ロボット
・放射線測定器
・口径75mm以上のアルミニウム
管
・高周波用のオシロスコープ及び
波形記憶装置
・大型発電機
転生
用物
懸兵
念器
へ
の
転化
用学
懸兵
念器
へ
の
・炭素繊維・ガラス繊維・アラミド繊維
・チタン合金
・マルエージング綱
・しごきスピニング加工機
・数値制御工作機械
・アイソスタチックプレス
・フィラメントワインディング装置
・振動試験装置
・遠心力釣り合い試験器
・耐食性の圧力計・圧力センサー
・TIG溶接機、電子ビーム溶接機
・人造黒鉛
・大型の非破壊検査装置
・密閉式の発酵槽
・遠心分離器
・凍結乾燥機
・噴霧器を搭載するよう設計されたUAV
・UAVに搭載するよう設計された噴霧器
・耐食性の反応器
・耐食性のかくはん機
・耐食性の熱交換器又は凝縮器
・耐食性の蒸留塔又は吸収塔
・耐食性の充てん用の機械
・微粉末を製造できる粉砕器
・ジャイロスコープ
・ロータリーエンコーダ
・大型トラック
ミ
サ
イ
ル
へ
の
転
用
懸
念
(トラクタ、トレーラー、ダンプを含む)
・クレーン車
・カールフィッシャー方式の水分測定装置
・プリプレグ製造装置
・噴霧器を搭載するよう設計された
無人航空機(UAV)
・UAVに搭載するよう設計された
噴霧器
1.これらの物の輸出又は技術の提供を行う際には、輸入先等
において大量破壊兵器の開発等の懸念用途に転用されない
よう、輸出者は特に慎重な審査が必要。
2.外国ユーザリスト掲載企業に対し、これらの物の輸出又は
技術の提供を行う場合は、リスト上の懸念区分(核兵器・化
学兵器・生物兵器・ミサイル)と、物・技術の懸念用途が一致
するか否かのチェックを行う際に活用すること。
26
(参考5)外国ユーザーリスト(2010年9月改訂)
経済産業省が、大量破壊兵器の開発
等への関与が懸念される企業・組織を
掲載し公表しているリスト。
このリストに掲載されている企業等に
輸出等を行う場合には、それが大量破
壊兵器の開発等に用いられないことが
明らかな場合を除き、経済産業大臣の
許可が必要となる。
外国ユーザーリスト(抜粋)
国名、地域名
No
企業名、組織名
Country or
.
Company or Organization
Region
イスラエル Ben-Gurion University (of
1
Israel
the Negev)
2
国
名
掲載数
イスラエル
2
イラン
145
インド
19
北朝鮮
106
シリア
11
台湾
2
中国
15
パキスタン
29
アフガニスタン
合
計
2
331
イスラエル Nuclear Research Center
Israel
Negev (NRCN)
3
イラン
Iran
7th of Tir
4
イラン
Iran
Abzar Boresh Kaveh Co.
各国別の掲載企業・組織数
(2010年9月3日版)
別名
Also Known As
5
イラン
Iran
Aerospace Industries
Organisation (AIO)
6
イラン
Iran
AMA Industrial Co.
7
イラン
Iran
Amin Industrial Complex
8
イラン
Iran
Amirkabir University of
Technology
懸念区分
Type of
WMD
核
N
核
N
・7th of Tir Industries
Complex
・Mojtamae Sanate Haftome
Tir
・Sanaye Haftome Tir
・7th of Tir Industries of
Isfahan/Esfahan
・7th of Tir Complex
・Esfahan/ Isfahan Haftome
Tir Industries
・BK Co.
・Aerospace Industries
Organization
・Sazemane Sanaye Hava
and Faza (SSHF)
・Bazargani Hava and Faza
核
N
核
N
ミサイル
M
核
N
生物、化
・Amin Industrial Compound 学、ミサイ
・Amin Industrial Company
ル、核
B,C,M,N
ミサイル、
核
M,N
注)外国ユーザーリストは毎年改訂されますので、最新版
を入手するようにしてください。
27
3.(2)特定重要貨物等を扱う輸出者等
に求められること
28
3.(2)特定重要貨物等を扱う輸出者等に求められること
 外為法第55条の10第3項の特定重要貨物等は、いわゆるリスト規制貨物・技術
である
①輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)別表第1の1から15までの項
の中欄に掲げる貨物
②外国為替令(昭和55年政令第260号)別表の1から15までの項の中欄
に掲げる技術
です。 【特定重要貨物等を定める省令】
 リスト規制貨物・技術は、大量破壊兵器等への転用の
おそれが大きいので、より一層厳格な管理が求められます。
大量破壊兵器関連(2~4項)
武器
核兵器
化学兵器
ミサイル
通常兵器関連(1項、5~15項)
生物兵器
先端材料
エレクトロニクス
コンピュータ
通信関連
センサー・レーザー
材料加工 その他、航法・海洋・推進装置の関連資材等
29
(参考)リスト規制貨物①
2010.4.1
項番
輸出許可品目名
1 武器
(
(
(
(
(
1)
2)
3)
4)
5)
銃砲・銃砲弾等
爆発物・発射装置等
火薬類・軍用燃料
火薬又は爆薬の安定剤
指向性エネルギー兵器等
項番
輸出許可品目名
(12)
1 数値制御工作機械
2 測定装置
(13)
(14)
(15)
(16)
(17)
誘導炉・アーク炉・溶解炉等
アイソスタチックプレス等
ロボット等
振動試験装置等
ガス遠心分離機ロータ用構造材料
項番
輸出許可品目名
(45) 放射線遮蔽窓・窓枠
(46)
(47)
(48)
(49)
(50)
3 化学兵器
(18) ベリリウム
( 7) 軍用車両・軍用仮設橋等
(19) 核兵器起爆用アルファ線源用物質
( 8) 軍用船舶等
(20) ほう素10
( 9) 軍用航空機等
(21) 核燃料物質製造用還元剤・酸化剤 ( 2) 化学製剤用製造機械装置等
(10)
(11)
(12)
(13)
(13
の2)
防潜網・魚雷防御網他
装甲板・軍用ヘルメット・防弾衣等
軍用探照灯・制御装置
軍用細菌製剤・化学製剤等
軍用細菌製剤・化学製剤などの浄化
用化学物質混合物
(14) 軍用化学製剤用細胞株他
(15) 軍用火薬類の製造・試験装置等
(16) 兵器製造用機械装置等
(22)
(23)
(24)
(25)
(26)
るつぼ
ハフニウム
リチウム
タングステン
ジルコニウム
(27) ふっ素製造用電解槽
(22)
軍用化学製剤の原料、軍用化学製剤 (23)
と同等の毒性の物質・原料
(24)
3の2 生物兵器
ロケット・UAV用加速度計・ジャイロスコープ等
4 ミサイル
ロケット搭載用電子計算機
ロケット・UAV用A/D変換器
振動試験装置等、風洞・燃焼試験装置他
(24の2) ロケット設計用電子計算機
(25)
(26)
( 1) 軍用細菌製剤の原料
