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平成26年度日本相談支援専門員協会総会
相談支援の現状と課題
~多様な相談支援への対応~
上智大学 大塚 晃
本日の予定
• 平成25年度障害者総合福祉推進事業
(概略)の報告
・これからの相談支援事業
~障害児相談支援を中心に~
・まとめ
日本相談支援専門員協会の皆様へ向けて
平成25年度障害者総合福祉推進
事業(概略)の報告
→相談の整理
平成25年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業
相談支援に係る業務実態調査
計画相談支援及び地域相談支援について支援の実
態を調査・分析し明らかにすることにより相談支援
事業所の組織、人員体制、連携方法など今後の運
営方法に資する情報を提供すると共に、今後の事
業展開を検討し効果的な人材養成や計画相談及び
地域相談の質の向上の取り組みを提示し、相談支
援の業務の標準化を図り、相談支援体制の構築に
資することを目的とする。
障害種別回答
■障害種別回答数
全体
③計画相談個
別事例
④地域移行支
援個別事例
⑤地域定着支
援個別事例
身体障害
72
100
29
100
21
100
14
19.4
6
20.7
1
4.8
重症心身
知的障害 精神障害 発達障害 難病等 無回答
障害
1
18
39
6
1
1
1.4
25.0
54.2
8.3
1.4
1.4
0
5
21
1
0
1
0.0
17.2
72.4
3.4
0.0
3.4
0
9
13
0
0
0
0.0
42.9
61.9
0.0
0.0
0.0
各業務の実施時間(10日間の間に、何に
どのくらいの時間がかかるのか)
インテークから契約(基本相談)まで要した時間
契約に関して要した時間
計画作成のため情報収集(アセスメント)に要した時間
サービス等利用計画(案)作成に要した時間
サービス担当者会議及び開催準備に要した時間
サービス等利用計画作成に要した時間
継続サービス利用支援(モニタリング)に要した時間
請求に要した時間
訪問等の移動に要した時間
それ以外 計画相談に関する業務に要した時間
0
5
10
インテークから契約
(基本相談)まで
8.62
2.97
契約
15
20
25
30
35
情報収集
サービス
継続サービス利用
(アセスメント)
担当者会議
支援(モニタリング)
6.43
7.70
3.78 3.05
サービス等利用
サービス等利用
計画(案)作成
計画作成
7.34
40
45
50
55
訪問等の移動
2.40
請求
8.70
3.86
それ以外の計画相
談に関する業務
支援時間 契約に関して要した時間
移動時間 契約に関して要した時間
支援時間 計画作成のための情報収集(アセスメント)に要した時間
移動時間 計画作成のための情報収集(アセスメント)に要した時間
支援時間 サービス等利用計画(案)に要した時間
移動時間 サービス等利用計画(案)に要した時間
支援時間 サービス担当者会議及び開催準備に要した時間
移動時間 サービス担当者会議及び開催準備に要した時間
支援時間 サービス等利用計画作成に要した時間
移動時間 サービス等利用計画作成に要した時間
支援時間 継続サービス利用支援(モニタリング)に要した時間
移動時間 継続サービス利用支援(モニタリング)に要した時間
支援時間 それ以外の計画相談に関する業務
移動時間 それ以外の計画相談に関する業務
事例における各業務の実施時間(この事例において、
何にどのくらいの時間がかかるのか)
0
5
10
情報収集
契約
(アセスメント)
2.51
5.17
1.38
契約
1.83
情報収集
(アセスメント)
15
20
25
サービス等利用
サービス
サービス等
継続サービス利用
計画(案)作成
担当者会議
利用計画作成
支援(モニタリング)
3.84
2.53
1.44
2.39
1.21
30
それ以外の計画相
談に関する業務
3.69
1.22
サービス等利用
サービス
サービス等
計画(案)作成
担当者会議
利用計画作成
35
3.09
1.84
継続サービス利用
支援(モニタリング)
1.54
それ以外の計画相
談に関する業務
支援時間 契約に関して要した時間
移動時間 契約に関して要した時間
支援時間 計画作成のための情報収集(アセスメント)に要した時間
移動時間 計画作成のための情報収集(アセスメント)に要した時間
支援時間 地域移行支援計画に基づく具体的な支援に要した時間
移動時間 地域移行支援計画に基づく具体的な支援に要した時間
支援時間 上記にない 地域移行支援に関する業務に要した時間
移動時間 上記にない 地域移行支援に関する業務に要した時間
地域移行支援計画における、事例における各業務の実施時間
移動時間 地域移行支援計画に要した時間
支援時間 地域移行支援計画に要した時間
移動時間 地域移行支援会議及び開催準備に要した時間
支援時間 地域移行支援会議及び開催準備に要した時間
(この事例において、何にどのくらいの時間がかかるのか
)
10
0
20
30
40
50
60
70
80
90
100
地域移行支援計画
に基づく具体的支援
5.22
7.94
2.36
13.28
5.15
2.41
3.33 2.41
4.32
47.44
8.14
1.43
110
支援時間 契約に関して要した時間
移動時間 契約に関して要した時間
地域定着支援計画における、事例における各業務の実施時間(この
支援時間 地域定着支援台帳作成のためのアセスメントに要した時間
移動時間 地域定着支援台帳作成のためのアセスメントに要した時間
事例において、何にどのくらいの時間がかかるのか)
支援時間 地域定着支援台帳作成に要した時間
移動時間 地域定着支援台帳作成に要した時間
0
支援時間 地域定着支援台帳に基づく具体的な支援に要した時間
移動時間 地域定着支援台帳に基づく具体的な支援に要した時間
支援時間 上記にない 地域定着支援に関する業務に要した時間
移動時間 上記にない 地域定着支援に関する業務に要した時間
5
10
15
20
25
30
35
40
地域定着支援台帳に
基づく具体的支援
2.57
4.29
3.80
0.62
0.75
0.92
12.76
7.68
3.59
1.04
まとめと考察、その1
1 人材の養成や資質向上に関する考察
(1)本調査から見える相談支援専門員の現状と課題
(2)考察
①相談支援専門員の研修制度の拡充
②基幹相談支援センターにおける事例検討会等の個別支援
2 計画相談に関する考察
(1)計画相談において行政が担う役割
