プレゼン - 大阪大学法学部・大学院法学研究科

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ICT 分野に於けるEUフレームワークプロ
グラムの歴史的背景と日欧連携の意義
セミナー「Horizon 2020における情報通信(ICT)分野と日欧連携」
2015年2月18日
日欧産業協力センター、大阪イノベーションハブ
大阪大学
田中規久雄
はじめに~結論
• EUの産業振興政策を、情報基盤政策を中心にその歴史、
思想的な背景についてその流れを追う。(フレームワークプ
ログラムはFPと略す。)
• キーワードは、Cohesion(結束):経済発展と生活格差是正
1986:単一欧州議定書→1989EC社会憲章→2000EU基本
権憲章→1992マーストリヒト条約(欧州共同体設立)条約第5章
「経済的社会的結束(Economic and social cohesion)」
• ICT→情報社会技術(IST: Information Society Technology)
• 競争万能の米国型市場主義経済モデル
社会的側面重視の欧州型社会経済モデル
• 2000リスボン戦略:競争強化への修正
前史(EC欧州共同体時代)
• 1980代:経済成長と社会的公正の均衡→先行した
経済統合に加え、社会統合にも力点
• 経済面では特に、米日に対抗する域内産業の振興
COST (1971-)
ESPRIT, EUREKA etc. (1983 -)
FP1 (1984 -)
情報基盤政策黎明期
• 1993:EC→EU(マーストリヒト条約)
インターネットの営利利用許可(郵政省)
• 1993:成長・競争力・雇用: 21世紀に向けての挑戦と進路に関する白書(ドロー
ル白書)
• 1994:欧州理事会への提言‐欧州とグローバル情報社会(バンゲマン・レポート)
• 1994:情報社会に向けて欧州が取るべき方策‐アクションプラン(最終版)
• 1995-1998:FP4
• 1995:電子政府化プログラム(IDA)
• 1996:情報社会における暮らしと仕事-人々が第一
• 1996:グローバル情報社会最先端欧州のアクションプラン(1997改訂)
• 1997:電子商取引に関する欧州イニシアティブ
• 1997:われわれすべてのための欧州情報社会の構築(ブランカート・レポート)
• 1997: 情報社会の社会的・労働市場的次元-人々が第一,次のステップ」
情報基盤政策確立期
• 1998:グローバル・コミュニケーションに関する企業円卓会議
(ブリュッセル)
• 1999:電子商取引に関する国際ビジネス会議(GBDe)
• 1999-2002:FP5
• 1999:eEurope‐みんなのための情報社会
• 1999:電子署名指令
• 1999:インターネットの安全利用促進のためのアクションプラン
• 2000:特別欧州理事会(リスボンサミット)「リスボン戦略」:持続
的経済成長,完全雇用と社会的結束の強化
• 2000:eEurope2002 Action Plan(eEurope2002)
• 2000:電子商取引指令
• 2000:電子マネー指令
情報基盤政策拡大期
• 2001:ネットワークと情報のセキュリティ-欧州政策アプローチ
のための提案
• 2001:eEurope+2003アクションプラン‐欧州情報社会形成のた
めの協同努力→EU第5次拡大+10
• 2001:サイバー犯罪条約
• 2002:eEurope2005アクションプラン‐みんなのための情報社会
• 2002:ネットワークと情報のセキュリティに関する共通アプロー
チと個別アクションのついての理事会決議
• 2002:情報システムに対する攻撃に関する理事会枠組決定の
ための提案
• 2003-2006:FP6
• 2004:欧州ネットワークと情報セキュリティ機構の設立規則→
欧州ネットワーク情報安全エージェンシー(ENISA)設立
• 2004:eEurope 2005 Update
情報基盤政策修正期
• 2004:課題に直面して‐経済成長と雇用にとっての
リスボン戦略(ウィム・コック・レポート)
• 2004:2005年以降の欧州情報社会のためのチャ
レンジ
• 2004:EU憲法条約
• 2005:雇用成長のための協働‐リスボン戦略のた
めの新しい出発
