輸出管理体制の未整備

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「我が国からの輸出貨物等が外国において懸念用途に転用されることを防
ぐ」という観点から、違法輸出等であって結果的に外国で懸念用途に用いら
れた場合には、我が国のみならず国際的に大きな問題となります。
輸出管理体制の整備
輸出管理手続きの着実な実行
・ 許可取得前の該非判定(※)(規制対象貨物/技術に該当か否かの確認)
・ 最終用途及び最終需要者の確認
・ 出荷確認
・ 許可取得後の許可条件等の遵守
(※)該非判定による「該当」とは、輸出貿易管理令別表第1に掲げる貨物又は外国為替令別表に掲げる技術(貨物・技術とも詳細は貨物等省令
に記載)にあたる場合であり、「非該当」とは、これらの貨物又は技術にあたらない場合を言う。
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03.2.28
◆ 輸出管理に十分な経験を有していない方は...
・ 特に、類型Ⅰ『輸出管理体制の未整備』 を参照してください。
◆ 全ての輸出者に再度注意願いたい点としては...
・ 最新規制対象リストの見落とし(類型Ⅰ.2-1)
・ 調達先であるメーカーや通関業者任せ(類型Ⅰ.2-2)
・ 役務(技術提供やソフトウェア)に関する該非判定の誤り
(類型Ⅱ.1)
・ 出荷確認の誤り(類型Ⅳ)
・ 一般包括許可の許可範囲の未遵守(類型Ⅴ.1)
上記に加え、平成14年4月より導入されたキャッチオール規制を踏まえ、
非ホワイト国(米加EU等25か国以外の国)向けに対しては、最終需要者
及び最終用途の確認が必要になります。
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類型Ⅰ.輸出管理体制の未整備
1.外為法の認識不足
1-1. 規制対象貨物には当たらないと独断で判定
1-2. 「輸出」、「技術提供」及び「輸出管理」の認識不足
1-3. 役務(技術やソフトウェア)に対する認識不足
(1).プログラム(ソフトウェア)の提供に対する認識不足
(2).技術提供に対する認識不足
2.規制対象貨物等に関する判定の不適切な実施
2-1.最新規制対象リストの見落とし
2-2.調達先であるメーカーや通関業者任せ
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違反事例の傾向
類型Ⅱ.許可取得前の貨物等に対する判断(該非判定)の誤り
1.役務(技術やソフトウェア)に関する該非判定の誤り
1-1.プログラム(ソフトウェア)の提供に関する判定誤り
1-2.技術提供に関する判定誤り
2.参照すべき規制対象リストの項目の誤り
2-1.複数項番の一部の見落とし
2-2.暗号に関する規制対象リストの項目の見落とし
3.解釈等の誤り
3-1.修理のための一時的貸出し等による輸出
3-2. 「使用目的」での誤った判断
3-3.役務に関する誤解釈(「~の使用に係る技術」、 「公知の技術」 )
3-4.付属品の見落とし
3-5.貨物仕様の認定の誤り
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違反事例の傾向
類型Ⅲ.最終需要者や最終用途に関する不適切な判定
類型Ⅳ.出荷確認の誤り
類型Ⅴ.許可条件等の未遵守
1.一般包括許可の許可範囲の未遵守
2.個別許可取得条件等の未遵守
2-1.積み戻し条件の未遵守
2-2.ストック販売の再販売に関する事前同意の未遵守
2-3.許可技術を用いた貨物の販売に関する事前同意の未遵守
3.許可証の失効の見落とし
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具体的違反事例等
類型Ⅰ.輸出管理体制の未整備
1.外為法の認識不足
1-1.規制対象貨物には当たらないと独断で判定
【当該貨物は、国内で容易に入手可能で、汎用レベルの技術を用いたものであり、
規制対象貨物でないと勝手に判断】
腐食性の高い化学品の保管等に用いられる耐腐食性弁・ポンプ (ふっ素加工
等)は、化学兵器製造にも用いられる可能性があるので、吐き出し能力の低いも
のも規制対象です。
ふっ素樹脂、ニッケル、ガラス、チタン、ジルコニウム等で被覆された弁や、同様
の材料等で被覆され二重以上のシールで軸封したベローズポンプ、ダイヤフラ
ムポンプ等
冷凍食品の保存等に用いられる凍結乾燥機、純水の製造に用いられるクロス
フローろ過器や熱交換器は、生物兵器製造に転用される可能性があるので、小
規模のものも規制対象です。
有効ろ過面積の合計が5平方メートル以上で、定着した状態で内部の滅菌をする
ことができるクロスフローろ過器
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類型Ⅰ:輸出管理体制の未整備
ゴルフシャフトに用いられる特定の高強度合金については、核燃料製造のため
の遠心分離機に転用される可能性があるので、規制対象です。
マルエージング鋼であって、引張強さが2050メガパスカル(20度において製造業
者が保証)以上で、外径が75㎜を超えるもの
染色製造過程等で使用する工業用水再利用時の試薬や塗料の添加剤につい
ては、化学兵器の原料として用いられる可能性があるので、規制対象です。
トリエタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール
数値制御工作機械の輸出については、再移転を含め特に注意が必要です。
(類型Ⅴ.「許可条件等の未遵守」にて後述)
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類型Ⅰ:輸出管理体制の未整備
1-2.「輸出」、「技術提供」及び「輸出管理」の認識不足
こんな取引等や機関が...