( 2) 細菌製剤用製造装置等
(28) ガス遠心分離機ロータ製造装置等 ( 1) ロケット・製造装置等
(29)
(30)
(31)
2 原子力
(32)
( 1) 核燃料物質・核原料物質
(33)
( 2) 原子炉・原子炉用発電装置等
(34)
( 3) 重水素・重水素化合物
(35)
( 4) 人造黒鉛
(36)
( 5) 核燃料物質分離再生装置等
(37)
( 6) リチウム同位元素分離用装置等
(38)
( 7) ウラン・プルトニウム同位元素分離用装置等 (39)
( 8) 周波数変換器等
(40)
( 9) ニッケル粉・ニッケル多孔質金属
(41)
(10) 重水素・重水素化合物の製造装置等 (42)
(10の
ウラン・プルトニウム製造用装置等
(43)
2)
(11) しごきスピニング加工機等
(44)
(16)
輸出許可品目名
放射線影響防止テレビカメラ・レンズ (17)
ロケット・UAV用飛行・姿勢制御装置他
トリチウム
(18)
アビオニクス装置等
トリチウム製造・回収・貯蔵装置
(18の2) ロケット・UAV用熱電池
白金触媒
(19)
航空機・船舶用重力計・重力勾配計
ヘリウム3
(20)
ロケット・UAV発射台・支援装置
(21)
ロケット・UAV用無線遠隔測定装置他
( 6) 運動エネルギー兵器等
( 1)
項番
音波・電波・光の減少材料・装置
ロケット・UAV用IC・探知装置・レードーム
5 先端材料
( 1)
ふっ素化合物製品
( 2)
ビニリデンフルオリド圧電重合体他
( 3)
芳香族ポリイミド製品
遠心力式釣合試験機
(1の2) 無人航空機(UAV)
フィラメントワインディング装置等
( 2) ロケット誘導装置・試験装置等
レーザー発振器
( 3) 推進装置等
質量分析計・イオン源
( 4) しごきスピニング加工機等
圧力計・ベローズ弁
サーボ弁・推進薬制御装置用 ポン
( 5)
プ・軸受
ソレイノイドコイル形超電導電磁石
真空ポンプ
( 6) 推進薬・原料
直流電源装置
( 7) 推進薬の製造・試験装置等
電子加速器・エックス線装置
( 8) 粉粒体用混合機等
衝撃試験機
( 9) ジェットミル・粉末金属製造装置等
ストリークカメラ・フレーミングカメラ等
(10) 複合材料製造装置等
干渉計・圧力測定器・圧力変換器 (11) ノズル
核兵器起爆(試験)用貨物
(12) ノズル・再突入機先端部製造装置他
光電子増倍管
(13) アイソスタチックプレス・制御装置
( 4)
( 5)
( 6)
( 7)
( 8)
( 9)
(10)
(11)
(12)
(13)
(14)
(15)
(16)
(17)
チタン・アルミニウム合金成形工具
チタン・ニッケルなどの合金・粉、製造装置等
金属性磁性材料
ウランチタン合金・タングステン合金
超電導材料
作動油
潤滑剤
振動防止用液体
冷媒用液体
チタンのホウ化物・セラミック半製品他
セラミック複合材料
ポリジオルガノシラン・ポリシラザン他
ビスマレイド・芳香族ポリアミドイミド他
ビニリデンフルオリド共重合体他
中性子発生装置
(14) 複合材用の炉・制御装置
(18)
プリプレグ・プリフォーム・成型品等
遠隔操作のマニピュレーター
(15) ロケット・UAV用構造材料
(19)
ほう素・炭化ほう素・硝酸グアニジン他
30
(参考)リスト規制貨物②
2010.4.1
項番
輸出許可品目名
6 材料加工
( 1)
軸受等
( 2)
数値制御工作機械等
(
(
(
(
(
歯車製造用工作機械等
アイソスタチックプレス等
コーティング装置等
測定装置等
ロボット等
3)
4)
5)
6)
7)
( 8)
フィードバック装置他
( 9)
項番
輸出許可品目名
(17) マスク・レチクル等
(18) 半導体基板
(19) レジスト
アルミニウム・ガリウム他の有機金属化合物、 ( 7)
燐・砒素他の有機化合物
(7の2)
(21) 燐・砒素・アンチモンの水素化物
( 8)
(22) 炭化けい素等
( 9)
(20)
8 電子計算機
( 1)
電子計算機等
絞りスピニング加工機・しごきスピニング
加工機
9 通信
集積回路
マイクロ波用機器・ミリ波用機器等
信号処理装置等
超電導材料を用いた装置
( 1)
( 2)
( 3)
( 4)
( 5)
(5の2)
( 5)
超電導電磁石
(5の3) 通信妨害装置等
( 6)
( 7)
( 8)
一次・二次セル、太陽電池セル
高電圧用コンデンサ
エンコーダ
7 エレクトロニクス
(
(
(
(
1)
2)
3)
4)
( 8の2)
サイリスターデバイス・サイリスターモジュール
( 8の3)
( 9)
(10)
(10の2)
電力制御用半導体素子【追加】
デジタルビデオ磁気テープ記録装置他
波形記憶装置
デジタル計測用記録装置
(11)
(12)
(13)
(14)
(15)
周波数シンセサイザー
信号発生器
周波数分析器
ネットワークアナライザー
原子周波数標準器
(15の2) スプレー冷却方式の熱制御装置
(16)
半導体製造装置等
項番
輸出許可品目名
( 4)
高速度撮影可能なカメラ等
( 5)
反射鏡
( 6)
宇宙用光学部品等
伝送通信装置等
電子交換装置
光ファイバー通信ケーブル等
<削除>
フェーズドアレーアンテナ
監視用方向探知器等
(10)
光学器械又は光学部品の制御装置
非球面光学素子
レーザー発振器等
磁力計・水中電場センサー・磁場勾配
計・ 校正装置他
重力計・重力勾配計
(11)
レーダー等
(12)
(13)
(14)
光反射率測定装置他
重力計製造装置・校正装置
光検出器・光学部品材料物質他
11 航法装置
( 1)
( 2)
( 3)
加速度計等
ジャイロスコープ等
慣性航行装置等
項番
輸出許可品目名
13 推進装置
( 1)
ガスタービンエンジン等
( 2)
人工衛星・宇宙開発用飛しょう体等
( 3)
( 4)
( 5)
ロケット推進装置等
無人航空機等
(1)から(4)、15の(10)の試験装置・測定
装置・検査装置等
14 その他
(
(
(
(
(
(
(
(
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
粉末状の金属燃料
火薬・爆薬成分、添加剤・前駆物質
ディーゼルエンジン等
<削除>
自給式潜水用具等
航空機輸送土木機械等
ロボット・制御装置等
電気制動シャッター
ジャイロ天測航法装置、衛星航法システム ( 9) 催涙剤・くしゃみ剤、これら散布装置等
電波受信機、航空機用高度計等
( 10) 簡易爆発装置等
受信機能のみで電波等の干渉を観測
(5の4)
する位置探知装置
(4の2) 水中ソナー航法装置等
( 11) 爆発物探知装置 【追加】
(1)から(3)、(5)から(5の4)までの設計・
(1)から(4の2)までの試験・製造装置
( 6)
( 5)
製造装置等
他
15 機微品目
( 7)
( 8)
( 9)
(10)
暗号装置等
情報伝達信号漏洩防止装置等
非暗号型情報通信システム【追加】
盗聴検知機能通信ケーブルシステム等
(11)
(7)(8)(10)の設計・製造・測定装置他
10 センサー等
( 1) 水中探知装置等
(1の2) 妨害用水中音響装置 【追加】
( 2)
( 3)
光検出器・冷却器等
