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文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
将来の仕事のイメージ
 高等専修学校や、専門学校・大学などを卒業した後、どんな仕事に就きたいですか。
希望する仕事
10年後の自分
1
その仕事を選んだ理由は何ですか?
 例えば服飾関係の仕事に就きたいと思っているとき、なぜその仕事にしようと思いまし
たか?
服の仕事といったら販売とかデザイン?他の仕事は思いつかないなぁ
身近にはデザイナーなんていないし、特別な人がなるものでしょ?
デザイナー
ショップスタッフ
(販売員)
縫製工場の
スタッフ
アルバイト募集もよく見るし、知り合いにもやっている人がいるし、
私も販売員になろうかな?
2
10年後の自分は想像できていますか
 就業後から30歳までの約10年間、あなたはどんな仕事をして過ごしますか?
 20年後はどうなっていたいですか。
20歳
販売員
40歳
?
30歳
販売員?
同じお店?
販売の仕事?
?
今は○○のブランドがお気に入りだけど、10年後は好みが変わっているかも
20歳と30歳と40歳の私、同じ気持ちで同じ仕事ができるかな
3
仕事の決め方
 就職先を決めるとき、どのような仕事の決め方があるでしょうか。
イメージで
決める
求人が多いから
(=就職しやすそうだから)
これ以上勉強をしたくないから
知り合いが働いているから
(=想像しやすいから)
みんなと同じ進路だから
なんとなく
決まった
仕事
調べてから
決める
一番やりがいを感じたから
働き方や仕事への取り組み方が
自分の感性に合っているから
将来挑戦したい仕事の
入口になりそうだから
自分で
決めた
仕事
4
進路選択に自信を持つために
 自分自身で考えて積極的に選択することが、充実した社会生活を送る上で大切です。
なんとなく
決まった
仕事
自分で
決めた
仕事
目標がなくマンネリ化
自分らしさを求めた転職の繰り返し
日常の仕事の中でのやりがい
違和感や無理を感じない働き方
目標に向かっての新しい学び(=刺激)
5
進路選択に必要なこと
 自分の進路を考えるために必要なのが、自分を知ることと、仕事を知ることです。
自分を知る
自身の長所短所を理解して、
長所は伸ばし、短所は克服す
るような行動を考える。
• 性格診断の実施
• 長所短所などについての対
処方法の検討
仕事を知る
業界を知る
身近に感じる
服飾関連業界の産業・職
業の種類、役割を理解す
る。
• 業界構造・職種の理解
• 就職のプロセスを理解
実際の仕事の細かさ奥深
さを理解し、仕事の具体
イメージを固める。
• ツールなどについての
学習
• 実務者の話
進路決定
6
『自分を知る』とは
自分を知る
 あなたは、家族や知人友人から、どのような人だと思われているでしょうか。
 あなたの周りの人は、自分では気づいていないあなたを知っているかもしれません。
自
分 • 自分をイメージする
が • 「こんな人になりた
思
い」と心がけている
ことがあるか考える。
「
自 • 好き嫌いから向き・
分
不向きを考える。
」
う
しっかり者
集中力がある
押しが強すぎる
自分
優しい
気配りがうまい
忘れっぽい
う
他
人
が • 自分が他人にどう思
われているか理解す
思
る。
「 • なぜそう思われてい
自
るか理解する。
分
」
7
自分を知ることのゴール
自分を知る
 自分が思う「自分」と、他人が思う「自分」の両方を知ったうえで、
 長所短所に対処できることが自分を知ることのゴールです。
よりよい行動
自分が思う
「自分」
他人が思う
「自分」
• 自分に対するイメージが、
自分と他人で違っている
ことを知る。
• 自分と他人の両方の考え
を取り入れた、自分の長
所と短所を理解する。
• 自分の長所を伸ばし、短
所を克服するように行動
する。
8
業界全体の流れを知ることの大切さ
仕事を知る
 自分の担当以外の仕事も知ることで、いろいろなアイデアが広がります。
店長に提案してみる?
この服は柔らかくて
評判がいいんだよね。
もっとこの生地の
商品があればいいな。
原料
生産
糸作り
布地
作り
服の
デザイン
服の
製造
服の
販売
原料
生産
糸作り
布地
作り
服の
デザイン
服の
製造
服の
販売
企画の仕事をする?
生地作りの仕事をする?
9
職業選択肢の幅を広げる
仕事を知る
 皆さんがお店のお客様として見ている仕事はごく一部です。
 進路について十分に検討するためには、自分が知る以外にどのような選択肢があるのか
を知っておくことが大切です。
服飾業界の中に様々な業務領域がある
「売り場」の仕事だけでもたくさんある
デザイン
デザイナー
販売
販売員
マーケティング
シューフィッター
販路開拓
ショップマネジャー
スーパー
バイザー
バイヤー
マーチャンダイザー
10
仕事に関係のある学びを知る
仕事を知る
 一部の職業は、仕事経験や学び、資格が必要になるものがあります。
本講座で扱う内容
本講座で扱う内容
• 学校の種類と特徴
• 学校で得られる学び
• 探し方、選び方
• 職業ごとに役立つ資格
• 得られる技能
• 取得の方法
上位の
学校
高等専修学校
卒業
各種の資格
ショップ
スタッフ
ショップ
マネジャー
バイヤー
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仕事を身近に感じるために①
仕事を知る
 現場で利用されているツールやシステムを知ることで、職業に対するイメージがより具
体的になります。
製造の現場で使用する指示書
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仕事を身近に感じるために②
仕事を知る
 働く人の体験談なども職業イメージの具体化に役立ちます。
縫製スタッフ
パタンナー
服を作りたくてデザイ
ナーを志望していたけど、
私が大事にしたいのは、
着る人がきれいに見える
こと。
パタンナーの方がイメー
ジに近いかも。
デザイナー
販売員
スーパーバイザー
お客様に素敵な着こなしを
勧めたいから、販売員にな
りたいな。
若い人が多いところが心配
だったけど、将来は店長以
上の職業も目指せるみたい。
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講座の概要
 本講座では、業界の理解を中心としながら、自分自身に対する理解、「仕事を身近に感
じること」も含めた学習を行います。
性格診断
基本情報の
習得
服飾関連業界の概要
業界の全体構造や市場の動向など、服飾業界人とし
て常識を身につける。
服飾業界の仕事領域
服飾業界の仕事を、販売や製造などの領域ごとに理
解し、概要を掴む。
職業の紹介
主要産業で存在する職種、仕事内容、仕事への就き
方、キャリアの積み方、体験談などを学習する。
服飾の専門職に関連する
資格取得
服飾関連業に従事するにあたって有用となる資格と
その習得方法について理解する。
服飾の進路における進学
目指す職業ごとに必要になる学びと、それを得られ
る進学先について理解する。
仕事内容の
理解
服飾の仕事に
関係のある
学びの理解
自分自身の客観評価の手段として自己診断テストを
受け、結果から自身の仕事の適性について考察する。
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性格診断を活用する
 本講座では、自己理解の手段として性格診断を行います。
 自分がどんな性格か、他人にどう見られているかを理解し、自分の長所・短所を伸長・
補完するための情報として役立ててください。
診断結果
あなたはひたすらマイペース、我が道
を行くタイプです。
誰かの下で働くより、自分で事業を起
こしたり、技術を生かしたフリーの仕
事が向いています。
組織の中では、誰よりも早く出世した
いと思うでしょう。
他人のミスを許せない性格なので、あ
なたに付き合わされる人は大変です。
ただし、はっきりと「良い悪い」につ
いて物が言える人なので、よい部下に
恵まれれば、チームで大きな成果をあ
げることができそうです。
思い当たることを考える
対応方法を考える
• 確かにチームでミスがあるとイライラ
する。何故だろう?
• 予定通り進まないのが嫌なのかな?
• ミスを予想して先に対処方法を考えて
おけば、ミスが起こってもイライラし
ないかも?
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服飾関連業界の概要
 業界の基礎知識として、商品ができる過程とそれを担う主要な企業について学習します。
 ファストファッションの台頭やオンライン販売の活況など、業界の全体的かつ常識的な
知識について学習します。
企画・設計
製造(ものづくり)
販売・物流
1次産業
原料生産
(綿畑・石油など)
2次産業
紡績
(製糸・撚糸など)
テキスタイル
デザイン
生地・染織
服飾設計・
デザイン
服飾縫製・
生産
流通
小売
水平分業的な役割分担
SPA
3次産業
垂
直
統
合
的
な
業
態
変
化
(
な
ど
)
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服飾業界の仕事領域
 希望者数・従事者数が多い、製造・小売では、どのような業務(製造や販売などの大き
な分類)が行われるかを学習します。
製造と小売の主な業務
広報
社外(雑誌やTVなどのマスメディア)に向けて、商品を紹介したり、
ブランドコンセプトを宣伝したりする。特にメディア向けの商品貸
出しは、服飾業界の広報に特徴的な業務。
販売
商品の回転、ディスプレイ、接客などを最適に保ち、消費者に商品
を販売する。店頭で実際に物を売る以外にも、商品の仕入れや系列
店間での商品移動なども販売領域の業務の一部。
マーケティング
予算に基づき、製造・販売する商品を企画し、展開する。また、商
品の売場(新規店舗開発や百貨店等での棚)を確保する。
デザイン
商品構成企画に基づき、商品をデザインする。
服単体のデザインに加え、ブランドコンセプトのデザインなども含
む。
製造
デザイン・型紙を基に、服を生産する。
生産計画やライン管理などの管理系の業務と裁断・縫製などの実際
に作る業務とに分かれる。
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職業の紹介
 先に学習した業務の分類ごとに、職種や仕事内容などについての知識を深め、進路選択
の幅を広げます。
広報
販売
販
売
員
・
シ
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ー
フ
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目
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販
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拓
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目
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マーケティング
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ッ
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18
服飾に関連がある参考職種
 服飾関連業界の周辺分野になりますが、美容・ファッション業界も「センス・お洒落」
を実現するという点で共通している部分の多い職種です。
 進路を検討する上では見ておいても良い職種になります。
服飾領域
靴・鞄
(皮革製品)
衣服
アクセサリ
その他装身具
服飾を用いた“ものづくり”以外の仕事領域
ディスプレイ
・店舗デザイン
スタイリスト
服飾以外の美容領域
化粧品
モデル
服飾以外のファッション(流行)領域
ヘアメイク
インテリア
家具
物販
サービス
ネイルアート
エステサロン
ブライダル
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服飾の専門職に関連する資格取得
 保育士や看護師のような、必須の資格というものはありませんが、資格取得によって得
られた知識や技能は実務に役立てることができます。
服作り技術関連
販売関連
服作りに関連する資格。
縫製、デザイン、パター
ンメーキングなど、工程
に応じて存在。
接客や顧客対応に加え、
商品の仕入れや流通、管
理に関連する資格。
パターンメーキング技術検定 ファッション販売能力検定
洋裁・和裁技術検定
色彩関連
デザインの要素となる“色
彩”に関連する資格。
販売関連(顧客対応)に
も関連。
ファッション色彩能力検定
ファッションビジネス能力検定カラーコーディネーター検定
ニット製品製造技能士検定
販売士検定
婦人子供服製造技能士
衣料管理士(TA)
和裁検定
繊維製品品質管理士(TES)
和裁技能士
シューフィッター
PCスキル
デザインやパターンメー
キングなどで必要になる
PCスキル。
CAD
Illustrator
Photoshop
ジュエリーコーディネーター
きものコンサルタント
マーチャンダイザー資格
商品装飾展示技能検定(VMD検定)
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服飾の進路における進学
 卒業後さらに学びを深めるための、進学先の種類・特徴などについて学習します。
学校種別
取得学位
専門学校・各種学校・無認可校
大学・短期大学
特定の職種や技能の習得に特化し
た学びが得られる。
業界経験者が講師を務めるなど、
現場感のある学びが期待できる。
服飾一般の知識のほか、コースに
よって専門的な学びも得られる。
また、教養課程や他学科授業など、
服飾以外の学習機会もある。
専門士・なし
大学士・短期大学士
デザイン
美術学部
販売ビジネス
服飾
留学
日本国内では得ら
れない専攻の高等
教育が存在
住環境
造形
パターンメイキング
家政学部
主な専攻
縫製技術
アタッシェ・ド・プレス
スタイリスト
経営学部
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文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
製造・販売段階で見る服飾業界
 服飾製造には様々な段階があり、様々な企業が関連して成り立っています。
製造(ものづくり)
企画・設計
原料生産
糸作り
糸の
企画
生地作り
生地の
企画
販売・物流
製糸・紡績メーカー
撚糸・かさ高メーカー
糸生産
テキスタイルメーカー
染色整理業
紡績メーカー
生地生産
縫製工場
テキスタイルメーカー
服作り
服の
企画
服製造
アパレル(服飾)メーカー
販売
小売業
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糸生産に関係のある企業
 糸の生産は、以下のような企業によって行われています。
テキスタイル
メーカー
• アパレルメーカーや生地卸、または独自で生地の
企画を行う。
• 生地企画に基づいて、原糸メーカーや糸加工業者
に必要な糸を発注する。
• 糸商などの発注を受けて、単糸・原糸を作る。
• 単糸・原糸は、繊維を撚って作った細い糸のこと。
• 化合繊メーカー
• 製糸・紡績メーカー • 生糸原料は製糸、その他原料は紡績と呼ばれる。
原糸メーカー
糸加工業者
• 撚糸業者
• 染色
糸商
• 糸商などの発注を受けて、糸を作る。
• 単糸・原糸を撚り合わせて糸を作る(撚糸)。
• 糸に加工を加えて嵩ましをする(かさ高)。
• テキスタイルメーカーやアパレルメーカーから発
注を受けて、原糸メーカーや糸加工業者に糸を発
注する。
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生地生産に関係のある企業
 生地の生産は、以下のような企業によって行われています。
• アパレルメーカーや生地卸、または独自で生地の
テキスタイルメーカー 企画を行う。
アパレルメーカー • 生地企画に基づいて、テキスタイルメーカーや織
屋に生地を発注する。
織屋
ニッター
• テキスタイルメーカー、アパレルメーカー、生地
卸などから発注を受けて、生地を作る。
• 織生地は織屋、編み生地はニッターで生産。
• 未染色の糸で作られた生地は白生地と言い、この
後に染色工程で色付けされる。
染色整理業者
• 白生地を染色し(染色)、色落ち防止の加工(整理仕
上げ)をする。
生地卸
• テキスタイルメーカーやアパレルメーカーから発
注を受けて、織屋、ニッターに生地を発注する。
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服製造と流通に関係のある企業
 服飾製品の生産は、以下のような企業によって行われています。
アパレルメーカー
縫製工場
小売
• 服飾製品の企画を行う。
• 服飾企画に基づいて、生地・糸を手配し、縫製工
場に服製造を発注する。
• アパレルメーカーから発注を受けて服を製造する。
• 生地・糸などは、アパレルメーカーからの手配の
もと、それぞれの生産工場等から入荷したものを
使う。
• アパレルメーカーから服を買い付け、消費者に販
売する。
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以前の業界構造
 日本の繊維産業では、①生産地ごとに異なる生地を生産し、②服飾メーカーは、生地卸
を通して生地を購入するのが一般的でした。
国内の流通網
国内の生地産地(生地メーカー)
ウールの尾州
(愛知県)
生地卸
染織業
アパレル
メーカー
綿の浜松
(静岡県)
合繊の北陸
(福井県)
シルクの桐生
(群馬県)
生地卸を通すことで
• 生産活動にたくさんの
時間やお金をかけられる
• 販売部門を作らなくていい分
小さい組織でも成り立つ
生地卸
染織業
アパレル
メーカー
生地卸を通すことで
• 全国各地を回ることなく
様々な生地を入手できる
• (卸が目利きした)一定以上の
品質のものを入手できる
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輸入生地の利用拡大
 服の製造工場が海外に移ったことで、以前のような業界構造は変化し、海外産の生地の
利用が増え、生地卸を通さない取引が増えました。
現在の流通構造
以前の流通構造
国内
国内
海外
生地メーカー
生地メーカー
生地メーカー
生地卸
染織業
アパレル
メーカー
製造
発注
• 生地メーカーと縫製
工場の距離が近いの
で安く運べる
• 為替の影響で安く仕
入れられる
生地
入荷
縫製工場
アパレル
メーカー
縫製
工場
海外生産
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SPAのメリット・デメリット
 近年、アパレルメーカーが販売店舗まで受け持つ“SPA”が台頭してきています。
 流通をシンプルにしてコストを抑えられたり、ニーズの高い商品を大量に販売できたり
するメリットがあります。
 一方で自社の在庫リスクが高くなるなどのデメリットも存在します。
メリット
デメリット
顧客ニーズに即した商品を、適切な
タイミングで販売することができる。
顧客の感覚とずれた場合は大幅な売
上減になるので、高い企画力、予測
が求められる。
中間コストを省き、より安価に商品
開発ができる。
品質低下を防止するため、生産現場
との密なコミュニケーションが必要。
安価に商品開発ができることで、粗
利率を高くできる。
売れ残りが出た場合は廃棄ロスが発
生する。
自社の商品なので、売り時に商品が
ないなどの、売り逃しが少なくなる。
流通量を柔軟にコントロールするた
め、企画から販売までの一貫したオ
ペレーションが求められる。
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ファストファッション
 デザイン性の高い商品が安価に入手できることで人気のファストファッションも、SPA
の業態を取っている企業が多くあります。
企業名
売上高(海外企業は1ドル=100円で算出)
ユニクロ
1兆1,430億円(2013年) 世界第4位
しまむら
4,911億円(2013年)
日本
GAP
アメリカ
1兆4,549億円(2012年) 世界第3位
FOREVER21
1,300億円(2007年)
Abercrombie
&Fitch
1,033億円(2013年)
OLDNAVY
その他
ZARA
2兆1,000億円(2013年) 世界第1位
H&M
1兆6,974億円(2012年) 世界第2位
TOPSHOP
4,304億円(2012年)
30
日本のアパレルメーカーと業態
 日本でも様々な企業がSPAの業態を取っています。
SPA志向
ZARA
ユニクロ
H&M
ファイブフォックス
ワールド
TSIホールディングス
サンエー・インターナショナル・東京スタイル
オンワード樫山
イトキン
ブランド絞込み型
多ブランド展開型
三陽商会
タキヒョー
レナウン
ワコール
ミズノ
グンゼ
アシックス
卸売志向
31
通販の拡大
 2012年~2013年で、服飾通販市場は前年度比110.8%の成長をしています。
 小売業界全体でEC販売が拡大していること、服飾ECサイトのスマホ対応が進められて
いることなどから、今後も服飾のEC販売は拡大していくことが予想されます。
(億円)
(億円)
18,000
60,000
110.8%
16,000
50,000
14,000
40,000
12,000
10,000
30,000
8,000
20,000
6,000
10,000
4,000
0
2,000
2012
2013
0
2012
2013
服飾の通販市場の大きさ
カタログ通販やテレビ通販も含めた、通信
販売全体での服飾の販売高。
小型拠点型通販
イ ン タ ーネッ ト 通販
モ バイ ル通販
WEB利用の通販市場の大きさ
小型拠点型通販はインターネット注文のう
ちコンビニ等で受け取れる形態の通販、イ
ンターネット通販はPCからの注文、モバイ
ル通販はスマートフォンからの注文を指す。
服飾以外の物品の販売も含む。
32
服飾業界の市場規模(小売)
 以下は、服飾小売の市場規模推移です。
 少子高齢化が進む中では、国内での大きな成長は見込めませんが、しばらくは横ばいで
推移していくと予測されます。
(百万円) 120,000
100,000
9,567
9,420
80,000
60,000
8,900
8,855
8,950
8,960
56,790
56,150
56,852
57,500
65,145
61,694
28,136
27,166
24,922
24,225
24,700
25,185
2007
2008
2009
2010
2011
2012
40,000
20,000
0
紳士服・洋品
婦人服・洋品
ベビー・子供服・洋品
http://www.yano.co.jp/press/pdf/1174.pdf
33
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
販売とは
 本パートでは、実際に顧客に商品を販売することのほか、商品を準備する・スタッフを
管理するなどの売場環境を整えることまでを、販売の仕事として扱います。
服飾製造と小売の主要な業務
販売
商品の回転、ディスプレイ、接客などを最適に保ち、消費者に商品
を販売する。店頭で実際に物を売る以外にも、商品の仕入れや系列
店間での商品移動なども販売領域の業務の一部。
マーケティング
予算に基づき、製造・販売する商品を企画し、展開する。また、商
品の売場(新規店舗開発や百貨店等での棚)を確保する。
デザイン
商品構成企画に基づき、商品をデザインする。
服単体のデザインに加え、ブランドコンセプトのデザインなども含
む。
製造
デザイン・型紙を基に、服を生産する。
生産管理や品質管理などの管理系の業務と裁断・縫製などの実際に
作る業務とに分かれる。
広報
社外(雑誌やTVなどのマスメディア)に向けて、商品を紹介したり、
ブランドコンセプトを宣伝したりする。特にメディア向けの商品貸
出しは、服飾業界の広報に特徴的な業務。
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主な仕事の分類
 直接商品を販売するのは実際の店舗ですが、商品や売場環境を整えるための業務は、店
舗と本部とが連携して行っています。
本部機能
店舗機能
(マーケティング領域)
商品の
管理
商品の仕入れ
商品ディスプレイ
複数店間での商品の配置
在庫品の管理
接客・販売
売場の
管理
(売場指導)
スタッフ教育
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仕事の概要と関係する職種
 各仕事の概要とその仕事を担当する職種は以下の通りです。
複数店間での
商品の配置
(売場指導)
商品ディスプレイ
在庫品の管理
効率よく商品を販売するため、店舗ごとに配
置する商品の種類や量を決める。
店舗の販売状況や接客の様子などを見て、売
り場責任者によりよい売り場作りの指導を行
う。
その商品を着るイメージを持ってもらえるよ
うに、ショップコンセプトが伝わるように工
夫しながら、商品を陳列する。
店頭に出していない商品を、店舗のストック
スペースで補完する。在庫数の把握、店頭へ
の随時補給などに注意する。
接客・販売
来店されたお客様の要望を掴み、商品を販売
する。
スタッフ教育
店舗スタッフに接客方法や態度、販売技術な
どを指導する。
• ディストリビューター
• エリアマネージャー
• スーパーバイザー
• 販売員
• シューフィッター
• ショップマネジャー
• ショップマネジャー
• インストラクター
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マーケティング部門との連携
 マーケティング部門では、お店のイメージとなるものや、予算などの販売の目標となる
ものを設定しています。
 販売部門では、販売業務を通してマーケティング部門で設定された目標を達成していく
ことが求められます。
ブランドコンセプト
・シーズンテーマ
イメージを
作るもの
ターゲット
• 20~30代、独身女性
• 事務系職
CM・広告
• 若い男女グループがビーチでにぎやかに走り回る
• モノトーンの背景に立つ外国人女性をアップから引い
て全身を写していく
マーケティングデータ
販売の目標
• 「カジュアル、トレンド、ボヘミアンをキーワードに
大人のリアルクローズを提案します」
• 「CLASSIC AMERICAN COOL」
• 商品に対する電話問合せ件数、内容
• WEBサイトの商品閲覧情報
重点商品
• トレンチコート、ライダースジャケット(○○エリア)
• ひざ上デニム、ニットパーカー(××地区)
売上目標
• ○○エリア売上目標
アウター XXX円
ボトムス △△円…
38
マーケティング部門との連携-商品の配置に生かす
 販売部門では、マーケティング部門で設定された販売の目標を達成できるような商品の
配置が必要になります。
マーケティングデータ
• 10代~20代前半の女性からの問い合わせが多
かった商品Aは、東京都西部エリアの中でも、
若年層のお客様が多い府中店に多めに配置する。