・ 取引先が国内から海外へ移転したのを受けて、国内取引と同様な扱いで規制
対象貨物を輸出
・ 輸入専門会社が規制対象貨物の修理や補修のために返却(輸出)
・ 試作品開発に関する情報交換
・ 大学、研究機関
1-3. 役務(技術やソフトウェア)に対する認識不足
(1).プログラム(ソフトウェア)の提供に対する認識不足
特に機械類などの貨物には、貨物を作動させるためのプログラムが内蔵されて
いることが多く、このような貨物を輸出する場合には、貨物に内蔵されたプログ
ラムも貨物と同時に提供することになります。よって、貨物・プログラムを別々に
該非判定する必要があります。該当している場合には、貨物は輸出許可、プロ
グラムは役務取引許可と別々の許可証が必要です。
違反事例(内蔵プログラムの認識不足)
工作機械の輸出時に、貨物に内蔵されているプログラムについて、該当技術で
あるとの認識は全くなく、貨物のみの輸出許可を取得し輸出
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類型Ⅰ:輸出管理体制の未整備
非居住者(※)に対して、規制プログラムを使用させることも規制対象となるので
注意が必要です。(規制対象技術を海外又は日本で非居住者に提供する場合
は役務取引許可が必要です。)
違反事例(研修時の使用機器・技術等に対する認識不足)
海外研修生に対し、コンピュータに内蔵されている規制プログラムを供与(使用
させた。)
居住者・非居住者:居住者・非居住者の解釈については、「外国為替法令の解釈及び運用について(蔵国第4672号 昭和55
年11月29日)」を参照のこと。
(2).技術提供に対する認識不足
企業ノウハウ、商談時における情報や使用技術の提供にも規制対象技術情報
が含まれています。
違反事例(規制対象技術の認識不足)
・ 製造委託のため該当図面を提供
・ 設計段階や発注段階での規制対象技術情報の交換
・ 子会社への規制対象技術の提供(ふっ素加工技術)
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類型Ⅰ:輸出管理体制の未整備
2.規制対象貨物等に関する判定の不適切な実施
2-1.最新規制対象リストの見落とし
外為法にある規制対象リストは、国際的な輸出管理取極の見直しに合わせて、
年に数度改正されます。平成14年は、7月、9月、10月の3回改訂
技術革新を踏まえた規制緩和の改訂が多い一方、生物・化学兵器関連では規
制強化の改正もあります。
最近の規制強化事例としては、耐腐食性の熱交換器、クロスフローろ過器の追
加、凍結乾燥機に関する規制対象拡大、ライフルスコープの追加があります。
違反事例(規制強化貨物等の見落とし)
クロスフローろ過器、熱交換器、5軸以上制御する数値制御装置の使用等の技
術、潤滑油(パーフルオロアルカン等)、半導体レーザ発振器内蔵の微粒子測定
装置の規制強化を見落とし非該当として輸出等
規制対象か否かの判断基準となる算定方法等が改訂される場合もあります。
違反事例(算定方法等の変更の見落とし)
工作機械の位置決め精度が保証値から申告値への改正やトリエタノールアミン
(医療用溶血剤)の濃度算出方法の変更を見落とし非該当として輸出
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類型Ⅰ:輸出管理体制の未整備
2-2.調達先であるメーカーや通関業者任せ
「 製造者より該当との連絡がなかったので輸出許可申請を行わなかった。」「該
当か否かの確認は行ったが口頭で回答を得た。」「文書で該非の回答を受けた
が技術的情報(パラメータシート)に基づく根拠は得ていなかった。」は、大きな
問題です。
違反事例(他社任せ(違反の多い貨物等とも一致))
・ 生物・化学関連機器 ⇒ 弁、ポンプ、クロスフローろ過器
・ 核 関 連 素 材 等 ⇒ 高純度ニッケル粉、高硬度マルエージング鋼
・ 化
学
剤 ⇒ 2-ジエチルアミノエタノール、ふっ素系コーティング剤
(パ-フルオロアルカン等含有)、フェロセン誘導体、
シラハイドロカーボン油
・ プ ロ グ ラ ム ⇒ 微小寸法測定装置用プログラム等
