大気の温室効果がある場合

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Transcript 大気の温室効果がある場合

第2回
この回の講義の要点
• 惑星の平均的な温度を第ゼロ次近似的に記
述する放射平衡の導出・理解
• それから導かれること
– 惑星全体の平均的な温度とその決まり方
• その発展としてそのメカニズムを考えたいこと
– 惑星のエネルギー収支
– 温暖化
地球型惑星の表面温度
• 同じ地球型惑星でも表面温度は大きく異なる
462℃
15℃
-55℃
気温の変化
IPCC(2007)
二酸化炭素濃度の変化
• 20 世紀半ば以降に観
測された世界平均気温
の上昇のほとんどは,
人為起源の温室効果
ガスの増加によっても
たらされた可能性が高
い.
• CO2 増加の原因は化
石燃料の利用
(IPCC AR4 WG1 報告書 政策決定者
向け要約(気象庁訳)(2007)より引用)
メタン, 一酸化二窒素濃度の変化
• CH4, N2O増加の原因
は農業活動
(IPCC AR4 WG1 報告書 政策決定者向け要約(気象庁訳)(2007)より引用)
この回のキーワード
• 放射 (radiation)
– エネルギーのやり取りの一形態
• 放射平衡 (radiative equilibrium)
– 惑星 (固体・大気) のエネルギー収支を支配
• 温室効果 (greenhouse effect)
– 表面温度に影響を及ぼす効果
放射
まず最初に考えておきたいこと:
放射(熱放射)
• “物”のエネルギーのやり取りの一形態.
– 物体はその温度に応じた波長と強度の電磁波を
放射している.
• 経験的に知っていること.
– 熱したやかん, 鍋, フライパンを置いておくと, そのうち冷める.
– 温度が高いものほど「熱そう」
» 温度が高いものほどたくさんエネルギーを出していそう.
– 日なたにいると暑い.
» 太陽が太陽の温度(~6000 K)に対応した電磁波を放射.
電磁波・放射
• γ線, X線, 紫外線, 可視光線 (“光”), 電波は全部電磁波.
• μm は 10-6 m
(新訂 地学図表, 浜島書店, より引用)
• nm は 10-9 m
ステファン・ボルツマンの法則
• 物理学によると, 物体が出しているエネル
ギーは温度の 4 乗に比例する
– ステファン・ボルツマンの法則(StefanBoltzmann law)
– エネルギーを最も出しやすい物体 (黒体) が放
射するエネルギーは,
F  T
4
( Wm
-2
  5 . 67  10
8
ステファン・ボルツマン定数
)
-2
-4
( Wm K )
• 温度 T (K) の黒体表面
の単位面積から単位時
間あたりに射出される
波長 λ (m) の放射エネ
ルギー
B  T  
2 hc
 e
5
2
hc k  T
1