センサー用の光ファイバー
( 4)
( 1)
( 2)
船舶(潜水艇、水中翼船他)
船舶の部分品・附属装置
(
(
(
(
(
(
(
(
(
水中回収装置
水中カメラ等
水中ロボット
密閉動力装置
回流水槽
(
(
(
(
(
12 海洋関連
3)
4)
5)
6)
7)
( 8)
( 9)
浮力材
閉鎖・半閉鎖回路式の自給式潜水用
具
1)
2)
3)
4)
無機繊維他を用いた成型品
電波の吸収材・導電性高分子
核熱源物質
デジタル伝送通信装置等
5)
6)
7)
8)
9)
水中探知装置等
宇宙用光検出器
目標自動識別機能レーダー等
潜水艇
船舶用防音装置
(10)
ラムジェットエンジン、スクラムジェットエンジン、複合
サイクルエンジン等
*【追加】は2010年4月1日に追加。
31
3.(2)①代表する者の中からの統括責任者(最高責任者)の選任①
 特定重要貨物等を輸出する輸出者等は、組織を代表する者の中から特定
重要貨物等輸出者等の行う輸出等の業務を統括管理する責任者(「統括
責任者」)を選任しなければなりません。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号イ】
主なポイント
☆組織を代表する者が最高責任者として組織内の輸出管理に責任を持ち、
その下で、実務を行う管理責任者を任命する、あるいは、輸出管理を統括
する部門を設けるなど、組織内の輸出管理の体制を定めることが必要
です。
32
3.(2)①代表する者の中からの統括責任者(最高責任者)の選任②
×不適切な実例・想定事例
 C社は、営業担当者が輸出管理全般を行う体制となっており、代表取締役
社長以下管理職に至るまで、輸出管理の重要性の認識が低く、輸出管理に
関する統括責任者(最高責任者)を選任していなかった。
 社内から、無許可輸出のおそれがあるのではないかと意見が出たときも、
無許可輸出の事実関係を把握する意識を誰も持たないまま、数年間無許可
輸出が行われ続けた。
○適切な対応例
 C社は、輸出管理に関する統括責任者(最高責任者)として代表取締役社長
を選任し、営業部門、技術部門、輸出管理部門など各部門ごとの責任者及
び担当者を決めて、輸出管理を行っていた。
 社内から、無許可輸出のおそれがあるのではないかと意見が出たとき、代表
取締役社長から輸出管理関係の管理職・担当者までが無許可輸出の事実
関係を把握する意識を持ち、速やかに全社調査を行い、違法輸出の再発を
防止した。
主なポイント
☆輸出管理は、組織を代表する者(代表取締役、学長など)が統括責任者
(最高責任者)となることが必要!
33
3.(2)①代表する者の中からの統括責任者(最高責任者)の選任③
×不適切な例
 代表権を持つ者が最高責任
者になっておらず、「疑義あ
る取引」があったとしても、組
織の代表者には、まったく知
らされない。
○適切な例
 輸出者としての責任を明確
にするため、代表取締役社
長を輸出管理における最高
責任者に選任し、「疑義ある
取引」は最高責任者に必ず
相談して取引の可否を判断
するようにしている。
法令違反があった場合
には、会社全体として責任
を問われることになります。
34
3.(2)②組織内の輸出管理体制(業務分担・責任関係)の明確化①
 特定重要貨物等を取り扱う輸出者等は、組織内の輸出等の業務を行う部門
の権限及び責任を明確にし、複数の部門において輸出等の業務を行う場合
には、部門間の役割分担を明確にしなければなりません。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号ロ】
主なポイント
☆営業部門から独立した輸出管理部門を設置し、可能であれば、専任の
輸出管理担当者を選任するとともに、輸出管理部門や関連部門が行う
べき業務内容や責任を明確化しておくことが必要です。
35
3.(2)②組織内の輸出管理体制(業務分担・責任関係)の明確化②
×不適切な実例・想定事例
 貿易商社であるD社は、輸出管理業務担当者が1名だけであったが、製造
メーカーから該非判定書を入手の上、自ら該非確認を行い、リスト規制該当
の場合は輸出許可を取得した上で輸出していた。
 しかし、当該担当者1名が長期休暇で不在となった数ヶ月間、代わりの担当
者は外為法について何の知識もなく、かつ、社内マニュアルもないまま、リス
ト規制該当のリピート品を無許可で輸出した。
○適切な対応例
 貿易商社であるD社は、輸出管理業務を複数で行い、製造メーカーから該非
判定書を入手の上、自ら該非確認を行い、リスト規制該当の場合は輸出許
可を取得した上で輸出していた。
 当該担当者1名が長期休暇で不在となった数ヶ月間、これまで輸出管理業
務を行っていた他の担当者が担当することとなり、これまでと同様、製造メー
カーから該非判定書を入手の上、自ら該非確認を行い、リスト規制該当の場
合は輸出許可を取得した上で輸出した。
主なポイント
☆担当者1名に任せっきりにしない輸出管理体制の整備が重要!
36
3.(2)②組織内の輸出管理体制(業務分担・責任関係)の明確化③
×不適切な例
○適切な例
 該非判定や取引審査につ
いて、営業部門や他社(通
関業者など)に任せきりにし
ている。
中立な立場で審査しな
いと、取引に係るリスク
を適正に判断できないお
それがあります。
 取引の可否を最終的に 判
断する者が決められていな
い。
役割分担が不明確だと、
安全上懸念のある輸出
が防止できないおそれが
あります。
 営業から独立した輸出管理
統括部門を社内に設置して
おり、取引に係るリスクを適
正に判断できる輸出管理に
係る体制を整備している。
 取引の内容に応じた最終判
断者を決めており、組織全体
として取引の可否に関する責
任分担を明確にしている。
37
3.(2)③該非確認(該非判定)手続の明確化①
 特定重要貨物等を輸出する輸出者等は、該非確認に係る手続を定めなけれ
ばなりません。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号ハ】
主なポイント
☆該非確認の手続を定め、定めた手続に従って、輸出等を行う者がリスト
規制貨物・技術に該当するか否かを確認する必要があります。
38
3.(2)③該非確認(該非判定)手続の明確化②
×不適切な実例・想定事例
 E社は、輸出契約先から外部製造メーカー作成の送品案内書に該非判定結
果を記載するよう指示を受けていたが、社内マニュアルもなく担当者1名の
みで該非判定作業を行っていたため、当該送品案内書の製品番号・数量の
照合のみしか行わず、外部製造メーカー作成の該非判定書に「該当」の記載
があったのを見落とし、送品案内書に「非該当」と記載した上で、無許可輸出
した。
○適切な対応例
 E社は、輸出契約先から外部製造メーカー作成の送品案内書に該非判定結
果を記載するよう指示を受けていたので、社内マニュアルに基づき担当者1
名で、外部製造メーカー作成の該非判定書に「該当」の記載があったのを確
認し、自らも外為法令に照らして確認し、送品案内書に「該当」と記載し、許
可を取得した上で輸出した。
主なポイント
☆社内手続(マニュアルやフローチャートなど)を策定し、該非確認(該非判定)
手続を明確化することが必要!