通関業者から何ら指示がなかった!ということをもって違法輸出等の責任から
免れる理由になりません。輸出・提供者として許可が必要な貨物等については、
輸出又は役務取引許可証を取得することが求められます。
(なお、通関業者からも輸出・提供者に対して注意喚起することが望まれます。)
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類型Ⅱ.許可取得前の貨物等に対する判断(該非判定)の誤り
1.役務(技術やソフトウェア)に対する該非判定の誤り
1-1.プログラム(ソフトウェア)の提供に関する判定誤り
貨物とは別に内蔵プログラムについての該非判定が必要です。貨物が規制対
象貨物に非該当であるからといって、内蔵プログラムも規制対象技術に非該当
とは限り ません。
違反事例(内蔵プログラムの判定誤り)
工作機械用や数値制御装置用内蔵プログラムを貨物が非該当のため、内蔵プ
ログラムも非該当であると勝手に判断
1-2.技術提供に関する判定誤り
海外子会社等への企業ノウハウの提供、共同研究等における情報交換や使用
技術の提供にも規制対象技術情報が含まれていますので、慎重な該非判定が
必要です。
違反事例(規制技術の判定誤り)
・ 技術提携している海外の会社に該当部品の製造委託を行った際、送付する図
面は該当技術には当たらないと判断
・ 以前非該当であった該当貨物の技術マニュアルを翻訳(印刷)するため海外発
注する際、非該当であると判断
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類型Ⅱ.許可取得前の貨物等に対する判断(該非判定)の誤り
2.参照すべき規制対象リストの項目の誤り
2-1.複数項番の一部の見落とし
核関連(2の項)、生物・化学関連(3の2の項・3の項)、ミサイル関連(4の項)、
通常兵器関連(5~15の項)の4つから規制対象リストは構成されており、一つ
の貨物が複数の項目で規制されている場合があります。
・ 工作機械 : 核関連、通常兵器関連
・ ポ ン プ : 核関連(排気速度で規制)、化学関連(耐腐食性で規制)
・ マルエージング鋼 : 核関連、ミサイル関連
違反事例(複数項番の見落とし(及び一般包括適用誤り))
三ふっ化塩素について、核関連(核燃料物質の製造用の還元剤又は酸化剤)
のみ該当していると判断し、ミサイル関連(推進薬)に該当することを見落とし、
ミサイル関連該当貨物には一般包括許可を適用できない仕向地に対して、一
般包括許可証を使用し輸出
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類型Ⅱ.許可取得前の貨物等に対する判断(該非判定)の誤り
2-2.暗号に関する規制対象リストの項目の見落とし
【参照項目の誤り】
暗号機能を有する貨物又はプログラムは、一般包括許可証が使用できるか否
かについてもう一度チェックが必要です。
特に、暗号関連の技術についての該非判定は要注意です。
違反事例(暗号規制関連の見落とし)
・ 衛星放送用のICチップウェハーについて、暗号装置の観点からも該非判定す
べきところを、カスタム集積回路のみで非該当と判断し輸出
・ 検証用のマスク作成データ(技術)について、集積回路の製造技術(外為令別
表の7の項(1))の観点のみ判断し、最終的に暗号機能を有する集積回路製造
技術であるとの観点(外為令別表の9項の(1))から判定を行わず、個別許可証
又は特定包括許可証が必要となる国向けにもかかわらず、一般包括許可証を
使用し提供
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類型Ⅱ.許可取得前の貨物等に対する判断(該非判定)の誤り
3.解釈等誤り
3-1.修理のための一時的貸出し等による輸出
計測機器等の返却を前提とする一時的貸出し等による輸出については、許可
が不要となるものではありません。特に、輸入業者、輸入専門部門については
要注意です。
違反事例(一時的貸出し等による輸出)
・ 表面形状測定装置の一時的貸出しにあたり、輸出許可の取得をせず輸出