• 逆に30代のお客様が中心の調布店は少なめに
配置する。
重点商品
• トレンチコートAとデニムパンツBが重点商品
となっている北関東東部エリアには、上記商品
のほか、タイトスカートや大判のスカーフなど、
テイストが似ているクール・カジュアル系商品
を多めに配置する。
売上目標
• ロング丈が売れる東京都沿岸部エリアにはトレ
ンチコート、ショート丈が売れる渋谷・新宿地
区にはライダーズジャケットを多めに配置し、
全体としてアウター予算を達成する。
• 百貨店は△△円価格帯のみ、SCは○○価格帯
のみを配置して全体予算を達成する。
39
マーケティング部門との連携-売り場作りに生かす
 売場では買いたくなる雰囲気の演出が重要です。
 ブランドコンセプトを表現した演出をしつつ、売りたい商品をアピールする工夫が必要
になります。
ブランドコンセプト
・シーズンテーマ
重点商品
マーケティングデータ
売上目標
CM・広告
• 「フェミニン」な印象になるよう、バッグの前
にはスカーフを丸めて飾る、非売品のぬいぐる
みを飾る
• 重点商品のロングブラウスは、クール・カジュ
アルのコンセプトに合うよう、細見のベルトと
7分丈パンツを合わせて、マネキンを使って入
口に配置する。
• ブラウスのインナーになるキャミソール、羽
織って使えるカーディガンは、手に取りやすい
ようにブラウス近くの棚の上部に配置する。
• BGM,アロマ,照明などの商品以外の要素を工夫
する。
• 雑誌や掲載部分の切り抜きなどを展示し、着用
イメージや着こなしのヒントに使う
• 店内ディスプレイやタブレット端末などでイ
メージCMを流す
40
マーケティング部門との連携-接客に生かす
 お店を気に入ってもらうことは、商品を気に入ってもらうこと同様に大切なことです。
 お客様にブランドコンセプトの賛同者となっていただけるよう、接客の会話の中で十分
に魅力を伝えていく必要があります。
ブランドコンセプト
・シーズンテーマ
重点商品
売上目標
• テイストの異なるお客様に、ブランドコンセプ
トの「ラグジュアリー」感が出るような商品の
着方・付け方を提案する
• お客様が手に取ったニットのスカートに合わせ
て、重点商品のショート丈ジャケットを提案す
る。
マーケティングデータ
• ディスプレイを気にしているお客様に人気の高
い商品であることを伝える。
CM・広告
• 雑誌に掲載されたこと、ドラマで女優が着用し
たことなどを伝え、注目の商品であることをア
ピールする
41
デザイン部門との連携-デザイン部門の思いを理解する
 ブランドコンセプトとは別に、商品毎にもデザイナーの思いが込められています。
 販売部門でも、個々の商品に込められた思いを理解しておくことで、商品を最も魅力的
に提案することができます。
どちらが素敵な商品に見えますか
袖が外付きなので動き
やすく、肩が落ちるよ
うな形が女性らしいデ
ザインです。
ドットのインナーがかわい
らしく、カーディガンを重
ねたようなデザインで着こ
なしの幅が広がります。
パンツスタイル
がすっきり見え
る長さです。
レースとド
レープを使っ
ているので上
品に見えます。
ウエストを絞って
あるのでシャープ
な印象になります。
袖口が広いので
動きが出て優雅
に見えます。
42
デザイン部門との連携-一般的な服飾知識から商品の特徴を捉える
 デザイナーの思いのほか、服に採用される素材や使われている技術によって、どのよう
な効果があるかをあらかじめ知っておくことも、商品の理解に役立ちます。
生地の特徴
技術の特徴(プリーツ)
ローン
薄地で柔らかく、サラサラし
た手触り。透け感がある。
張りはあるが、膨張しすぎな
い。しわになりやすい。
アコーディオン
プリーツ
…
オックス
フォード
しなやかで光沢がある。
通気性がよく乾きやすく、し
わになりにくい。
アンブレラ
プリーツ
…
インバーティド
プリーツ
…
ボックス
プリーツ
…
薄手で柔らかいが張りがあり、
光沢は少ない。
ジョーゼット
ふんわりと淡い雰囲気が作れ
るが、膨張して見えることも。
サテン
薄手で柔らかく光沢があり、
ツルツルした手触りの良い生
地。張りが少なく体に沿った
シルエットになる
・・・
・・・
・・・
43
デザイン部門との連携-最適な提案
 商品の魅力、服飾についての知識を基に、お客様のニーズ・雰囲気・体型などに合わせ
て臨機応変に商品をアピールすることで、満足度の高い提案になります。
事前に準備できる要素
デザイン部門の
思い
一般的な
服飾知識
接客の場で判断する要素
• 用途
(普段用、お洒落用…)
• 雰囲気
(フェミニン、クール…)
• 体型
(サイズ、腰位置、脚の形…)
満足度の
高い提案
44
広報部門との連携-雑誌の活用
 広報部門で行う商品の貸出先の1つが雑誌社です。
 雑誌掲載の反響は大きいため、販売でも積極的な売り込みが可能になります。
 雑誌掲載の商品は早々に売れてしまうことも多いため、他店の在庫を確認したり、代替
となるような提案を考えておくことも重要です。
代替提案の準備
掲載商品
似た形
店舗A
雑誌を見た
お客様の来店
似た色
掲載商品の
在庫確認
似た素材
店舗B
45
広報部門との連携-TVの活用
 もう1つの主要な貸出先がTVで、アナウンサーやタレントなどが着用します。
 この場合、視聴者が出演者が着た服のブランドを知る機会は基本的にはありません。
 店頭ではTV使用時と似た着こなしをディスプレイしたり、接客トークに生かしたりする
ことで間接的に活用します。
• ○○TVの朝の番組で
はこんな着こなしで
した。
• 女優の△△さんがイ
ベントで着てくれま
した。
似た着こなしの
ディスプレイ
接客トーク
46
広報部門との連携-WEBサイトの活用
 WEBサイトには、商品情報のほか、特集企画、イベント、キャンペーン、新規開店など、
様々なコンテンツが掲載され、日ごとや週ごとなど短い期間に新しい内容が追加されて
いることも珍しくありません。
 店頭でもWEBサイトの動きと連動した販売活動ができるよう、注意を払う必要がありま
す。
NEWS
冬の着こなし
先取りヒント
冬一番
キャンペーン
・・・
・・・
• WEBで提案された着こなしのディ
スプレイ
• 店舗の特色に合わせてアレンジした
企画を展開
• 店頭でもキャンペーン案内
• WEBサイトへの誘導
47
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
マーケティング部門の主な業務
 今回はマーケティング部門の業務概要および他部門との関係について学習します。
 マーケティング部門では、基本的に下記の業務を行います。
服飾製造と小売の主要な業務
販売
商品の回転、ディスプレイ、接客などを最適に保ち、消費者に商品
を販売する。店頭で実際に物を売る以外にも、商品の仕入れや系列
店間での商品移動なども販売領域の業務の一部。
マーケティング
予算に基づき、製造・販売する商品を企画し、展開する。また、商
品の売場(新規店舗開発や百貨店等での棚)を確保する。
デザイン
商品構成企画に基づき、商品をデザインする。
服単体のデザインに加え、ブランドコンセプトのデザインなども含
む。
製造
デザイン・型紙を基に、服を生産する。
生産管理や品質管理などの管理系の業務と裁断・縫製などの実際に
作る業務とに分かれる。
広報
社外(雑誌やTVなどのマスメディア)に向けて、商品を紹介したり、
ブランドコンセプトを宣伝したりする。特にメディア向けの商品貸
出しは、服飾業界の広報に特徴的な業務。
49
来年秋に売り出す商品をデザインしてください
 貴方は服飾ブランドのデザイナーです。
来年秋に販売する商品を何点かデザインしてください。
これだけの指示で、これは売れる!と思える商品をデザインできますか?
どんな情報が不足しているでしょうか?
50
商品を作る前に考えること
 前頁で考えてもらった通り、決まりごとが何もない状態では商品は作れません。
来年秋に販売する商品を何点かデザインしてください。
誰に売るのか?
何を売るのか?
どのように売るのか?
自宅や近所などで動きやすくくつろぎやすい
いつでも着られるように洗濯しやすくて形が崩れにくい
来客や日常の買い物でも使える程度にしっかりした
51
マーチャンダイジング
 「何を」「誰に」「どのように」売るのか?を決めることをマーチャンダイジング
(MD)といい、マーケティング部門の主要な業務です。
計画の具体例
何を売るのか?
• 何を(どんな種類の商品を)売るのか?
• いくらで売るのか?
• いくつ売るのか?
誰に売るのか?
• 何歳の人に売るのか?
• どんな仕事の(ライフスタイルの)人に売るのか?
• いつ(どんな時に)着るものを売るのか?
どのように売るのか?
• どの売場を使うのか?実店舗?EC?カタログ?
• どうやって消費者に知ってもらうか?
• キャンペーンやポイント施策などはやるのか?
52
マーチャンダイジングの流れ
 マーチャンダイジングは以下のような流れで進められます。
基礎情報の
調査分析
前年の実績や流行、原料産地や生産拠点の状況な
ど、計画の根拠となるような情報を集めて分析す
る。
基本方針の決定
収集・分析した情報をもとに、予算(仕入、製造、
販売にかかる金額や売上予想など)の規模や、各部
門の基本方針などを決定する。
商品企画
•
•
•
•
素材計画
デザイン計画
商品構成案
展示会企画
営業・販売方針
•
•
•
•
•
営業・販売予算
営業計画
販売計画
価格計画
展示会企画
生産計画
• 生産計画
• 物流計画
53
マーケティング部門の仕事概要と関係する職種
 本講座では、調査分析を経て各部門の計画を立てる以外にも、商品のバイイングや服飾
製造における営業もマーケティング部門の仕事と考えるものとします。
基礎情報の
調査分析
全ての基本方針の策定根拠となる情報集め、
流行や売上の予測を立てる。
基本方針の決定
商品企画、生産、宣伝、販売の各部門の基本
方針を策定する。
商品企画
営業・販売方針
生産計画
基本方針に基づき、いつ何をするか、何がど
のくらい必要かなどの具体的な計画を立てる。
• マーチャンダイザー
• マーチャンダイザー
• 各部門責任者など
バイイング
商品企画や販売計画に基づいて、販売する商
品をメーカーなどから購入する。
• バイヤー
営業
(服飾製造など)小売店に向けて、新規に商品
を販売したり、売り場を広げたりできるよう
に働きかける。
• 販路開拓
(営業、営業マネジャー)
販売促進
• セールスプロモーター
54
販売部門との連携-販売情報
 売上情報や在庫情報などの販売の結果は、販売部門の結果という以外にも、マーケティ
ング、デザイン、製造、広報など全部門の計画の結果という点で重要です。
 企業活動の結果として、
販売部門から
売上情報
売上商品
売上金額
店舗
エリア
時期
マーケティング部門
在庫情報
在庫商品
在庫金額
返品
移動
処分
各種計画・予算
比較
次期・次年度の計画へ
予算、生産、宣伝、販売
55
販売部門との連携-顧客情報
 販売部門から得られるもので、販売情報同様に重要なのがお客様情報です。
 来店のみのお客様についても、次の計画を立てる上では注意する必要があります。
販売部門から
得られる情報
• お客様の属性(性別/職業)
• 買い方(来店の動機、購入商品種別、購入点
数、購入価格帯など)
• 店舗カード(所持の有無、作成の有無)
• (購入の有無)
販売部門に
依らない情報
• 周辺地域(来店可能エリア)のお客様情報
• 周辺/同モール/同フロア店舗のお客様情報
56
デザイン部門との連携-商品企画
 商品企画に関する部分に関しては、デザイン部門と連携して行うケースが多くあります。
基礎情報の
調査分析
基本方針の決定
商品企画
•
•
•
•
営業・販売方針
生産計画
素材計画
デザイン計画
商品構成案
展示会企画
57
デザイン部門との連携-商品企画の流れ
 商品基本方針を基に、企画の原案を作り、素材、デザイン、商品構成を決めていきます。
素材計画
商品企画の
基本方針
商品企画原案
• シーズンテーマ
• 素材・カラー・デザイ
ンのコンセプト
• 商品構成案
• 価格帯
などを検討する。
• 用途別の使用素材
• 素材入手方法(開発/仕
入れ)
• 準備する素材ロット
などを検討する。
商品構成
• 素材-デザイン関連図
表
• ブランド別アイテム別
商品構成
など
デザイン計画
• デザイン構成
• デザイン画作成
などを行う
58
デザイン部門との連携-デザイン部門からの情報
 予算や仕入れ、製造ラインなどの要素は自由度が低く、企画できる商品はある程度決
まっています。
 ただし、商品企画にはファッションに対する「感度」も重要な要素であり、感度に敏感
なデザイン部門と共同で行うケースも多くあります。
ファッションの「感度」に関する情報
ファッションの
流行
• 国内外のファッションショー情報
• ハイブランドのコレクション情報
• ショービジネス情報
(話題の映画や映画祭、セレブリティ主体のパーティなど)
ライフスタイル
• ファッション以外の流行
(食品、趣味、エンターテイメントなど)
• 志向性を示すキーワード
(オーガニック、ラグジュアリー、本物志向など)
芸術性
• 美術
• 建築
• 音楽
59
製造部門との連携-原材料関連の情報
 服飾製造の原材料となる生地や副資材は、これらを専門とする国内外の企業から仕入れ
るのが一般的です。
 これらの価格や産地状況は商品企画時に確認、製造部門と情報を共有しておく必要があ
ります。
生地産地の状況
流通量や仕入れ価格に影響
天候
気温、降水量、災害など
政情
選挙、デモ、ストライキ、政変(クーデター)
生地原価の変動状況
仕入れ種類数、商品構成に影響
天然繊維 綿花、麻、亜麻、羊毛、生糸、カシミヤ
合成繊維 原油、コットンリンター
60
製造部門との連携-原材料関連の情報
綿価格の推移
原油価格(中東)の推移
120
140
100
120
100
80
2012/01
60
101.11
40
20
2013/01
85.51
2014/01
90.96
2014/10
70.34
0
1ポンドあたりUSセント
コットン・アウトルック社(英)公開情報より
1ポンド=0.45Kg
80
2012/01
60
109.54
40
20
2014/01
104.19
2013/01
107.54
2014/10
86.72
0
1バレルあたりUSドル
東京商品取引所価格より
1バレル=159リットル
61
製造部門との連携-製造拠点の情報
 現在日本の服飾業界では、企画・デザインは国内で行い、製造は発展途上国を中心とし
た海外の協力工場に依頼するのが主流です。
 これらの国は、人件費や工員の熟練度の変動が激しく、また、政治情勢が不安定な場合
もあり、その時その時で状況を見極める必要があります。
製造拠点の情報
スタッフに
関すること
• 人件費
• 熟練度
• 経済発展による人件費の高騰
• 入れ替わりの激しさよる熟練度の低下
設備に
関すること
• 製造設備
• 製品の得手・不得手
• 製造ラインの自由度
• 設備の新しさ、メンテナンス状況
• 得意生地(厚い薄い、織りなど)
• 小ロット生産の可否
物流に
関すること
• 国内の移動コスト
• 国家間の移動コスト
• 鉄道、道路の整備状況
• 港湾の状況、関税
• 政治情勢
• 為替
• デモ、ストライキ、選挙
その他
製造国のこと
62
広報部門との連携-メディア露出の頻度
 ブランドイメージの良し悪しや認知の広さは、間接的に売上に繋がるものであり、露出
数や露出の質は重要です。
広報活動
活動結果
プレスリリース
メディア対応
• どのような媒体に掲載されたか
• いくつの媒体に掲載されたか
• 掲載内容に企業イメージの相違はなかったか
商品貸出(雑誌)
•
•
•
•
商品貸出(TV)
展示会開催
WEBサイト運営
どのような雑誌に掲載されたか
掲載商品数はいくつあったか
紙面での扱いはどのようなものだったか
ブランドコンセプトは正しく表現されていたか
• どのような番組で採用されたか
• 採用件数はいくつあったか
• どのような取り上げ方がされていたか
• 来場していただいた取引先企業はどこか
• 商談に繋がった商品はどの程度あるか
• メディアの取材や露出はあったか
• 平常時のWEBサイトのアクセス状況はどうだったか
• イベントやキャンペーンに対する反応はどうだったか
• (ECの場合)どの商品がどの程度売れたか
63
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
デザイン部門の業務
 今回はデザイン部門の業務概要および他部門との関係について学習します。
 デザイン部門では、基本的に下記の業務を行います。
服飾製造と小売の主要な業務
販売
商品の回転、ディスプレイ、接客などを最適に保ち、消費者に商品
を販売する。店頭で実際に物を売る以外にも、商品の仕入れや系列
店間での商品移動なども販売領域の業務の一部。
マーケティング
予算に基づき、製造・販売する商品を企画し、展開する。また、商
品の売場(新規店舗開発や百貨店等での棚)を確保する。
デザイン
商品構成企画に基づき、商品をデザインする。
服単体のデザインに加え、ブランドコンセプトのデザインなども含
む。
製造
デザイン・型紙を基に、服を生産する。
生産管理や品質管理などの管理系の業務と裁断・縫製などの実際に
作る業務とに分かれる。
広報
社外(雑誌やTVなどのマスメディア)に向けて、商品を紹介したり、
ブランドコンセプトを宣伝したりする。特にメディア向けの商品貸
出しは、服飾業界の広報に特徴的な業務。
65
デザイナーの仕事
 デザイナーの仕事のうち、もっとも大きなものはデザイン画を描くことです。
 デザイン画を描くためには、テーマや素材などの、情報が必要になりますが、商品企画
よりのデザイナーほど、このような準備段階からかかわっていくことになります。
企画情報
ブランドコンセプト
シーズンテーマ
品揃え
素材
色の企画
• 自身のアイデア
• センス
66
デザイナーの種類
 商品を企画し、素材を作り、デザインするのがデザイナーの仕事です。
 ただし、着る人や着る目的などによって、商品の種類は数多く存在しており、特に大き
い企業や専門企業であるほど、商品毎の専門デザイナーが存在します。
主なデザイナーの種類
レディスデザイナー
メンズデザイナー
ニットデザイナー
色や形などのデザインの自由度が大きく、パーツ単位にデザイン
することも多い。また、使える生地や服の種類も多いため、生地
毎、服毎に専門が分かれている場合もある。
婦人服に比べてデザインの自由度が小さく、ある程度決まった形
を基にしたデザインが主流。そのため、パターンや素材などに紳
士服の伝統的知識が求められる。
ニット(編物)やカットソーなどのデザインを行う。編みながら形
を作っていく服であるため、デザイナーが糸や編み方のデザイン
も行う。このため、他の服よりもデザイナーが関わる期間も長い。
子供服デザイナー
成長段階ごとの運動機能や体型を考慮した商品作りが求められ、
また、多様なサイズに対応する必要がある。
布帛、ニット、小物など、1人に任される商品の種類が多い。
グッズデザイナー
ネックレスや指輪のような所謂アクセサリーから、靴、鞄、ベル
トなどの革製品、スカーフや靴下などの布製品まで、幅広い小物
がある。ジュエリーデザインや皮革デザインなどは、専門知識が
必要な場合がある。
67
パタンナーの仕事
 デザイン画をそのまま縫製工場に持ち込んでも、製造に入ることはできません。
 実際の服を作っていくためには、デザイン画から型紙を作成するパターンメーキングの
仕事が必要になります。
デザイナーの仕事
デザイン画
パタンナーの仕事
パターン
縫製仕様書
68
アートとしての服飾
 世界的に有名なパリ・コレクションをはじめ、ファッションショーでは斬新なデザイン
や変わった素材などを利用した衣装が登場します。
Iris van Herpen : 11/12秋冬パリ・オートクチュールコレクション
WALTER VAN BEIRENDONCK : 12春夏パリ・メンズコレクション
これらの服は誰が着るのでしょうか。
69
売れる服を作る
 前頁で紹介したような服の数々は、話題性は抜群ですが、日常的に着て生活できるよう
な服ではありません。
結婚式に着る
ドレスが欲しい
アートとしての服
衣類としての服
面白い!注目されそう。
可愛い!イメージに合う。
さすがに着ていけないな…
地味すぎず派手すぎず。
動けない…大きすぎる…奇抜すぎる…
70
売れる服を作る
 服飾デザインというとクリエイティブなイメージが強いですが、企業のデザイン部門で
は、ブランドコンセプトなどを表現しつつ、市場に受け入れられる、売れる服をデザイ
ンすることが重要です。
アートとしての服
•
•
•
•
ブランドコンセプトを自由に表現する
ブランドイメージを世間に印象付ける
ブランド認知を高める
デザイナーの力量・センスを表現する
衣類としての服
• ブランドコンセプトを表現しつつ
• 実用性のあるデザイン
• 購入可能な価格
71
デザイン部門の仕事概要と関係する職種
 本講座では、商品企画(素材・デザイン計画など)から、製造部門に製造データを渡すと
ころまでをデザイン部門の業務として扱います。
 具体的には、計画を基にデザイン画を描くほか、パターン作成やグレーディングもデザ
イン部門業務に含みます。
商品企画
糸・生地作り
商品デザイン
パターン作成
マーチャンダイザーと共に商品企画を行う。
使用する素材、商品構成、デザインの方針な
どを決定する。
デザイナー主体の企業において発生する業務。
デザインする服に使用する生地、およびそれ
を織る糸を考案する。
商品企画同様、デザイナー主体の企業におい
て発生する業務。
商品企画に基づいて、商品の素材、色、形を
決めて、商品をデザインする。
デザイン画を描くのが業務の中心。
デザイン画を立体にイメージし直し、型紙を
作成する。
現在はCADを利用することが多い。
• デザイナー
• パタンナー
72
販売部門との連携
 企業の中でデザインの仕事をする上では、常に流行の先を見るセンスと同時に、売れる
デザインの研究が欠かせません。
 売れるデザインを作り続けるためには、お客様と最も近い販売部門の情報・動向も意識
する必要があるでしょう。
アーティストの視点での情報収集
• 国内外のファッションショー
• エンターテイメント
• ファッション以外のアート
マーケティング視点での情報収集
•
•
•
•
•
売れているデザイン
店舗におけるコンセプトの再現度
ショップスタッフのコンセプト理解度
お客様のコンセプト理解度
お客様のスタイル(メイク、ヘアスタ
イル、小物使い、ライフスタイル…)
• お客様の好み
 販売データ
 販売員の意見
 現場の確認
販売部門の情報・動向
73
マーケティング部門との連携-展示会の開催
 商品企画後は、マーケティング部門や広報部門と連携し、展示会を開催します。
商品企画
サンプル製作
• パターン作成
• サンプル製作
• デザイン修正
展示会開催
生産
• 商品の受注
• 最終パターンと
(種類、数量)
• 縫製仕様書の
• 修正・変更
作成・受渡し
(色柄、形、サイ
ズ展開)
デザイン部門の役割
• 展示会の企画
• ブランドを表現した商品
の展示
• 取引先やメディアへのコ
ンセプト等の説明
• 取引先とのデザイン修
正・変更調整
• 修正済パターンの作成
74
製造部門との連携-工場への指示
 服を製造するための設計書ともいえるのが、縫製仕様書です。(呼び方は様々あります)
 これによってすべての縫製指示を行うことになるので、正確な記述が求められます。
企画側で伝えるべき情報、縫製側で必要な情報は様々なので、
企業ごとに独自のフォーマットが存在する。
75
製造部門との連携-工場との関係作り
 アパレルメーカーでは、現在海外の縫製工場を利用することが多く、また、小規模企業
では、パターン以降はすべて外注、という企業もあります。
 デザイン部門と工場との関係が遠くなると、商品の出来がイメージと異なってくること
も珍しくありません。
 工場とのやり取りは基本的には製造部門が行っていますが、デザイン部門でも現地を見
学などすることで、より良い商品づくりに繋がります。
パターンから外注
デザイン画作成
パターン作成
生産のみ外注
生産
現地確認
ファーストサンプル
確認
76
広報部門との連携-広報を通した一般認知
 商品やブランドは、雑誌やTVなどのメディアを通して一般の認知を図り、販売に繋げて
いくことになりますが、メディア露出を企画し、実行していくのが広報部門です。
 服に対する思いを正しく、魅力的に消費者に伝えるため、デザイン部門から広報部門へ、
これらに関する情報を正しく伝えていく必要があります。
消費者
雑誌
ブランドコンセプト
シーズンテーマ
デザイナーの思い
商品の魅力
広報部門
TV
消費者
イベント
消費者
77
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
広報部門の業務
 今回は広報部門の業務概要および他部門との関係について学習します。
 広報部門では、基本的に下記の業務を行います。
服飾製造と小売の主要な業務
販売
商品の回転、ディスプレイ、接客などを最適に保ち、消費者に商品
を販売する。店頭で実際に物を売る以外にも、商品の仕入れや系列
店間での商品移動なども販売領域の業務の一部。
マーケティング
予算に基づき、製造・販売する商品を企画し、展開する。また、商
品の売場(新規店舗開発や百貨店等での棚)を確保する。
デザイン
商品構成企画に基づき、商品をデザインする。
服単体のデザインに加え、ブランドコンセプトのデザインなども含
む。
製造
デザイン・型紙を基に、服を生産する。
生産管理や品質管理などの管理系の業務と裁断・縫製などの実際に
作る業務とに分かれる。
広報
社外(雑誌やTVなどのマスメディア)に向けて、商品を紹介したり、
ブランドコンセプトを宣伝したりする。特にメディア向けの商品貸
出しは、服飾業界の広報に特徴的な業務。
79
一般的な広報活動
 一般的に広報とは、活動内容や商品について情報発信を行い、これらの内容や企業その
ものについての認知を高める活動です。
 情報を広める手段としてはメディアが利用されるため、広報活動は消費者を意識しつつ
も、メディアを対象として行われます。
伝えたい情報
• 商品に関する情報
-新商品
-ブランドコンセプト
-提案するスタイル
-品質
• 企業に関する情報
-経営理念
-将来のビジョン
-社会貢献活動
広報部門
メディア
担当者
情報の整理
情報の取捨選択
世間へ
80
広告との違い
 メディアを通して情報伝達という意味で、広報と広告はよく似ていますが、メディアに
対する広告料の発生の有無で区別することができます。
広報
広告
メディアへ対価
なし
あり(広告枠の購入)
掲載の確実性
不要と判断されれば
掲載されない
必ず掲載される
掲載の決定権
メディア(掲載する側)
企業(掲載される側)
掲載時期、方法
メディアが決める
企業が決める
掲載形態
記事・報道
広告・CM
81
広報の重要性
 広報は、やれば必ず取り上げてもらえるというものではありませんが、メディアの取捨
選択を受けている分、内容が客観的で消費者への説得力が高く、成功すれば広告よりも
より強力な「ファン」を獲得できます。
 広告が、短期に売上に繋げるのに有効であるのに比べ、広報はより長期にゆっくりと売
上を作っていく活動とも言えます。
説得力の違い
記事
・番組
特集が面白そう。
この雑誌を買ってみよう
自分から
見てもらえる
この前テレビで
やってた会社だ
記憶してもらえる
広告
・CM
○○社の技術って
すごいんだな!