39
3.(2)③該非確認(該非判定)手続の明確化③
×不適切な実例・想定事例
 F社は、生産管理部門が製造メーカーから入手した製品安全データシートをそのまま
通関業者に渡すとともに、該非確認(該非判定)も通関業者への依頼のみで行い、自
社で該非確認(該非判定)に関する手続を定めておらず、実施していなかった。
 リスト規制該当である一水素二フッ化カリウム35%含有の貨物を輸出しようとする際
、通関業者に該非確認(該非判定)を依頼したところ、「リスト規制非該当」と回答があ
ったので、そのまま無許可で輸出した。
○適切な対応例
※製品安全データシートは、主に取扱い上・廃棄上の注意などが記載されている。
 F社は、生産管理部門が製造メーカーから入手した製品安全データシートをそのまま
通関業者に渡すとともに、該非確認(該非判定)も通関業者に依頼するが、自社での
該非確認(該非判定)に関する手続を定めており、併せて実施していた。
 リスト規制該当である一水素二フッ化カリウム35%含有の貨物を輸出しようとする際
、通関業者に該非確認(該非判定)を依頼したところ、「リスト規制非該当」と回答があ
ったが、自社で改めて該非確認(該非判定)を行ったところ、「該当」と判断し、許可を
取得した上で輸出した。
主なポイント
☆通関業者に任せきりにせず、自らも該非確認手続を明確化することが必要!
40
3.(2)③該非確認(該非判定)手続の明確化④
×不適切な例
○適切な例
 工作機械(貨物)の該非判定
の手続を定めているが、この
貨物に搭載されているプログ
ラム(技術)については該非判
定の手続を定めていない。
 工作機械(貨物)と工作機械(貨
物)に搭載されているプログラム
(技術)の該非判定の手続をそ
れぞれ定めている。
外為法上、輸出・技術提供を
行う者は自らの責任で該非判
定を行う必要があります。技術
の該非確認を忘れると、無許可
提供になるおそれがあります。
 非該当品の素材のみを変更
した新製品を開発したが、用
途が変わらないため、新たな
該非判定を行わなかった。
用途が同じであっても、
新製品については該非を
確認しないと無許可輸出
になるおそれがあります。
 新たな製品については、その都
度、該非判定をし直す手続きを
定めている。
41
3.(2)④用途及び需要者の確認手続の明確化及び実施①
 輸出をしようとする特定重要貨物等の用途や需要者に係る情報を確認する
手続を定め、当該手続に従って用途の確認を行うこと。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号ニ】
主なポイント
☆用途及び需要者の確認の手続を定め、定めた手続に従って、 輸出や
技術提供を行う者が懸念用途や懸念需要者に用いられないように審査
する必要があります。
42
3.(2)④用途及び需要者の確認手続の明確化及び実施②
×不適切な実例・想定事例
 G社は、リスト規制該当の「トリエタノールアミン」を輸出する前に、輸出先か
ら「民生用途に用います」という連絡を受けて輸出許可を取得の上輸出した。
 しかし、その後、別の引き合いがあった際に、輸出先が軍と取引があるという
情報を入手したので、改めて輸出先に確認したところ、既に輸出したものも軍
に納品していたと連絡を受けた。
○適切な対応例
 G社は、リスト規制該当の「トリエタノールアミン」を輸出する前に、輸出先か
ら「民生用途に用います」という連絡を受けたが、念のため、輸出先のHPを
閲覧したところ、「軍との取引がある」という記述があった。そこで、改めて先
方に用途を確認したところ、「軍に納入する」という連絡を受けたので、輸出を
中止した。
主なポイント
☆輸出・技術提供(出荷)の際に、用途及び需要者の確認手続を明確化し、
確実に実施することが必要!
43
3.(2)④用途及び需要者の確認手続の明確化及び実施③
×不適切な例
○適切な例
 用途・需要者の確認を実施す
るための手続を定めたが、手
続に沿って稟議をせず、「疑
義ある取引」を防止する体制
がとられていない。
 社内審査の手続に沿って用途・
需要者の確認を行わないと、取
引の承認が得られない体制を構
築している。
用途・需要者の確認が
不十分だと、安全上懸
念のある輸出が防止で
きなくなるそれがありま
す。
 需要者の事業内容と貨物の
用途の整合性を確認する体
制がとられていない。
需要者の事業内容を確認してい
ないと、貨物が安全上懸念のあ
る用途に使用されることを防止
できなくなるおそれがあります。
 需要者の事業内容をホームペー
ジ等で確認し、貨物の用途との
整合性についても審査する体制
を構築している。
44
3.(2)⑤輸出等(出荷)時の貨物等の同一確認①
 特定重要貨物等の輸出等を行おうとする際に、輸出等に関する文書などと、
輸出する貨物が同一であることの確認を行うこと。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号ホ】
主なポイント
☆社内審査で、
- 確認を行った貨物と実際に出荷する貨物
- 確認を行った技術と実際に提供(送付・送信)する技術
が誤りなく一致するよう、出荷部門における出荷確認の手続を定めること
などが必要です。
45
3.(2) ⑤輸出等(出荷)時の貨物等の同一確認②
×不適切な実例・想定事例
 H社は、海外から輸入したリスト規制該当貨物を修理のため輸出する際に
経済産業省に許可申請を行い、許可証を取得した。
 しかし、出荷段階で、輸出許可証に記載されていない別のリスト規制該当
貨物と混同し、許可証を取得していないリスト規制貨物を出荷・輸出した。
○適切な対応例
 H社は、出荷段階で、出荷管理部門が出荷時の貨物と輸出許可証に記載
されている貨物とが同一であることを確認し、同一のものでなかったため、
許可証に記載されているリスト規制該当貨物に差し換えた後、出荷・輸出し
た。
主なポイント
☆輸出(出荷)などの際に、不明な点があれば取引審査部門に確認することが
重要!
46
3.(2)⑤輸出等(出荷)時の貨物等の同一確認③
×不適切な例
○適切な例
 出荷時に該当品と非該当品
を取り違えて、該当品を輸出
許可を取得せず出荷してしま
った。
出荷部門で該当品と
非該当品を混同する事例
が散見されます。
 当該貨物がリスト規制該当で
あったため、営業部門では輸
出許可申請を行う予定であっ
たが、営業担当者が失念し、
生産部門へその旨連絡がな
されなかったため、輸出許可
を得ない段階で輸出された。
営業部門、技術部門、輸出管理
部門、出荷部門など各部門間で
の情報共有・連絡が重要です。
 出荷する貨物には、該当品と非
該当品を区別できるよう該非判
定結果が記載された書面を添付
することにより、出荷段階で該当
か非該当かを確認することとし
た。
 社内でどの担当者がどのような
手順で出荷確認をするのかを定
め、社内審査が完了していない
貨物、又は輸出許可が取得でき
ていない該当品は社内での出荷
承認が得られない仕組みを導入
した。
47
3.(2)⑥監査①
 輸出等の業務の適正な実施についての監査の体制及び定期的な監査の実施
に係る手続を定め、監査を定期的に実施するよう努めなければなりません。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号ヘ】
主なポイント
☆組織内で適切な輸出管理が継続して行われるようにするためには、
輸出管理の監査手続を定めて、定期的に監査を実施するよう努めることが
必要です。
48
3.(2)⑥監査②
×不適切な実例・想定事例
 I社は、毎年1回すべての輸出関係部門に対する内部監査を監査部が行って
いたが、監査内容は会計監査のみであったため、工作機械部門が行ってい
る該非判定の誤りが発覚しないまま、数年間無許可輸出を繰り返した。
○適切な対応例
 I社は、毎年1回すべての輸出関係部門に対する内部監査を輸出管理室が
行い、監査内容は外為法関係法令の適用の妥当性の確認まで含んでいた
ため、工作機械部門が行っている該非判定の誤りが速やかに発覚し、無許
可輸出は1件のみにとどまった。
※無許可輸出等の違反があれば、違反の原因究明など対応が別途求められます。
主なポイント
☆監査は外為法関係法令の適用の妥当性の確認も含んでいることが必要!