黒体放射量 (MW/m2/mm)
黒体放射のスペクトル
T=8000K
T=4000K
T=2000K
6.6261x10-34
s-1)
h=
(J
c = 2.998x108 (m s-1)
k = 1.381x10-23 (J K-1)
:プランク定数
:光速
:ボルツマン定数
波長 (mm)
黒体放射のスペクトル
太陽 (~6000 K) と地球(~300
K) では放射する波長が異なる.
(新訂 地学図表, 浜島書店, より引用)
小まとめ
• 物体は温度に対応した波長, 強度で電磁波を
放射している.
• 太陽は ~6000 K の放射
– 主に可視光線を放射
• 地球は ~300 K の放射
– 主に赤外線を放射
地球・惑星のエネルギー収支
有効放射温度
惑星全体のエネルギー収支
• 考えること
– 太陽からやってくる放射
– 惑星が出す放射
– 惑星全体でもらうエネルギーと出すエネルギーは
等しくなければならない
• 等しくないと, 全体の温度が一定になれない
– 時間がたつにつれて温度が高くなったり低くなったり
太陽ー惑星のエネルギーの流れ
太陽ー惑星のエネルギーの流れ
主に可視光線(波長が短い)
主に赤外線(波長が長い)
太陽ー惑星のエネルギーの流れ
F S 太陽放射
A アルベド=反射率
F P 惑星放射
(惑星が受け取るエネルギー)
=(太陽からやってくるエネルギー) - (惑星が反射するエネルギー)
経過を整理
a を惑星の半径とすると,
• 惑星が受け取るエネルギー
 a F S   a AF S   a (1  A ) F S
2
2
• 惑星が出すエネルギー
4 a F P
2
2
放射平衡
• 平均として惑星が一定の温度に保たれてい
るとするならば,
(惑星が受け取るエネルギー)
=
(惑星が出すエネルギー)
– これが成り立たない場合, 時間がたつと暑くなっ
たり寒くなったりする
放射平衡
• 惑星が受け取るエネルギー
 a (1  A ) F S   a F S   a AF S
2
2
• 惑星が出すエネルギー
4 a F P
2
• エネルギーの釣り合い
 a (1  A ) F S  4  a F P
2
2
2
• 先程の式
 a (1  A ) F S  4  a F P
2
2
• 惑星が出すエネルギーは, ステファン・ボルツ
マンの法則より, 温度を T e とすると,
F p   Te
4
なので,
 a (1  A ) F S  4  a  T e
2
2
4
エネルギー収支から求められる温度:
有効放射温度
• 先程の式
 a (1  A ) F S  4  a  T e
2
2
より, 温度を求めると,
Te 
4
Te 
(1  A ) F S
4
4
Te
(1  A ) F S
4
有効放射温度
4
地球の有効放射温度
• 地球の有効放射温度を見積もってみる.
• 先程の式,
Te 
4
(1  A ) F S
4
に地球の値を代入.
太陽ー惑星のエネルギーの流れ
太陽放射フラックス
F S  1370 Wm
-2
アルベド=反射率
A  0 .3
地球の有効放射温度
• 地球の有効放射温度を見積もってみる.
Te 
(1  0 . 3 )  1370 [ Wm
4
4  5 . 67  10
8
[ Wm
-2
-2
]
-4
 255 [ K]   18 [ ℃ ]
K ]
  5 . 67  10
8
-2
Wm K
-4
とりあえず温度が見積もられた.
現実の地球表面の平均温度はこんなに低くないが.
惑星の有効放射温度
温度 (K)
• 他の惑星の有効放射
温度は?
– 多くの場合, 有効放射温
度は実際の惑星の表面
温度に近い(?)
• 金星は両者の温度が全く
違う.
火星 地球 金星
800
600
400
安田本の絵
200
0
太陽からの距離 (天文単位)
5
1
0.5
0.3
(安田,「基礎大気科学」 より引用)
他の効果の重要性
• 惑星が受け取るエネルギーと惑星が出すエ
ネルギーの釣り合いから求めた温度は, どう
も現実と合わない.
– 火星ではそんなにずれていない.
– 金星では地球以上にずれている.
• 他の効果を考えなければいけない.
他の効果の重要性
• 惑星が受け取るエネルギーと惑星が出すエ
ネルギーの釣り合いから求めた温度は, どう
も現実と合わない.
– 火星ではそんなにずれていない.
– 金星では地球以上にずれている.
• 他の効果を考えなければいけない.
温室効果
温室効果
太陽ー惑星のエネルギーの流れ
F S 太陽放射
A アルベド=反射率
F P 惑星放射
大気がない場合のエネルギーの流れ
• 大気がない ⇒ 温室効果が働かない
主に赤外線
主に可視光線
反射太陽放射
入射太陽放射
A FS
惑星放射
 Te
FS
Te 
つりあいの式
 a (1  A ) F S  4  a  T e
2
2
4
4
4
(1  A ) F S
4
温室効果で考えること
• (いくつかの)惑星には大気があること.
– 大気の効果
• 大気は地面からの放射(主に赤外線)を吸収(・散乱)
する
• 大気は自身が放射(・散乱)する
• これらの効果によってエネルギーの流れが変
わって温度が変わる.
温室効果の簡単な例
• 温室効果が働く(一番簡単な)例を考える.
– “ガラスモデル”
– ここでの仮定
• 大気が一層ある
• 太陽放射(可視光線)は大気を素通り
• 惑星放射(赤外線)は大気に吸収・射出される
温室効果
• 温室効果が働く場合(一番簡単な例)
A FS
FS
T
4
a
大気
Ta
T
 Ts
4
4
a
Ts
エネルギーのつりあい
• 地面と大気の両方でエネルギーがつりあわ
なければならない
– そうしないと地面や大気の温度が上がって / 下
がってしまう.
• 太陽からエネルギーを受ける面積と惑星がエ
ネルギーを出す面積を考えて, エネルギーの
つりあいを考える.
エネルギーのつりあい
• 地面と大気の両方でエネルギーがつりあわ
なければならない
– そうしないと地面や大気の温度が上がって / 下
がってしまう.
• 太陽からエネルギーを受ける面積と惑星がエ
ネルギーを出す面積を考えると, エネルギー
のつりあいは,
大気
4 a  T s  2  4 a  T a
地面
 a (1  A ) F S  4  a  T
2
2
4
2
2
4
4
a
 4 a  T s
2
4
大気がある場合の地面温度
大気
4 a  T s  2  4 a  T
地面
 a (1  A ) F S  4  a  T a  4  a  T s
2
4
2
2
2
4
a
4
2
• これらの式を解くと,
(1  A ) F S
Ts 
4
Ts 
2
4
(1  A ) F S
2
T
4
a