①計画相談支援の普及啓発
②行政と相談支援事業者との連携強化による計画相談支援事業の計画
的推進
③計画相談支援の課題と基本相談支援の重要性
④相談支援体制ビジョンの策定と行政職員の政策形成能力
(2)計画相談支援の必要性についての周知と理解
(3)教育機関等との連携
(4)サービス等利用計画と個別支援計画の連動
まとめと考察、その2
3 地域移行支援に関する考察
(1)個別事例調査とヒヤリング調査による現状と課題
①個別事例調査による現状と課題
②ヒヤリング調査による現状と課題
(2)地域移行支援の必要性と課題解決について
①相談支援体制を整備すること
②地域移行支援の周知は重要な権利支援
③地域移行支援の連携
④動機づけについて
4 地域定着支援に関する考察
(1)地域定着支援の現状について
①地域定着支援の対象者像
②地域定着支援の支援範囲
③関係機関との連携
④ヒヤリング調査から見えた課題
(2)地域定着支援の必要性と課題解決について
今後の相談支援に関する具体的提言
(1)地域における相談支援体制構築のための
基幹相談支援センターの設置義務化
(2)基本相談の位置づけの明確化と評価
(3)相談支援事業の安定的な運営
(4)地域移行・地域定着支援のルールの明確化
(5)人材の確保・育成
これからの相談支援事業
~障害児相談支援を中心に~
→ 相談の多様化
障害児の在り方に関する検討会
(趣 旨)
平成24年4月施行の児童福祉法の改正等に
より、障害児支援の体系の再編・一元化が行
われた。その施行状況等を検証した上で、子
ども子育て支援法の施行を踏まえ今後の障
害児支援の在り方について、有識者、関係者
の参集を得て検討を行う。
障害児の在り方に関する検討会
(検討事項)
(1)児童発達支援センターの役割(地域支援機
能の在り方、他分野も含めた関係機関との
連等)
(2)その他障害児通所支援の在り方
(3)障害児入所支援の在り方
(4)その他
障害福祉サービス等の基本的な指針
(厚生労働省)
障害児支援の提供体制の確保に関する基本
的な考え方
「子ども・子育て支援の内容及び水準は、全て
の子供が健やかに成長するものであって、良
質かつ適切なものでなければならない。」
障害者福祉計画における障害児支援
の基盤整備
1 児童発達支援センター及び障害児入所施
設を中核とした地域支援体制の整備
2 子育て支援に係る施策との連携
3 教育との連携
4 特別な支援が必要な障害に対する支援体
制の整備
5 障害児通所支援及び障害児入所支援の一
体的な方針
障害児支援施策の見直しの考え方
改革の背景 少子化社会の進展
(子育て不安の増加)
改革の方向性
障害者自立支援法の施行 特別支援教育の実施 発達障害者支援法の施行
(障害者の自立と共生社会の実現)
(一般校での受入れ促進)
(「新たな」障害への対応)
「自立と共生」の子育て
①障害のある子どもの将来の自立を目指し、発達支援や家族支援を通じて「子育て」を支援
②障害のある子どもが、他の子どもと共に「遊び・学び・活動する」共生社会を実現
基本的な視点 本人の自立を支援する
ための発達支援
子どものライフステージ
に応じた一貫した支援
できるだけ身近な地域・
一般施策における支援
~サービス提供主体及び行政~
障害児の家族を含めた
トータルな支援
~ライフステージに応じた一貫した支援~
検討事項
早期発見・早期対応
就学前の支援
学齢期・青年期の支援
可能な限り健常児と共に育つ環境へ
家族支援
行政の実施主体
障害種別等で分かれている施設の一元化
<< 障害者自立支援法 >>
<< 児童福祉法 >>
【市町村】
【市町村】
児童デイサービス
<< 児童福祉法 >>
【都道府県】
障害児通所支援
知的障害児通園施設
盲ろうあ児施設
・難聴幼児通園施設
肢体不自由児施設
・肢体不自由児通園施設(医)
通
所
サ
ー
ビ
ス
・児童発達支援
・医療型児童発達支援
・放課後等デイサービス
新 ・保育所等訪問支援
重症心身障害児・者通園事業(補助事業)
知的障害児施設
・知的障害児施設
・第一種自閉症児施設(医)
・第二種自閉症児施設
盲ろうあ児施設
・盲児施設
・ろうあ児施設
肢体不自由児施設
・肢体不自由児施設(医)
・肢体不自由児療護施設
重症心身障害児施設(医)
【都道府県】
入
所
サ
ー
ビ
ス
(医)とあるのは医療
の提供を行っているも
障害児入所支援
・福祉型
・医療型
児童発達支援の整備の考え方(案)
法
児童発達支援は、
①児童福祉施設と定義される「児童発達支援センター」
②それ以外の「児童発達支援事業」
の2類型
○ センターと事業の違い
○ センター、事業どちらも、通所利用障害児やその家族に対する支援を行うことは「共通」とし、
・ 「センター」は、施設の有する専門機能を活かし、地域の障害児やその家族への相談、障害児を預かる
施設への援助・助言を合わせて行うなど、地域の中核的な療育支援施設
・ 「事業」は、専ら利用障害児やその家族に対する支援を行う身近な療育の場
<児童発達支援>
児童発達
支援センター
身近な地域における通
所支援機能
通所利用障害児やその家
族 に対する支援
《 機能を横付け 》
地域支援
保育所等
相談支援
障害児支援利
訪 問支援な
用計画の作成
どの実施
【ワンストップ対応】
◇ センターは3障害に総合的に対
応することが望ましいが、専門機
能に特化したものも可
児童発達
支援事業
例 知的障害、難聴、肢体
不自由、重症心身障害、
発達障害等
医療機能
※医療型児童発達
支援センターの場合
利用者の利便性を考慮
◆ センターで行う地域支援(相談
支援等)は3障害対応を基本
◆対応困難な場合は、適切な機
関等を紹介・あっせん
20
地域における児童発達支援センターを中核とした支援体制のイメージ(案
児童発達支援センターが専門的支援のノウハウを広く提供することにより、身近な地域で障害児を預かる施設の質の
担保と量的な拡大に繋がることを期待。
都
道
府
県
障
害
保
健
福
祉
圏
域
市
町
村
域
高度な専門的支
援・
バックアップ
関係機関等と連
携・
協力によ る支援
機
能の充実
障害保健
福祉圏域
~市町村
に
1~2カ所
障害児通所支援
の
提供
連携・協力
発達障害者
支援センター
児童相談所
医療機関
保健所
※医療的ケアを含む
連携・協力
障害児入所施設
〔地域との関係〕
連携・協力
障害児等療育支援事業
児童発達支援
センター
集団生活への適応支援
《個別給付》
保育所等
訪問支援
保育所等
相談支援
学校、特別支
援学校
放課後等デ
放課後
イサービス
等デイサービス
専門的支援のノウハウ提供