49
3.(2)⑥監査③
×不適切な実例・想定事例
 J社は、毎年内部監査を行っていたが、監査対象部門がリスト規制貨物・役
務を取り扱う部門すべてではなかったため、航空機事業部が行っているリス
ト規制貨物の該非判定の誤りが発覚しないまま、数年間無許可輸出を繰り
返した。
○適切な対応例
 J社は、毎年1回すべての輸出関係部門に対する内部監査を行っていたた
め、航空機事業部が行っているリスト規制貨物の該非判定の誤りが速やか
に発覚し、無許可輸出は1件のみにとどまった。
※無許可輸出等の違反があれば、違反の原因究明など対応が別途求められます。
主なポイント
☆監査はすべての輸出関係部門に対し、実施することが重要!
50
3.(2)⑥監査④
×不適切な例
○適切な例
 通常の内部監査のみ行い、
やむを得ない事情がないにも
かかわらず、「輸出管理」に関
する内部監査をまったく行っ
ていない。
 輸出管理に係る監査ルールを定
め、定期的に実施している。
輸出管理に関する監査を
行わないと、必要な手続きを
経ないで輸出したとしても、
発見できなくなります。
51
3.(2)⑦研修①
 統括責任者や輸出・技術提供関連業務の担当者に対して、業務の適正な
実施するために必要な知識や技能を習得させるための研修を行うよう努め
なければなりません。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号ト】
主なポイント
☆組織内で適切な輸出管理が継続して行われるようにするためには、
- 輸出
- 技術提供
に関する業務に携わる者や統括責任者(最高責任者)に対して、
外為法関係法令に対応した知識や技能を習得する機会を持つよう努める
ことが必要です。
52
3.(2)⑦研修②
×不適切な実例・想定事例
 K社は、数年間、炭素繊維のプリプレグ積層板を個別の輸出許可を取得した
上で輸出してきた。
 しかし、外為法の輸出許可が不要になる特例制度(少額特例など)について
は、特に社内研修が行われていなかった。
 あるとき、今まで扱っていなかった少量の引き合いがあり、営業担当者は安
易に100万円以下であると誤認したため、初めて少額特例を活用できると考
え、個別の輸出許可申請を行わず、輸出した。
○適切な対応例
 K社は、社内体制を整備し、外為法の輸出許可が不要になる特例制度(少額
特例など)についても、毎年社内研修が行われていた。
 あるとき、今まで扱っていなかった少量の引き合いがあり、営業担当者は適
切な単価計算を行い、100万円を超える額であったため、個別の輸出許可
申請を行い、許可を取得した上で輸出した。
主なポイント
☆外為法の研修を行う際、特に個別輸出・役務取引許可申請が不要な場合が
どういう場合であるかを正しく実施することが必要!
53
3.(2)⑦研修③
×不適切な例
○適切な例
 やむを得ない事情がないにも
かかわらず、輸出管理に係る
社内研修を何年も行っておら
ず、リスト改正があった後も、
該非確認に用いるシートは、
改正前のものを使用して該非
確認を行っていた。
 輸出管理のために定期的に研
修を実施し、最新の法令改正の
情報を社員に対して提供してい
る。
社 内 へ の 法令 遵守 へ
の指導が進まないと、
無許可での輸出など、
法令違反を引き起こしか
ねません。
54
3.(2)⑧文書保存①
 特定重要貨物等の輸出等の文書、図画、電子データなどを適切な期間保存
するよう努めなければなりません。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号チ】
主なポイント
☆輸出関連書類は、原則として7年間保存するよう努めることが必要です。
55
3.(2)⑧文書保存②
×不適切な実例・想定事例
 L社は、大量破壊兵器関連貨物の輸出関連の文書や電子データを、特段の
やむをえない事情がないにもかかわらず、社内で定められた保存期間が終
了する(輸出後7年間が経過する)前に担当者が廃棄してしまった。
○適切な対応例
 L社は、大量破壊兵器関連貨物の輸出関連の文書や電子データを、大量破
壊兵器関連貨物を取り扱っているので、社内で定められた保存期間(輸出時
から7年間)保存していた。
主なポイント
☆輸出関連文書・電子データなどは、原則として7年間保存!
56
3.(2)⑧文書保存③
×不適切な例
○適切な例
 文書の保存場所がないため、
契約書のみを保存することにし
ている。
 社内に十分な保存場所がない
ため、外部の倉庫を借り、輸出
管理に係る必要な関連書類を
保存している。
社内審査書類も保存し
ないと、後日、外為法違反
のお それが生じ たときに
事実確認ができなくなるお
それが あり ます 。必要な
手続きを怠って輸出する
ことにもなりかねません。
57
3.(2)⑨経済産業大臣への報告及び再発防止措置の実施①
 関係法令に違反したとき、又は違反したおそれがあるときは、速やかに
経済産業大臣に報告し、その再発防止のために必要な措置を講ずること。
【輸出者等遵守基準省令第1条第2号リ】
主なポイント
☆法令違反又は法令違反があったおそれがある場合は、
- 速やかに組織内の輸出管理の最高責任者(代表取締役社長、学長、
理事長など)に報告するとともに、
- 速やかに経済産業省(安全保障貿易検査官室)に報告する
内部手続を明確にすることが必要です。
☆経済産業省への報告後、
- 法令違反などの原因を調査した上で、
- 適切な再発防止策を策定し、確実に実施する
ことが必要です。
58
3.(2)⑨経済産業大臣への報告及び再発防止措置の実施②
×不適切な実例・想定事例
 M社は、リスト規制改正(該当項番の省令改正)後、該非判定リストを作成した際に該
非判定を誤り、それに基づいて、無許可輸出・役務提供を行った。
 数年後、同社の担当者が替わり、該非判定の見直しを行った際、過去の法令違反(該
非判定の誤り)に気づいた。
 しかし、同社の担当者は、その事実を同社の輸出管理の最高責任者である代表取締
役社長にも経済産業省(安全保障貿易検査官室)にも報告しなかった。
 同社は未報告のまま輸出・役務提供を繰り返すとともに、経済産業省(安全保障貿易
検査官室)へ輸出管理内部規程の届出を行い、受理票の発行を受け、更に一般包括
許可を取得した。
※違反があった状態を放置したまま、不適切な輸出が繰り替えし行われることになります。
○適切な対応例
 M社の担当者は、その事実を速やかに同社の輸出管理の最高責任者である代表取
締役社長に報告し、経済産業省(安全保障貿易検査官室)に報告した。
 同社は経済産業省の指導の下、代表取締役が再発防止策を早急に策定し、同様の
無許可輸出・役務提供を防止することができた。
主なポイント
☆法令違反の場合は、経済産業省(安全保障貿易検査官室)に報告!