大げさで面白い
CMだな!
本当だと
思ってもらえる
誇張があることが
前提になっている
CMだから
トイレに行ってこよう
意図して避けられる
そんなCM
あったかな?
記憶に残りにくい
82
メディアを介さない広報活動
 最近では、WEBサイトやSNSなどを利用し、メディアを介さずにPR活動を行う企業も
増えてきました。
 直接反応が得られたり、反応の様子をリアルタイムに計測したりすることができるなど
のメリットがあります。
WEBサイト
SNS
消費者
消費者
アクセスログの確認
「いいね」の数
シェアされた回数
RTされた回数
付けられたコメント
83
服飾業界における広報部門の主な業務内容
 服飾業界の広報部門では、特長の異なる、広報と広告の両方の業務を行うケースが多く
あります。
 WEBサイト運営の一環としてオンラインショップを管理するケースもあるなど、活動内
容は多岐に渡ります。
広報(PR)活動
•
•
•
•
•
ニュースリリース
出版
PR誌
PRイベント
各種タイアップ
(音楽、映画、番組)
• 企業コラボレーション
メディア広告出稿
•
•
•
•
•
•
テレビ
ラジオ
新聞
雑誌
交通広告
野外看板
SP広告出稿
WEBサイト運営
• WEBサイト
• オンラインショップ
• オンラインモール出店
•
•
•
•
•
会社案内
DM
ホームページ
プロモーションビデオ
POP
インターネット広告出稿
• バナー広告
• リスティング広告
SNS解説・運営
• ブログ
• Facebook
• twitter
ブランド浸透ツール作成
• コンセプトブック
• 経営理念・方針の公開
84
商品の貸出し
 服飾業界における広報部門の業務で、最も特徴的なのが、商品の貸出しです。
 特に雑誌への貸出しは重要で、雑誌側では、記事ページのほとんどが貸出し商品を使っ
たコンテンツであり、また、メーカー側でも、掲載された商品は売り上げが上がるため、
持ちつ持たれつの関係になっています。
アパレルメーカー
雑誌社
消費者
記事作成
購読
¥
可愛い!
85
広報部門の仕事概要と関係する職種
 広報部、またはアタッシェ・ドゥ・プレスとして、幅広い業務を行います。
 メディア対応の機会が多いので、人脈や経験が必要であり、他社の広報経験者や他部門
からの転向が多い部門です。
商品貸出し管理
雑誌、TVへ商品を貸出す。
編集者やスタイリストへの掲載アプローチ活
動を行う。
掲載紙確認
掲載紙の内容確認し、掲載結果を報告する。
ファイリング・ブックを作成する。
展示会等開催
ニュースリリース
WEBサイト
運営
広告
展示会や自社主催のパーティの準備を行う。
招待状の作成・送付や、メディアへの案内等。 • 広報
• アタッシェ・ドゥ・プレス
各種のお知らせを記事にして、メディアに向
けて発表する。
記者会見やWEBサイト掲載など。
自社のWEBサイトやオンラインショップサイ
ト、SNSなどの運営を行う。
宣伝・広告を出稿する。
86
販売部門との連携-販促効果を見極める
 広報活動は主にメディアを対象としたものですが、雑誌やテレビなどへの露出は販促活
動の一種と捉え、販売の結果は意識しておくようにするといいでしょう。
大宮店
雑誌A
浦和店
雑誌B
春日部店
1.大宮・浦和店に影響力のある雑誌A,Bに、両店で売れ筋の商品の掲載をアピールする。
2.春日部店の売上に対する反応がよさそうなメディアを開拓する。
太線は掲載商品の販売数が増加したことを示す
87
マーケティング部門との連携-プロモーション戦略
 広報活動は、営業・宣伝に関する基本方針に基づいて計画されます。
活動の種類
営業基本方針
• どのエリアに
• どんな商品を
宣伝基本方針
• 誰向けに
• どんな手段で
•
•
•
•
雑誌掲載
会見
展示会
デザインブック作成
企画の具体化
具体計画作成
コンタクトする人・企業
• メディアA社
• 企画B社
• 編集C社
88
デザイン部門との連携-「思い」を形にする
 対メディアの窓口として、デザイン部門との意識合わせは欠かせません。
 また、デザイン部門の思いを、文章や映像などのコンテンツに正確に表現するセンスも
必要になります。
デザイン部門の
思いを正確に理解
デザイン部門
広報部門
文章や映像などで
正確に表現
メディア
担当者
世間へ
89
製造部門との連携-社会に向けて発信する
 広報部門では、ブランドや商品関連以外にも、様々な事柄について情報発信を行います。
 品質管理の取組みや、流通経路の短縮などの、製造部門に関する情報もその一部です。
品質向上
修理・リサイクル
の取組み
ホームページ
掲載
一般社会
ロス・廃棄削減の仕組み
⇒資源有効活用
流通経路短縮
⇒CO2削減効果
企業リーフレット
作成
消費者
シンポジウム等
出席
労働環境の整備
90
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
製造部門の業務
 今回は製造部門の業務概要および他部門との関係について学習します。
 製造部門では、基本的に下記の業務を行います。
服飾製造と小売の主要な業務
販売
商品の回転、ディスプレイ、接客などを最適に保ち、消費者に商品
を販売する。店頭で実際に物を売る以外にも、商品の仕入れや系列
店間での商品移動なども販売領域の業務の一部。
マーケティング
予算に基づき、製造・販売する商品を企画し、展開する。また、商
品の売場(新規店舗開発や百貨店等での棚)を確保する。
デザイン
商品構成企画に基づき、商品をデザインする。
服単体のデザインに加え、ブランドコンセプトのデザインなども含
む。
製造
デザイン・型紙を基に、服を生産する。
生産管理や品質管理などの管理系の業務と裁断・縫製などの実際に
作る業務とに分かれる。
広報
社外(雑誌やTVなどのマスメディア)に向けて、商品を紹介したり、
ブランドコンセプトを宣伝したりする。特にメディア向けの商品貸
出しは、服飾業界の広報に特徴的な業務。
92
製造時に発生するトラブル
 縫製工場のスタッフはプロの職人であり、一通りの技術を有していますが、それぞれが
自由に、自分の思う通りに製作を行うと、様々な問題が発生します。
赤の製品の
ポケットは
ほつれやすい
緑の商品は
裾が0.5mm
長いな
契約の日に
間に合わな
いって?
縫い方は同じ
なんだけど、
赤と青はどうも
感じが違うなぁ
100着に1着
も不良品が混
じっている
途中工程の
スタッフは
暇そう
もう少し早
く作れそう
なのに
布の
裁ち誤りが
多いようだ
端材がたくさ
ん出てしまう
93
生産管理業務とは
 前頁のような、品質のばらつき、コスト嵩み、計画の遅れなどを極力減らすために必要
なのが生産管理です。
 生産管理業務とは、主に下記の3つの業務に分けられます。
生産管理
品質管理
原価管理
工程管理
• 縫い方やステッチなど
の縫製
• ボタン・ファスナー・
ポケットなどのパーツ
• 作りこみや形などのデ
ザイン
これらの正確さ、丁寧さ、
美しさを維持する。
• 素材や副資材などの仕
入れ原価
• 生産ロスの点数、端材
の量
• 工期
これらを小さく、短くす
るなどして、原価を圧縮
する。
• 工程の効率
• 作業進度
これらを適切に保ち、納
期遅れを防止する。
94
適時適品を実現する
 服飾製品の製造から販売までには、様々な企業や国が関係するため、モノ(製品や商品)
の流れは複雑になります。
 売り時に商品を店頭に並べておくためには、モノの流れ(=物流)を適切に、効率的に
管理する必要があります。
限られた期間
売り時を逃さないため、
生産決定から販売まで
のリードタイムは小さ
くするのが原則。
物流にかかる時間も短
いほど良い。
限られた流通手段
国家間の移動は船また
は飛行機のみで、ルー
ト変更や輸送時間短縮
は難しい。
商品の出着点(工場や
販売拠点)と、港や空
港を結ぶ陸路の効率化
が重要。
限られたスペース
売れるときに
売れる商品を並べる
工場、倉庫、店舗の
バックヤードにおける
商品数には限りがある。
過剰在庫にならないよ
うに注意しつつ、各所
に必要数を揃える必要
がある。
95
物流の基本的な流れ
 物流は製造部門業務ではありませんが、商品の起点となる部門として、物流は意識して
おくべき要素です。
 以下は物流の基本的な流れですが、企業の形態や規模、各拠点の所在地、物流の外注化
などにより、各社に最適な物流のパターンは様々です。
テキスタイル
メーカー
様
々
な
企
業
が
関
わ
る
アパレル
メーカー
生地搬入
生地発注
商品保管
(倉庫)
製造契約
縫製
工場
製造
出荷
(倉庫)
商品納入
卸
出荷指示
小売
商品発注
情報の流れ
物の流れ
小売店配置
(倉庫)
96
製造の流れ
 服飾製造は概ね以下の流れで行われます。
 同じ品質の製品を大量に作るため、検査や確認の工程が多くあります。
受注
入荷
生地・副資材(各種メーカーから)、パターン・仕様書(ア
パレルメーカー:発注者から)をそれぞれ受け入れる。
検反
生地の検査を行う。検査内容は、生地の幅・長さ、織
斑・キズ・汚れなど。欠点箇所を避けて利用するため。
確認
パターン、仕様書の確認を行う。元のパターンを基に、
量産用パターンに微調整することもある。
裁断
マーキング(生地にパターンを当てる)を行い、パターン
通りに生地を切り分ける。
縫製
芯地接着、縫製、プレスを行い、服を仕立てる。
ブランドタグ付けや、品質表示・洗濯表示タグも付ける。
仕上検査
包装
検針(針などの異物混入の有無)、検品(品質の良し悪しの
確認)を行う。
ビニールかけなどの出荷準備を行う。
出荷
97
製造部門の仕事概要と関係する職種
 多くの場合、服飾製造卸業者や小売業者では、管理系の業務のみ行っており、実際の製
造は別企業が担っています。
生産管理
物流管理
製造工場とのやり取りを通して、製品の品質、
製造の作業効率、素材の利用効率などが、一
定の水準を保つように管理する。
• 生産管理者
また、発注先工場の選定も行う。
(服飾製造卸・小売)
• 生産管理者
製品を工場から倉庫などに配送し、さらに小
(取引会社・工場)
売業者に売り渡されるまでの、製品の流れを
管理する。
パターン作成
デザイン部門で作成したパターンを量産可能
な形に微調整する。
• パタンナー
(取引会社・工場)
製造
実際に布を裁断し、縫い合わせて製品を製造
します。
タグ・ネーム付けやカバーリング等も行いま
す。
•
•
•
•
服飾
・小売
取引会社
(製造工場)
マーカー
裁断士
ソーイングスタッフ
フィニッシャー
98
販売部門との連携-品質向上に努める
 日本の消費者の高い要求に応えるため、製造部門でも、常に品質向上を求める努力が必
要になります。
 品質向上のためには、各部門から集められた情報を総合的に分析する必要がありますが、
消費者に近い販売部門からは、実際の消費者の声を集めることができます。
お客様の生の声
• 販売スタッフやお客様センターに寄
せられるクレームやご意見
スタッフの意見
• 試着時のフィット感、お客様の反応
の良し悪し
• 返品・交換・クレームの多い商品
• 売りにくい商品と売りやすい商品
システム情報
• 販管システムなどに蓄積される、値
引きや返品・交換情報
品質管理
• 品質基準の見直し
• 製造工程の見直し
• パターンの確認
99
販売部門との連携-流通量を調整する
 商品の生産数や配置数は、生産・販売計画を基に決められていますが、売行きや生産拠
点でのトラブルなどで、計画通りの流通量とならないこともあります。
 販売側の情報(売上数・在庫数)と生産計画を突き合わせ、常に適切な流通量を保てるよ
うな発注・生産対応を行う必要があります。
工場
工場
店舗
店舗
生産管理システム
販売管理システム
• 計画数
• 予約数
• 生産数
• 納期
• 倉庫在庫数
• 出荷数
• 素材別在庫量
etc
• 入荷数
• 販売数
• 在庫数
• 販売金額
• 原価
etc
生産工程の調整
納期の調整
店舗
店舗
100
マーケティング部門との連携-企画と製造の関係
 製造部門の仕事も、マーケティング部門策定の生産基本方針を基に計画されます。
 新規の商品の本格的な計画・製造、商品化が決まってから始まります。
 企画段階でも、サンプル製作で参加する場合があります。
XX年春
コレクション
企画・デザイン
企画・
デザイン
XX年夏
(マーケ コレクション
ティング)
XX年秋
コレクション
XX年春
コレクション
製造
XX年夏
コレクション
企画・デザイン
企画・デザイン
サンプル
製作
生産計画・製造
サンプル
製作
生産計画・製造
XX年秋
コレクション
企画デザインが終了してから、
製造がおこなわれる
101
マーケティング部門との連携-流通量を調整する
 生産・販売の計画と実績のずれによっては、流通量の調整が必要になります。
 生産量や納期の大幅な変更を伴う場合には、マーケティング部門も交えた計画の見直し
が必要になります。
工場
工場
店舗
店舗
生産管理システム
販売管理システム
• 計画数
• 予約数
• 生産数
• 納期
• 倉庫在庫数
• 出荷数
• 素材別在庫量
etc
• 入荷数
• 販売数
• 在庫数
• 販売金額
• 原価
etc
マーケティング部門の
判断
店舗
店舗
生地・副資材発注数の調整
生産量の調整
102
デザイン部門との連携-デザイン部門の意向を把握する
 商品製造以外にも、商品企画段階におけるサンプル製作も、製造部門の業務です。
 サンプルを通してデザイン部門とやり取りをしながら、デザインの意図を正確につかみ、
生産管理にも生かしていくことが求められます。
サンプル製作は複数回行われる
商品化
決定
展示会
デザイン
製造
ファースト
パターン
デザイン・
パターン
調整
デザイン・
パターン
調整
工業用
パターン
デザイン・
パターン調整
サンプル1
サンプル2
サンプル3
サンプル4
サンプル5
展示会用サンプル製作
量産用サンプル製作
103
広報部門との連携-ブランドイメージの向上
 品質の維持、製造環境の向上、原料へのこだわりなど、製造部門の各種の取組みは、ブ
ランドイメージの向上につながる要素を含んでいます。
製造部門の取組み
ISOの取得
高い
品質管理基準
オーガニック
素材の利用
広報活動
ブランドイメージ
の向上
クリーンな
製造ライン
労働環境の
整備
104
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
販売系職種のマップ
販売上級職種
販売員
エリアマネジャー
ディストリビューター
スーパーバイザー
バイヤー
ショップ
マネジャー
ビジュアル
マーチャンダイザー
販売以外の専門性
も加味した職種
インストラクター
106
販売員
107
販売員の仕事
 販売員はファッションアドバイザーとも呼ばれ、実際に売場に立って、接客し、商品を
買ってもらうのが主な仕事です。
 接客以外にも様々な仕事があります。
販売員の主な仕事
①接客・販売
お客様への対応
商品の提案や試着
の案内
②会計
商品の購入手続き
を行い、お金を受
け取り、商品をお
渡しします。
③陳列・整理
店内の商品・装飾
のレイアウトを行
います。
また、広げられた
商品をたたんで整
理します。
④商品管理
バックヤード商品
の種類・数量把握、
保管します。
商品の発注や、入
荷した商品の検品
等も行います。
108
①接客・販売
 販売員のもっとも大切な仕事が接客と、それに伴う販売業務です。
 お客様に商品の良さを理解していただき、買いたいと思っていただく接客力が必要です。
接客のポイント
雰囲気作り
商品の説明
•
•
お声がけを通して、買い物の楽しい気持ちを引き出します。
商品をお勧めするほか、セールやキャンペーンや、商品の切り替えが
あったことなどを提供して、「買いたいものがありそう」と感じてもら
うことが大切です。
•
デザインの意図や、販売員自身の感想など踏まえ、デザインの良さや機
能性の高さなどの、商品の魅力をご提案します。
また、人気の高さや新しさ、雑誌への掲載など、商品自体の特徴以外で
も「良いもの」であることを感じられるような案内をします。
•
•
フィッティング •
お客様のスタイルにもっとも合うようにアドバイスをします。
好みの着心地やシルエットなどのお客様のご意見、また、販売員の目か
ら見て、お客様がきれいに見えるような別のサイズや、類似の別な商品
などを案内します。
•
コーディネート •
購入を検討されている商品に合いそうな服、小物などをご提案します。
その場でお客様のご希望を伺ってもいいですが、あらかじめこの商品に
はこれ、といったコーディネート案をいくつか持っておくと、スムーズ
なご提案になります。
109
②会計
 レジカウンターで購入の手続きを行います。
レジカウンターの業務
会計
商品の包装
•
•
購入される商品の金額を計算し、お客様からお金を受け取ります。
多くの場合、商品の値札部分にあるバーコードをバーコードリーダーで
読み取って金額を計算し、お客様から支払いを受けます。
•
•
購入された商品を包装します。
商品をたたみ、薄葉紙で包んだり、袋に入れたりして商品が傷つかない
ようにして、お店の袋に入れてお客様にお渡しします。
用途によってはプレゼント、ギフト包装も行います。
•
•
交換・返品
•
購入された商品の返品・交換を受けます。返品・交換の条件はお店に寄
りますが、購入が古い物、着用済の物は応じられないことが多くなって
います。
レジでは、購入時のレシートと商品を受け取り、返品・交換受付可能な
期間であること、商品が未使用であることや不具合の有無などを確認し
ます。
110
③陳列・整理
 商品の売れ行きを考慮しながら、商品のディスプレイを行います。
 また、手に取られた商品はたたみ直し、常に商品がきれいに見えるように心がけます。
お店のレイアウト(例)
店奥はお客様が気軽に立ち入らない、商品が動かないエリア
目的を持って買うような高額商品を配置。
中央は外から見えやすく
買ってもらいやすいエリア
お客様の興味を引くような商品を配置。
入口は入店するか
どうかを判断するエリア
手ごろで在庫の多い商品を配置。
入口から進むにつれて
棚が高くなっていくなど
外から見やすい店内を作る
お客様の動き
お店の入口
111
④商品管理
 商品を発注したり、入荷分を検品し、店舗の在庫量を適切に保ちます。
 多くの服飾小売店では、商品の販売情報をシステム管理しています。商品の管理も、実
際の商品の管理と、システム情報の管理とに分かれます。
商品の発注
商品の検品
商品の
管理
店舗や本部の在
庫情報を基に
(システム発注
ができない商品
について)電話
やFAX等で商品
発注を行う。
入荷した商品の
種類や数量を、
入荷伝票・発注
伝票などと合わ
せて確認する。
(検品作業)
システム
の管理
店舗や本部の在
庫情報を基に
(システム発注
が可能な商品に
ついて)発注情
報をシステムに
入力する。
入荷伝票の情報
を、システムに
入力する。
バーコード登録
や手登録など。
品出し
バックヤードの
ストック分から、
袋を外し、商品
の状態をチェッ
クして、店頭に
陳列する。
在庫数の把握
月次、年数回な
ど、決まったタ
イミングで、店
頭とバックヤー
ドの実在庫数と、
システム在庫数
に差がないか確
認する。
(棚卸し)
差分があった場
合は、原因を調
査した上で、シ
ステム情報を変
更する。
112
販売員の1日の仕事の流れ
 販売員の勤務時間の大部分は、接客業務が占めています。
 会計業務、品出し、電話応対などは、接客の合間を見つけて行います。
販売員の1日(例)
10:00
12:00
14:00
16:00
18:00
オープン
20:00
クローズ
接客
休憩
接客
休憩
接客
商品管理(棚出し・整理など)
オープン準備
• ディスプレイ
• 掃除
ミーティング
• 売上目標確認
• 連絡事項確認
クローズ業務
• 掃除
• レジ締め
• 翌日の連絡
113
接客の工夫-お客様のお迎え
 華やかな職場できれいな服を売る、販売員の仕事は憧れる人が多い職業です。
 一方で、お客様との接し方がわからない、お客様に避けられるなど、接客のはじめの段
階でつまづくケースも多々あります。
お迎えは接客の下地作り
常に動く
販売員が暇そうにしていると、
「しつこい接客を受けそう」「売
れていない」などの印象を与えま
す。
接客を行っていないときも、商品
の陳列を直す、書類をチェックす
る、在庫を確認するなど、常に何
かの作業で動くようにしましょう。
いらっしゃいませの
挨拶
1人でゆっくり商品を見たいとい
うお客様でも、自分の来店に全く
気が付かれなければ、心もとない
気持ちになり、居心地が悪くなる
でしょう。
作業中でも、お客様の来店時には、
お顔を確認し、お客様に聞こえる
ように、「いらっしゃいませ」の
挨拶をするようにしましょう。
声を出す
一言もしゃべらずに黙々と服をた
たんでいる販売員と、セール情報
をお知らせしながら服をたたんで
いる販売員、どちらに服の相談を
したいと思うでしょうか。
お客様がお声がけをしやすいよう、
親しみやすさの演出として、声出
しをすることが大切です。
114
接客の工夫-お客様へのお声がけ
 お迎えをスムーズに行い、接客の下地ができたところで、お客様へお声がけして接客を
始めます。
接客は販売員のペースで
•
•
パーソナル
スペースを守る •
•
•
便利なお声がけ
パターン
いつ使うのかを
伺う
人には、これ以上近づいてほしくないという距離があります。
はじめのお声がけでは、近づきすぎないことがポイントです。
手を伸ばしても相手に触れられない程度、120cmくらいが妥当です。
接客の段階が進めば、もっと近づいても大丈夫です。
初めて見るお客様に合わせた内容を考えるのは難しいので、いくつか決
めておくことが一般的です。
-
「今日はお仕事の帰りですか」「試着もできますので、お声がけください」
「色違い、サイズ違いもございますのでお申し付けください」など。