(支援方法の共有・
支援ネットワー
ク)
児童発達
支援事業
相談支援事業所
<障害児支援利用計画の作成>
地域支援の提供
(児童発達支援事業
や保育所等に対す
る専門的支援)
(※医療型を含
む)
児童発達
支援事業
個々の状況に合ったサービス
利用を可能とする
児童発達
支援事業
障害児
保育所等
21
地域子ども子育て支援システム
~障害のある子どもがともに学び、遊び、活動する地域づくり~
• 障害のある子どもが自然に交わり、支え合う地域づくり
• 地域において、福祉や教育が連携した一貫した支援
• 子どもの能力が可能な限り発揮できる支援
地域社会
相談支援専門員
家族支援
医療機関
児童発達支援センター
家
庭
保育所
等支援
幼稚園
教育機関
保育所
22
ライフステージを通した一貫した支援
個 別 の 支 援 計 画
-障害のある子どもを生涯にわたって支援-
企業
卒業後
大学
特別支援学校
NPO
保護者
高校
中学校
小学校
福祉、医療等
関係機関
保育所
就学前
児童発達
支援センター
言葉の教室
就学中
大学
福祉、医療、労働
等関係機関
保護者
福祉、医療、労働
等関係機関
幼稚園
保護者
福祉及び教育の連携による一貫した支援
重症心身障害児者の地域生活モデ
ル事業(平成24・25年度)
重症心身障害児者及びその家族が地域で安
心・安全に生活できるようにするため、医療
型障害児入所施設等を中核として関係する
分野との協働による支援体制を構築すること
等による総合的な地域生活支援の実現を目
指し、モデル事業を実施。
平成24年度 重症心身障害児者の地域生活モデル事業結果報告書(概要)
H25.5月
障害児・発達障害者支援室
○ 重症心身障害児者及びその家族が地域で安心・安全に生活できるようにするため、医療型障害児入所施設等を中核として関
係する分野との協働による支援体制を構築すること等による総合的な地域生活支援の実現を目指し、モデル事業を実施。
○ 平成24年度に採択された5団体が取り組んだ実例の報告をもとに、重症心身障害児者の地域生活を支援する体制をつくる上
で特に留意すべき点が下記のとおりまとめられている。
現状等の共有
① 地域の現状と
課題の把握
・地域の重症心身障害
児者の実情を把握
・利用できる地域資源の
把握
➜ 課題の明確化
*平成24年度採択
団体
・北海道療育園
・国立病院機構
(下志津病院)
・全国重症心身障害
児(者)を守る会
・甲山福祉センター
・久留米市介護福祉
サービス事業者
協議会
幅広い分野にわたる協働体制の構築
具体的な支援の取組:好事例集
② 協議の場の設定
⑥ 重症心身障害児者や家族に対する支援
・目的に沿って有効な支援を図ることができる
ような構成員を選定 〈当事者、行政、医療、
福祉、教育等関係機関等〉
・検討内容は、実情把握、地域資源の評価、
必要な支援体制の構築、運営、評価、改善
・各分野の共通理解・協働→効果的支援に
つながる
・「アセスメント」「計画支援」「モニタリング」
★ツール1
・インフォーマルな支援環境の整備<例:テレビ電話等の利用(北海道
療育園)、ひよこの会(下志津病院)、きょうだいキャンプ(全国重症心身障害児
(者)を守る会)>
・ライフステージに応じた支援(必要とする支援の変化に対応)
乳幼児期(退院時)→乳児期→ 学齢期(小学校入学頃)
→学齢期(高校卒業頃)→青年期→壮年期
★ツール2
③ 地域生活を支援するための
コーディネートのあり方
⑦ 病院から退院して在宅移行する重症心身
障害児とその家族への支援
・協議の場とコーディネートする者の役割の
明確化
・福祉と医療に知見のある者を配置(相談支
援専門員と看護師がペアを組む等)の対応も
・②の協議の場の活用も有効
・課題にそって業務を具体化
④ 協働体制を強化する工夫
・支援の届かない地域の施設等との相互交
換研修や、医療職を派遣しての研修実施
・②の協議の場における構成員の役割分担
化と連携
・職員の資質向上〈実技研修が有効〉
⑤ 地域住民啓発
・講演会、施設見学 等
・病院からの退院支援
★ツール3
<退院後の生活に関する病院と家族の意識の違いを埋める>
・病院退院後のニーズと支援
<退院後の訪問看護等ニーズに対応>
・相談支援事業所、訪問看護、短期入所、日中一時支援、
児童発達支援等の支援と連携
モデル事業団体の報告書に添付されているツールの例
★1『重症心身障害児者のアセスメントシート』(甲山福祉センター)
★2『重症心身障害児者のライフサイクル別検討シート』
(全国重症心身障害児(者)を守る会)
★3『NICUから地域移行に向けての支援ガイド』
(甲山福祉センター)
(3)地域生活を支援するためのコー
ディネートの配置
コーディネートのあり方
・役割→協議の場とコーディネートを行う者の役割
を 明確化
・職種→相談支援専門員、療育等支援事業の担当
者、看護師など
・配置→福祉と医療の連携に知見のある者を充て
る協議の場がその役割を担ったり、福祉と医療
にそれぞれ 知見のある者を充てるのも有効
・業務→課題にそって業務を具体化する。
平成24年度障害者総合福祉推進事業
「発達障害者支援センター等の相談・支援、
機関連携及び人材の育成等の業務に関する調査」
福祉施策が大きく変化する中で、発達障害者支援セ
ンターへの期待が高まっている。発達障害者支援セン
ターの支援・サービス内容や他機関との連携やネット
ワーク構築の方法は様々である。本事業は、発達障害
者支援センター等の現状を適切に調査・把握し課題を
明らかにし、支援センターの役割や機能を再整理し、標
準的なサービス提供や連携及びネットワーク構築のた
めの業務マニュアルを作成することにより、全国どの地
域においても一定の質の支援やサービスが提供できる
ことを目的とする。
発達障害者支援センターの役割
1.発達障害者支援センターの基本的性格
「地域支援体制」 と ①専門性② 広域性③一貫性
2.発達障害者支援センターの基本的機能
(1)基本的な機能
①直接的支援②間接的支援
(2)新たな機能の明確化
「地域支援体制」の構築
発達障害者相談支援体制の整理
滋賀県発達障害者支援セン タ ーいぶき
県
域
○人材育成事業の実施によ る 市町域・ 福祉圏域の相談窓口の機能強化
→「 発達障害者支援キーパーソ ン 養成事業」 「 自閉症等発達障害者支援スタ ッ フ 実践的研修事業」
○市町域、 福祉圏域の相談窓口で対応が難し いケースへの専門的な対応
○支援関係機関へのコ ン サルテ ーシ ョ ン の実施
→H23年度から 支援スタ ッ フ の増員によ り 南部地域への相談支援の充実
人材育成事業によ る
バッ ク ア ッ プ !