59
3.(2)⑨経済産業大臣への報告及び再発防止措置の実施③
×不適切な実例・想定事例
 N社は、工作機械用のソフトウェアを非該当と判定し、海外及び国内への販売を行って
いたところ、国内販売をしている他社からリスト規制品ではないかとの指摘を受けた。
 これを受け、N社では再度該非判定を行おうとしたものの、リスト規制品であるか否か
が明確に判らないまま、引き続き非該当品として輸出を継続した。
 他社から指摘を受けてから1年を経過後、社内監査で該非判定に疑義があると指摘を
受けたので、はじめて経済産業省に法令解釈の相談に行ったところ、最終的にリスト規
制品であると判明したが、結果的に数十件以上の無許可を繰り返してしまった。
○適切な対応例
 これを受け、N社では再度該非判定を行おうとしたものの、リスト規制品であるか否か
が明確に判らなかったため、輸出を一旦停止して、違反したおそれがあるとして経済産
業省へ報告した。このため、リスト規制品の輸出の違法輸出は最小限に留めることが
できた。
主なポイント
☆法令違反のあった「おそれがある」場合も、すみやかに、経済産業省
(安全保障貿易検査官室)に報告!
60
3.(2)⑨経済産業大臣への報告及び再発防止措置の実施④
×不適切な例
○適切な例
 輸出許可が必要となる貨物を
許可を取らずに輸出した疑い
があったのに、経済産業省
に報告をしなかった。
輸出許可が必要となる貨物を
許可を取らずに輸出した疑いが
あったので、すみやかに、
経済産業省に報告をした。
疑いがあったのに、
経済産業省への報告を
怠ると、法令違反を繰り
返し行うことにもなりか
ねません。
61
3.(3)輸出者等遵守基準に係る
指導・助言等
62
3.(3)輸出者等遵守基準に係る指導・助言等
 経済産業大臣は、輸出者等遵守基準に従い指導や助言、違反があった際に
は勧告・命令を行うことができます(命令に違反した場合は、罰則の対象とな
ります)。
輸出者等
 輸出者等遵守基準違反
経済産業大臣
 指導又は助言
 輸出者等遵守基準違反
 勧告
 勧告違反
 命令
 命令違反
 罰則
 判決等
 必要に応じて、随時、
報告徴収又は立入検査
63
3.(3)①指導又は助言、勧告、命令及び罰則
 経済産業大臣は、輸出等が適正に行われることを確保するため必要がある
と認めるときは、輸出者等に対し、輸出者等遵守基準に従った輸出等が行わ
れるよう必要な指導及び助言をすることができます。
【外為法第55条の11】
 経済産業大臣は、外為法第55条の11の規定による指導又は助言をした場
合において、輸出者等がなお輸出者等遵守基準に違反していると認めるとき
は、当該輸出者等に対し、輸出者等遵守基準を遵守すべき旨の勧告をする
ことができます。
【外為法第55条の12第1項】
 経済産業大臣は、外為法第55条の12第1項の規定による勧告を受けた者
がその勧告に従わなかったときは、当該勧告を受けた者に対し、その勧告に
係る措置をとるべきことを命ずることができます。
【外為法第55条の12第2項】
 外為法第55条の12第2項の規定による経済産業大臣の命令に違反した者
は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
【外為法第71条第10号】
64
3.(3)②報告徴収
 経済産業大臣は、外為法の目的を達成するため必要な限度において、政令
で定めるところにより、この法律の適用を受ける取引、行為等を行い、若しく
は行った者又は関係人に対し、当該取引、行為等の内容その他当該取引、
行為等に関連する事項についての報告を求めることができます。
【外為法第55条の8】
 外為法第55条の8の規定に基づく経済産業大臣の命令に違反して、報告を
せず、又は虚偽の報告をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
が科されます。
【外為法第71条第9号】
報告徴収項目例
☆外為法第25条及び第48条並びに第55条の10に関連する事実関係など
- 組織概要
- 該非判定(該非確認)
- 取扱品目、輸出実績(直接・間接)
- 用途・需要者確認
- 組織内の輸出管理に関する
- 取引審査
業務分担及び責任体制
- 出荷確認
等
65
3.(3)③立入検査
 経済産業大臣は、外為法の施行に必要な限度において、経済産業省職員を
して、外為法の適用を受ける取引又は行為を業として行う者の営業所、事務
所、工場その他の施設に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、又
は関係人に質問させることができます。
【外為法第68条第1項】
 外為法第68条第1項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者や、
同条同項の規定による質問に対して答弁をせず、又は虚偽の答弁をした者
は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
【外為法第71条第11号及び第12号】
立入検査質問項目例
☆外為法第25条及び第48条並びに第55条の10に関連する事実関係など
- 組織概要
- 該非判定(該非確認)
- 取扱品目、輸出実績(直接・間接)
- 用途・需要者確認
- 組織内の輸出管理に関する
- 取引審査
業務分担及び責任体制
- 出荷確認
等
66
4.支援措置
67
4.(1)安全保障貿易自主管理促進事業委託事業
事業内容
平成22年度予算額:1.1億円
事業の概要・目的
○中小企業の製品・技術でも、海外で核兵器、ミサイルなど
の「懸念用途」に用いられるおそれがあります。
○万一、海外で懸念用途に使われた場合、
・我が国及び国際社会の安全保障を脅かすのに加え、
・当該中小企業のコンプライアンスにも大きな損失
中小企業の自主的な輸出管理体制の構築が重要
事業イメージ
【主な取組概要】
1.中小企業輸出管理支援センターの設置
経験豊富なアドバイザーによる相談対応
- 輸出管理体制立ち上げ及び強化の助言
- 安全保障貿易管理全般にわたる相談
など
※一次相談先として、全国560ヶ所
(平成22年8月現在)と連携
・日本商工会議所・各商工会議所
・(独)日本貿易振興機構(JETRO)
・(独)中小企業基盤整備機構
・日本機械輸出組合
・全国中小企業団体中央会
・(社)中小企業診断協会 等
全国515ヶ所
全国38ヶ所
全国3ヶ所
全国2ヶ所
→ 本事業は、経済産業省として、中小企業の自主的な
輸出管理体制の構築の支援を行うもの。
<具体的な事業内容>
・経験豊富なアドバイザーによる輸出管理の指導
・中小企業等の輸出管理担当者に対する研修 など
※問い合わせ:(財)安全保障貿易情報センター
TEL 03-3593-1158
【URL:http://www.cistec.or.jp/chuushou/】
2.安全保障貿易管理セミナー
条件(対象者、対象行為など)
国
民間企業など
委託
中小企業を対象とした安全保障貿易管理
に関する普及啓発セミナーの開催
※問い合わせ:日本機械輸出組合
TEL 03-3431-9800
【URL:http://www.jmcti.org/junshu_kijun/index.htm】
68
4.(1)事業の具体的スキーム①
◎安全保障貿易自主管理促進事業委託事業(マッチングによる普及啓発事業)
中小企業の自主的な輸出管理体制の構築の支援を行います。
①経験豊富なアドバイザーを派遣し、輸出管理体制立ち上げ及び強化の助言を行います。
②経験豊富なアドバイザーが、中小企業からの安全保障貿易管理全般にわたる相談にお答えします。
具体的な支援の流れ
派遣依頼・相 談