Ta 
(1  A ) F S
4
4
(1  A ) F S
4
4
大気がある場合の地面温度
• 温室効果が働く場合の温度を, 温室効果が
働かない場合の温度と比較.
– 有効放射温度は,
Te 
4
Ts 
Ta 
(1  A ) F S
4
4
4
2
4
(1  A ) F S
4
(1  A ) F S
4
 Te

4
2 Te  1 .2 Te
大気がある場合の地面温度
• 温室効果が働く場合の温度を, 温室効果が
働かない場合の温度と比較.
A FS
FS
 Ta
4
大気
Ta  Te
Ta
 Ta
4
 Ts
4
Ts 
4
2 Te  1 .2 Te
表面温度は約 2 割増し. 大気の温度は有効放射温度と等しい.
大気がある場合の地面温度
• 大気が放射の一部を地面に返すので温度が
上昇.
• 雲があることでも似たようなことは起こる.
A FS
FS
 Ta
4
大気
Ta  Te
Ta
 Ta
4
 Ts
4
Ts 
4
2 Te  1 .2 Te
表面温度は約 2 割増し. 大気の温度は有効放射温度と等しい.
表面温度の値
• このときの表面温度を見積もってみる.
• 前の議論から, 有効放射温度は,
Te 
4
(1  A ) F S
4
 255 [ K]   18 [ ℃ ]
• ガラスモデルの表面温度は,
Ts 
4
24
(1  A ) F S
4

– だいたいこんなもの(?)
4
2 T e  303 [ K ]  20 [ ℃ ]
考え直してみると…
• しかし, 考え直してみると問題に気付く.
• 他の惑星にも当てはまる?
– 例えば金星や火星は当てはまらないような… .
• 原因のいくつか
– 大気は一層?
• 誰が一層だと決めた?
– 大気は惑星放射を全部吸収する?
• 仮定を緩めてみる.
次の温室効果モデル
• 前の仮定:ガラスモデル
– 一層の大気
– 太陽放射は大気を素通り
– 惑星放射は大気に吸収・射出される
• 今度の仮定
– 一層の大気
– 太陽放射は大気を素通り
– 惑星放射は大気に一部吸収・射出される
大気が惑星放射の一部を透過する
場合
A FS
FS
(1   ) T s
4
 T a
4
大気
 Ts