障害者生活支援セン タ ー等
福
祉
圏
域
☆圏域相談支援セン タ ー
・ 福祉圏域の発達障害者への相談支援を 実施
・ 学齢後期~成人期への支援を 中心
・ 市町の発達支援室・ 発達支援セン タ ーから のケース
の引き 継ぎ
☆働き ・ 暮ら し 応援セン タ ー
市町発達支援室・ 発達支援セン タ ー
市
町
域
○現在各市町で設置が進んでいる
○早期発見( 乳幼児健診) から 早期支援へ
乳幼児期
【 発達障害者支援キーパーソ ン 養成事業】
障害者生活支援セン タ ー等に対し て発達障害者支援に
関する 専門研修の実施
【 認証発達障害者ケア マネジ メ ン ト 支援事業】
発達障害者支援キーパーソ ン 養成事業修了者によ る 専
門相談支援事業を 委託
( 発達障害圏域相談支援セン タ ー)
○東近江圏域: 東近江地域障害者生活支援セン タ ー
○甲賀圏域: 甲賀地域ネッ ト 相談サポート セン タ ー
○湖西圏域: 湖西地域障害者生活支援セン タ ー
○湖東圏域: 彦愛犬地域障害者生活支援セン タ ース テ ッ プ
あッ プ 21
○湖北圏域: 障害者相談セン タ ーほっ と ステーシ ョ ン
【 自閉症等発達障害者支援スタ ッ フ 実践的研修事業】
市町の窓口等( その他の支援関係機関含む) への実践
的研修事業の実施
学齢期
相談支援フ ァ イ ルの活用によ る 情報共有
成人期
発達障害者キーパーソン養成事業
(1)目的 発達障害者支援において広域的な対応が必要な、学齢期後半から
青年・成人期の進路調整や就労支援・生活支援、事業所へのコンサルテー
ションを中心に行う専門的人材の養成及び確保 →養成修了者を「発達障害
者支援ケアマネジャー」として認証する。
(2) 実施主体 滋賀県
(3) 対象 以下の対象者のうち福祉圏域の協議会から1名を選出
①障害者生活支援センター職員 ②就業・生活支援センター職員
(4)研修内容 ①初年度研修25単位 ②フォローアップ研修3単位
(5)認証条件 ①初年度研修の受講、②認証委員会での承認(プレゼンテー
ションの評価
(6)認証及び登録 ①本人の申請により県が登録し、認証師書の交付②認証
期間は2年間とする ③更新に際してはフォローアップ研修の受講が必要
(7)認証委員会 医療関係者、発達障害者センター、支援協議会、有識者等
(8)養成計画について 7福祉圏域×5=35名
発達障害者の「地域支援体制」
発達障害者支援センターは、県内等の相談支援の拠点として総合的な相談業務及び療育支援、
就労支援、家族支援、権利擁護などを実施することにより、「地域支援システム」を構築する。
発達障害者支援体制整備事業における検討委員会
支
援
相談支援
事業者
相談支援
事業者
専門相的な相談
発達障害の特性やニーズに対応する
・ 専門的な相談支援・発達支援・就労支援の実施
・ 広域的な相談支援・発達支援・就労支援の実施
関係機関との連携
・医療・教育・労働機関等との連携 相談支援専門員、社会福祉士、
・地域の支援体制整備に係る
コーディネート
相談支援
事業者
市町村や地域の発達障害者
支援事業者等との連携
精神保健福祉士、保健師等
・市町村行政の連携
・発達障害支援事業者への指導・助言
発達障害者支援センター ・発達障害支援事業者の人材育成
・相談支援事業者への専門的指導、助言
・相談支援事業者への発達障害への理
解の促進
・他の相談機関との連携強化の取組
児童発達
支援センター
(相談支援事業者)
連携
自立支援協議会
31
発達障害者支援体制(児童)
児童発達支援センターが専門的支援のノウハウを広く提供することにより、身近な地域で障害児を預か
都
道
府
県
障
害
保
健
福
祉
圏
域
高度な専門的支
援・
バックアップ
関係機関等と連
携・
協力によ る支援
機
能の充実
障害保健
福祉圏域
~市町村
に
障害児通所支援
1~2カ所
の
提供
市
町
村
域
地域支援の提供
(児童発達支
援事業
や保育所
等に対す
る専門的支
〔地域との関係〕
援)
連携・協
力
発達障害者
支援センター
障害児
教育センター
児童相談所
医療機関
保健所
※医療的ケアを含む
連携・協
力
基幹相談支援
センター
集団生活への適応支援
《個別給付》
(※医療型を含
む)
障害児等療育支援事業
児童発達
保育 支援センター
所等
訪問
支援
保育所等
相談支援
学校、特別支
援学校
放課後放課後等デ
イサービス
専門的支援のノウハウ提供
(支援方法の共有・
支援ネットワー
ク)
児童発達
支援事業
相談支援事業所
<障害児支援利用計画の作成>
等デイ
サービス
連携・協
力
児童発達
支援事業
個々の状況に合ったサービス
利用を可能とする
児童発達
支援事業
障害児
保育所等
32
発達障害者支援体制(成人)
児童発達支援センターが専門的支援のノウハウを広く提供することにより、身近な地域で障害児を預か
都
道
府
県
障
害
保
健
福
祉
圏
域
市
町
村
域
高度な専門的支
援・
バックアップ
関係機関等と連
携・
協力によ る支援
機
能の充実
障害保健
福祉圏域
~市町村
に
1~2カ所
障害者職業
センター
連携・協
力
発達障害者
支援センター
医療機関
連携・協
力
集団生活への適応支援
《個別給付》
就労継続支
援事業所
地域定着支援センター
基幹相談支援
センター