・ 輸入した爆発物の付属品である発破器が故障し、修理費用の見積もりのため
に輸出許可は取得せず製造メーカーに当該貨物を輸出
・ 輸入した耐放射線テレビカメラが故障した際、「修理のための輸出は許可不要」
と独自に判断し輸出
3-2.「使用目的」での誤った判断
「規制の用途には用いられない」からといって非該当と独自に判断するのは危
険です。
違反事例(使用目的での誤った判断)
透明ふっ素樹脂ポリマーについて、「冷媒用に使用することができる液体」を「冷
媒用に使用する液体」と狭義に解釈し、当該貨物は、半導体製造用(フォトマス
ク防塵)に使用するため、使用目的から非該当と独自に判断
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類型Ⅱ.許可取得前の貨物等に対する判断(該非判定)の誤り
3-3.役務に関する誤解釈(「~の使用に係る技術」、「公知の技術」)
「~の使用に係る技術」は「到達に必要な技術」と違い、規制貨物又は技術 を
使用することに関連するものは規制対象となります。(貨物等省令を十分に確
認のこと。)
違反事例(「係る技術」での判定未実施)
原子力発電に用いる燃料に関する図面及び材料仕様書等について、当該貨物
の有する機能若しくは特性に到達し、又はこれらを超えるために必要な技術」の
観点からは非該当との判定を行ったが、「貨物の設計、製造又は使用に係る技
術」の観点からの判定は未実施
「公知の技術」等についてのチェックが不十分であったり、「公知の技術等」との
思い込みもあるので注意が必要です。
違反事例(「公知の技術」とみなし詳細未確認)
・ 原子力発電に用いる燃料に関する図面及び材料仕様書等について、ASTM
(※)規格(米)で公表されていない技術があったにもかかわらず、同規格に全
て公表されている思い「公知の技術」と考え許可不要と判断
・ 化学品の製造技術の提供に関して、規制対象化学製品を原料とするものの中
間製品や最終製品が規制対象でないこと、化学業界では一般的に知られてい
技術等は全て規制から除外される「公知の技術」の範囲内であると勝手に判断
※ ASTM:米国材料試験協会
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類型Ⅱ.許可取得前の貨物等に対する判断(該非判定)の誤り
3-4.付属品の見落とし
本体が規制対象貨物でなくとも、付属品が規制対象貨物の場合があるので注
意が必要です。
違反事例(付属品の見落とし)
エッチング現像装置に内蔵するふっ素樹脂製弁の輸出に当たり、装置本体及
び本体と分離し難いふっ素樹脂製弁は非該当貨物であることは確認したため
故障及び消耗時の予備部品のふっ素樹脂弁も非該当貨物であると判断
3-5.貨物仕様の認定の誤り
化学品、素材については、商品名・通称によって判断するのではなく、組成や機
能に基づいて客観的に判定することが求められます。
注意すべき商品名「テフロン」はふっ素加工です。
違反事例(貨物仕様の誤った判断)
・ 外径75ミリメートル以内のアルミニウム合金角棒が非該当であったことから、
該当となる外径が75ミリメートル超アルミニウム合金丸棒(核関連)を「貨物仕
様が類似」していたため非該当と判定
・ 半導体関連用途で常良く輸出していた一酸化二窒素(N2O)が非該当であったこ
とから、同様に半導体関連に使用する二酸化窒素(NO2)を非該当と判定
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類型Ⅲ.需要者要件・用途要件の不適切な判定
類型Ⅲ.最終需要者や最終用途に関する不適切な判定
おそれ省令又はおそれ告示に基づく需要者・用途要件に照らし、別表行為(平
成14年3月までは需要者要件、同年4月以降は用途要件)にも十分注意し厳
格な判定が求められます。
違反事例(需要者要件における別表行為の誤った判定)
非ホワイト国向けの軽水炉以外の原子力関連事業者に対して、補完規制対象
貨物(キャッチオール規制導入前の輸出令別表第1の16の項)を輸出
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類型Ⅳ.出荷確認の誤り