•
お客様に親近感を持っていただき、接客が始まることが重要です。
•
•
ニーズの把握は大切です。
欲しいもの自体のイメージ(例えば「紺に近い青のニット」「薄手で、
しわにならないシャツ」など)を聞いていっても決まりません。
仕事場に着ていくのか、遊びに着ていくのかなど“用途”を伺い、お客様
のイメージを、こちらから“作る”ことが大切です。
•
接客業務を行う前提として、“マナー”を身につけることは重要です。
115
マナーの目的
 マナーとは、お客様を不愉快にさせないために身につけるものです。
 マナーが完璧=商品が売れるとはなりませんが、不愉快な思いをさせてしまっては、そ
もそも販売の機会すら作ることができません。




挨拶のタイミング
お辞儀の姿勢
大げさすぎない笑顔
化粧も服装も清潔感や品があっ
て感じが良い
 お店に入ったのに挨拶もないし
こちらに気が付きもしない
 お化粧が派手
 威圧的な態度
 言葉づかいが粗い…
店に対する抵抗がなくなる
何かいいものがあるか、探してみ
よう。
来店してもらえない
入りたくないな。
自分は居てはいけないのかな。
2度と来たくないな。
マナーの実践に当たっては「お客様にどう見られるか」が最も注意すべき点
116
求められるマナー
 「お客様にどう見られるか」は大事ですが、様々なお客様の感じ方を、その都度考える
ことは不可能です。
 そのため、どんな人にでも受け入れられやすい基本的なマナーの習得が必要になります。
販売員の基本的なマナー
身だしなみ
 清潔感
 汚れたもの、着古
したものはNG
 服装は、お店の商
品や類似のもの
 化粧、髪型なども
お店の雰囲気を壊
さないように心が
ける
挨拶
 よく使う挨拶
 いらっしゃいませ
 ありがとうございま
した
 お待たせ致しました
 かしこまりました
 少々お待ちください
 申し訳ございません
 恐れ入ります
 失礼いたしました
 無意識で挨拶でき
るよう練習する
敬語
 誤った敬語
NG:娘様/息子様
OK:お子さん/娘さ
ん/息子さん
NG:お預かりさせ
ていただきます。
OK:お預かりいた
します。
 普通に使われる言
葉で会話する接客
も少なくないです
が、正しい敬語を
心がけるべき
難しい言葉
 お客様に適した理
解してもらえる言
葉選びが重要
【避けるべき言葉】
 業界用語のような専
門的な言葉
 年配のお客様に対す
るカタカナ言葉
 お子様に対する難し
い言葉
 相手が理解してい
るか確認しながら、
言い回しを選びま
しょう
117
販売員の仕事のやりがい
 販売員は、接客することで、その場でお客様に商品を買っていただく仕事です。
 接客という行動によって、販売という結果がすぐに帰ってくる、結果が見えやすい、こ
れが仕事のやりがいに繋がります。
販売の仕事をしていて嬉しかったことは?
半数近くの人が「お客様に喜ばれた」
を嬉しかったこととして挙げている。
お客様に喜ばれた
コーディネートの
センスを褒められた
雑誌やWEBに登場できた
多くの人が注目して
くれるようになった
お客様志向の意義
誰かのために、の気持ちが強い
ときほど、その誰かが喜んでく
れたときの達成感が大きくなる
ものです。
「目の前のお客様のために」を
考えることは、結果として自分
自身の仕事のやりがいにも繋
がってきます。
http://www.lisalisa50.com/research20131214_18.html
118
やりがい(先輩の声①)
M.T.さん(女性:19歳、2年目)
【現在の仕事内容とやりがい】
 商品の提案、商品知識、書類業務等、店外催事出
張。
 ハイブランドの販売員としてお店に立っている事
に自信がつく。
 百貨店という場所で、上質なお客様に期待させる
こと、その期待に応える責任感が生まれ向上心が
上がる。
 また海外ツーリストも多い為、英語での対応も増
える。
10:00
12:00
14:00
【現職になるまでの経緯と今後の目標】
 転職し2店舗目。
 今後は、日本のブランドからインポートブランド
へ移り、より知識と経験を積む事を目標としてい
る。
16:00
18:00
20:00
早番
9:45~19:15(休憩1.5h)
遅番
10:45~20:15(休憩1.5h)
119
やりがい(先輩の声②)
K.I.さん(女性:20歳、2年目)
【現在の仕事内容とやりがい】
 仕事は主に商品の仕入れ、接客、販売です。
 当店はアクセサリーショップには珍しく接客をさ
せていただいており、ヘアアレンジなどのご提案
や、ギフト選びのお手伝いをしています。
 私はイヤリング、リング、プチペンダントの担当
をしており、自分が考えて発注したものが売れる
のはとても嬉しいです。
 一方でお店のテイストや客層に沿った商品を選ぶ
為に、日々お客様動向をチェックしたりととても
やりがいを感じております。
10:00
12:00
14:00
【現職になるまでの経緯と今後の目標】
 今の店舗に来てからもうすぐ一年になります。
 その前は同じブランドの違う店舗にいましたが、
客層やテイストの違いに異動してきた当初は戸惑
いが大きかったです。
 ですが異動して社員としての意識や向上心をより
強く持つことが出来ました。
 私は社員として店長の補佐をし、スタッフを纏め
る立場になりましたが、最終的な目標は店長にな
ることです。その為にはまずチーフになり、店長
の下で学びたいと思っています。
16:00
18:00
20:00
早番
9:45~19:15(休憩1.5h)
遅番
10:45~20:15(休憩1.5h)
120
販売員になるには
 多くの場合、学歴条件はありませんが、雇用形態に違いが生じる場合があります。
雇用期間
大学
短大
専門学校
高等
専修学校
正社員
勤務日数
時間
店の営業時間に
原則期限なし。 よって、早番と
長期間安定して 遅番が決められ
働ける。
ている場合が多
い。
給与
採用難易度
社会保険*
(雇用、健康、
厚生年金)
毎月一定額であ
ることが多い。
昇給やボーナス
もあり、総合的
には一番高額。
応募者数の割に
求人数が少ない
ため、難易度が
高い。
原則として、全
て適用される。
保険料は給与か
ら控除される。
月数・年数単位
で決められる。
売上成績によっ
ては更新のチャ
ンスもあり。
契約内容による
契約内容による
経験者採用が多 契約日数、勤務
が、毎月一定額
が、通常は正社
く、新卒生には 日数、勤務時間
契約社員
で、月額は正社
員とあまり変わ
求人そのものが 数によって、適
員より高額の場
らない。
少ない。
用される場合と
合もある。
されない場合が
日時ともに雇用 時間給が多い。
ある。
期限はないが、
者の都合による 昇給は少額で、 応募者も多いが、される場合は給
パート
解雇手続きが容
のが原則だが、 ボーナスもない 求人数も多く、 与から保険料が
アルバイト 易で、解雇され
正社員と変わら 場合が多く、総 採用されやすい。控除される。
やすく、不安定。
ないことも多い。合的に低額。
• 雇用期間や給与面、産休/育休取得の可能性から、正社員が最も安定し、長期間働くのに向いている。
• 現状、正社員雇用は4年制大学卒以上の学歴が必要なことが殆ど。
*雇用保険:失業時に失業手当が受けられる。 健康保険:保険証が支給される。 厚生年金保険:定年以降に年金が支給される。
121
販売員のキャリアアップモデル
 雇用形態によって、販売員以降のキャリアが変わってきます。
キャリアの方向性
企業の幹部候補生で、「販売員」
としてではなく「総合職」として
の雇用が多い(ゆくゆくは販売以
外の職務を任せたい人)。
通常は短期間で複数店を経験して
現場の仕事を覚え、数年で店長を
はじめとした他の職種に変わって
いくことが多い。
販売員
契約社員
「販売員」採用であれば契約期間
内は販売員であり、会社の方針に
よっては、更新時に「店長」とし
て再契約することもある。
販売員
パート
アルバイト
基本的には販売員から昇格はない
が、販売員の枠の中で「チーフス
タッフ」などリーダーポジション
が設定されている場合がある。
店長以上になるには、まず売上成
績を上げ、契約社員や正社員にな
ることが必要。
販売員
正社員
エリア
ショップ
マネージャー
マネジャー
(店長)
マーチャン
ダイザー
バイヤー
店長
122
販売の仕事で役立つ資格
 いくつかのタイプがありますが、特に反転色の3つの資格は一般的です。
販売資格
ファッション販売能力検定
士業資格
ファッションビジネス能力検定
販売士
販売関連資格
ファッション色彩能力検定
衣料管理士
繊維製品品質管理士
販売系職種に関連する資格
カラーコーディネーター検定
きものコンサルタント
シューフィッター
マーチャンダイザー資格
商品装飾展示技能検定(VMD検定)
販売以外
ジュエリーコーディネーター
服以外
123
ショップマネジャー
(店長職)
124
ショップマネジャーの仕事
 販売員の職能に加えて、管理(マネジメント)が加わってきます。
ショップマネジャーの主な仕事
①スタッフ管理
店舗は1人では運営
できません。
正社員、アルバイ
トなどのスタッフ
をやり繰りして、
運営していく職務
です。
②売上・収支管理
売上を集計し、上
手くいっているの
か、問題があるの
かなどを見つけ出
して、改善してい
く業務です。
③販売管理
④売場設計
最適な売上や収支
を作るために、商
品を上手に売るた
めの作戦を立て、
実行する業務です。
店長の方針がお店
の個性になります。
扱う商品の種類や、
前面に打ち出す商
品によって、お客
様の印象は大きく
変わります。
125
①スタッフ管理(1/2)
 人員のマネジメントとして、下図の5つの要素をコントロールする必要があります。
採用
配置・異動
評価
教育・育成
報酬
126
①スタッフ管理(2/2)
 部下であるスタッフたちのやる気を引き出しながら、チームを形成していくリーダー
シップも求められます。
採用
 採用掲載文を考えたり、掲載する媒体を選びながら、ス
タッフ募集を行います。
 良い人材を上手く見つけることを考え、実行する業務です。
教育・育成
 採用スタッフに、販売員としての基礎を教え、接客業務の
品質を向上します。
 ロールプレイングなども行ったりします。
配置・異動
 店舗には販売や在庫管理や陳列など様々な業務があります。
 スタッフの適性を踏まえ、誰にどの分担を任せるかを考え
ます。
評価
 スタッフの評価を行うこともマネジャーの職務です。
 良い部分を褒め、改善点や、次の段階を目指すために何を
すればよいかなどフィードバックします。
報酬
 学校とは異なり、良い評価は、店内で表彰などして褒める
ことに加えて、時給やボーナスといった形で報酬に反映さ
せる場合もあります。
127
②売上・収支管理(1/2)
 収支をバランスさせ、利益を生むことで、店舗は継続することができます。
 要となるお金面の管理が任されているのも、ショップマネジャーです。
日々の業務
 日計販売集計
店舗(小売店)は日販の積み重ね
が月の売上、ひいては年の売上に
なるため、日々、集計し、大きな
ズレがないか確認します。
 現金管理
POSレジなどシステムで計上して
いる売上と、実際の現金の乖離が
ないかを日々、確認する締め業務
があります。
分析業務
 推移の分析
先週、先月と、時間の流れの中で、
店舗が成長しているか、落ち込ん
でいないかを確認します。トレン
ド分析と言います。
 前期との比較
服飾業界は、特に季節性がある業
界のため、先月比などが意味をな
さない場合もあります。(夏場は
水着の売上が加わる、など。)
その為、昨年同月比という指標で
確認をする場合もあります。
128
②売上・収支管理(2/2)
 利益を確認するには、売上から支出を引いた“収支”を観察する必要があります。
一般の販売員は知らない
情報もあるため、通常は
店長のみが見ています。
商品の仕入れ
(原価)
売上
スタッフの
人件費
店舗の家賃・
光熱水費
利益(粗利)
129
③販売管理
 売上を最大にしていくためには、多くのお客様に来店してもらい、良いスタッフが販売
することに他なりませんが、その前提として、“売る商品が欠乏しないこと”が重要です。
 逆に売れない商品をずっと持っておくことも良くないため、ショップマネジャーは販売
を予測して判断することが求められます。
商品管理
(仕入・在庫管理)
 売れると思われる商品は、他店に先駆けて仕入れ、在庫を確保する
 実際には、服のデザインとして売れそうかどうかだけでなく、どのサイ
ズを何個ずつ仕入れるかを決める必要があります。(参考用語:SKU)
 逆に、売れるかどうか定かでない商品は、売れ残り在庫になることを恐
れて、少な目に仕入れるなどの判断が求められます。
値付け
(値引き・値下げ)
 売値をいくらにするのかの決定権をショップマネジャーが持つ場合も、
少なくありません。
 また、通常価格は、本社(本部)などで決定されていても、売れ残りそ
うな商品はシーズン中にセールに回してでも売り切る必要があります。
 お客様のニーズ(どの商品ならいくらぐらいでも買いたいと思うか)や、
他店の価格などを勘案して実施する業務になります。
130
④売場設計(品揃え・ディスプレイなど)
 店舗のコンセプトが明確でないと、誰が(どのお客様が)何を求めに来るお店なのかが
曖昧になり、分かりにくい店舗になってしまいます。
 ショップマネジャーは、コンセプトを決め、それを実現するための売場を構築する必要
があります。
売上収支管理・販売管理領域
スタッフ管理領域
• コンセプトに合ったお客様へ
の対応体制
• どの商品がどれぐらいの量、
いくらで売れれば良いか
• そのためには、何をいくつ仕
入れておくか
• コンセプトに合った接客がで
きるスタッフを育成
売場設計領域
• どういった品揃えを陳列する
か
• どんな商品を前面に押し出し
たり、ディスプレイするか
店舗コンセプト
(誰向けに、何を、売るか)
131
ショップマネジャーの仕事のやりがい
 自分1人の成果は、上げられる量に限界があります。
 自分が得た販売ノウハウを他のスタッフにも展開して、店舗としての成果を作る(作れ
る)ことにやりがいを感じる
 一方で、当然ながら、仕事の難易度やプレッシャーも高まりますので、それらを楽しんで行え
ると向いていると言えます。
販売員
ショップマネジャー
成果
販売
販売
お客様
販売
成果
販売
販売
販売 販売 販売 販売 販売
お客様
132
やりがい(先輩の声①)
Y.H.さん(女性:28歳、3年目)
【現在の仕事内容とやりがい】
 大型ショッピングセンター内のショップで、お洋
服のご提案、レジ打ち、品出しなどをしています。
 週1回のペースで、ディスプレイをコーディネー
トしています。
 季節やその地域に合わせて、ディスプレイを行う
ため、日々、流行の洋服なども勉強しています。
 自分自身のセンスをもっと磨いて、憧れられる店
員さんや入りやすいお店作りを心掛けしています。
12:00
14:00
品出し・接客・販売
出勤
16:00
休憩
【現職になるまでの経緯と今後の目標】
 人と接することが好きで、高等専修学校が家政科
だったので、洋服のことをもっと知りたいと思い、
ショップ定員を選びました。
 アルバイトで入社し、2年目で「副店長」になり
ました。
 毎日ミーティングしてアルバイトさんとの連携を
取り、良いお店づくりを目指しました。
 毎週月曜日に、お店の一番の売れ筋を調べ、他店
と情報交換して、売り場を盛り上げる工夫してい
ます。
18:00
接客・販売
20:00
22:00
整理整頓
閉店・退社
133
ショップマネジャーになるには
 販売員としての専門性を高めた上で、ショップマネジャーの準備を仕事経験から積んで
いく必要があります。
- 大手の企業の場合は、ショップマネジャー準備研修や社内試験などがある場合もあります。
販売員の技能を高める
 お客様に応じて、上手に販売す
る技能を習得する必要がありま
す。
 販売以外にも、会計、陳列、商
品管理など、販売員の仕事を適
正に行えることも重要です。
 また、特に販売成績は、上位を
継続的に獲得することが必要で
す。
+
余力を持つ
 ショップマネジャーは、販売以
外の職務が増えます。
 そのため、それら(スタッフ管
理や、売上・収支管理、販売管
理・売場設計など)を学ぶ必要
があります。
 通常は、現在のショップマネ
ジャー業務をサポートするよう
な経験を踏まえて準備していき
ます。
134
ショップマネジャーのキャリアアップモデル
 基本的には販売員としての業績が認められ、ショップマネジャーへの昇格機会を得られ
ます。
キャリアの方向性
企業の幹部候補生で、「販売員」
としてでなく「総合職」としての
雇用が多い。
通常は短期間で複数店を経験して
現場の仕事を覚え、数年で店長を
はじめとした他の職種に変わって
いくことが多い。
販売員
契約社員
「販売員」採用であれば契約期間
内は販売員であり、会社の方針に
よっては、更新時に「店長」とし
て再契約することもある。
販売員
パート
アルバイト
基本的には販売員から昇格はない
が、販売員の枠の中で「チーフス
タッフ」などリーダーポジション
が設定されている場合がある。
店長以上になるには、まず売上成
績を上げ、契約社員や正社員にな
ることが必要。
販売員
正社員
エリア
ショップ
マネージャー
マネジャー
(店長)
マーチャン
ダイザー
バイヤー
135
ショップマネジャーの仕事で役立つ資格
 段階のある資格では、上位級が求められます。
 例えば、ファッション販売能力検定でも、ショップマネジャーに向けて2級や1級が求められ
ます。
販売資格
ファッション販売能力検定
士業資格
ファッションビジネス能力検定
販売士
販売関連資格
ファッション色彩能力検定
衣料管理士
繊維製品品質管理士
販売系職種に関連する資格
カラーコーディネーター検定
きものコンサルタント
シューフィッター
マーチャンダイザー資格
商品装飾展示技能検定(VMD検定)
販売以外
ジュエリーコーディネーター
服以外
136
ビジュアルマーチャンダイザー
(VMD)
137
ビジュアルマーチャンダイザー(VMD)の仕事
 専門職として、店舗単体の売上創出(ショップマネジャー)とは異なり、複数店舗群と
お客様の印象(ブランドイメージ)の形成に関係する仕事になります。
ビジュアルマーチャンダイザー(VMD)の主な仕事
①施設設備のデザイン
②販売空間のデザイン
外装や内装、照明や什器等
の組み合わせやデザインを
考案します。
費用とも直結する部分のた
め、投資対効果を考えて設
計する必要があります。
どの場所にどういったもの
を配置して、お客様が入店
した際にどんな印象を与え
るかなど、空間を考案しま
す。
③ビジュアルコンセプト
のデザイン
施設設備や販売空間のデザ
インの前段として、(販売
する商材とは別に)店舗の
空間を活用して、どのよう
なブランドを打ち立ててい
くかのコンセプト設計を行
います。
138
①施設設備のデザイン
 販売する商品や、来店を想定しているお客様を想定して、適した設計にする必要があり
ます。
 施設設備に使う色味や材質などでも、お客様が抱く印象は大きく異なるため、日々の販
売業務の成果にも影響することが想定されます。
モノトーンや材質をこだわった
高級感
ライトな木目調を中心に
したカジュアル感
暗めの色調で、調整光が
主体
明るく照明や外光が豊富
窓が少なく、隠れ家的な
閉塞した空間
天井が高く、開けた
開放的な空間
139
②販売空間のデザイン
 施設設備以外にも、来店するお客様の印象を形作り、店舗のイメージやブランドの形成
に繋がる重要な要素として、空間デザインがあります。
 ゾーニング(どの場所で何を売るか)、レイアウト(棚の形や置き方など)、陳列
(何をどこに置くか)などがあります。
入口・通路の幅の確保など
すっきりしたレイアウト
いろいろなものが詰め込まれた
凝縮されたレイアウト
入口に高価格帯を配置
入口に低価格帯やセールを
配置
購入頻度は見込めない
高級品を陳列
売れる商品のみを
主体にした陳列
140
③ビジュアルコンセプトのデザイン(1/2)
 ①施設設備、②販売空間それぞれのデザインの前段には、ビジュアルコンセプト(視覚
的に、お客様に何を印象付けるか)があります。
 販売心理学と呼ばれている領域を活用した業務になります。
VMDコンセプトデザインの実例
(アバクロンビー&フィッチ)
ビジネスの狙い
 扱う商材は、低価格帯で、流行を意識したファスト
ファッション
 格安店として打ち出したくなく、デザインの秀逸さやブ
ランド力を高めて展開したい
 10~20代のセンスの高い若者の支持を得たい
 銀座など、都心一等地での出店
 黒を中心とし、入り口にガードマンを配置した高級感の演出
 店舗内では、クラブミュージックを流し、接客応対していないスタッフは、自然に
体を動かしてダンスをしながら、陳列を整える作業などを実施。
 半数程度のスタッフを外国人モデル事務所から登用
 など
141
③ビジュアルコンセプトのデザイン(2/2)
 VMDの領域では、一般に店舗を3つの意味づけに分けて、デザインしています。
ビジュアル
プレゼンテーション
(VP)
ポイント オブ セールス
プレゼンテーション
(PP)
アイテム
プレゼンテーション
(IP)
 お客様の来店や、入店の動機づけになるような、“店舗のテーマを
表現”する区画。
 ショーウィンドウや、外から見える店内空間などで表現。
 お客様が買いたいもののカテゴリを端的に伝達する区画。
 各売り場コーナーの側面などやマネキンなどで表現。
 お客様が欲しいものを、豊富な品揃えの中から、見つけやすく表
現する区画。
 商品特性(アイテム、デザイン、カラーなど)で整理し、各棚の
配置を工夫して表現。
皆さんがショップに買い物に行った際に、改めて上記の3つの区画がどのように
表現されているかを見てみるのも良いでしょう。
142
VMDの仕事のやりがい