相談支援
相談支援事業所
<障害児支援利用計画の作成>
地域支援の提供
個々の状況に合ったサービス
利用を可能とする
障害者
〔地域との関係〕
精神・保健福祉
センター
連携・協
力
※医療的ケアを含む
障害者就業・生
活支援センター
教育センター
専門的支援のノウハウ提供
(支援方法の共有・
支援ネットワー
ク)
生活介護事業
所
市発達障害
者支援セン
ター
福祉事務所
等
33
障害保健福祉関係主管課長会議資料 平成25年2月25日
強度行動障害を有する者等に対する支援者の人材育成について
強度行動障害を有する者は、自傷、他害行為など、危険を伴う行動を頻回に示すこと
などを特徴としており、このため、現状では事業所の受け入れが困難であったり、受け入
れ後の不適切な支援により、利用者に対する虐待につながる可能性も懸念されている。
一方で、施設等において適切な支援を行うことにより、他害行為などの危険を伴う行動
の回数が減少するなどの支援の有効性も報告されており、強度行動障害に関する体系
的な研修が必要とされている。このため、平成25年度に、研修の普及を通じて、適切な
支援を行う職員の人材育成を進めることを目的として、指導者を養成するための研修を
独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園において実施することとした。
また、平成25年度予算案において、都道府県が実施する強度行動障害を有する者等を
支援する職員を養成するための研修事業を都道府県地域生活支援事業のメニュー項目
として盛り込んだところであるので、積極的な取り組みに努められたい。
なお、これらの研修に関する詳細については、別途周知することとするので、御承知お
き願いたい。
34
※ 内容は現時点検討案のため、今後変更の可能性あり。
【平成25年度】
訪問系
施設系・日中活動系・居住系等
相談支援
専門員
入所職員
GH・CH職員
行動援護
ヘルパー
通所職員
その他の訪問
系ヘルパー
実務経験に関わらず強度行動障害支援技術者養成研修(都道府県研修)受講
必須を検討(行動援護)
強度行動障
害支援技術
者養成研修
(国研修)
※指導者養
成研修
強度行動障害支援者養成研修(都道府県研修)
指導
相互の人材活用
相互の人材活用
相互の人材活用
相互の人材活用
サービス管理責任者養成研修の受講前に強度行動障害支援者養成研修
(都道府県研修)を受講することが望ましい。
平成26年度以降、行動援護従業者養
成研修を強度行動障害支援技術者養
成研修(都道府県研修)に統合検討
サービス管理責任者養成研修 (3日間)
共
通
講
義 (理論編)
分野別演習 (実践編)
介護
地域生活
(身体)
地域生活
(知的・精神)
就労
+
一定の
実務経
験等
児童
行動援護従業者
相談支援従事者初任者研修(講義部分・11.5時間)
実務経験
計5年以上
サービス管理責任者
サービス提供責任者
【見直しに当たっての趣旨】
○専門的な人材の育成(強度行動障害の特性から虐待につながりやすい→虐待防止の観点)
○知的障害者等の支援者のキャリアパスの形成
○施設、通所等の拠点型サービスの人材育成機能の地域展開
○訪問系サービスの普及拡大、質の向上(行動援護、重度訪問介護)
35
まとめ 今後の相談支援
障害者権利条約で何が変わる
障害者の権利及び
尊厳を保護・促進す
るための包括的・総
合的な国際条約。
日本は、2007年9
月に署名、2014年
1月に批准。
合理的配慮
権利条約においては、「障害者が他の者と
平等にすべての人権及び基本的自由を享受
し、又は行使することを確保するための必要
かつ適当な変更及び調整であって、特定の
場合において必要とされるものであり、かつ、
均衡を失した又は過度の負担を課さないも
の」(第2条)と定義している。
合理的配慮等環境整備ワーキンググ
ループにおける検討(文部科学省)
• 「合理的配慮」と「基礎的環境整備」
• 「合理的配慮」は、一人一人の障害の状態や教育的ニー
ズ等に応じて決定されるものであり、その検討の前提とし
て、設置者及び学校は、興味・関心、学習上又は生活上
の困難、健康状態等の当該幼児児童生徒の状態把握を
行う必要がある。これを踏まえて、設置者及び学校と本人
及び保護者により、個別の教育支援計画を作成する中で、
発達の段階を考慮しつつ、「合理的配慮」の観点を踏まえ、
「合理的配慮」について可能な限り合意形成を図った上で
決定し、提供されることが望ましく、その内容を個別の教
育支援計画に明記することが望ましい。個別の指導計画
にも活用されることが望ましい。なお、設置者及び学校と
本人及び保護者の意見が一致しない場合には、第三者機
関により、その解決を図ることが望ましい。
本人中心計画って重要ですか?
きみえさん
祖母
晃さん
父親
弘 さん
叔 父
栗原さん
由惟さん
ケアホーム
姉
新井さん
智枝子さ
ん
NPO遊モア
古賀ちゃん
母親
ホームヘルパー
真さん
史章さん
山下さん
当事者
OT
義樹さん
隣 組
ウイルビー
原さん
渥美さん
施設管理者
良喜さん
陶芸家
ともろ
武井医師
歯科医師
児玉医師
内科医師
意思決定の支援て何ですか
• 障害者の意思決定の支援が
法律に位置づけられました。
• 意思決定て何ですか?
• お昼ご飯に何を食べる
かのことですか?