吸収率 = 射出率
4
 T a
4
大気が惑星放射の一部を透過する
場合
• 太陽からエネルギーを受ける面積と惑星がエ
ネルギーを出す面積を考えると, エネルギー
のつりあいは,
大気
4  a  T s  2  4  a  T a
地面
 a (1  A ) F S  4  a  T a  4  a  T s
2
2
4
2
2
4
4
2
4
大気が惑星放射の一部を透過する
場合
大気
4  a  T s  2  4  a  T a
地面
 a (1  A ) F S  4  a  T a  4  a  T s
2
4
2
2
4
2
4
2
• この式を解くと,
Ta 
4
Ts 
4
1
2
2
2
4
(1  A ) F S
4
(1  A ) F S
4
4

4

4
1
2
2
2
Te
Te
4
大気が惑星放射を透過する場合
• 吸収率は
 1
なので,
Ts 
4
2
2
Te  Te
• 大気が惑星放射を全部吸収しなくても温室効果が
働く.
• 吸収率が大きくなると (大気中の吸収物質が増える
と), 表面温度は高くなる.
– 今話題の温室効果ガスによる温暖化.
温室効果をもたらす気体
• 現在の地球において, 主要な温室効果ガス
は水蒸気, 二酸化炭素, メタンなど.
• 現在の大気の温室効果は, 約 6 割が水蒸気,
約 3 割が二酸化炭素による.
地表(黒)および大気上端(赤線)におけ
る赤外線スペクトル(単位波長・面積・時
間あたりのエネルギー流出量). 右枠の
数字は、晴天時(雲がない場合)での寄
与。(横畠 (2007): 「水蒸気の温室効
果」(CGERココが知りたい温暖化)
http://www-cger.nies.go.jp/qa/11/112/qa_11-2-j.html より引用)
実際の惑星(地球)では
どうなっているか?
• ここまでに議論したことは, 簡単化した話.
• 実際には, ここでは無視した様々なことが現
実の温度・温暖化に影響を及ぼしている.
• ここからは, それらの効果の一部を紹介.
温室効果の簡単モデル 1
• 温室効果が働く場合(一番簡単な例)
A FS
FS
T
4
a
大気
Ta
T
 Ts
4
4
a
温室効果の簡単モデル 2
A FS
FS
(1   ) T s
4
 T a
4
大気
 Ts