 仕事の領域が、販売領域に加えて、マーケティング領域(お客様へのブランドの打ち出
しや、コミュニケーション)に拡大します。
 ショップマネジャーと同様に、お客様を理解している必要がありますが、加えて、クリ
エイティブな職能を発揮できる仕事です。
仕事の成果
純粋な販売系職種
個人あるいは店舗での
販売実績
VMD
創り出した店舗の話題性の波及
お客様からの評判
業界紙での取り上げられ方
販売結果が発生する手前のお客様の印象や行動(来店するかどうかなど)に
関わる仕事と言えます。
143
VMDになるには
 ショップマネジャー相当の、顧客理解が必要になります。(お客様は、店舗に何を期待
し、どこを評価して“買う”という行動に至るか。)
ビジュアルデザイン力
販売員やショップマネジャーとして、
ディスプレイ業務から磨くことや、
空間デザインなどの学びを得て習得
することも考えられます。
販売員としての技能
(売れ筋のヨミ、顧客心理の理解、など)
144
VMDのキャリアアップモデル
 ショップマネジャーから、複数店舗を統括するエリアマネジャーとならずに、“店舗づ
くりの方に専門性を高めた職種”です。
 後続の発展職種としては、店舗づくりの本丸となる商品構成(マーチャンダイザー)へ
発展させていくことも考えられます。
キャリアの方向性
ショップ
マネジャー
(店長)
販売員
エリア
マネージャー
ビジュアル
マーチャンダイザー
(VMD)
マーチャン
ダイザー
バイヤー
145
VMDの仕事で役立つ資格
 VMD業務に有用な資格としては、商品装飾展示技能検定(VMD検定)があります。
 上記資格のほか、高等教育(大学や短期大学)では、関連する専攻や学問領域がありま
す。
販売心理学
 何をいくらで売れば誰が買うという単純なものではなく、同じも
の・価格であっても、“売り方”によって購買行動が異なることに着
目した学問領域。
 財布のひもを開けさせるまでのプロセスに着目し、買う側が“良いも
のを選べた”という印象をどのように形成するかなどを探求している
行動経済学
 経済学の根底である「経済合理性(より安くて良いものを人は追及
する)に基づいてヒトは行動する」という前提ではなく、感情など
も影響することに着目した学問領域。
 不景気が続くと購入されないが、好景気では購入が進むなど、所持
金・ブツとは別のところで行動が決定される因果関係の解明を探求
している。
経営学部(学科)や経済学部(学科)で学べることが多いです。
146
インストラクター
(セールスインストラクター)
147
インストラクターの仕事
 販売員を養成することを専門分野にした職種です。
 販売領域の各役職に対して、店舗横断的に、人材を育成する役目になります。
アルバイト・新人の教育
ショップマネジャー(及び候補)の教育
 基礎的な販売員としての教育
 インストラクターがいることで
(ショップマネジャーが店舗毎に行
うわけではないので)店舗横断的に
新規採用メンバーを集合させて行う
こともできる
 新人教育だけでなく、ショップマネ
ジャー候補生や、ショップマネ
ジャーの販売技能以外の管理能力な
どについての教育
 教育制度が整っていない組織では
“先輩を見て学ぶ”しかない部分だが、
インストラクターがいる場合は、教
育を受けられる
一般的な販売教育に加え、店舗ブランド独自の売り方や求める対応品質などがある場合など、
インストラクターの専門職を配置して、各店舗の品質を揃えるような仕組みを作ります。
148
インストラクターの仕事のやりがい
 販売の実務から離れるので、直接的な売上成果としての実感は感じにくくなる半面、
 店舗の販売成果全体に間接的に寄与していることが、やりがいになります。
インストラクターが追及している業務
 より良い教育の方法
•
講義による教育や、ロールプレイング形式など、様々な教育手法を選択した
り、集中力を維持して教育効果を高める方法などを工夫しています。
 より良い教育の内容
•
•
何を教えるべきかの内容も、検討しています。
時代(採用方法や景気動向、受けた義務教育内容など)によっても、スタッ
フ側の資質ややる気などが異なるため、適した内容に変えていく必要があり
ます。
自分が頑張って直接的に行動できないポジションだからこそ、全体を見渡しながら
業務を行うことが求められます。
149
インストラクターになるには
 それまでの仕事経験で、インストラクターに求められる2つの重要な能力に秀でる必要
があります。
何を教えればよいか
どのように教えればよいか
自身の販売能力
(どうやれば売れるかのノウハウ)
ショップマネジャー時代などでの
若手の育成経験
インストラクター
一般にショップマネジャー経験を積んだ中で、イントラクターになりたかったり、インストラク
ターの適性が高い人がなるポジションです。
150
インストラクターのキャリアアップモデル
 インストラクターは、ショップマネジャー相当の販売員としての技能を積みながら、特
に教育適性がある人に向いた職種です。
 一方で、インストラクター職から販売領域やマーケティング領域実務に戻ることは少な
く、本社人事など“人”に関わる領域の専門家になることが多い職種です。
キャリアの方向性
ショップ
マネジャー
(店長)
エリア
マネージャー
マーチャン
ダイザー
販売員
インストラクター
バイヤー
151
インストラクターの仕事で役立つ資格
 ショップマネジャー力の延長線上にある、より特化した専門職のため、特段にインスト
ラクター職に適した資格というのはありません。
 高等教育(大学や短期大学)では関連する専攻領域があります。
教育学関連
 「人に教える」という観点では、教育学は、様々な対象に、
教えることや教える効果の高め方を探求する学問です。
 学校の先生でなくても、インストラクター職において応用
することも可能です。
組織学関連
 経営学の中には、組織学・組織論という領域があります。
 スタッフがやる気を高く持って、有効に機能するにはどの
ようにすれば良いかなどを探求している学問です。
 インストラクター職においても、教育の仕組みや制度設計
に活用することが可能です。
152
その他の販売専門上級職種
(エリアマネジャー・スーパーバイザー・
ディストリビューター・バイヤー)
153
販売上級職種とは(1/2)
 ショップマネジャーの上級職種には、ショップマネジャーの仕事を支援する4つの専門
職があります。
店舗横断的な
売上管理を統括
エリアマネジャー
店舗A
スーパーバイザー
アウター
スーパーバイザー
インナー
スーパーバイザー
シューズ
店舗B
店舗C
店舗間在庫を
最適化
ディストリビューター
特定の商品カテゴ
リを管轄
バイヤー
ショップマネジャーの要望を受け、
仕入れを担当
154
販売上級職種とは(2/2)
 複数店舗に関わることは同じですが、それぞれの専門分野が異なります。
エリアマネジャー
スーパーバイザー
バイヤー


複数の店舗を取りまとめ、エリアを統括して売上管理などを行う職種。
ショップマネジャーが担当店舗内のお客様や売上の動きを元に検討しているの
に対し、エリアマネジャーは他店の動向や売れ筋の違い、売り方の違いを横断
的に見て、ショップマネジャーを指導し、支援している。

商品カテゴリの専門家となり、商品のトレンドや、商品情報についてショップ
マネジャーに伝達する。
服飾業界では、製造法の薀蓄やブランド秘話など、商品の見た目だけでは分か
らない情報に商品価値(販売価値)が生じることもある商品専門性も高い商材
のため、カテゴリ横断的に管理しているショップマネジャーを支援する。





ディストリビューター

ショップマネジャーからの販売取扱要望を取りまとめて、仕入れを担当する。
逆に、バイヤーが良い商品を見つけ、ショップマネジャーに提案して販売を実
現することもある。
販売のお客様との接点には直接立たないが、売上の元になる商品構成に関わる
業務。
店舗による仕入量の違いや売上動向の違いにより、在庫が不足気味になったり、
余り気味になったりすることを受け、店舗間の在庫最適化を担当する職種。
店舗全体での販売機会の逸失を避けるために、各店の動向やお客様の変化を捉
えて対応する業務。
155
販売上級職種になるには
 ショップマネジャーとして業績を残していく中で、得意分野ややりたい領域を際立てて
いくことが必要です。
エリアマネジャー
売上成果の追及を、直接自分が担当した単店だけでな
く、複数店に波及させたいというやりがいを追求
スーパーバイザー
特定の商品カテゴリを販売する専門家として、商品の
歴史や、こだわりなどに精通するやりがいを追求
バイヤー
ディストリビューター
良いもの・売れるものを調達する(メーカーや卸と
の)交渉力や、発掘力を磨くやりがいを追求
前面には出ないが、バックヤード業務の中で利益創出
へ直結する要業務に従事するやりがいを追求
156
販売上級職のキャリアアップモデル
 一般的には、専門性の中で、領域が拡大していきます。
 マーチャンダイザーなどマーティング領域に転向していく場合もあります。
エリアマネジャー
 都内店担当⇒関東店担当⇒
東日本担当、など
スーパーバイザー
 メンズカジュアルジャケッ
ト担当⇒メンズジャケット
担当⇒メンズ統括、など
マーチャンダイザー
バイヤー
 スーパーバイザー同様に、
商材幅の拡大
ディストリビューター
 スーパーバイザー同様に、
商材幅の拡大
 店舗事業企画
 ブランド企画
157
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
マーケティング系職種のマップ
マーケティング上級職種
セールスプロモーター
販路開拓
マーケティングディレクター
マーチャンダイザー
販売職に転向するケースもある
159
販路開拓職
160
販路開拓職の仕事
 店舗を増やすことが、売上を増やすことにも直結します。
販路開拓職の主な仕事
①出店地の調査
②店舗の立上げ
③予実分析
販路を拡大するための出
店地を開拓します。
新店立上げのための商圏
の醸成活動を行います。
計画と実績の違いを理解
し、次の販路開拓に活か
します。
161
①出店地の調査(1/2)
 1店舗の売り上げが増えることを各店が行っているのに対し、“店舗を増やすこと”も売
上を上げる重要な活動です。
 販路開拓職は、販売面積(店舗)を増やす活動を行います。
出店に至る2つの流れ

売上の計画に基づき
出店計画を作る


出店候補地が出現する

会社としての売上目標は、通常は、成長するこ
と(拡大すること)を前提に作られます。
拡大の内訳は、店舗当たりの売上が増えるか、
店舗数が増えるかで決まるため、必然的に、出
店目標が出てきます。
路面店や、百貨店などの大規模小売店舗等の施
設から、「出店しないか」と持ち掛けられるこ
ともあります。
出店に掛かる費用と、想定される売上・利益と
の兼ね合いで、出店可否を判断する必要が出て
きます。
162
①出店地の調査(2/2)
 一般的には、商圏分析と呼ばれる業務です。
商圏とは、(辞書的な意味では)売上見込みを立てられる地理的な範囲。
しかしながら、実際は店舗の魅力や商品の魅力や、出店地の環境(繁華街とか国道沿いとか)に
よって、来店が想定される移動距離は異なるため、計算する必要があります。
集客力
 どれぐらいの遠方までから来店がありそうか。
 店舗の魅力(ブランド力)や、既存の他店舗の状況か
ら推測し、出店候補地の人口密度や、昼夜人口、交通
の利便などから、予測を立てます。
 現時点の状態だけでなく、今後、盛り上げりそうなエ
リアか、廃れそうなエリアかといった予測も必要にな
ります。
競争力
 良いものを、魅力的に販売していても、付近にどう
いったライバルがいるかによって、売上の結果は左右
されます。
 ライバル店がいることで、集客が相乗的に増える場合
もありますし、逆に顧客が奪われる場合もあります。
 競合を分析して、戦いの厳しさを予測します。
商圏分析
163
②店舗の立上げ
 新しい店舗の立上げは、多大な労力が必要となります。
 関係者も多くなり、販路開拓職としては、取りまとめを行って、計画通りの出店を実現
する支援を行います。
店長業務の立上げサポート
VMDとの調整
 出店予定の告知
 品揃えの検討
•
出店地調査での分析結果等
を共有して、どのようなお
客様層が来店しそうかをす
り合わせ、陳列する商品構
成を決定していきます。
 スタッフの採用教育
•
•
出店には人手もかかります
し、スタート時点は最も重
要です。
店長業務も忙しいため、ス
タッフ準備活動などもサ
ポートします。
お客様の醸成
 内外装の検討支援
•
商圏分析で予測している状
況を共有し、適したビジュ
アルデザインの考案を支援
します。
 店内レイアウト検討支援
•
来店顧客層や、ライバル店
の状況などを伝達し、お客
様の印象に残る店舗空間の
デザインを支援します。
•
ビラ配りなども含め、間も
なく新店が立ち上がること
を商圏に伝え、期待感を醸
成します。
 オープニングキャンペー
ン企画
•
•
まずは店舗が生まれたこと
を知ってもらうことが重要
です。
来店動機となるような魅力
的な企画を準備します
164
③予実分析
 新店の状況予測は簡単なものではありません。
 そのため、販路開拓職は、繰り返し行った経験を蓄積することで、次の出店計画に活か
します。
予定
 商圏分析時の予測
 出店準備時の盛り上がり
度合いからの予測
 オープニング時の爆発力
実績
 オープン1か月後の売上
 オープン半年後の売上
予実のズレは、店舗に起因するもの(例:スタッフ教育が不足していてお客様の評判が悪い、
など)と、出店時の計画やヨミの誤りに依るものがあるので、それらを識別して理解します。
165
販路開拓職の仕事のやりがい
 服飾のビジネスには深く関わる仕事である一方で、直接的に商品に携わる作業や、お客
様と接点を持つ作業は少ない、間接的な仕事でもあります。
① 出店成功による売上の拡大



店舗面積の拡大は、自社の販売する商品をより多くの人に購入して頂ける場の
拡大でもあります。
直接的な販売活動に従事はしていませんが、商品の普及や流行作り、ひいては
売上の拡大に貢献しています。
1店舗の売上が急に2倍、3倍になることは少ないですが、店舗を増やすとい
うことはそういったサイズでの拡大になります。
② ヨミの精度の向上


服飾業界のトレンドは、流行性も高く、売上予測がしにくい商材です。
この領域で専門性を積み、「どういった場所で、どんなものを売ると、どれぐ
らいの売上になりそうか」が的確に計算できるようになることは、非常に貴重
な知見となります。
166
販路開拓職になるには
 販路開拓職などマーケティング業務は、経験が必要になる部分が少なくありません。
 そのため、新卒から従事することもありますが、難易度の低い業務から徐々に拡大して
いくような流れになります。
①出店地調査関連
②店舗立上げ関連
商圏分析・投資判断
③予実分析
予実分析
店舗デザイン統括
店長の選定
(上司の商圏分析に基づいた)
出店条件の交渉
飛び込み営業も含めた
出店可能地の探索
各店舗の状況の集計
店長業務サポート
167
販路開拓職のキャリアアップモデル
 長く販路開拓職に従事し、マーケティングの上位職に昇格していく場合と、前後に販売
実務経験を積んで、上位職に就く場合などが考えられます。
キャリアの方向性
販路開拓職
マーケティング上位職
マーチャンダイザー
販売員
販路開拓職
セールスプロモーター
販路開拓職
販売員・ショップマネジャー
168
販路開拓職に役立つ資格
 特段に販路開拓職に適した資格というのはありませんが、マーケティング活動に携わる
業務のため、高等教育(大学や短期大学)では関連する専攻領域があります。
関連する専攻や学科・学問領域
マーケティング
コミュニケーション
 市場分析・データ分析学
 ブランドマネジメント
 消費者心理学・消費者行動論
 広告戦略
 広告プロモーション論
 ソーシャルメディア論
169
マーチャンダイザー
170
マーチャンダイザーの仕事
 一言でいうと、服飾ビジネス企画職になります。
 ビジネス成果のすべてに責任を持ち、販売する商品から売り方、売上目標までを計画し
統率する仕事です。
マーチャン
ダーザー職種
の仕事内容
誰向けにどういった商品をどのようなコンセプトで打ち出すか
いくらでどれぐらいの量が売れそうか
商品企画・開発
デザイナー
バイヤー
販売計画
生産管理
プレス
ショップ
マネジャー
171
マーチャンダイザーの仕事のやりがい
 豊富な経験と、服飾における全ての工程を総合的に勘案して、商材を社会に展開する原
点となる職務でもあるため、打ち出したブランドが流行した場合のやりがいは大きいも
のです。
自らのセンスや企画力
への自信
消費者の理解や、商品競争力(ブランドや価格帯の設定な
ど)など、生み出した企画がマーケットに適合して、浸透
する喜びを得ることができます。
組織やチームの
リーダーシップ
異なる専門性を持つ関係者(デザイナー、縫製等製造者、
VMD、ショップマネジャー・スタッフ等)の力を総合さ
せないと、成功は出来ません。
チームを率いた達成感を得ることができます。
172
マーチャンダイザーになるには
 服飾ビジネスにおける総合的な知見が求められる上級職であるため、服飾業界での実経
験が求められます。
 製造側よりは、販売側の経験に基づく顧客理解力や商品企画力が重要になります。
キャリアの方向性
エリアマネジャー
販売職
販売員
ショップ
マネジャー
ビジュアル
マーチャンダイザー
スーパーバイザー
マーチャンダイザー
バイヤー
マーケティ
ング職
販路開拓
173
マーチャンダイザーのキャリアップモデル
 マーチャンダイザー職自体が、ある一面では経営者にも類似するような役職になります。
複数のマーチャンダイザーを束ねる
マーケティングディレクター
マーチャンダイザー
マーチャンダーザーの
取りまとめ・育成
会社の全体管理へ
部長職、役員など、服飾の企画販売を超えた会
社の管理を行うポジション
174
マーチャンダイザーに役立つ資格
 関連資格として以下のようなものがありますが、マーチャンダイザー職の専門性からす
ると、資格保有の有無よりも実力や結果が求められる職種です。
マーチャンダイザー資格
(日本マーチャンダイザー協会)
英語
 商品開発計画、販売商品の決定、納品業者との折衝、
取引条件の決定等、仕入れ業務といったマーチャンダ
イザー職務を想定した資格試験です。
 ただし、服飾に特化したものではなく、一般物品や食
品も含めたマーチャンダイザー職全般についての資格
になります。
 海外と取引交渉を行ったり、グローバルに服飾業界や
ファッションのトレンドを見渡すことが求められます。
 そのため、語学力が必要になることは少なくありませ
ん。
175
セールスプロモーター
176
セールスプロモーターの仕事
 販売促進を目的として、企画を作り、実行する仕事です。
セールスプロモーターの仕事
広告の企画
•
•
どの媒体で
誰を起用するか
店舗
イベントの企画
ファッションショーなどでの
露出や演出
販売
小売店向け展示会企画
側面支援
セレクトショップ等での
取引先の拡大
お客様
177
セールスプロモーターのやりがい
 直接的に販売には従事しない間接業務ですが、各店舗の販売活動の最大化を目指し、需
要を創出する仕事です。
 良い商品を扱い、販売していることを消費者に伝達し、集客や購買に繋げます。
マーケットの創出
 いくら良いものを作り、販売していても、消費者が
そのことを知らなければ、売上になりません。
 また、各店舗が努力して伝えられるお客様の数には
物理的な限界があります。
 セールスプロモーターによる広告宣伝の効果が、店
舗での販売努力と相乗効果を奏して、売上に繋がり
ます。
178
セールスプロモーターになるには
 マーチャンダイザーと同様に、お客様の行動や商品に精通して初めて行える上級職種で
す。
 需要を喚起するマーケティング企画力が求められます。
キャリアの方向性
エリアマネジャー
販売職
販売員
ショップ
マネジャー
ビジュアル
マーチャンダイザー
スーパーバイザー
セールスプロモーター
マーチャンダイザー
バイヤー
マーケティ
ング職
販路開拓
179
セールスプロモーターのキャリアアップモデル
 セールスポロモーションの経験を重ね、通常は、任せられる(責任を持つ)予算の枠が
拡大していく形でのキャリアアップとなります。
プロモーション
予算全体の
統括
雑誌媒体など
特定の分野での
広告企画
特定の商品
ブランドの
広告戦略企画
180
セールスプロモーターに役立つ資格
 特段にセールスプロモーターに関連する資格はありません。
 高等教育(大学・短大)では、コミュニケーション領域を専攻すると、広告宣伝業界に
関連する学びを得ることができます。
経営学部(学科)




広告論
コミュニケーション学
メディア学・メディア論
マーケティング戦略
181
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
デザイン系職種のマップ
 本パートで扱うデザイナー職種の区分は以下になります。
“服”をイメージ
するデザイン
“型”を作る
デザイン
“生地”を作
るデザイン
デザイナー
グレーダー
パタンナー
モデリスト
テキスタイルデザイナー
183
“服”をイメージするデザイン
<デザイナー>
184
「“服”をイメージするデザイン」の仕事
 お客様に提供する服のデザインをする仕事ですが、通常は、デザイナーが思いのままに
アイディアを描き出すという仕事ではありません。
デザイナーの主な仕事
①デザイン画の作成
②原価管理
③縫製指示
商品の種類やトーン、使
用する生地などを決めた
デザイン方針に基づき、
デザイン画を作成します。
商品が原価予算を超えな
いよう、材料費や製造コ
ストなどを計算し、デザ
インを調整します。
工業用パターンと縫製指
示書を作成し、製造工場
に量産を指示します。
185