障害者総合支援法とその他所要の整備
○ 障害者総合支援法、児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法について、
その他所要の整備を行う。
【平成25年4月1日施行】
障害者及び障害児に対する意思決定支援 ( 障害者総合支援法、児童福祉法、知的障害者福祉法)
○指定障害福祉サービス事業者、指定障害者支援施設等の設置者等は、障害者の意思決定の支援に配慮すると
ともに、常にその立場に立って支援を行うよう努めなければならないものとする。
○指定障害児通所支援事業者、指定障害児入所施設等の設置者等は、障害児及びその保護者の意思をできる限
り尊重するとともに、常にその立場に立って支援を行うよう努めなければならないものとする。
○ 市町村は、知的障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、知的障害者の支援体制の整備に努めなければなら
ないものとする。(知的障害者福祉法)
相談支援の連携体制の整備 (障害者総合支援法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法)
○基幹相談支援センターの設置者は、指定障害福祉サービス事業者等、医療機関、民生委員、身体・知的障害者
相談員、意思疎通支援を行う者を養成し、又派遣する事業の関係者等との連携に努めなければならないものとする。
○身体障害者・知的障害者相談員は、身体・知的障害者が障害福祉サービス事業等のサービスを円滑に利用でき
るように配慮し、障害福祉サービス事業者等との連携を保って業務を行うよう努めなければならないものとする。
後見等に係る体制の整備 (知的障害者福祉法)
○市町村・都道府県は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の活用を図るため、後見等の業務
を適正に行うことができる者を家庭裁判所に推薦すること等に努めなければならないものとする。
(参考:市町村が実施する地域生活支援事業の必須事業として、市民後見人等の人材の育成・活用を図るための研修を追加。)
指定障害福祉サービス事業者等の欠格要件(障害者総合支援法、児童福祉法)
○介護人材が安心して事業所で支援に従事できるよう、最低賃金法などの労働法規に違反して罰金刑を受けた事
業者は、指定障害福祉サービス事業者、指定障害者支援施設、指定障害児通所支援事業者及び指定障害児入所
42
施設等の指定を受けられないこととする。
権利条約の主な内容
第十二条 法律の前にひとしく認められる権利
1 締約国は、障害者がすべての場所において法律の
前に人として認められる権利を有することを再確認す
る。
2 締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において
他の者と平等に法的能力を享有することを認める。
3 締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たっ
て必要とする支援を利用することができるようにするた
めの適当な措置をとる。
パラダイムシフト?
・従来の「代理人による意思決定」から
「支援を受けた意思決定」
(意思決定支援)へ
・権利条約は、成年後見、補佐、補助を直ちに見
直し、基本的には廃止されるべきものとしている。
行為能力の制限が伴わない支援の在り方、その
一つが支援された意思決定(supported decisionmaking)である。これは、支援によって意思決定
をなそうとするもので、後見制度(guardianship)
のように代わりにしてしまうものではない。
意思決定支援システムの重要な要素
(インクルージョン・ヨーロッパ)
1.セルフアドボカシーの促進と支援
2.個人の最善の利益を守るための主流となる機構の活用
3.意思決定システムによる伝統的な後見人制度の置き換え
4.意思決定の支援
5.支援者の選定と登録
6.コミュニケーションの障害の克服
7.支援者と支援される人との間の衝突回避と問題解決
8.保護の実行
イギリス2005年意思決定能力法
(the Mental Capacity Act)
・自ら意思決定できない状況になると認められた人に
①誰が決定する権限を有するのか、権限を与えられた 者は、(
法定後見人等及び家族等の事実上の支援者)
②どのように決定権限を行使するのかについて関与する者与え
られた指針。
・遵守すべきものとして示されたのが「ベストインタレスト」原則。理
念であるとともに基準。
・ベストインタレストの定義はない。一般の定義はなく(かえって縛
る)、その人にとっての、その時点でのベストインタレストを知るこ
とが重要。探し出すために何が必要か示す。その方法がチェック
リストである。
2005年意思決定能力法 5大原則
①人は、意思決定能力を喪失しているという確固たる証拠がない限り、意
思決定能力があると推定されなければならない(第1原則:意思決定能力
存在の推定の原則)
②人は、意思決定能力を行うべき可能な限りの支援を受けた上で、それ
らが功を奏しなかった場合のみ、意思決定ができないと法的に評価され
る (第2原則:エンパワーメントの原則)
③客観的には不合理に見える意思決定を行ったということだけでは、本
人に意思決定能力がないと判断されることはない(第3原則)
④ 意思決定能力がないと法的に評価された本人に代わって行為をなし、
あるいは、意思決定するにあたっては、本人のベスト・インタレストに適う
ように行わなければならない。(第4原則:ベスト・インタレスト原則)
⑤さらに、そうした行為や意思決定をなすにあたっては、本人の権利や行
動の自由を制限する 程度がより少なくてすむような選択肢が他にないか、
よく考えなければならない(第5原則:必要最小限の介入の原則)
(『イギリス成年後見制度にみる自立支援の法理、管富美枝、2011』)
「ベストインタレスト」を見つけるためのチェツクリスト
①本人の年齢や外見、状態、ふるまいによって、判断を左右されてはなら
ない
②当該問題に関係すると合理的に考えられる事情については、全て考慮
した上で判断をしなければならない
③本人が意思決定能力を回復する可能性を考慮しなければならない
④本人が自ら意思決定に参加し主体的に関与できる環境を、できる限り
整えなければならない
⑤尊厳死の希望を明確に文書で記した者に対して医療措置を施してはな
らない
⑥本人の過去、および現在の意向、信条、信念や価値観をこうりょしなけ
ればならない
⑦本人が相談者として指名した者、家族・友人などの身近な介護者、法
的後見人、任意後見人等の見解を考慮に入れて、判断しなければならな
い
(『イギリス成年後見制度にみる自立支援の法理、管富美枝、2011』)
自己決定支援における第三者
第三者代弁人(IMCA:Independent Mental Capacity Advocate)
①「重大な医療行為」を施す/中止する/中断する必要がある
②病院、介護施設に入所する(28日以上の長期にわたって)、あるいは入
所施設に入所(8週間以上の長期にわたって)させる必要がある場合、本
人が意思決定能力を失って同意できない状態にあり、かつ、本人の意思
決定を支援したり意思や利益を代弁してくれる家族や友人がない場合、
そうした人の権利擁護のためのサービス。
第三者代弁人は、本人に代わってサービス提供者(地方自治体)に対し
て、当該状況に置ける「ベスト・インタレスト」を表明する。
この他、第三者代弁人は、本人のために何らかの意思決定が行われよ
うとしている場合、意義を申し述べる権利が与えられている。
地方自治体は、第三者代弁人から提出された報告書を十分に参考とす
ることによって始めて、本人のために本人に代わってサービスを提供する
ことができる。
(『イギリス成年後見制度にみる自立支援の法理、管富美枝、2011』)
決定とは?
