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絨毛癌
19 井上大志
67 中村順子
91 溝部太郎
抗癌剤
使用目的
①進行がんの治療(治癒を目的に治療するor延命を目的に
治療する)
②治療手術後の補助化学療法(再発の防止、治癒率の向上)
作用機序
癌とは分裂増殖が際限なく行われる細胞の病気である。
がん細胞の増殖は他の細胞と同じように行われており、
いずれも腫瘍細胞のDNA合成を阻害、抑制することなどによ
り抗腫瘍薬効果を発揮する薬剤である。
現在転写過程を抑制することが第一に抗腫瘍効果として有効
であると考えられている。
抗癌剤の種類
・アルキル化薬
グアニンN7位をアルキル化させることによって、DNA二重鎖間に架橋や異常塩基対を
形成させて、DNAの複製およびRNAの転写阻害
・代謝拮抗薬
ディノーボ合成の際に塩基やその合成酵素に似た物質を誤って取り込ませることによって合
成を阻害する薬。葉酸代謝拮抗薬・プリン代謝拮抗薬・ピリミジン代謝拮抗薬
・制癌抗生物質
DNAの二重らせんの塩基対の間に結合し、転写のための酵素、特にRNA合成酵素を
阻害する
・植物アルカロイド
植物由来の抗癌剤 トポイソメラーゼ阻害薬・有糸分裂阻害薬 など
・ホルモン剤とホルモン
ホルモン受容体をもつ腫瘍細胞(乳癌や前立腺癌)に対して抗ホルモン製剤を打つこと
によって増殖を調節する
・その他
L-アスパラギナーゼなど
抗癌剤の副作用
現在の抗癌剤はがん細胞のみを選択的に殺す能力はなく、同時に正常
細胞、特に細胞分裂の盛んな骨細胞、消化管上皮細胞、毛根細胞をも
破壊する。したがって・・
副作用
①白血球減少(感染症に対する抵抗性の低下)
②血小板減少(出血傾向)
③消化器症状(口内炎、悪心、嘔吐、下痢)
④脱毛
などが出る。
薬物使用は正常細胞の障害が回復可能である範囲に限定されるべき
であり、また有効性を期待するのみでなく、毒性を予測して治療計画を
立てなければならない。
絨毛癌とは?
定義
‐絨毛細胞からなる悪性腫瘍で、組織学的に合胞体栄養膜細胞、
細胞性栄養膜細胞、および中間型栄養膜細胞と認識される三
成分の増殖性破壊病巣からなり、絨毛形態を認めないもの
疫学
‐人口10万につき0.038(減少傾向)
現在日本で年間約50~60人の死亡数
病因
・非妊娠性絨毛癌‐受精現象と無関係に発生、
頻度低いが化学療法抵抗性あり予後不良
・妊娠性‐先行妊娠種別は、
分娩43%、流産27%、奇胎24%(92年~97年)
病態
‐血行性転移、遠隔転移(肺、脳、肝、腎)
診断&治療
診断
‐「絨毛癌診断スコア」(hCG値上昇など)により臨床的に侵入奇
殆と区別し、確定診断は摘出物の組織的検査による
治療
‐絨毛癌は早期より血行性転移をきたす。
全身的治療である化学療法(多剤併用療法)が中心
局所療法である手術、放射線療法→補助的
放置すればほぼ100%死亡するが、寛解/治癒率90%
絨毛癌診断スコア
化学療法
絨毛癌の化学療法としては
Methotrexate(MTX)
Actinomycin D(Act-D)
Etoposide(VP-16) の3剤を中心とした
MEA 療法(MTX・Act-D・Etoposide)
EMA/CO 療法(MTX・Act-D・Etoposide・Cyclophosphamide・
Vincristine)
が行われている。
MEA療法
・第一日目
メソトレキセート(メトトレキサート)
コスメゲン (アクチノマイシン)
ペプシド
(エトポシド)
メソトレキセート(メトトレキサート)
150mg/body 静注
0.5mg/body 静注
100mg/body 点滴静注
300mg/body 点滴静注
・第二日目
コスメゲン (アクチノマイシン)
ペプシド
(エトポシド)
ロイコボリン (ロイコボリン)
0.5mg/body 静注
100mg/body 点滴静注
15mg/body 筋注 朝夕2回
メトトレキサート(Methotrexate)
葉酸代謝拮抗剤(商品名メソトレキセート)
効能
‐白血病(急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血
病)及び絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)に治
療効果が認められる。
作用
‐ジヒドロ葉酸還元酵素の拮抗的阻害により4水素葉酸の生成
が低下し、これを必要とするチミジル酸をさせることおよびプリ
ンヌクレオチド合成が阻害され、その結果DNA合成が抑えら
れる。