①デザイン画の作成
 よほど個人名で通るようなブランドデザイナーにならない限りは、服飾は企業で、チー
ムが分担して作るものです。
 そのため、デザインも、一定の方針のもとに作る仕事になります。
マーチャンダイザーによるブランド企画
(商品のターゲット・価格帯・打ち出しイメージ)
デザイン方針
お客様の想定
(顧客志向)
 商品のデザイン&トーンの傾向
 生地感
 コスト(予算)
デザイン画の作成
186
②原価管理
 ビジネスなので、一定の売値や利益を想定して、予算内の原価でデザインを実現する必
要があります。
デザイン画の作成
生地や縫製工程への分解
生産量を勘案したコスト計算
目標原価に向けて、
デザインした良質な質感やユニークさなど
を維持しつつ、
数十円単位でもコストを調整して再デザイ
ンなどを行います。
場合によっては、生地などの材料メーカー
との交渉にも立ち会い、デザインの実現に
向けて努力します。
187
③縫製指示
 デザインを元に、試作品製作へ進めます。
 デザイン案で想定していたシルエットや着心地感が出ないこともあり、パタンナーとす
り合わせを行います。
デザイン案
パタンナー
裁断指示書
縫製指示書
 試作品(実物)への落とし込み
 デザイン調整
製造指図書
188
デザイナーのやりがい
 お客様の購入判断の重要な要素である“服そのもののデザイン”に関われることが、デザ
イナー職種の大きなやりがいです。
 お客様に選ばれる商品を生み出せたデザイン力の実感
 デザイナーは、直接的にお客様に接し、会話しているわけではないので、お客様
指向で考えていても、実際には距離感があります。
 ターゲットとしている顧客層に評価され、選ばれる商品をデザインできたことは、
自身のデザイン力が実感できる瞬間です。
 売上の創出
 同時に、お客様に評価されるデザインは、売上に直結します。
 会社の業績に貢献している実感を得られます。
189
デザイナーになるには
 高等教育から目指した方が正社員への道は近いですが、昨今は、契約社員からのスター
トも増えています。
 また販売職などで一定の実務経験を経て、デザイナー職へ転向するケースもあります。
契約社員
正社員
服飾系専門学校
<デザイナーコースなど>
大学・短期大学
<服飾学部・学科など>
美術大学
販売職・
マーケティング職
190
デザイナーのキャリアアップモデル
 小さなデザインから大きなデザイン領域へ担当が広がっていきます。
 売上を意識したデザイン力は、マーチャンダイザー職への可能性も広げます。
デザイナーとしてのステップアップ
マーチャンダイザー職
への転向
服のラインナップのデザイン
デザイナー職の
追及
服全体のデザイン
同一のデザインの中での
アレンジ違いなどの細部のデザイン
191
デザイナーの仕事に役立つ資格
 特段にデザイナー向けの資格はないですが、服飾製造全般に関わる知見は必要です。
洋裁技術検定
和裁検定
パターンメーキング技術検定
各種技能士
ファッション色彩能力検定
カラーコーディネーター検定
服飾関係
色彩関係
192
“型”を作るデザイン
<グレーダー・パタンナー・モデリスト>
193
“型”を作るデザイン<グレーダー・パタンナー・モデリスト>(1/2)
 デザインを実物の服にするための製造設計に落とし込む仕事です。
デザイン
紙面上のデザイン
パターン化
モデル化
 生地を用い、型を起こし
て試作品作成
 型を汎用化して生産ライ
ンへ伝達
194
“型”を作るデザイン<グレーダー・パタンナー・モデリスト>(2/2)
 一般的なパタンナーも上級職と下位職があります。
グレーダー
 出来上がったパターンを元に、サイズ(グレード)違いの型を作ります。
 サイズが変わっても、当初デザインのシルエットが出るように気を付け
る必要があります。
パタンナー
 デザインをパターンに起こす職種です。
 デザイン案を元に、試作品製作を行いながら、量産を見据えてパターン
を起こします。
 デザイナーのイメージの具現化に向けて、パターンを検討します。
モデリスト
 「デザイナーと相対しながら、原型パターン作成から応用-試作サンプ
ル-最終サンプル-工業パターン作成の全てに関与し、生産現場への指
示・説明を行い、最終製品に対して品質・技術面で責任を負う立場」日
本モデリスト協会。
195
パタンナーのやりがい
 デザインが、デザインしたものとして、実物になって世の中に流通するかどうかは、パ
タンナーにかかっています。
 デザインのパターン化の成功
• デザイナーの意図をくみ取り、シルエットの雰囲気や、質感を、実
際の生地を用いた縫製で実現できるようにパターンを設計します。
• 良いパタンナーは、デザイナーから指名されたり、デザイナーと共
同経営的に立ち上げた服飾ブランドなどもあります。
 製造(量産)品質の向上
• 生産ラインを意識した最適なパターンは、商品の品質を上げ、良い
ものを市場に投入することができます
• デザイナーの意図を、量産の商品にまで伝達することが、パタン
ナーの役割です。
196
パタンナーになるには
 服飾製造の専門を学ぶ必要があります。
 また、作り方だけでなく、生地などの素材特性についても押さえる必要があります。
契約社員
正社員
服飾系専門学校
<デザイナーコースなど>
大学・短期大学
<服飾学部・学科など>
197
パタンナーのキャリアアップモデル
 “型”作りの専門性をモデリストまで高めていくキャリアのほか、デザイナーへの転向な
どが考えられます。
グレーダー
パタンナー
モデリスト
デザイナー
198
パタンナーの仕事に関連する資格
 パタンナーに求められる代表的な資格を紹介します。
パターンメーキング
技術検定
 日本ファッション教育振興協会が実施する試験。
 3級~1級がある。
 パターンに関する用語や、グレード、工場での生産用
パターンなど型作り関する知見が対象になる。
CAD
 CADはパソコンを用いた立体デザインや図面デザイン
に使用するソフトウェア。
 近年は、パターン設計をCADで行うことで、工場生産
との連携をスムーズにしていることも少なくなく、パ
タンナーにはCADを扱う技能が求められることがあり
ます。
199
“生地”を作るデザイン
<テキスタイルデザイナー>
200
テキスタイルデザイナーの仕事
 生地は、服飾業界の最も重要な素材の1つです。
テキスタイルデザイナーの主な仕事

生地のデザイン


生地の生産管理
服(完成品)のデザイン以上に、トレンドを先読みして生地を
デザインする仕事です。
服として販売される約半年~1年程度前には生地デザインは決
まり、アパレルメーカーと調整に入ります。
常々、生地の見本市や、世界のファッション業界の流行の変遷
を情報収集しています。
 デザインした生地を、メーカーからの受注予定を元に、生産し
ます。
 サンプルのチェックや、品質の管理などを行って、生地工場と
もアパレルメーカーともすり合わせを行います。
201
テキスタイルデザイナーのやりがい
 生地作りは、直接的に完成品の設計を行うわけではないですが、完成品のファッション
性を決定する重要な要素に携わることになり、完成品デザインと同等の面白味がありま
す。
 生地技法を組み合わせた独自の生地デザインの完成
 「織り」と「染め」など技法の違いや、素材のみならず使用する繊維の撚り
方などによっても質感、肌感の違いが生まれます。
 加えて、色味や模様などビジュアルデザインが入ることで、どういった服飾
に使われる生地なるかの生命が宿ります。
 デザイナーの感性を刺激する生地を生み出すことがやりがいになります。
 服飾デザイナーとのコラボレーション
 テキスタイルデザインの企画段階では、アパレルメーカーや、服飾デザイ
ナーとのすり合わせが不可欠になります
 完成品として、どういった服をデザインしようとしているのかのコンセプト
を理解し、生地の専門家として、生地を提案していくことになります。
 服飾のデザイナーだけでは、完成品は実現しない中、テキスタイルデザイ
ナーとの協業で、“お客様に提供する価値”が創出されます。
202
テキスタイルデザイナーになるには
 生地や、縫製による完成品との関係を理解していることが求められるため、服飾の専攻
を習得して就くことが一般的です。
 また他のデザイン職種から、突き詰めていって、テキスタイルデザインに辿り着く(や
りたい方向性になる)こともあります。
高等教育を卒業して参画
服飾系専門学校
<テキスタイルコースなど>
大学・短期大学
<服飾学部・学科など>
就業経験を踏まえて参画
 アパレルメーカーに就職して、
テキスタイル部門に配属
 生地メーカー、繊維メーカー
に就職
デザイナー職から転向
パタンナー職から転向
203
テキスタイルデザイナーのキャリアアップモデル
 テキスタイルデザイナーの醍醐味を追求した専門家になるだけでなく、デザイン力を他
の分野へ応用していくキャリアパスも想定されます。
テキスタイルデザイナーとして専門性を突き詰めていくキャリアパス
完成品のデザイナー職
へ転向
お客様ニーズの予測力
を伸ばし、マーチャン
ダイザー職へ転向
インテリア(家具や壁紙など)
のテキスタイル分野へ展開
204
テキスタイルデザイナーの仕事に関連する資格
 テキスタイルに関連する代表的な資格はありませんが、専門学校では、テキスタイルデ
ザインの専攻学科やコースを配置していることがあります。
テキスタイルを学べる専攻の名称例
 ファッションテキスタイル科
 ファッションデザイン学科
 テクニカルデザインコース
・・・
デザインと技術(縫製や製造など)に
名称で分けていることが多い中、デザ
イン側の専攻に含まれますが、
テキスタイルデザインについては、学
校によって、扱い方の重みが異なりま
すので、確認する必要があります。
205
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
アタッシェ・ド・プレス
207
アタッシェ・ド・プレスの仕事
 服飾は、メディアを通じて、多くの人に露出をすることが、直接販売する店舗事業と同
等に重要です。
アタッシェ・ドプレスの主な仕事
①メディアへの露出
 広告業務や広報業務を通じて商品の露出を図ります。
 どのメディアに露出させるかを判断することはブランディン
グに重要な要素です。
 また掲載記事の事前確認などの業務もあります。
②プレスルームの運営
 スタイリストからの貸し出し依頼に対応したり、業界関係者
に新作を紹介したりします。
 業界のオピニオンリーダーの目に留まり、流行に組み入れら
れるという業界の慣習には、プレスルームは不可欠です。
208
アタッシェ・ド・プレスのやりがい
 良い商品も、プレスの手を通じて世に出ていきます。
 マーチャンダイザーやデザイナーがイメージしたコンセプトが上手く伝わるかどうかの
接点にアタッシェ・ド・プレスの役割があると言えます。
 話題性のある打ち出し企画の成功
 アタッシェ・ド・プレスは、マスコミ関係者などを相手として華やかな場
に関わっていることは多いですが、
 アタッシェ・ド・プレス担当者が前面に出ることは少なく、比較的“裏方”
の仕事とも言えます。
 しかしながら、限られた予算の中で、多くの露出や認知を得るような活動
に繋がった時に、やりがいを得られる仕事です。
209
アタッシェ・ド・プレスの就き方とキャリアアップモデル
 専門性の高い仕事のため、最初から広報系の仕事に従事していて、長く極めていくこと
が多いです。
スタイリストなど他職種
からの転向
アタッシェ・ド・プレス
専門学校からの弟子入り
販売職・デザイナー職などの
実務経験を経て転向
210
アタッシェ・ド・プレスの仕事に関連する資格
 関連する資格は特段にありませんが、少数ですが、広報学科がある服飾系専門学校や、
服飾広報専門のスクールが存在します。
服飾総合専門学校での
コミュニケーション専攻やPRコース
アタッシェ・ド・プレス専門のスクール
※PR・・Public Relations
211
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
製造系職種の概要
 製作部門は、主には以下の構成で進んでいます。
マーカー
 生地から型紙に応じたパーツを切り出すための配置決めを行います。
 完成品で使われる部分を想定して生地の方向なども意識する必要が
あります。
 効率的に取り出せるかどうか原価に影響する仕事です。
 近年はコンピュータ化も進んでいますが、依然、職人の仕事領域で
もあります。
カッター
 裁断師とも呼ばれる仕事です。
 マーカーの印に従って、あるいはマーカー職がない場合は自らで生
地の方向性や特性を考慮して、パターンを切り出す仕事です。
 マーカーと同様に、生地に対する深い知見が求められます。
ソーイング
スタッフ
 縫製を担当する職務です。
 近年、生産の海外化は進んでいますが、それでもなお、国内での縫
製にこだわる品質があります。
 単に縫えるではなく、美しく早く縫えることが重要です。
生産管理者
 仕上げプレスを担当する職種です。
フィニッシャー  最終的にお客様の手に届き、着られる状態を作ることに携わる仕事
です。
213
製造系職種のやりがい
 文字通り“手に職”の技能領域です。
 そのため、やりがいも、自身の技能が高まることに他なりません。
担当工程の技能が
成長すること
- いずれの工程も高い専門性や、豊富な
知識と経験が求められます。
- 様々な生地や、パターン要望に携わっ
た経験を積み重ね、すぐには真似でき
ない価値を得ます。
×
担当工程が増え、
製作技能の幅が広がること
- 一連の製作工程を経て、完成品は出来
上がっていきます。
- そのため、マーカー、カッター、ソー
イングなどと担当工程経験が増えてい
くこともやりがいです。
214
製造系職種のなり方とキャリアパス
 専門課程で、実践的技能を習得した上で、実務に就きます。
 生産管理の専門性を高めて、生産部門の長になるキャリアアップが考えられます。
 生産管理者の手前として、チームリーダーなどのポジションもあります。
専門学校
高等専修学校
製造系職種
(マーカー・カッター・
ソーイングスタッフ・
フィニッシャー)
 勤務先にも依りますが、
 1つの工程を深め、工程のチーム
リーダーになるケースと、
 1つの工程から他の工程へロー
テーションするケースがあります。
生産管理者
 納期予定を元に、生産ラインのチー
ムを動かし、商品を供給します。
 1つの生産ラインで複数の商品を並
行的に作ることもあるため、やりく
りを行います。
215
製造系職種に関連する資格
 製造系職種に関連する資格は、大小含めて様々あります。
 以下に代表的なものを紹介します。
洋裁・和裁技術検定
 日本ファッション教育振興協会実施。
 協会が指定した学校の生徒が受験可能。
 初級・中級・上級の3区分。
和裁検定
 東京商工会議所が行うが実施。
 和裁の知識と技術を評価・判定する。
 1級~4級までの4区分。
婦人子供服製造技能士
 婦人子供注文服製作、婦人子供既製服製造、
婦人子供既製服パターンメーキング、婦人子
供既製服縫製からいずれか一つを選択。
 1級~2級の2区分。名称独占の国家資格。
和裁技能士
 名称独占の国家資格。
 和裁に関する学科及び実技試験。
 1級~3級までの3区分。
ニット製品製造技能士検定
パターンメーキング技術検定
 名称独占の国家資格。
 横編みニット製造作業、丸編みニット製造作
業、靴下製造作業、横編みニット縫製作業、
丸編みニット・たて編みニット縫製作業それ
ぞれ1級~2級の2区分。
 日本ファッション教育振興協会実施。
 パターンメーキングの用語や基本寸法、素材
とパターンなどの必要知識や縫製仕様書など
の書類関係の試験内容。
 1級~3級の3区分。
216
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
服飾に関連がある周辺の職種について
 服飾関連業界の周辺分野になりますが、美容・ファッション業界も「センス・お洒落」
を実現するという点で共通している部分の多い職種です。
 進路を検討する上では見ておいても良い職種になります。
服飾領域
靴・鞄
(皮革製品)
衣服
アクセサリ
その他装身具
服飾を用いた“ものづくり”以外の仕事領域
ディスプレイ
・店舗デザイン
スタイリスト
服飾以外の美容領域
化粧品
モデル
服飾以外のファッション(流行)領域
ヘアメイク
インテリア
家具
物販
サービス
ネイルアート
エステサロン
ブライダル
218
服飾を用いた“ものづくり”以外の仕事領域
服飾領域
靴・鞄
(皮革製品)
衣服
アクセサリ
その他装身具
服飾を用いた“ものづくり”以外の仕事領域
ディスプレイ
・店舗デザイン
スタイリスト
服飾以外の美容領域
化粧品
モデル
服飾以外のファッション(流行)領域
ヘアメイク
インテリア
家具
物販
サービス
ネイルアート
エステサロン
ブライダル
219
スタイリスト・モデル等、服飾系サービス業
 服飾のものづくりや販売ではない部分で、“ファッション”に関わるサービス業です。
スタイリスト
 雑誌やCM・ドラマなどのキャストの撮影
に際し、服飾をコーディネートする仕事。
仕事の概要
就職の方法
 単に着付けるだけでなく、アパレルメー
カーと交渉し、撮影に使用する商品を借り
受けたり、カメラマンと撮影シーンのコン
セプトのすり合わせなども行います
モデル
 雑誌やCMなどのキャスト側になる仕事。
 近年は、モデル自身の個性が打ち出されて
プロデュースされることも多く、(用意さ
れたものを着て、指示されたポーズを取る
だけでなく)感性が求められます。
 撮影に合わせて行う仕事のため、勤務時間
は不規則になりがちです。
 スタイリストと同様に、撮影に合わせて行
う仕事のため、勤務時間は不規則になりが
ちです。
 主にはスタイリストを養成する専門学校で
学びを得て、就職します。
 モデル職を目指すための専門学校もありま
す。
 スタイリスト事務所に所属し、先輩スタイ
リストについて仕事を学びます。
 スカウトを受けたり、オーディションへの
自己応募などで、モデルへの道が開けます。
 一定の経験を積み、お客様(主には雑誌社
等)を獲得すると、フリーランス(独立)
になるスタイリストも少なくありません。
 モデル事務所に所属して仕事を受ける形に
なりますが、企業への就職に比べると、安
定を望むことは難しい仕事です。
220
ディスプレイ・店舗デザイン
 ビジュアルマーチャンダイザーを、より専門的に行う仕事です。
(復習)
ビジュアルマーチャンダイザー
 特定のアパレルメーカーや、小売店に所属して、ブ
ランドを打ち出すための店舗設計や空間設計を行う
仕事
商品の特徴を理解し、
お客様の気持ちを引き付ける
演出力を極める
ディスプレイデザイナー
店舗デザイナー
 様々なお客様から依頼を受け、店舗空間を作りだす
仕事です。
 特定のブランドに所属するわけではなく、依頼の都
度、お客様の商品や、狙いとしている顧客層を念頭
に置いて、デザインを行います。
221
服飾以外の美容領域
服飾領域
靴・鞄
(皮革製品)
衣服
アクセサリ
その他装身具
服飾を用いた“ものづくり”以外の仕事領域
ディスプレイ
・店舗デザイン
スタイリスト
服飾以外の美容領域
化粧品
モデル
服飾以外のファッション(流行)領域
ヘアメイク
インテリア
家具
物販
サービス
ネイルアート
エステサロン
ブライダル
222
化粧品販売
 服飾と同様に“美しく見せる”ことを、化粧の領域で提案する仕事です。
 店舗販売
販売の形態
•
•
百貨店など複数の店舗が集まる施設や、街中の個店などで販売を行います。
販売員がその場でメイクをサポートし提案しながら売る場合もあります。
 直接販売
•
店舗を持たずに訪問販売を行う形態や、エステサロンなどを併設してエステ
サロンのお客様に限定して販売する形態などもあります。
 化粧品メーカー
•
特定の化粧品ブランドに所属して、そのブランドの化粧品に精通して、お客
様に提案し、販売します。
勤務先の種類
 化粧品販売店
•
•
複数の化粧品を扱い販売する店舗です。
以前は少数でしたが、近年は増えてきました。
223
ヘアメイク・ネイルアートなどの美容
 服飾と同様に“美しさ”の表現に関連する領域にあるサービス業です。
ヘアメイク
仕事の概要
 髪型のプロデュースやメイクアップ(化
粧)、着付けなどの仕事です。
 爪の上に表現することで、美しさを演出す
る仕事です。
 流行に敏感で、お客様に合わせたコーディ
ネート力が求められます。
 様々なビジュアル表現や、副資材(ライン
ストーン)などを用いた表現は、無限なデ
ザインが可能で、お客様に応じて、希望を
聞き、提案して、作成します。
 日常の美容のシーンだけでなく、ブライダ
ルなどイベントのシーンに携わる専門もあ
ります。
就職の方法
ネイルアート
 美容の専門学校で修学して進むことができ
ます。(ハサミ等刃物を使用して業務を行
う場合は、美容師の国家資格を取得する必
要があります)。
 スタイリストの師匠に付いたり、美容室に
就職したりして、先輩から実務を学びます。
 美容系・デザイン系専門学校の、ネイル系
学科・コースで学びを得ることができます。
 専門学校以外にも、各種学校や通信教育な
どでも学習が可能です。
 ネイリストに関連する資格も各種あります
•
ネイリスト技能検定
•
JNAジェルネイル技能検定
•
ネイルスペシャリスト技能検定
224
エステサロン
 お客様の美しさの追及をお手伝いする仕事として、エステ(施術)のサービス業もあり
ます。
仕事の概要
 手技を中心とした施術により肌の手入れをサポートする仕事です。
 痩身の目的のものや、リラクゼーション(安らぎやくつろぎ)を
目的とするものなどがあります。
 手技に加えて、アロマ(植物などから採り出した精油)を加えて
行うものもあります。
 お客様の体に直接触れて施すため生理学的な知識も重要です。
就職の方法
 専門学校にエステティシャン養成のコースがある他、社会人向け