• 自己決定
• 代理決定
• 協働(共同)決定
→仕組み作り
障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の概要
目 的
※ 平成23年6月14日牧義夫衆議院厚生労働委員長から提出、平成23年6月17日成立
障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等
に鑑み、障害者に対する虐待の禁止、国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護及び自立の支援のための措置、養護者に対する支援のための措
置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的とする。
定 義
1 「障害者」とは、身体・知的・精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に
相当な制限を受ける状態にあるものをいう(改正後障害者基本法2条1号)。
2 「障害者虐待」とは、①養護者による障害者虐待、②障害者福祉施設従事者等による障害者虐待、③使用者による障害者虐待をいう。
3 障害者虐待の類型は、①身体的虐待、②ネグレクト、③心理的虐待、④性的虐待、⑤経済的虐待の5つ。
虐待防止施策
1 何人も障害者を虐待してはならない旨の規定、障害者の虐待の防止に係る国等の責務規定、障害者虐待の早期発見の努力義務規定を置く。
2 障害者虐待防止等に係る具体的スキームを定める。
養護者による障害者虐待
障害者福祉施設従事者等による障害者虐待
使用者による障害者虐待
[市町村の責務]相談等、居室確保、連携確 [設置者等の責務] 当該施設等における障害 [事業主の責務] 当該事業所における障害者
保
者に対する虐待防止等のための措置を実施 に対する虐待防止等のための措置を実施
[スキーム]
[スキーム]
[スキーム]
都
道 報告 労働局
市町
虐
虐 通報 市 報告 都道府県
虐
府
待 通報 村
待
待 通報 市
①監督権限等の
町
①監督権限等の適切な行使
①事実確認(立入調査等)
発
発
県
発
町
適切な行使
村
②措置等の公表
見
見
見
②措置(一時保護、後見審判請求)
村
通知
②措置等の公表
3 就学する障害者、保育所等に通う障害者及び医療機関を利用する障害者に対する虐待への対応について、その防止等のための措置の実施を学
校の長、保育所等の長及び医療機関の管理者に義務付ける。
その他
1 市町村・都道府県の部局又は施設に、障害者虐待対応の窓口等となる「市町村障害者虐待防止センター」・「都道府県障害者権利擁護センター」
としての機能を果たさせる。
2 政府は、障害者虐待の防止等に関する制度について、この法律の施行後3年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
3 平成24年10月1日から施行する。
※ 虐待防止スキームについては、家庭の障害児には児童虐待防止法を、施設入所等障害者には施設等の種類(障害者施設等、児童養護施設等、養介護
施設等)に応じてこの法律、児童福祉法又は高齢者虐待防止法を、家庭の高齢障害者にはこの法律及び高齢者虐待防止法を、それぞれ適用。
51
虐待防止及び対応の構図
予 防
介 入
事後対応
虐待防止及び対応(養護者)
予 防
介 入
事後対応
一貫した支援(方法:ソーシャルワーク、人材:ワーカー、仕組み:支援会議)
市町村における防止及び対応の体制の構築
虐待防止及び対応(施設従事者等)
予 防
介 入
事後対応
一貫した支援(方法:運営管理、人材:管理者等、仕組み:支援会議)
市町村における防止及び対応の役割(実施主体)
都道府県の役割(法人指導監査等)
虐待防止及び対応への方向性
介 入
予 防
ex ・子育て支援・受容
・従事者の専門性
・サービスの質
苦情解決等
ex ・介入手順の整備・改善
・コア会議運営マニュアル等
・介入者の専門性
事後対応
ex ・継続的支援
・家族支援と人材
・指導監査
一貫した支援(方法:ソーシャルワーク、人材:ワーカー、仕組み:支援会議)
(方法:運営管理、人材:管理者等、仕組:支援会議)
市町村における支援体制の構築
都道府県の支援(人材育成・指導監査等)
地域の相談支援をうまく動かす
相談支援専門員
・専門的な、質の高い相談支援の実施
・公平・中立的な相談支援の実施
・連携と社会資源の改善・開発
行政
その人らしい
地域での暮らし
相談支援事業者
・公平・中立な事業所運営
・地域の事業者との連携と役割分担
・質の高い専門員の育成
・事業評価の導入
行政
行政
相談支援体制
・相談支援体制の構築(自立支援協
議会を含む)
・相談支援事業の評価
・地域の連携とネットワーク構築
・専門員の育成のための研修
・特別アドバイザー派遣事業
平成25年度
アセスメント・計画作成プロセス調査事業
平成23年8月に取りまとめられた障がい者制度改革推進会議総合福祉
部会の骨格提言では、「障害者の支援の必要度を類型化し、類型ごと
の標準ケアプランに基づく支給水準を示すべき」とされている。
また、第180回通常国会で成立した障害者総合支援法では、附則の検
討規定において、法律の施行後3年を目途として、「障害支援区分の認
定を含めた支給決定の在り方」等について検討を加え、その結果に基
づいて、所要の措置を講ずるものとされている。
これを受けて本事業では、障害者(利用者)のアセスメント・計画作成手
法の確立・質の向上に資するために、アセスメント、サービスの組み合
わせ、利用頻度等についてのデータを収集・分析し、障害者(利用者)
の状況に応じたサービスの支給量・種類の相関関係を見いだすことを
目的として事業を実施するものである。
57
サービス等利用計画の記載量の概要
サービス等利用計画の記載項目について、文章数及び文字数の平均
値を求めた。
「解決すべき課題」、「支援目標」、「福祉サービス等」、「課題解決のた
めの本人の役割」、「その他留意事項」については、1人のサービス等
利用計画に複数の項目が記載されており(優先順位1~25)、すべて別
レコードとして集計した。そのため、これらの項目の集計対象数はおよ
そ3万レコードとなっている。
「利用者及びその家族の生活に対する意向」は平均32文字の文章が、
平均で3.0文記載されていた。また、週間計画の「サービスの提供によっ
て実現する生活の全体像」は平均50文字の文章が約3文記載されてお
り、最も記載量の多い項目欄であった。
「解決すべき課題」、「支援目標」、「課題解決のための本人の役割」に
ついては、おおよそ優先順位の4番まで記載されており、一文あたりの
文字数は20文字前後であった。
58
図表Ⅴ- 1 サービス等利用計画への記載量
項目
サ
ー
ビ
ス
等
利
用
計
画
週
間
計
画
集計
総文字数
文章数
一文あたり
項目数平均
対象数
平均
平均
文字数平均
(優先順位)
利用者及びその家族の生活に
対する意向(希望する生活)
7,710
91.8
3.0
32.1
-
総合的な援助の方針
7,533
61.3
1.5
41.1
-
長期目標
7,547
34.3
1.2
29.6
-
短期目標
7,269
31.1
1.2
26.0
-
解決すべき課題(本人のニーズ)
28,568
20.2
1.1
17.8
支援目標
29,217
27.5
1.1
24.2
福祉サービス等(種類・内容・量)
28,477
30.0
1.2
25.3
課題解決のための本人の役割
23,562
23.1