• 2005:FP7(実施期間は2007-2013に変更)
• 2005:i2010‐成長と雇用に向けての欧州情報社会
EU情報基盤政策の現在
•2007-2013:FP7
•2010-2020:
Europe2020→欧州デジ
タルアジェンダ
•2014-2020:Horizon2020
FP7(2007-2013)
• 特徴:FP6からの国際協力、基礎と実用化の中間重視
など
• 内容:
協力(Cooperation):ICT含む10領域
知識基盤の整備(Capacities):知識集約型経済へ
構想(Ideas):基礎・先端研究助成
人材(People):人材交流、キャリア形成支援
+
• 原子力の平和利用:欧州原子力共同体(Euratom)
Europe2020(2010.3)
• 金融危機の脱出:知識、低炭素経済、高雇用水準に基
づいた新経済モデル←連携と協調(バローゾ委員長)
→
• 賢い成長 (Smart growth)
知識、イノベーション、教育、デジタル社会の育成
• 持続的成長(Sustainable growth)
低炭素、資源効率的生産と競争力強化の両立
• 包括的成長 (Inclusive growth)
技能の習得、貧困対策→高雇用→社会的、領土的結束
Europe2020続き
• 目的:インターネットを基盤とする経済活動
デジタル革命の恩恵を全ての人に広める
①デジタル分野の市場統合
②標準規格及び相互運用性の改善
③インターネットの信頼性及び安全性の向上
④インターネットアクセス確保と高速化
⑤最新技術の研究開発
⑥デジタルデバイドの解消
⑦多目的な技術開発
• →欧州デジタルアジェンダ(2010)へ
欧州デジタルアジェンダ―欧州の成
長をデジタルによって促進―(2012)
• デジタルアジェンダの政策評価
(1) 国境の無いデジタル経済の促進:特に著作権
(2) 公的部門の革新の迅速化:電子政府の共有
(3) 超高速ネットワーク接続:競争の促進
(4) クラウドコンピューティング:欧州クラウド協力
(5) 信頼性及び安全性の保障:サイバー危機対策
(6) ウェブを用いた起業並びにデジタル雇用及び技術:
技術者不足対策
(7) 技術革新の鍵となる情報通信技術の研究・開発・革
新:資金提供
Horizon 2020(2014~2020)
• イノベーションに富む社会の構築とそれによる付加価値の高いビジネスの展
開→賢い成長
• 従来のプログラムを統合発展
FP7
CIP(Competitiveness and Innovation Framework Programme)
FP7のイノベーション産業化
EIT(European Institute of Innovation and Technology)
高等教育・研究開発・イノベーションの「知のトライアングル」→知識集約型
経済→起業家教育
• オープンイノベーション→de facto化
• ICT分野
卓抜科学Excellent(~10年):FET(Future Emerging Technologies)
産業界へのリーダーシップExperiment(5~6年):ICT基盤の整備
社会的課題への取組Implement(2~3年):ICTアプリケーション
日欧連携の意義
• わが国
小国がひしめく欧州で培われたバランス感覚と戦
略立案能力→島国日本の国際産業市場感覚の向上
• EU側からみた先進工業国との連携
1) 競争力強化に繋がる協働
2) グローバルな課題への取り組み
3) ビジネス機会の創出と新たな市場へのアクセス
Cf. 加盟国・周辺国、開発途上国との連携
参照文献(一部)
• 田中規久雄「修正期に至るEUの情報基盤政策(1)(2
完)」阪大法学、2009-2010
• 市岡利康「欧州のフレームワーク・プログラムFP7・
Horizon 2020 と日欧連携」2015-02-01
• 市岡利康「EUフレームワークプログラムと研究開発・イ
ノベーションの促進」2015-02-01
(以上、JEUPISTEサイト、http://www.jeupiste.eu/ja)
• 植月献二「欧州デジタルアジェンダ:2013~2014 年の
重点分野」外国の立法、2013.2
• 吉野晴美 訳「欧州2020: 欧州委員会が欧州の新経済
戦略を提案(EU)」 NEDO海外レポート1061、2010.3