中小企業輸出管理
支援センター
・輸出管理といっても、
どうすればよいか
中小企業
分からない
マッチング
経済産業省
委託
アドバイザーの派遣・支援の実施
・輸出管理体制の
立ち上げをしたい
オペレーターがご相談を
お聞きし、
適切なアドバイザーを
紹介・派遣します。
一次相談先(全国560ヶ所)
連 携
データベース
登録
日本商工会議所、各商工会議所
(全国515ヶ所)
JETRO本部、国内事務所
(全国38ヶ所)
中小企業基盤整備機構本部、支部
(全国3ヶ所)
日本機械輸出組合(全国2ヶ所)
全国中小企業団体中央会
中小企業診断協会 等
派遣依頼
・相 談
・自社の輸出管理
体制が不安だ。
輸出管理実務経験者
69
4.(1)事業の具体的スキーム②
◎安全保障貿易自主管理促進事業委託事業(セミナー事業)
中小企業を対象とした安全保障貿易管理セミナーを行います。
①各地の関連団体などと連携協力し、各地域のニーズに合った内容のセミナーを全国各地で合計32回行います。
②セミナー開催会場に相談窓口を設置し、個別のご相談にお答えします。
中小企業
経済産業省
日本機械輸出組合
中小企業向け
安全保障貿易管理セミナー
中小企業
委託
中小企業
◎安全保障貿易自主管理促進事業委託事業(調査分析事業)
今後の中小企業における自主的な輸出管理体制について調査・分析を行います。
中小企業における安全保障貿易管理の優良事例、標準事例などを集めつつ、共通事項や共通課題などを分析
・検討し、安全保障貿易管理に係る今後の自主管理の在り方に関する課題の整理などを行います。
中小企業
経済産業省
CISTEC
委託
効果的・効率的な
輸出管理体制の調査分析
中小企業
中小企業
70
4.(2)各種説明会
安全保障貿易管理制度の普及・啓発のため、経済産業省では地方部局・
関係機関等とも連携して各種説明会を実施しています。
 適格説明会
○制度の概要、輸出管理を行っていく際の実務面でのポイントの解説、包括許可制度とその運用管理
などについての説明会
○全国の主要都市で年間70回程度開催(平成21年度実績:約11,000名参加)
※包括許可を取得・更新をするためには、適格説明会の受講が毎年必要。
 制度改正等説明会
○法令制度改正、リスト改正などの説明会を大都市圏(東京、大阪、名古屋)を中心に適時開催。必要
に応じ各経済産業局の所在地などでも開催。
※「輸出者等遵守基準」説明会は、平成22年度も継続して実施予定。各種団体などの開催要望に応じ、
各種団体などの協力を前提として可能な範囲で開催予定。
 大学向け説明会
○大学向けブロック別説明会
※文部科学省と連携しつつ、各ブロックの大学の協力を得て平成22年度末までに順次開催
開催実績 : 九州ブロック(平成22年2月17日@九州大学)
(予定を含む)中部ブロック(平成22年3月9日@名古屋工業大学)
中国ブロック(平成22年5月27日@岡山大学)
中国ブロック(平成22年5月27日@広島大学)
東北ブロック(平成22年6月11日@東北大学)
四国ブロック(平成22年6月11日@香川大学)
近畿ブロック(平成22年10月29日@京都大学)
関東ブロック(平成22年11月18日@埼玉大学)
北海道ブロック(平成22年11月26日@北海道大学)
71
4.(3)輸出管理内部規程
 輸出や技術提供に関する一連の手続を規定するとともに、
外為法などの安全保障貿易管理関係法令を遵守し、違反を
未然に防ぐための内部規程です。
 輸出者等が自ら定める組織内部の規程で、あくまで自主管理を
行うための任意のものです。
 経済産業省への届出制度(任意)があり、規程の内容が適切
であれば、輸出管理内部規程受理票(CP受理票)が発行され
ます。
※これまで「輸出管理社内規程(CP)」という呼称を用いていましたが、企業以外の研究
機関・大学においても輸出管理に関する内部規程の策定の動きが広まっていることから、
呼称を「輸出管理内部規程(CP)」と改めることとしました(平成22年4月1日以降)。
※CP(Compliance Program = コンプライアンス・プログラム)
72
4.(3)輸出管理内部規程(CP)と輸出者等遵守基準の関係①
Ⅰ、Ⅱにかかわらず自主管理として策定
輸出管理内部規程(CP)
(外為法等遵守事項)
○ “輸出管理内部規程(CP)の届出について”通達
にある「外為法等遵守事項(別紙1)」の『基本的事
項』と『個別事項(8項目)』をすべてを含み、最新の
法令・制度に基づく内部規程であれば、原則、輸出
者等遵守基準のⅠ及びⅡは満たすものとなります。
○ ただし、CPでは、監査、研修、文書保存が努力義
務ではなく必ず実施する規定とするなど輸出者等
遵守基準を超える厳格な管理が必要です。
,
Ⅱ.リスト規制品の輸出等を行う者が対象
Ⅱ リスト規制品輸出・技術提供の遵守基準
(輸出者等遵守基準/2階部分)
Ⅰ 輸出者等の遵守基準
(輸出者等遵守基準/1階部分)
輸出者等遵守基準に定める9項目の遵守
①組織の代表者を輸出管理統括責任者に選任
②輸出管理体制の構築
③該非確認の手続の制定
④用途・需要者確認の手続の制定とその実施
⑤輸出・提供時(出荷時)の貨物等の同一性確認
⑥監査、⑦研修、⑧文書保存(⑥~⑧は努力義務)
⑨法令違反及び法令違反を行ったおそれのある
ときの経済産業大臣への報告と再発防止
Ⅰ.業として輸出等を行う者がすべて対象
輸出者等遵守基準に定める2項目の遵守
①該非確認責任者の選任
②責任者・担当者への法令の周知・遵守の指導
73
4.(3)輸出管理内部規程(CP)と輸出者等遵守基準の関係②
「輸出管理内部規程(CP)」と「輸出者等遵守基準」で、一部の用語が異なっ
て用いられているが、ほぼ同じ意味です。このため、既にCPを策定・届出を行
い、経済産業省から受理票が発行されている者は、従来どおりの用語を用い
ることで差し支えありません。
注)「輸出者等遵守基準」では法令の用語としての文言としているため、従来から
「輸出管理社内規程(CP)」で用いている用語とは一部異なった表現となっているものがあります。
輸出管理内部規程
(CP)
輸出者等遵守基準
最高責任者
統括責任者
「代表取締役又は
それに相当する者を
輸出管理の最高責任
者とする」
「組織を代表する者
の中から輸出等の業
務を統括管理する責
任者を選任する」
該非判定
該非確認
「規制対象等に該当す 「特定重要貨物等に
るか否かについての
該当するかどうかの
判定を行う」
確認」
参
考
CPにおける「最高責任者」は、輸出者等遵守基準
における「統括責任者」に相当します。
CPでは、別途、輸出管理の実務を行う輸出管理
部門の責任者を「輸出管理“統括責任者”」として
いる場合が多く、誤解を招かないために輸出管理
のトップは引き続き「最高責任者」とすることで差し
支えありません。
輸出・技術提供を行う際に経済産業大臣の許可が
必要となる特定重要貨物等(=リスト規制品等)か
否かを確認することで、「該非判定」も「該非確認」
もほぼ同じ意味として用いています。
74
4.(3)輸出管理内部規程(CP)届出による効果①
輸出管理内部規程(CP)を経済産業省へ届け出ることによって、以下のような
メリットがあります。
 CP届出時に輸出者等の担当者のメールアドレスを登録することにより、その
担当者あてに安全保障貿易管理ホームページの更新情報(制度改正や説明会
開催情報など)が逐次メール配信されます。
最新の外為法関係法令の把握が可能に!
 CPの届出を行うに当たって、経済産業省安全保障貿易検査官室に事前相談
すれば、業種・業態などに応じた適切な策定のサポートを受けることができます。
輸出者等遵守基準を確実に満たした内部規程の策定が
可能に!