1.2
19.5
その他留意事項
8,904
36.7
1.3
27.5
1.1
主な日常生活上の活動
5,763
85.4
2.6
38.0
-
週単位以外のサービス
5,306
44.9
1.5
31.1
-
サービス提供によって実現する
生活の全体像
5,706
127.5
2.7
49.6
-
3.7
59
支援目標に記載されている内容の単純集計
■名詞
■形容詞
■動詞
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
29
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
9
11
12
13
14
15
15
15
18
19
20
21
22
23
24
24
24
27
28
28
30
30
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
単語
頻度(回)
生活
3,304
本人
2,683
利用
2,213
安心
1,507
作業・仕事
1,441
通院
1,396
相談
1,328
自分
1,295
必要
1,251
定期的
1,182
安定
1,165
継続
1,131
家族
1,109
参加
1,055
活動
1,034
提供
1,031
一緒
963
ヘルパー
936
維持
914
安全
907
体調
854
外出
853
サービス
800
食事
777
入浴
770
環境
718
事業所
697
機会
640
確保
630
日中活動
630
単語
頻度(回)
楽しい
569
良い
262
新しい
184
規則正しい
175
難しい
94
多い
90
悪い
84
少い
54
うまい
50
気持ち良い
50
長い
44
欲しい
36
早い
35
強い
31
上手い
28
正しい
28
美味しい
28
高い
23
大きい
23
しんどい
21
広い
16
近い
15
軽い
14
細かい
12
重い
12
心地よい
12
辛い
10
温かい
9
淋しい
9
遠い
8
優しい
8
単語
頻度(回)
できる
1,614
過ごす
1,390
受ける
1,004
整える
763
増やす
690
考える
619
作る
610
楽しむ
607
慣れる
585
通う
561
持つ
552
送る
541
困る
531
保つ
530
応じる
516
取り組む
493
続ける
446
送れる
440
身につける
395
行く
389
伝える
374
行える
351
見つける
310
努める
308
見守る
306
向ける
294
つける
282
使う
276
得る
268
聞く
260
60
支援目標に記載された出現頻度の
高い単語の組み合わせ
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
17
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
係り元単語
生活
負担
自分
サービス
安心
生活
短期入所
必要
清潔
安心
活動
困る
一緒
参加
介護
福祉
安定
環境
生活リズム
通院
作業・仕事
本人
健康
日中活動
安全
規則正しい
家族
本人
生活
行事
相談
係り先単語 頻度(回)
送る
417
軽減
353
できる
332
利用
328
生活
314
送れる
292
利用
271
応じる
269
保つ
240
過ごす
236
参加
228
相談
225
考える
222
できる
216
負担
215
サービス
185
生活
183
整える
183
整える
174
継続
160
取り組む
149
安心
143
維持
133
参加
131
入浴
129
生活
128
介護
127
希望
126
リズム
123
参加
122
乗る
115
順位
32
33
34
35
36
37
37
39
39
41
42
42
42
45
46
46
46
49
50
50
50
53
54
55
55
55
58
58
60
60
60
係り元単語
情報
事業所
事業所
身体機能
緊急時
環境
体
機会
余暇
相談
体調
幅
話
機会
家
生活
生活
生活
就労
体調
不安
定期的
できる
ヘルパー
気持ち
食事
安全
本人
移動支援
充実
体制
係り先単語 頻度(回)
提供
105
利用
104
通う
102
維持
99
対応
96
慣れる
95
動かす
95
増やす
93
充実
93
応じる
91
変化
89
広げる
89
聞く
89
作る
88
生活
86
維持
86
慣れる
86
継続
84
向ける
83
整える
83
軽減
83
利用
82
部分
81
利用
80
伝える
80
提供
80
通院
79
合う
79
利用
78
生活
78
整える
78
61
テキストマイニングについて
相談支援専門員は、利用者のニーズを適切に把握し、それをサービス
等利用計画に活かすための言葉を慎重に吟味して使用する力量が必
要。例えば、「継続性」という言葉は、その人の生活の継続的な安心した
生活を意味する場合もあるし、このまま変化のない生活を継続的に強
いることを意味する場合もある。
相談支援専門員は、サービス等利用計画の作成をとおして、「言葉によ
って(発語されない言葉も含めて)利用者の生活を把握し、言葉によって
利用者の生活を組み立てる」役割を果たしていることを再認識すること
が重要。
新規申請者と比べて更新申請者については、既存の利用サービスを前
提とした生活が存在していることから、サービス等利用計画の記載内容
についても現状を維持する方向性の記述が多くなる傾向がある。
サービス等利用計画が、本人の生活において役立つものであったかは
、モニタリング結果の検証を通じて把握することも今後は必要。
62
政策形成過程モデルの一例
政策課題
の設定
政策案
の作成
政策決定
政策実施
政策評価
フィードバック
『分権時代の自治体職員2 政策開
発の調査・立案・調整の能力』真山
逹志「政策過程のやさしい基礎知
識」 ぎょうせい、1998
63
政策形成過程と事業過程の関係
問題の
認 識
問題の
構造化
『分権時代の自治体職員2 政策開発の調
査・立案・調整の能力』真山逹志「政策過程
のやさしい基礎知識」 ぎょうせい、1998
政
策
形
成
過
程
社会経済・政治的環境の分
析
住民ニーズの把握
地域支援の提供
政策課題
の設定
事 業 過 程
事業目
的の設定
事業案
の作成
事業決定
事業実施
事業評価
フィードバック
64
認定社会福祉士と認定上級社会福祉士
• 認定社会福祉士
実務経験5年以上、研修20単位、スパービ
ジョン10単位、相談援助のリーダー、多職種
連携、困難ケースへの的確な対応
・認定上級社会福祉士
認定社会福祉士資格後実務経験5年以上
研修20単位、スパービジョン10単位、自支援
協議会等地域で活動。スパービジョン、仕組みづ
くり、政策形成関与、人材育成・指導
障害者相談支援事業における人材育成に関する研究
網川克宜 『ソーシャルワーク研究』Vol.38 No3 2012
①対人援助技術についての「悩み」
②社会資源開発・活用についての「悩み」
③支援内容・方向性についての「悩み」
④制度の知識についての「悩み」
⑤職場環境に対する「悩み」
⑥困難時のサポート不足についての「悩み」
おわりに
相談支援の将来を考えると
悩みこともありますが
しかし、常に希望をもって
相談支援の将来
は大丈夫?
希望は、他者と一緒に行為するすることにより、
すること。実現すべき何かを
望むこと
『希望のつくり方』 玄田有史