メトトレキサート(Methotrexate)
葉酸代謝拮抗剤(商品名メソトレキセート)
葉酸
葉酸レダクターゼ
ジヒドロ葉酸
メトトレキサート
はここを阻害
ジヒドロ葉酸レダクターゼ
テトラヒドロ葉酸
ジヒドロ葉酸
メトトレキサート
はここを阻害
テトラヒドロ葉酸
10ホルミルテトラヒドロ葉酸
5,10メチリルテトラヒドロ葉酸
dUMP
dTMP
プリンシンターゼ
DNA
メトトレキサート(Methotrexate)
葉酸代謝拮抗剤(商品名メソトレキセート)
投薬禁忌
-腎障害、肝障害、胸水、腹水のある人
投薬注意
-NSAIDs、フェニトイン、テトラサイクリン、プロベネシド
副作用
-骨髄抑制にともなう血液障害、造血作用の抑制etc
副作用の予防や治療のために、ビタミンの一種のロイコボリン
を併用することがある。
ロイコボリン(Leucovorin)
抗葉酸代謝拮抗剤(商品名ロイコボリン)
作用‐メトトレキサートが作用するジヒドロ葉酸リダクターゼに関
与せず、細胞の葉酸プールに取り込まれ、活性型葉酸となり、
細胞の核酸合成を再開させる。
→メトトレキサートの副作用を軽減する働きを示す。
効能‐葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減
ジヒドロ葉酸
ロイコボリン
はここに作用
テトラヒドロ葉酸
10ホルミルテトラヒドロ葉酸
5,10メチリルテトラヒドロ葉酸
dUMP
dTMP
プリンシンターゼ
DNA
ロイコボリン(Leucovorin)
抗葉酸代謝拮抗剤(商品名ロイコボリン)
投薬禁忌
‐本成分に対して重篤な過敏症の既往歴のある患者
副作用
‐ショック、アナフィラキシー様症状、発疹、発熱、発赤
などの過敏症が稀に起こる。
ロイコボリンは
低容量:葉酸代謝拮抗薬の毒性軽減(今回の場合)
高容量:5-FUの抗腫瘍効果増強
というように使用量により効果が異なる。
ロイコボリン救援療法
ある種の癌細胞では能動的なメトトレキセートの取り込み機能
が欠落しているため、メトトレキセートを大量投与して受動的に
取り込ませ、一定時間後にメトトレキサートの解毒薬であるロイ
コボリンを投与して能動的にロイコボリンを取り込むことのでき
る正常細胞を救援すること。
→葉酸代謝拮抗薬の大量投与が可能に
投与方法
-通常、メトトレキサート投与終了3時間目より
1回15mgを3時間間隔で9回静脈内注射
以後6時間間隔で8回静脈内又は筋肉内注射する。
アクチノマイシンD(Actinomycin D)
制癌抗生物質(商品名コスメゲン)
効能
‐絨毛性上皮腫、破壊性胞状奇胎、Wilms腫瘍
作用
‐DNAのGuanine塩基と結合し複合体を作る
→DNA依存性のRNA Polymeraseの作用が阻害
→RNA生成が抑制されることにあると考えられている.
また高濃度ではDNA依存性のDNAポリメラーゼも阻害
→複製抑制
アクチノマイシンD(Actinomycin D)
制癌抗生物質(商品名コスメゲン)
投薬禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
水痘又は帯状疱疹の患者
慎重投与
-肝障害、腎障害のある患者
骨髄機能抑制のある患者
感染症を合併している患者
副作用
-再生不良性貧血、無顆粒球症、汎血球減少症等の骨髄抑制
アナフィラキシー様反応、肝静脈閉塞症、DIC
エトポシド(Etoposide)
植物アルカロイド(商品名ペプシド)
効能
‐肺小細胞癌、悪性リンパ腫、急性白血病、睾丸腫瘍、膀胱癌、
絨毛性疾患、胚細胞腫瘍、小児悪性固形腫瘍(併用療法)
作用
‐DNAに対する直接作用ではなく、DNA構造変換を行う酵素ト
ポイソメラーゼⅡと結合して安定複合体を形成することにより、
酵素によって切断されたDNAの再結合を阻害することで細胞
死を引き起こすと考えられる。また、この殺細胞作用は作用濃
度と作用時間の双方に依存して増強する。
エトポシド(Etoposide)
植物アルカロイド(商品名ペプシド)
作用機序
-細胞の分裂に必要な
トポイソメラーゼⅡ
というDNA変換酵素と結合して
DNA合成を阻害する。
細胞周期のS期後半からG期
に強い作用を示す。
エトポシド(Etoposide)
植物アルカロイド(商品名ペプシド)
投薬禁忌
‐ 重篤な骨髄抑制のある患者
重篤な過敏症の既往歴のある患者
妊婦、妊娠している可能性のある婦人
副作用
‐主なものは白血球減少、貧血、血小板減少、食欲不振、脱毛、
嘔気、嘔吐、けん怠感、発熱、口内炎。
重篤な副作用として、汎血球減少等の骨髄抑制、ショック、
間質性肺炎がある。
併用注意:抗悪性腫瘍剤、放射線照射