のスクールもあります。
 特段に国家資格等が整備されていない実状のため、比較的簡易に
「なることはできる」一方で、お客様の信頼を得て仕事をするに
は実際にお客様を満足させられる技術力が求められます。
 企業のチェーン店や、街の個店で働いて経験を積み、独立開業す
るケースもあります。
225
服飾以外のファッション(流行)領域
服飾領域
靴・鞄
(皮革製品)
衣服
アクセサリ
その他装身具
服飾を用いた“ものづくり”以外の仕事領域
ディスプレイ
・店舗デザイン
スタイリスト
服飾以外の美容領域
化粧品
モデル
服飾以外のファッション(流行)領域
ヘアメイク
インテリア
家具
物販
サービス
ネイルアート
エステサロン
ブライダル
226
インテリア・家具などの物品製造・販売
 ファッションの領域でのデザイン性を服飾以外に広げた仕事の領域です。
関連のある服飾の仕事
服飾デザインにおける
デザイン力
服飾販売における
ファッションセンス
服飾製造における
生地や素材への精通
 ソファーなど家具のデザインや製
造・販売
 壁紙など内装のデザイン用品の製
造販売
服飾を元にして、
• ファッション表現に関心を持った人や、
• ファッション性を身につけた人
が服飾以外のファッション分野でも活躍
できます。
227
ブライダル業(ブライダルカウンセラー)
 結婚式という晴れの舞台の演出や準備をサポートする仕事です。
仕事の概要
 結婚式場の手配や、結婚式での装飾の提案、結婚式自体の進行の
サポートなどを行う仕事です。
 お客様と一緒にイメージを作り上げて、貴重な1日を演出します。
 お客様は、打ち合わせを重ね、概ね半年程度かけて準備をします
が、ブライダルカウンセラーはそういったお客様を複数掛け持ち
で担当します。
就職の方法
 数は少ないですが、ブライダルコーディネーター養成の専門学校
もあります。
 特段に資格などはないため、ブライダルプロデュースの会社に勤
め、仕事をしながら身につけるケースも多いです。
 自社で式場を持って行う会社や、提携先をいくつも持って行う会
社があります。
 施設を持たなくても行えるため、独立開業するケースもあります。
228
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
卒業後の選択肢
 卒業後の進路は、以下の順番で決定することが大切です。
目指すキャリアに
役立つ学びの種類
希望する学びが
得られる学校・企業
• 卒業後何になりたいのか
• 10年後はどうなってい
たいのか
• ○○職には何の勉強が役
立つのか
• どのような経験が必要な
のか
• △△を学習できるのはど
の学校か
• ◇◇の経験が積める職場
はどこか
人に関わる仕事が
したい
いろんな人に出会える販
売の仕事をしたい。
• ファッションビジネス
• 心理学
• 専門学校のビジネスコース
• 大学の経営学部
ファンのいるお店
で働きたい
指名されるような販売員
になりたい。
• 販売現場の経験
• 複数の店舗経験
• 系列店が多く転勤がある
服飾小売店
もの作りをするの
が好き
デザイナーから重宝され
るパタンナーになりたい。
• パターンメーキング
• 服飾造形学
• 専門学校のデザインコース
• 短期大学の家政学部
目指すキャリア
230
学校の種類
 高等専修学校卒業後の進学先については、いくつかの選択肢があります。
無認可校
各種学校
専門学校
特定の職業に就くための学習や、特定の技能の習得
を目的とした学校で、より実務に近い学びが得られ
る。
短期大学
大学
特定職・技能に関する学習と、教
養課程も含めて幅広い領域の学習
ができる。
年数
学校による
学校による
1年~4年
2~3年
4~6年
称号
なし
なし
専門士
(2年制以上)
短期大学士
学士
大学
編入
不可
不可
可
(2年制以上)
可
-
奨学金
なし
あり*
あり
あり
あり
学割
なし
なし
あり
あり
あり
*日本学生支援機構の奨学金は受けられない
231
専門学校・各種学校・無認可校で学べること
 専門学校等は、就業時に必要な知識や技能を習得することを目的としているため、学
科・コースなども、職業ごとに設置されているケースが一般的です。
デザイン
パターンメイキング
販売ビジネス
アタッシェ・ド・プレス
スタイリスト
縫製技術
レディス、メンズ、キッズ、ニットなど、デザイナーの種類
で、更に細分化されている場合もある。
デザイン系と同じ学科になっていることもある。
パタンナーに必要なCADの習得ができる。
服飾についての他、店舗運営や企画などのビジネスに関係の
深い科目の学習が多い。
アタッシェ・ド・プレスや広報職を目指す人向けの学科・
コース。
スタイリストを目指す人向けの学科・コース。
裁断・縫製・刺繍やパーツ付けなどの技術を学習する。
ミシン・手縫いの両方。
232
短期大学・大学で学べること
 教養課程があったり、総論系科目が多かったりと、全体的な学習ができます。
 専門分野に関する学習は、コース(通常は上級年度で選択)分化後から本格化するのが一
般的です。
服飾系
職種向けの
学科・コース
家政学部
美術学部
経営学部・商学部・
経済学部
ファッション
ビジネス
美術
ファッション
ビジネス
被服デザイン
被服デザイン
生産管理
被服製作
心理学
233
学校種類と就職
 服飾分野では国家資格職などはないので、どのような進学形態からでも、全ての職業に
就ける可能性はありますが、最終学歴による求人の多寡は存在します。
進学先(最終学歴)
大学
(大学卒)
短大
専門学校
(短大・専門卒)
各種学校
無認可校
高等専修学校
(高卒)
雇用形態と求人数
正社員
契約社員
大学卒向けの
求人が多い。
新卒対象の求
人数自体が少
ない。
雇用形態によって、勤務スタイ
ル、給与、雇用期間、社会保険
の有無などが変わる。
また、上級職は基本的に正社員
でなければ就けない。
パート
学歴不問であ
アルバイト ることが多い。
フリー
ランス
特定の企業に属さず、個人で起業して働ける職業も
あるが、実績がなければ仕事が取れないので、新卒
で始めるのは難しい。
234
海外留学
 海外で学びを得る選択肢もあります。
 当然ながら語学力が必要になりますが、デザインやマーケティングの領域では、海外の
現場やトレンドを実際の目で見た経験は重宝されます。
社会人
専門学校・短期大学・大学
 社会人経験を積ん
でから留学に行く
 在学中、または進
学の間に留学を行
うケース
高等専修学校
235
専門分野における学習例(デザイン系職種)
 デザイン部門職を目指す学科・コースでは、以下のような学習を行います。
服装造形
服飾デザイン
・デザイン画
アパレル素材論
染色
クロッキー
ピンワーク
パターンメーキング
CADパターンメーキング
服作りの基本的な知識について学ぶ。
多種多様な服について、デザイン的な特徴や意味
合いに関する体系立った知識や、基本的なデザイ
ンの方法・デザイン画の描き方、生地素材の特徴
などを学習する。
主にデザイナー職に必要な知識・技能を学ぶ。
生地や糸などの素材の染色手法や特徴、短時間で
スケッチを行う技術(クロッキー)、1枚の布とピン
で服のイメージを作る技術(ピンワーク)など。
主にパタンナー職に必要な知識・技能を学ぶ。
デザイン画からパターンを起こす技術や、CADを
使ったパターン作成方法など。
236
専門分野における学習例(販売・マーケティング系職種①)
 販売・マーケティング部門職を目指す学科・コースで、特に現場業務に関する学びには、
以下のようなものがあります。
アパレル商品論
アパレル素材論
アパレル品質論
服飾商品に関する基礎的な知識を学ぶ。
着用目的別、着用対象別の服飾商品や、使われる
素材の種類や特徴、素材面、企画面、縫製面から
見た商品の評価方法をはじめ、ファッションビジ
ネスの流れや業界等の体系だった知識など。
ファッションビジネス
接客対応スキル
販売実務
ファッション色彩
ファッション
コーディネート
売場計数
主に販売の現場で有用となる知識や技能を学ぶ。
接客販売とその周辺業務の主な内容や、マナーな
どの「接客業」としての知識・技能や、顧客のス
タイルに合わせた商品選択やコーディネートセン
スなど「装いのプロ」としての知識・技能を習得
する。
また、店舗経営に必要な情報の種類や分析方法に
ついても学習する。
237
専門分野における学習例(販売・マーケティング系職種②)
 販売・マーケティング部門職を目指す学科・コースで、特に管理業務に関する学びには、
以下のようなものがあります。
ファッション
マーケティング
マーケットリサーチ
マーチャンダイジング
服飾業界におけるマーケティングの特徴や手法に
ついて学習する。
マーチャンダイジングの基礎となる情報の種類や、
収集・分析方法や、商品の企画・製造・販売・プ
ロモーションにおける方針・計画の作成手法など。
セールスプロモーション
ビジュアル・
マーチャンダイジング
スタイリング
プレゼンテーション
レイアウトやディスプレイなどを利用した表現と
総合的売場作りについて学習する。
ショップスタイリスト
238
専門分野における学習例(スタイリスト職)
 スタイリスト職を目指す学科・コースでは、以下のような学習を行います。
スタイリスト論
ファッション
コーディネート
ディスプレイ
スタイリング
ディレクション
仕事内容や仕事の方法などの、スタイリストの概
要的な内容から入り、服の組み合わせ方、飾り方
など、業務に必要な個々の技術を学習する。
また、自分でスタイリングを行うだけでなく、全
体のスタイリングを統括する手法についても学習
する。
ヘアメイク
服飾以外のファッション要素について学習する。
アクセサリー論
239
専門分野における学習例(広報・プレス系職種)
 プレス職を目指す学科・コースでは、以下のような学習を行います。
メディアマーケティング
メディア
コミュニケーション論
グローバル
コミュニケーション論
文章表現
プロモーションツール
ファッション情報分析
ファッションアーカイブ
メディアを介した販促・認知拡大の手法や、海外
に対する発信手法などを学習する。
ツールを利用した広報・販促の種類や方法、発信
内容の表現方法などを学習する。
情報発信の結果について、収集・分析すべき情報
の種類やその方法について学習する。
240
専門分野における学習例(縫製系職種)
 服飾商品の縫製工程は、海外委託が主流で国内求人数は少なく、これを専門に学習する
ような学校も非常に少なくなっています。
服作りの一般知識
デザイン
服作りに関する技術面の知識・技能を一通り習得
できる、デザイン系の学科・コースが適当。
パターンメーキング
服作り実習
技術向上のため、縫製工程の実習時間を多く取っ
ている学校を選択する。
241
文部科学省委託事業 平成26年度
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業
服飾系高等専修学校における産学官連携による実践的な職業教育アドバンスド・コースの研究・開発
服飾業界で役立つ主な資格
 服飾業界で仕事をしていく中で役立つ資格には、以下のようなものがあります。
 今回のパートでは、主な資格についてまとめて学習します。
服作り技術関連
販売関連
服作りに関連する資格。
縫製、デザイン、パター
ンメーキングなど、工程
に応じて存在。
接客や顧客対応に加え、
商品の仕入れや流通、管
理に関連する資格。
パターンメーキング技術検定 ファッション販売能力検定
洋裁技術検定
ファッションビジネス能力検定
和裁技術検定
販売士検定
ニット製品製造技能士検定
衣料管理士(TA)
婦人子供服製造技能士
繊維製品品質管理士(TES)
和裁検定
シューフィッター
和裁技能士
ジュエリーコーディネーター
色彩関連
デザインの要素となる“色
彩”に関連する資格。
販売関連(顧客対応)に
も関連。
PCスキル
デザインやパターンメー
キングなどで必要になる
PCスキル。
ファッション色彩能力検定
CAD
カラーコーディネーター検定
Illustrator
Photoshop
きものコンサルタント
マーチャンダイザー資格
商品装飾展示技能検定(VMD検定)
243
販売士検定1
資格の概要
販売に必要な商品知識や販売技術、仕入れや在庫管理、マーケティングなど、より高度で専門
的な知識を持つ人材の育成を目指す。
認定団体
日本商工会議所
階級
3級
2級
1級
各級内容
小売店舗運営の基本的な仕組
みを理解し、販売員としての
基礎的な知識と技術を身に付
けている。
小売業について、主として販
売に関する専門的な知識を身
につけ、ある程度の管理業務
を遂行し、かつ部下を指導す
ることができる。
小売業経営に関する高度の専
門的な知識を身につけ、経営
計画を立案し、総合的な管理
業務を遂行できること。
試験科目
小売業の類型、マーチャンダイジング、ストアオペレーション、マーケティング、
販売・経営管理
科目免除
3級では、「マーケティング」(以下【マ】)「販売・経営管理」(以下【販】)の免除条件がある。
• 【販】免除:「3級販売士養成講習会」または「養成通信教育講座」の修了者。
• 【マ】免除:「商業経済検定試験」の「ビジネス基礎」「マーケティング」の2科目合格者。
• 【販】【マ】免除:上記試験「ビジネス基礎」「マーケティング」および「商品と流通」
「国際ビジネス」「経済活動と法」のいずれかの計3科目合格者。
244
販売士検定2
階級
3級
受験資格
受験料
1級
なし。どの階級から受けてもよい。
4,000円
受験方法・場所
役立てられる
職種
2級
5,500円
7,500円
各地の商工会議所
販売員
ショップマネジャー
販売員
ショップマネジャー
インストラクター
ショップマネジャー
エリアマネジャー
スーパーバイザー
ディストリビューター
VMD
バイヤー
マーチャンダイザーなど
245
ファッション販売能力検定1
資格の概要
服飾業界の現場である店舗において、接客技術、販売力、ショップ運営などの必要な知識や能
力向上を目指す。
認定団体
一般財団法人 日本ファッション教育振興協会
階級
3級
2級
1級
各級内容
ファッションビジネスに関す
る専門教育を1年程度学んだ
レベル。ファッション商品販
売の仕事に携わる場合に必要
とされる、基本的なファッ
ション商品知識、販売知識、
接客技術などを問います。
ファッションビジネスに関す
る専門教育を2年程度学んだ
レベル。専門的な販売知識や
接客技術を習得し、販売実務
である程度、実績と経験を積
み、臨機応変な接客対応と販
売、事務処理などができるか
を問う。
教育機関などでファッション
ビジネス専門教育を2年以上、
卒業後ショップでの実務を3
年程度経験したレベルを想定。
若い管理・責任者の育成を目
的とし、対面接客販売、経営
者や本部の支援システムがあ
る店舗を想定した内容。
試験科目
2級、3級ともに、下記A科目から130問、B科目から170問。
A科目:ファッション販売知識、ファッション・マーケティン
グ知識、ファッション販売業務
B科目:ファッション販売技術1、ファッション販売技術2、店
舗演出・VP展開、ファッション商品知識
※3級は、B科目ファッション販売技術に1と2の区分はなし
科目免除
いずれかの科目のみを合格した場合、次回、次々回に限り、合
格科目が免除される。(2,3級のみ)
ショップ・マネジメント知識
販売知識
販売技術
246
ファッション販売能力検定2
階級
3級
受験資格
受験料
受験方法・場所
役立てられる
職種
1級
なし。どの階級から受けてもよい。
5,000円
(3,000円 科目免除受験)
5,000円
(3,000円 科目免除受験)
協会指定の会場または大学・専門学校等
出題形式
合格基準
2級
12,000円
(科目受験:4,000円/科目)
東京会場のみ
マークシート方式
「A科目」・「B科目」ともに70%の得点を目安に合格
販売員
ショップマネジャー
販売員
ショップマネジャー
VMD
ショップマネジャー
エリアマネジャー
スーパーバイザー
ディストリビューター
247
ファッション販売能力検定3級の問題例①
【A科目】ファッション販売知識
下記a~eは、セレクトショップおよびSPAに関する文章です。正しいと思われるものには、解答
番号の記号アを、誤っていると思われるものには記号イをマークしなさい。
回答
a
「セレクトショップ」も「ナショナル・チェーン」も、商品調達を複
数ブランドの仕入でまかなう形態である場合、小売業態の分類上では、
同じ「品揃え型専門店」ということになる。
b
インポート商品を中心に取り扱うようなセレクトショップにおいては、
同じ現地価格の商品であっても、円でより安く買い付けができる「円
安」の状況が有利といえる。
c
一般的に、セレクトショップとSPAを比較した場合、独自の強いこ
だわりを持ち、多くの仕入先から商品を選ぶことができるセレクト
ショップの方が、多店舗化展開という点においては、断然、適合しや
すい業態であるということができる。
d
「SPA」という用語の中には、「アパレル専門店」という意味も含
まれている。
e
SPAは、自ら商品企画・構成を組み立てるため、シーズン前に綿密
な売り場のVMD計画を構築するという点については、適した業態と
言える。
248
ファッション販売能力検定3級の問題例②
【A科目】ファッション・マーケティング知識
下記a~eは、販売スタッフの情報収集のポイントに関する文章です。適切であると思われるものに
は、解答番号の記号アを、不適切であると思われるものには記号イをマークしなさい。
回答
a
ファッショントレンドには、その時代ごとの美意識や価値観の変化が
色濃く反映されるものであり、特に昨今のITの進展によりそのス
ピードアップが著しい。そのため、販売スタッフも、ファッション関
連のみならず、一般的な社会の変化や経済の動向といった情報にまで
精通しておく必要がある。
b
販売スタッフは、接客時の会話を通じて、お客様の具体的な商品に対
する要望や評判を把握する必要がある。特にファッション専門店の場
合は、自店のターゲット客と思われる方の意見は、重視すべきである。
c
SPAショップに勤務する販売スタッフは、売場の商品動向に関する
情報を、仕入先ブランド別に、細かく把握し報告するようにすると、
バイヤーの活動にとって、より有用なものとなる。
d
ファッション市場の成熟化にともない、「同質化」の問題が浮上して
きている。したがって、差別化をはかるためには、販売スタッフの店
舗リサーチでも、いかにライバル店の「売れ筋商品」をつかみ、その
商品を素早く自店へ導入するかというポイントに絞られてきている。
e
販売スタッフは、自店とターゲットがオーバーラップすると思われる
ファッション雑誌には必ず目を通すようにするべきである。特に最近
は、単品アイテムによる「レイヤード・ルック」が主流となっている
ため、コーディネートやウェアリングの方法を注視する必要がある。
249
ファッション販売能力検定3級の問題例③
【A科目】ファッション販売業務
下記a~eは、試着およびレジ対応に関する文章です。正しいと思われるものには、解答番号の記号
アを、誤っていると思われるものには記号イをマークしなさい。
回答
a
売り場の混雑時は、お客様がフィッティングルームに入られたら、一
呼吸ほどおいて「いかがですか?」と声をかける。これにより、お客
様は販売スタッフがそばについていることを認識し、試着のスピード
が速まるという効果があり、販売効率の向上につながる。
b
特にフィッティングルームが狭いショップでは、お客様が商品を試着
なさったら、外へ出て靴を履いた状態で、少し離れた距離から鏡を見
ていただいた方が良い。こうすることで、着こなし全体のバランスが
わかり、さらに、まわりのお客様から注目されることで、少し気分が
高揚するという効用もある。
c
レジ周りには、お客様のお買い物の精算をスムーズに行うために、さ
まざまな備品や事務用品を備えておかなくてはならない。レジ周りの
備品には、ガムテープ・縫製セット・サインペンなども揃えておく必
要がある。
d
お客様がクレジットカードを使用される場合は、必ずお支払いの方法
を確認する。その中で「リボルビング払い」とは、分割払いの一種で、
毎回の支払い額が均等ではなく、後半になるにつれて設定された一定
の比率で支払額が増えていく方式のことである。
e
レジ精算を終えて、お客様にクレジットカードをお返しする際には、
必ずお名前をお呼びするようにする。このことは、販売上のマナーに
も適合し、同時にカードの返し間違いの防止にもつながる。
250
ファッション販売能力検定3級の問題例④
【B科目】ファッション販売技術
下記a~eは、販売スタッフの基本マナーに関する文章です。正しいと思われるものには、解答番号
の記号アを、誤っていると思われるものには記号イをマークしなさい。
回答
a
「いらっしゃいませ」は“よく来てくださいました”という歓迎の意味
で、「居る、来る」の謙譲語に「~ます」の命令形である「~ませ」
がついたものである。
b
「会釈」とは、腰を15度程度倒して目を合わせてお辞儀をすることで、
“前後の事情をのみこみ、事の道理を会得すること”の意味がある。こ
れは、接客中のお客様に少しお待ちいただくときや、店内で取引先や
お客様とすれ違った時などにも使う。
c
「お待たせいたしました」は、やむをえずお待たせした場合に、お詫
びの気持ちを込めて、45度以上、上半身を傾斜させる最敬礼とともに
使う言葉である。お辞儀が深いほど、申し訳ない気持ちがお客様に伝
わるものである。
d
「申し訳ございません」は、お客様に呼びかけをしたり、何かを尋ね
る、伝票に記入願うなど、お客様に何かを依頼するときの前置きに使
う言葉である。
e
「ありがとうございます」は、漢字では「有り難うございます」と書
き、“お客様に対して心から御礼申し上げます”と感謝の意を表す言葉
である。接客時、過度にならない限り何回使っても良い。