75
4.(3)輸出管理内部規程(CP)届出による効果②
さらに、CP届出に加え、輸出管理を確実に実施するとともに、適格説明会へ毎
年参加することなどにより、以下の制度が利用可能となります。
 一般包括許可の取得が可能です。
個別の許可を取得することなく、輸出者等の自主管理
の下で一定範囲のリスト規制品等が包括的に輸出・
技術提供が行うことが可能な制度
 優先審査制度が適用されます。
個別の許可申請が必要となる場合も優先的に審査!
 公表を希望する輸出者等は、安全保障貿易管理ホームページ上で自主管理体
制を整備した輸出者等として、組織名が公表されます。
自主管理体制を整備した企業や大学・研究機関として
PRが可能に!
76
(参考1)輸出管理内部規程(CP)整備の効果
CPの基本的事項
違法輸出の要因の回避
(外為法等遵守事項)
A 体制
①輸出管理体制、
(業務分担、委任範囲
の明確化)
B 手続
②取引審査
(該非判定を含む)
③出荷管理
C 維持管理
④監査
⑤教育(研修)
⑥資料管理
⑦子会社等の指導
⑧報告及び再発防止
輸出管理上
のリスク
ⅰ)責任体制の
整備・明確化
プログラム
の判定の
見落とし
法令の
解釈の
誤り
a)貨物等の審査
(該非判定)
参照すべき
規制リストの
誤り
出荷管理
の誤り
【実際の輸出手続】
b)顧客・用途の
審査
c)出荷管理
顧客・用途の審査に
関する不適切な判断
出輸
許可条件等
の未遵守
ⅱ)手続を内部に
周知・徹底
ⅲ)違反防止及
び早期発見
再発防止
輸出管理内部規程は、輸出者等内部の輸出・技術提供手続を、体制、手続及び維持管理の3方向から
77
サポートし、輸出管理において発生が想定される様々なリスクを回避するために有効なツールです。
77
(参考2)包括許可制度
個別許可
リスト規制に該当する物の輸出や技術の提供は、原則として
個別案件ごとに許可
一般包括許可
原則、国際輸出管理レジーム参加国を仕向地として行う当該
レジームで規制された物・技術(機微品目を除く)の取引を
一括して許可
特定包括許可
複数回の
許可取得
実績
申請者等との
資本関係
特別返品等包括許可
特定子会社包括許可
(※) 「包括許可」の取得に当たっては、
①輸出管理内部規程の整備・届出
②その確実な実施(チェックリストの提出)
③適格説明会への参加
が許可取得の必要条件となっています。
継続的な取引関係を有する同一の相手方への
特定の物・技術の取引について一括して許可
本邦において使用するために輸入された輸出令
別表第1の1項に該当する物(武器)又はその物
に内蔵された外為令別表の1項に該当する技術
(プログラム)であって、不具合による返品、修理
又は異品のためのみに輸出する物や技術に
ついて一括して許可
50%超株式を所有していて、残りの株式所有者
がいずれも日本企業であるなど、資本関係を
有する最終需要者又は輸入者への特定の物・
技術の取引について一括して許可
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5.輸出者等遵守基準などのお問い合わせ先
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5.輸出者等遵守基準などのお問い合わせ先
 ご不明な点などのお問い合わせなどについては、以下の内容に応じ、
ご連絡願います。
 ただし、誠に申し訳ありませんが、お問い合わせ受付時間は、土曜日を除く
平日9:30~18:15のみです。ご了承願います。
(1) 輸出者等遵守基準についてのお問い合わせは、
(2) 輸出管理内部規程についてのお問い合わせ又はご相談は、
(3) 不正輸出など(関係法令違反/関係法令違反のおそれ)のご連絡は、
安全保障貿易検査官室 ℡:03-3501-2841
(4) 安全保障貿易管理についての一般的なお問い合わせは、
安全保障貿易 案内窓口 ℡:03-3501-3679
中小企業
の皆様
には
中小企業輸出管理支援センター
℡: 03-3593-1158
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5.その他のお問い合わせ先①
 ご不明な点などのお問い合わせなどについては、以下の内容に応じ、ご連絡
願います。
 ただし、誠に申し訳ありませんが、お問い合わせ受付日は、土曜日を除く
平日のみです。ご了承願います。
(1) 安全保障貿易管理制度の概要や関係法令の解釈のお問い合わせ/
経済産業省安全保障貿易管理ホームページへのご意見は、
安全保障貿易管理課
℡:03-3501-2800
(2) 許可申請先は、安全保障貿易管理ホームページ
(http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.html)の「許可申請手続き」の「④該当項番・仕向地別の添付書類・窓口」から閲覧可能。
ここに記載のある申請窓口に、様式・添付書類を準備した上で申請すること。
安全保障貿易審査課 ℡:03-3501-2801
各地方経済産業局・通商事務所担当課室 ℡:次のページ参照
注意
貨物及び仕向地により許可申請窓口が異なるので、ご確認願います。
(3) 許可申請手続、優先審査制度、包括許可制度、通常兵器補完的輸出規制について
のお問い合わせ、該非判定のご相談、大量破壊兵器キャッチオール事前相談は、
安全保障貿易審査課 ℡:03-3501-2801
注意
○リスト規制に関しては、該当する規制リスト項目、貨物又は技術の技術的仕様を、
○大量破壊兵器キャッチオール規制又は通常兵器補完的輸出規制に関しては、仕向地、
用途チェックリスト、顧客チェックリストを、それぞれ、お手元にご用意の上、ご連絡願います。
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5.その他のお問い合わせ先②
 許可申請先は、貨物・技術の内容に応じ、ご連絡願います。
 ただし、誠に申し訳ありませんが、許可申請受付は、土曜日を除く平日のみ
です。受付時間につきましては、それぞれの窓口にお問い合わせください。
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5.経済産業省安全保障貿易管理ホームページ
経済産業省の安全保障貿易管理ホームページでは、安全保障貿易管理制度の概要、
輸出許可申請の手順、リスト規制に係る該非判定の流れなどをご紹介しています。
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.html
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6.おわりに(今後の主な注意点)
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6.おわりに(今後の主な注意点①)
 あなたの会社や大学はどの段階ですか???
第1段階
①該非確認責任者の選定
②経済産業省が提供する情報・各種サービスの利用
・各種説明会への参加
・経済産業省安全保障貿易管理ホームページのチェック
・安全保障貿易自主管理促進事業委託事業(平成22年度早期に事業開始)
第2段階
①統括責任者(最高責任者)の選任・組織内の輸出管理体制(業務分担・
責任関係)の明確化
②該非確認(該非判定)、用途及び需要者の確認の手続の明確化及び実施
③輸出管理体制の自己確認・自己改善(監査・研修・文書保存)の実施
④経済産業大臣への報告及び再発防止措置の実施
第3段階
①輸出管理内部規程の策定・経済産業大臣への届出
②包括許可制度の取得
③子会社・関連会社への指導
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6.おわりに(今後の主な注意点②)
輸出者等遵守基準は何のために?
違法な輸出や技術提供の未然防止のために!再発防止のために!
安全保障貿易管理は何のために?
皆さんと皆さんの家族や友人が、安心・安全に暮らせるために!
会社、大学、日本、世界のために!
安全保障貿易管理を行う上で大切なのは、
①担当者の着実な日々の取組
②管理職のサポート
③トップの高い意識
を三位一体で行うこと!!!
あなたの会社や大学はすべて揃っていますか??? 86