社会的包摂への課題

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Transcript 社会的包摂への課題

慶応義塾大学
駒村康平
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1960年代から1990年前半まで安定した日本の4つ
の社会経済システム(職・家族・住居の保障)
1)雇用システム:日本型経営・日本型雇用(職場に
おける身分の保障、終身雇用、年功賃金)
2)家族システム:ひとり働き(専業主婦モデル、持ち
家政策)
3)社会保障・税システム:皆保険・皆年金
4)教育システム:学校から職業への移行
偶然:歴史上まれな自然災害の少なさ(1960-95)
→忘れられた「貧困」、限定的な社会的排除
-2
-4
-6
2010
2007
2004
2001
10
1998
12
1995
1992
1989
1986
1983
1980
1977
1974
1971
1968
1965
1962
1959
1956
14
経済成長率%
平均値%
8
6
4
2
0
例外的に自然災害の少ない時期:1960-1990年
出典:「平成21年防災白書」
http://www.bousai.go.jp/hakusho/h21/bousai2009/html/zuhyo/zuh
yo002.htm
被保護世帯数、被保護人員、保護率の年次推移
(万)
260
25
24.2
250
平成23年7月(速報値)
24
2,050,495人
23
16.0‰
22
1,486,341世帯
21
240
230
21.6
220
210
被
保
護
世
帯
数
(
世
帯
)
・
被
保
護
人
員
(
人
)
保
護
19 率
(
‰
18
)
2,046,646
20
2,050,495
200
平
1,929,408
190
1,952,022
成
17.4
180
1,763,572
景
16.3
170
160
6
1,627,509
150
12.2
130
110
武
戸
100
景
景
90
気
気
2 9 ~ 3 2 33~35
699,662
661,036
80
70
60
景オ
リ
ン
ピ
ッ
気ク
50
昭
和
26
年
度
30
12.1
48・49
658,277
40
資料:福祉行政報告例より保護課にて作成
15
13.8
14
1,409,067
第
2
次
石
油
危
機
被保護人員
7.2
780,507
保 護 率
12
被保護世帯
7.0
585,972
623,755
60
平
成
2
601,925
4
7
10
世
789,602
707,514
50
1,274,231
13
11
1,014,842
898,499
882,229
8.2
5 4 ~ 5 8
746,997
643,905
15.2
1,486,341
11.8
第
1
次
石
油
危
機
イ
ザ
ナ
ギ
景
気
37~39 4 0 ~ 4 5
611,456
3
12.2
13.0
岩
16
~
1,431,117
1,344,306 1,349,230
140
神
1
1,426,984 1,469,457
1,598,821
120
17
16.0
気
界
金
融
危
機
20
10
9
8
7
6
5
21 22 23
年
7
月
5
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
1:団塊世代(1947-49年生まれ)
オイルショック:1973年(団塊世代22-26歳)→安定
成長、日本型雇用、持ち家政策
2:団塊ジュニア(1971-79年生まれ)
バブル崩壊1990年、93年就職氷河期(団塊ジュニア
14-22歳)
アジア通貨危機(1997年:団塊ジュニア18-26歳):
正社員になれない大卒の急増
グローバル経済への対応
→職の不安:非正規労働者(ワーキングプア)、家族
形成できな(未婚者の急増)、住居の不安
若い世代で増加するワーキングプア
・世帯主が就労していて、世帯の合計所得が生活保護以下
の貧困世帯(ワーキングプア世帯率)
・1999年から2004年の間で若年世帯の貧困率が上昇
14.0%
13.0%
12.0%
11.0%
10.0%
9.0%
8.0%
7.0%
6.0%
5.0%
4.0%
69
~
60
59
~
50
49
~
40
39
~
30
29
1999年
2004年
~
%
ワーキングプア年齢別
世帯主年齢
全国消費実態調査より著者ら推計
若い世代の職・家族・住居での不安低下→深
刻になる孤立化、貧困・排除の世代間連鎖
 政府の対応:貧困の確認、求職者支援制度
の創設、労働法の改革
 生活保護と求職者支援の連携の欠如
 雇用システムの課題:正規・非正規労働者の
処遇問題
 所得保障制度の課題:社会保険中心の限界
 弱体化する福祉行政(スキル、人数の不足)
 地域、自治体の取り組み(釧路市、埼玉県等)
 社会的包摂の新しい担い手