出荷の際は、規制対象貨物等であるか否かを明確に確認し、該当の場合は許
可証が取得されいるかを確認する必要があります。
違反事例(出荷確認の誤り)
非該当貨物の出荷を指示したにもかかわらず、誤って該当貨物を出荷
⇒ 出荷確認手続きの不備(多い事例:弁、ポンプ)
電子媒体を通じたプログラムの提供についても、貨物の出荷管理と同様に審査
手続きが必要です。
違反事例(役務提供の出荷未確認)
規制対象である貿易金融用プログラムの提供に関して、出荷管理を行うことな
く、顧客に利用できるような情報(暗証番号等)を提供
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類型Ⅴ.許可条件等の未遵守
1.一般包括許可の許可範囲の未遵守
一般包括許可の適用が可能な貨物等及び輸出・提供先は詳細に規定されてい
るので、同許可を使用する輸出等は、貨物等と輸出・提供先のマトリックスをチ
ェックする必要があります。
懸念4か国(イラン、イラク、北朝鮮、リビア)向けは全て個別許可が必要です。
違反事例(一般包括許可により輸出した貨物を懸念4か国向けに売却)
海外への展示会に出展するため、一般包括許可を取得し輸出した半導体レー
ザー発振器を、海外代理店の判断によりイランに売却
大量破壊兵器関連貨物等(輸出令別表第1又は外為令別表の2~4の項)に関
する一般包括許可は、国際的な輸出管理取極参加国(米加EU諸国等)のみに
対して適用可能です。中国や東南アジア諸国はこうした取極参加国ではありま
せん。
違反事例(一般包括許可の不適切な使用)
・ 絶対圧型圧力計(核関連)をシンガポール向けに輸出
・ 非接触型測定装置(核関連)を台湾向けに輸出
・ ジメチルアミン、塩化ホスホリルの使用技術(化学兵器関連)を中国向けに提供
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類型Ⅴ.許可条件等の未遵守
2.個別許可取得条件等の未遵守
2-1.積み戻し条件の未遵守
積み戻しの条件を付された個別許可については、提出期限までに日本に積み
戻し、必要な書類を添付の上、経済産業省担当課まで提出する必要がありま
す。
違反事例(積み戻し条件未遵守)
金型作成に使用する数値制御工作機械(核関連)を1年後積み戻しの条件付き
輸出許可を得たが、1年後の積み戻しを未履行
2-2.ストック販売の再販売に関する事前同意の未遵守
ストック販売のための個別許可を取得する際、輸出者が提出した誓約書におい
てストック販売(在庫用)の再販売については経済産業省の事前同意を得ること
となっていながら、その同意を得なかったケースも多く見られます。
違反事例(ストック販売における事前同意の未遵守)
・ 放電加工機に搭載された数値制御プログラムをシンガポールから再販売
・ マシニングセンター及び同プログラムをシンガポール・マレーシアから再販売
・ ガラス構造凝縮器を台湾から再販売
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類型Ⅴ.許可条件等の未遵守
2-3.許可技術を用いた貨物の販売に関する事前同意の未遵守
海外への技術移転に伴い、許可を取得した規制対象技術を用い、取引の相手
方が製造した貨物の販売先が確定し、取引の相手方から提供者に対し事前同
意を求められた場合には、提供者は経済産業省の事前同意を得ることが必要
です。
違反事例(規制技術を用いた貨物の販売に関する事前同意の未遵守)
ふっ素樹脂で被覆された貯蔵容器の製造技術について、当該技術で相手方が
製造 した製品の販売については、経済産業省の事前同意を得る旨の誓約書を
提出していたが、事前同意を得ることなく販売
3.許可証の失効の見落とし
原則として、一般包括許可証は3年間、個別許可証は半年間が有効期限となっ
ています。それ以後は許可証は失効するので使用できません。特に数回に分
けて輸出等する場合は、その都度、許可証の有効期限内であるかの確認が必
要です。
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