251
ファッション販売能力検定3級の問題例⑤
【B科目】店舗演出・VP展開
下記a~eは、売り場環境と陳列に関する文章です。正しいと思われるものには、解答番号の記号ア
を、誤っていると思われるものには記号イをマークしなさい。
回答
a
お客様を売り場内に導く「客導線」は、スムーズにゆっくり、くまな
く売り場内を回遊し買い物ができるように長いほど良いとされている。
また、販売スタッフの動きを示す「管理動線」は、販売スタッフが売
り場内のどこにいてもスピーディーに対応できるように考えられ、短
いほど良いとされている。
b
売り場内に島状態で配置する什器の高さは、店によって多少高低に差
があるが、お客様に商品陳列の豊富感を演出し満足を感じていただく
ためには、成人女性の一般的な目の高さと同じ約150cmくらいに設定
するのが適正である。
c
d
e
お客様に着こなしを提案するには、トップスだけかけてあるシングル
ハンガーラックのそばにもトルソーやコーディネートスタンドを置き、
トップス&ボトムスのコーディネートを展開したほうが、関連販売が
促進でき効果的である。
棚什器にカラフルなTシャツなどをたたんで積み置き陳列する場合、色
のトーンは下から上に向かって、色相のレインボー・グラデーション
や、淡いトーンから濃いトーンの順に並べるとわかりやすく選びやす
い。
ガラスケースはクローズタイプの什器なので、お客様は直接商品に触
れることができない。そのため、対面販売または側面販売とし、陳列
商品としては、時計・宝飾品、高級輸入ニット、ブラウスなどのデリ
ケートな商品を入れるようにする。お客様は、ガラス越しに商品を見
るので反射で見にくくならないように、ケース内の照明を充実させる
ことが大切である。
252
ファッション販売能力検定3級の問題例⑥
【B科目】ファッション商品知識
下記a~eは、天然繊維の名称とその特徴を説明した文章です。それぞれの説明文として正しいと思
われるものには、解答番号の記号アを、誤っていると思われるものには記号イをマークしなさい。
回答
a.獣毛
一般的には、羊毛以外の動物の毛を獣毛と呼ぶ。代表的なものに、カ
シミア、アンゴラ、アルパカなどがある。やわらかくて、特有のぬめ
りがあり、生産量が少ないため高価である。保湿性、吸湿性、弾力性
などがあるが、欠点は虫に弱いことである。
b.麻
とても丈夫な繊維で、手触りは綿よりもやわらかな感触である。水分
の吸収がよく乾きやすいので清涼感があり、夏の衣料原料に適してい
る。欠点は、日光にさらすと黄変したり、洗濯するとのびたりするこ
とである。
c.綿
吸水性がよく、絹に似たしなやかな感触がある。染色性やドレープ性
に富んでいるが、プリーツ性はなく、強度が低い。摩擦に弱く、洗濯
すると縮みにくいが、しわになりやすいのが欠点である。
d.羊毛
生産地は、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、ウク
ライナなどである。メリノ・ウールが代表的で、そのほかにシェット
ランド・ウール、タスマニア・ウールなどがある。保湿性、吸湿性、
弾力性、難燃性などはあるが、欠点としては虫に弱いことである。燃
やすと縮れながらくすぶるように燃えるのが特徴である。
e.絹
天然繊維の中でもっとも細く長い繊維で、ドレープ性があり、発色性
がよく、独特のしなやかさと光沢を持っており、保温性があるが、欠
点としては虫に弱い。
253
ファッションビジネス能力検定1
資格の概要
顧客満足を追求し、収益化を可能にする戦略立てのできる人材を育成することを目的として、
ファッションに関する造形的知識・技術から流通までの技能を評価・証明する。
認定団体
一般財団法人 日本ファッション教育振興協会
階級
3級
2級
1級
各級内容
ファッションビジネスに関す
る専門基礎教育を1年程度学
び、企画や生産から流通に渡
るファッションビジネスの業
務を遂行する際に必要な
ファッションとビジネスの基
本的な知識と技術を習得して
いるかを問う。
ファッションビジネスに関す
る専門基礎教育を2年程度学
び、企画や生産から流通にわ
たるファッションビジネスの
業務を遂行する際に必要な
ファッションとビジネスの専
門的な知識と技術を習得して
いるかを問う。
教育機関などでファッション
ビジネスに関する専門教育を
2年以上履修し、卒業後、服
飾小売企業で実務経験を5~6
年程度積んだレベル。
試験科目
科目は、「ファッションビジネス知識」(以下【ビジネス】)
「ファッション造形知識」(以下【造形】)で共通。
2級は【ビジネス】から170問、【造形】から100問。
3級は【ビジネス】から180問、【造形】から100問。
科目免除
いずれかの科目のみを合格した場合、次回、次々回に限り、合
格科目が免除される。(2,3級のみ)
マーケティング戦略
マーチャンダイジング戦略
流通戦略
マネジメント戦略
ファッションビジネス知識
254
ファッションビジネス能力検定2
階級
3級
受験資格
受験料
受験方法・場所
合格基準
役立てられる
職種
2級
1級
なし。どの階級から受けてもよい。
5,000円
(3,000円 科目免除受験)
5,000円
(3,000円 科目免除受験)
協会指定の会場または大学・専門学校等
12,000円
(科目受験:4,000円/科目)
東京会場のみ
ファッションビジネス知識」は全試験配点の60%の得点を、
「ファッション造形知識」は70%の得点を目安に合格
エリアマネジャー
スーパーバイザー
ディストリビューター
バイヤー
マーチャンダイザー
エリアマネジャー
スーパーバイザー
ディストリビューター
バイヤー
マーチャンダイザー
マーチャンダイザー
255
ファッションビジネス能力検定3級の問題例①
ファッションビジネス知識[Ⅰ]
下記a~eは、アパレル産業に関する文章です。①~⑤の中にあてはまる言葉を、語群[ア~ク]か
ら選び、解答番号の記号をマークしなさい。(解答番号①は、同一の言葉を2回使用)
語群
a
アパレル産業とは、アパレルの生産と①販売にたずさわる企業群のこ
とで、アパレル生産企業とアパレル①企業に分けられる。
b
アパレル生産企業は、その生産工程によって、大きく②企業(アパレ
ルソーイング企業)と、ニットウェア生産企業に分けられる。
c
アパレル生産企業は、業態によって、受託加工型、協力工場型、製造
販売型に分けることができるが、このうち受託加工型生産企業とは、
いわゆる③工場のことである。
d
製造販売型生産企業は、商品企画、素材購入の機能をもっているので、
アパレル卸企業や小売企業などは、その商品を④に基づいて仕入れる
ことになる。
e
ニットウェア生産企業には、糸から直接製品(横編の⑤など)をつく
る企業と、ニット生地を裁断・縫製して製品をつくる企業の2つのタ
イプがある。
ア
元請け
イ
卸
ウ
サンプル
カ
セーター
キ
下請
ク
縫製
エ カットソー オ
小売
256
ファッションビジネス能力検定3級の問題例②
ファッション
造形知識[Ⅰ]
下記a~eは、レディスウェアの製品図です。□の中にあてはまる名称を語群[ア~ク]から選び、
解答番号の記号をマークしなさい。
ア
シャツスーツ
オ シャネル風スーツ
イ プリンセスコート
ウ チュニックスーツ
カ
キ キャミソールトップ ク チャイニーズドレス
ボレロ
エ
シャツドレス
257
衣料管理士(TA)
資格の概要
繊維製品を企画・生産・販売する企業のなかで、企画・設計/販売/品質保証/消費者対応など
の部門で活躍するスペシャリストの育成を目指す。
認定団体
一般社団法人 日本衣料管理協会
階級
2級
1級
取得方法
協会が認定した大学・短期大学で4つの専門分野に関する科目を履修し、単位を修得して大
学・短期大学を卒業する。
各級内容
1級TAと学習分野(下記の4分野)は同じで、学
習の進度が異なる。
協会認定の短期大学で、認定科目を28単位以
上修得する。
学習内容
1級、2級とも以下の4つの分野に関する各種科目の履修が必要。
材料・品質の分野(被服繊維学、被服材料学、機能材料学など)
加工・整理の分野(被服整理学、被服整理学実験、染色加工学)
企画・設計・生産の分野(アパレル企画論、アパレルデザイン論、アパレルデザイン表現実習)
流通・消費・消費者問題などの分野(生活行動論、消費科学、消費者調査法など)
役立てられる
職種
2級TAと学習分野(下記の4分野)は同じで、学
習の進度が異なる。
協会認定の4年制大学で、認定科目を43単位
以上修得する。
販売員、ショップマネジャー
エリアマネジャー、スーパーバイザー、ディストリビューター
バイヤー、マーチャンダイザー
生産管理者
その他、クレーム等対応部門(お客様センターなど)勤務でも役立てることができる。
258
繊維製品品質管理士(TES)1
資格の概要
繊維製品の品質・性能の向上、品質についての消費者からのクレーム削減のため、それらの製
品の製造や販売を行う企業のなかで活躍するスペシャリストの育成を目指す。
認定団体
一般社団法人 日本衣料管理協会
階級
階級なし
各級内容
-
試験科目
短答式試験(基礎知識を問う)
• 繊維に関する一般知識
• 家庭用繊維製品の製造と品質に関する知識
• 家庭用繊維製品の流通、消費と消費者問題に関する知識
記述式試験(応用能力を問う)
• 事例(品質・性能クレーム防止の製品企画および品質管理に関する応用能力の有無を問う)
• 論文
科目免除
「繊維に関する一般知識」は下記条件によって免除される。
学歴免除:短大・大学で繊維技術に関する科目を習得した人。
職歴免除:国、地方公共団体または企業等で、繊維製品の品質の管理に関する業務に通算5年
以上従事した人。
資格免除:一般社団法人日本衣料管理協会が審査・認定した衣料管理士の称号をもつ人。
259
繊維製品品質管理士(TES)2
階級
-
受験資格
なし。
受験料
14,040円(初受験)
10,800円(継続受験)
6,480円(「繊維一般」免除判定申請料)
13,880円(登録料、全科目合格者のみ)
受験方法・場所
役立てられる
職種
協会指定の全国の試験会場(大学または商工会議所など)
販売員、ショップマネジャー、エリアマネジャー、エリアマネジャー
スーパーバイザー、ディストリビューター、インストラクター
販路開拓、バイヤー、マーチャンダイザー
生産管理者
その他、クレーム等対応部門(お客様センターなど)勤務でも役立てることができる。
260
シューフィッター1
資格の概要
認定団体が開催している講座を受講し、認定を受ける。
足に関する基礎知識と、靴合わせの技能を習得し、足の疾病予防の観点から正しく合った靴を
販売するシューフィッティングの専門家を養成する。
認定団体
階級
一般社団法人 足と靴と健康協議会
プライマリー(初級)
バチェラー(上級)
幼児子ども専門
シニア専門
各級内容
消費者が満足する
シューフィッティン
グ技術を身に付け販
売に役立てる。
プライマリーより専
門性の高い学習を行
い、技術を高める。
幼児子どもに特化し
高齢者に特化した専
た専門課目を学習し、 門科目を学習し、技
技術を向上させる。
術を向上させる。
受講内容
• スクーリング
(3日間)
• 在宅課題
-指定問題集回答
-フィッティングト
ライアルチェック
シート(10足分)
-足型(50人分)の
提出
• スクーリング
(3か月×3日間)
• 在宅課題
-足型計測
-パッキングワーク
-足の病気と障害
-靴の知識
-靴人間工学
-シューフィッティ
ング
• スクーリング
• スクーリング
261
シューフィッター2
階級
プライマリー(初級)
バチェラー(上級)
認定基準
• スクーリング出席
• 小テスト、問題集
合格
• フィッティングト
ラアルチェック
シート(10足分)
の提出
• 足型(50人分)の
審査に合格
• 靴関連の実務経験
3年以上
• スクーリング出席
• 課題合格
• 課題認定試験合格
受験資格
なし
受講料
95,000円
受講場所
役立てられる
職種
東京、大阪、神戸
幼児子ども専門
シニア専門
• スクーリング出席
• ペーパーテスト合
格
• スクーリング出席
• ペーパーテスト合
格
プライマリー合格者
プライマリー以上
合格者
プライマリー以上
合格者
260,000円
66,000円
66,000円
東京
東京
東京
(靴関係業の)
販売員、ショップマネジャー、エリアマネジャー、スーパーバイザー、インストラクター
その他
262
ファッション色彩能力検定1
資格の概要
ファッション業界で働く人、これから働こうとしている人の色彩に対する知識や技能を向上さ
せることを目指す。
認定団体
一般財団法人 日本ファッション教育振興協会
階級
3級
2級
1級
各級内容
アパレルメーカーや小売企業
などでアシスタント的な業務
につき、ある程度の自己判断
をしながら色彩に関する業務
を遂行できるレベルの受験者
向け。
ファッション系専門学校や大
学などでファッション色彩に
関する基礎知識と技術につい
ての教育を1年間学んだ程度。
色彩に関連する仕事に就き、
業務の目的を把握しそれに
沿った計画を立案し実行でき
るレベルの受験者が対象。
ファッション専門学校や大学
などでファッション色彩に関
する専門知識と技術について
の教育を学んだ程度。
ファッション分野の諸業務の
中で、色彩情報を客観的に収
集・分析し、商品や店舗にお
ける色彩計画を立案する力を
有する。また、ファッション
に関する色彩の専門家として、
その知識や理論を活用し、実
務における色彩活用に対して
適切なアドバイスができる。
•
•
•
•
•
•
• 産業における色彩
• 色彩理論-光、視覚、心理
• 色彩体系-色名とカラーシス
テム
• 配色と色彩調和
• ファッション産業における
色彩計画
• 色名
• A科目:色彩理論、知識につ
いての文章問題
• B科目:写真や図版の色を見
て判断する問題
• C科目:色彩情報の整理と分
析、および色彩計画について
の課題
試験科目
色彩の働き
色彩の体系
色彩理論-基礎
色彩の技術
ファッション産業と色彩
色名
263
ファッション色彩能力検定2
階級
3級
受験資格
受験料
2級
なし。どの階級から受けてもよい。
5,000円
5,000円
受験方法・場所
協会指定の会場または教育機関
合格基準
2級・3級ともに、70%の得点を目安に合格とします
役立てられる
職種
1級
販売員
ショップマネジャー
デザイナー
パタンナー
ショップマネジャー
エリアマネジャー
スーパーバイザー
ディストリビューター
バイヤー
マーチャンダイザー
デザイナー
パタンナー
14,000円
東京
エリアマネジャー
スーパーバイザー
マーチャンダイザー
デザイナー
パタンナー
264
ファッション色彩能力検定3級の問題例①
【第1章】概論-色彩のはたらき
下記a~dは、「服装における色彩の機能的な役割」に関する問題です。①~⑤の中にあてはまる言
葉を、語群[ア~コ]から選び、解答番号の記号にマークしなさい。
語群
a
衣服には、身体の保護や防寒などの機能的な役割と、美しく身を飾る
①な意味がある。色彩にも、さまざまな働きがあるが、服装に限定し
て色の働きを考えると、環境に対する機能的な役割と、身につける人
の気持ちや、それを見た人の受取り方など、②な役割がある。
b
黒などの暗い色の服は、紫外線を吸収するため、紫外線が直接肌に当
たることを防ぐという、人の体を環境から守る③の役割がある。また、
藍やインディゴなどは、その染料の成分によって、虫などが寄り付か
ない。これも同様の役割と考えてよいだろう。
c
白など明るい色は、汚れやすい色であるが、汚れの目立ちやすさは、
医師や調理師の白衣のように清潔さを保つことに役立ち、④に有効に
機能する。
d
日常着でも、鮮やかな色(派手な印象の色)はよく目立ち、着る人の
存在を強くする。逆に、地味な印象の色、目立たない色は、着ている
人の存在を薄くする場合がある。赤や黄色はよく目立つといわれるが、
この目立ちやすさのことを⑤という。
ア
絶対的
イ
心理的
ウ
自然保護
エ 健康の維持 オ
誘目性
カ
装飾的
キ
経済的
ク
身体保護
ケ 衛生の保持 コ
対比効果
265
ファッション色彩能力検定3級の問題例②
【第2章】色彩の体系
下記a・bは、「色の三属性」に関する問題です。ジャケット[図A~D]の色を見て、それぞれの問
いに答えなさい。
a. 図A~Dのジャケットの色を色相別に二つのグ
ループに分けます。もっとも正しいと思われる
組み合わせを[ア~ウ]の中から選び、解答番号
の記号をマークしなさい。
b.図A~Dのジャケットの色を明度別に二つのグ
ループに分けます。もっとも正しいと思われる
組み合わせを[ア~ウ]の中から選び、解答番号
の記号をマークしなさい。
ア.[A,B]のグループと[C,D]のグループ
ア.[A,B]のグループと[C,D]のグループ
イ.[A,C]のグループと[B,D]のグループ
イ.[A,C]のグループと[B,D]のグループ
ウ.[A,D]のグループと[B,C]のグループ
ウ.[A,D]のグループと[B,C]のグループ
266
ファッション色彩能力検定3級の問題例③
【第3章】色彩理論-基礎
下記a~cは、絵の具など色料を使った「混色」に関する文章です。①~⑤の中にあてはまる言葉を、
語群[ア~コ]から選んで文章を完成させなさい。
a
異なった色相の色同士を混色すると①の色
相になる。
たとえば、下図色相環のAとBを混色す
ると、②ができる。
b
下図色相環で、色相差が最も大きい③の関
係にあたるAとCの混色は、④色になる。
c
混色によって紫をつくる場合、DとEの
混色のほうが、DとAの混色よりもより
⑤の高い色を作ることができる。
語群
ア
類似
イ
オレンジ
ウ
対照
エ
鮮やかな
オ
彩度
カ
中間
キ
黄緑
ク
補色
ケ
濁った
コ
明度
267
ファッション色彩能力検定3級の問題例④
【第4章】色彩の技術
下記は、「配色」に関する問題です。スカート図[a~e]の配色を示したそれぞれの色相環を、色
相環図[ア~オ]から選び、解答番号の記号をマークしなさい。
268
ファッション色彩能力検定3級の問題例⑤
【第5章】色彩の技術
下記a~eは、「商品陳列と色彩」に関する文章です。正しと思われるものに解答番号の記号アを、
誤っていると思われるものには記号イをマークしなさい。
回答
a.
ビジュアル・プレゼンテーションは、いわば店の看板であり、お客様
の視線を引き、第一印象を作る。したがって、常にお客様の目を引く
赤などの誘目性の高い色を選ばなければならない。
b.
ハンガーや棚に商品を陳列する場合、色を秩序立てて整理することで
商品が見やすくなる。
c.
暖色と寒色を交互に並べることで、それぞれの色が明確になり、きわ
だち感のある陳列になる。
d.
商品の色に注目して陳列する場合、同系のトーンの色をまとめて陳列
する方法がある。この方法は、トーンの数が多いときや色相のイメー
ジを強調したいときに適当である。
e.
商品の色に注目して陳列する場合、色相環の順番にしたがって色を並
べる方法があり、色の移り変りが自然な陳列になる。この方法は、商
品の色相数が少ないときほど効果がある。
269
索引
服飾業界の仕事領域〈広報〉
広報
社外(主に雑誌やTVなどのマス
メディア)に向けて、商品を紹
介したり、ブランドコンセプ
トを宣伝したりする。
• ファッション誌に掲載され
る服やTV番組で着用される
服の貸出。
• メディアの取材対応。
• シーズン毎の新商品などを
メディアや取引先への周知。
職業の紹介(広報系)
1
~
3
年
目
4
~
6
年
画
ス
タ
イ
リ
ス
ト
イ
ベ
ン
ト
プ
ラ
ン
ナ
ー
予算に基づき、製造・販売する
商品を企画し、展開する。
• 商品の取り扱い先拡大に向け
た営業や店舗展開活動
• 消費者動向などの需要と、原
料・生地などのコストを勘案
し、商品構成などを決定。
• デザイン、製造、販売の整合
性の確保。
• 広報と連携した打ち出し方の
企画。
職業の紹介(販売系)
販
売
員
・
シ
ュ
ー
フ
ィ
ッ
タ
ー
ア
タ
ッ
シ
ェ
・
ド
・
プ
レ
ス
服飾業界の仕事領域
マーケティング
〈マーケティング〉
商品の回転、ディスプレイ、
接客などを最適に保ち、消費
者に商品を販売する。
• 店舗(直営店や百貨店・SC
内店舗)での商品販売。
• 売れ筋、顧客の嗜好、在庫
の状況などに配慮し、店舗
への陳列。
• ブランドコンセプトに合致
し、顧客にも受ける商品を
買付。
(
デビ
コジ
レュ
ーア
タル
ー
)
イ
ン
ス
ト
ラ
ク
タ
ー
職業の紹介
(マーケティング系)
服飾業界の仕事領域〈デザイン〉 服飾業界の仕事領域〈製造〉
デザイン
製造
商品構成企画に基づき、商品
をデザインする。
服単体のデザインに加え、ブ
ランドコンセプトのデザイン
なども含む。
• マーチャンダイザーが決め
た素材やテーマでのデザイ
ン画の作成。
• デザインの型紙化と、サイ
ズ違いなどのグレード細分
化。
職業の紹介(デザイン系)
エ
リ
ア
マ
ネ
ー
ジ
ャ
ー
デ
ィス
スー
トパ
リー
ビバ
ュイ
ーザ
ター
ー
バ
イ
ヤ
ー
デザイン・型紙を、服を生産
する。具体的には以下のよう
な仕事がある。
• 生産ラインの設計と確立。
• 納期に応じた生産計画の作成。
• 縫製及び商品化(アイロン、
梱包など)。
職業の紹介(製造系)
グ
レ
ー
ダ
ー
販
路
開
拓
シ
ョ
ッ
プ
マ
ネ
ジ
ャ
ー
MD
7
年
目
~
服飾業界の仕事領域〈販売〉
販売
マ
ー
チ
ャ
ン
ダ
イ
ザ
ー
マ
デー
ィケ
レテ
ク
ィ
タン
ーグ
セ
ー
ル
ス
プ
ロ
モ
ー
タ
ー
デ
ザ
イ
ナ
ー
テ
キ
ス
タ
イ
ル
デ
ザ
イ
ナ
ー
パ
タ
ン
ナ
ー
・
モ
デ
リ
ス
ト
(
プ
ロ
ダ
ク
シ生
ョ産
管
ン理
マ
ネ者
ジ
ャ
ー
)
ソ
ー
イ
ン
グマ
スー
タカ
ッー
フ・
・カ
フッ
ィタ
ニー
ッ
シ
ャ
ー
270