吸収率 = 射出率
4
 T a
4
現実のエネルギー収支
(IPCC AR4 WG1 報告書(2007)より引用)
惑星のエネルギー収支
FS
(新訂 地学図表, 浜島書店, より引用)
今までは惑星全体の平均を考えたが,
実際には緯度によって違う.
- 赤道は暑いが, 極域は寒い.
大気・海洋の運動による
エネルギー分配
A, B のそれぞれの緯度での不均衡は海や
大気の運動による輸送によって解消.
(新訂 地学図表, 浜島書店, より引用)
地球大気の循環
• 大気の子午面循環?
• 海洋循環?
(新訂 地学図表, 浜島書店, より引用)
海の循環
(新訂 地学図表, 浜島書店, より引用)
気候に影響を及ぼす様々な要素
(IPCC AR4 WG1 報告書 概要及びよくある質問と回答(気象庁訳)(2007)より引用)
まとめ
• 惑星大気のエネルギー収支
– 太陽 (恒星) からもらうエネルギーと出すエネル
ギーのつりあいで考えられる.
• 大気がある場合, 温室効果が起こる.
– 温室を考えない場合, 大気温度を過小評価する
ことがある.
• 地球の場合数十度の過小評価
– 温室効果ガスが増えると表面温度が上昇.
– 現在の地球で主要な温室効果ガスは水蒸気, 二
酸化炭素, メタンなど.
気候に影響を及ぼす要素の一部
• 先の図からもわかるように, 気候は様々な要
素が絡み合った結果として成り立っている.
• いくつか取り上げると, 例えば,
– 自然起源の気候変動要因
• 太陽エネルギーの変動
• 大規模火山噴火(成層圏エアロゾルの変化)
気候に影響を及ぼす要素の一部
– 人為起源の気候変動要因
•
•
•
•
温室効果ガス(CO2、CH4など)の増加
成層圏オゾンの減少、対流圏オゾンの増加
対流圏エアロゾルの増加
土地利用など地表面状態の変化
近年の気候研究
• 現在の温暖化研究は, それら様々な要素を
考慮して行われている.
– 研究方法は様々
• 観測
• 計算機シミュレーション
– 気候モデル
温室効果ガスの観測
CO2増加の原因は
化石燃料の利用
CH4、N2O増加の
原因は農業活動
(IPCC AR4 WG1 報告書 政策決定者向け要約(気象庁訳)(2007)より引用)
近年の気候モデル研究
• 現在の温暖化研究は, それら様々な要素を
考慮して行われている.
– その一例は, 気候モデルを用いたシミュレーショ
温暖化研究に用いられている数値
雲
ンに基づくもの.
モデルで考慮されているプロセス
火山
(IPCC AR4 WG1 報告書(2007)
より引用)
炭素循環
エアロゾル
雨
氷床
海の循環
地球の平均気温の変化予測
(IPCC AR4 WG1 報告書 (2007)より引用)
Figure 10.4
実際の惑星(地球)では
どうなっているか?
• ここまでに議論したことは, 簡単化した結果.
• 実際には, ここでは無視した様々な効果を考
慮し, 温暖化のシミュレーション・研究が行わ
れている.
• ここからは, 近年の温暖化研究の結果の一部
を紹介
惑星が出すエネルギー
• 経験的に知っていること.
– 熱いものは「熱そう」
• 熱いものに近づくと, 「もわっと」する
– 温度が高いものほど「熱そう」
– 温度が高いものほどたくさんエネルギーを出して
いそう.
惑星が出すエネルギー
• 物理学によると, 物体が出しているエネル
ギーは温度の 4 乗に比例する
– ステファン・ボルツマンの法則(StefanBoltzmann law)
– エネルギーを最も出しやすい物体 (黒体) が放
射するエネルギー
F  T
4
  5 . 67  10
8
-2
Wm K
-4
ステファン・ボルツマン定数
• 抜けていること
– 短波と長波の違いを書いていない
• プランク関数を書く?
• 最初に入れるか.
– 物体はその温度に応じた波長と強度の電磁波を放射しています。今
回は、その放射に関する法則について見ていこうと思います。
– ここで、話を簡単にするために入射してくる電磁波を全て吸収する
理想的な物体を考えます。このような物体のことを黒体と呼んでいま
す。一般に、電磁波をよく吸収する物体ほど、電磁波の放射量も多く
なるという関係(キルヒホッフの法則)があります。つまり、黒体はその
温度において、最大限の電磁波を放射する物体というわけです。こ
の黒体の放射に関して、以下の法則が成り立ちます。
大気・海洋の運動による
エネルギー分配
(Houghton (2001): “The Physics of Atmospheres” より引用)
(IPCC AR4 WG1 報告書(2007)より引用)
放射平衡温度分布
• さらに仮定を緩めて, 温度の高さ分布を考える.
• 前の仮定:ガラスモデル
– 一層の大気
– 太陽放射は大気を素通り
– 惑星放射は大気に吸収・射出される
• 今度の仮定
– 一層の大気
– 太陽放射は大気を素通り
– 惑星放射は大気に一部吸収・射出される
• 今度の仮定
– N 層(多層) の大気
– 太陽放射は大気を素通り
– 惑星放射は大気に一部吸収・射出される
温室効果
FS
A FS
 T a
4
(1   ) T s
4
大気
 T a
4
 Ts

吸収率 = 射出率
4
温室効果
FS
A FS
大気
 Ts

吸収率 = 射出率
4
温室効果
(1   ) T s
 T a
4
4
FS
A FS
大気
 Ts

吸収率 = 射出率
4
 T a
4
気候変化に影響を及ぼす要素
• ここまでに議論したことは, “簡単な大気放射”
と地面の吸収・射出を考えただけ.
• 実際にはもっと様々な要素が関係している.
– 雲,
– 大気の運動,
– 海の運動,
– エアロゾル,
– 人間活動
etc.
2. 気候システムとは?
温室効果とは
温室効果ガスがない場合
-19℃
温室効果ガスがある場合
14℃
 地球は太陽から受取るのと同じだけの放射エネルギーを射出
 温室効果ガスがなければ、地上気温は-19℃
 温室効果ガスが地球からの熱放射の大半を吸収し、地球へと
放射し返すため、地上気温は14℃に保たれている
黒体放射
温度 T (K) の黒体表面の単位面積から単位時間
あたりに射出される波長  (m) の放射エネルギー
 e
5
hc kT

1
h = 6.6261x10-34 J/s
:プランク定数
c = 2.998x108 m/s :光速
k = 1.381x10-23 J/K
:ボルツマン定数
黒体放射量 (MW/m2/mm)
B T  
2hc
2
T=8000K
m T  
2897
T
T=4000K
T=2000K
波長 (mm)
黒体とみなした場合の太陽放射と地球放射
(Salby (1996): “Fundamentals of Atmospheric Physics” より引用)
0次元放射平衡モデル
S = 1366 W/m2 :太陽定数
入射量
A = 0.31 :アルベド
射出量
S 1  Aa = 4a T
2
2
4
e
a = 6370 km :地球半径
 = 5.67x10-8 W/m2
:ステファン・ボルツマン定数
Te 
4
S 1  A
4
= 254 K :放射平衡温度
大気の温室効果がない場合
FLW  T
4
g
FSW
Tg 
4
FSW

 Te
大気の温室効果がある場合
1   Tg4
FSW
T
4
a
Tg4
Ta4
 :大気の吸収率(=射出率)
大気の温室効果がある場合
1   Tg4
FSW
大気中の放射収支
4
4
Tg  2Ta  0
Ta4
地表面での放射収支
4
4
FSW  Tg  Ta  0
大気温度
Ta 
地表面温度 Tg 
4
4
Ta4
T
4
g
FSW
2   
2 FSW
2   


4
4
1
2
2
2 
Te
Te
大気の吸収率が大きくなると地表面温度も高くなる!
温室効果をもたらすのは….
(横畠 (2007): 「水蒸気の温室効果」(CGERココが知りたい温暖化) より引用)
 主要な温室効果ガスは水蒸気、二酸化炭素、メタン、など
 現在の大気の温室効果は約6割が水蒸気、約3割が二酸化炭素
放射伝達方程式を用いた計算
(小倉 (1999): 「一般気象学」 より引用)
放射伝達方程式を用いた計算
(時岡ら
(1993): 「気
象の数値シ
ミュレーショ
ン」 より引
用)
地球のエネルギーバランスの
模式図
(IPCC AR4 WG1 報告書(2007)より引用)
放射平衡と大気の運動
(Houghton (2001): “The Physics of Atmospheres” より引用)
気候システムの概念図
(IPCC AR4 WG1 報告書 概要及びよくある質問と回答(気象庁訳)(2007)より引用)
 気候システムはサブシステム(大気、海洋、陸面など)とそれら
の間の相互作用を含む
惑星が出すエネルギー
• 経験的に知っていること.
– 熱いものは「熱そう」
• 熱いものに近づくと, 「もわっと」する
– 温度が高いものほど「熱そう」
– 温度が高いものほどたくさんエネルギーを出して
いそう.