Transcript e - KEK

超伝導空洞入門
~設計から運転まで~
山本 康史(KEK加速器)
2012/7/15
2012年ILC夏の合宿@佐賀
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Contents of this lecture
① Introduction
② What is “Superconducting cavity”?
③ RF design
④ Mechanical design
⑤ Cavity testing, surface treatment, inspection
⑥ Other components for cavity assembly
⑦ Cryomodule assembly & testing
⑧ Beam operation with Superconducting cavity
2012/7/15
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① Introduction
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なぜ超伝導空洞なのか?
 おそらく今回の合宿に参加されている方の大半は超伝
導空洞なるものを初めて耳にされたのではないかと思
います。
 かくいう私もKEKに就職するまでその存在すら知りま
せんでした。
 しかし、それはある意味当然のことで、日本国内で超
伝導空洞の研究開発を行っているところはKEK唯一つ
で、しかもグループも限られております。
 21世紀になって、加速器は放射光施設や医療用なども
含めて、かなり一般的な存在になってきておりますが
、そこに使われている加速装置は全て常伝導(銅など
の金属)の空洞なのです。
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② What is “Superconducting cavity”?
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超伝導空洞って何なのよ?
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ニオブ(Niobium)で出来ている(鍍金で行う場合もある)
超伝導状態で動く(転移温度:9.4K)
4.2K(あるいは2K)の(超流動)液体ヘリウムで冷却される
少量の電力で高加速勾配が得られる(表面抵抗が非常に小さい)
大きな断熱真空層に入っている(侵入熱の防止)
磁気シールドに覆われている(超伝導体は磁場を嫌う)
空洞内の真空レベルは10-8Pa相当である(宇宙空間は10-11Pa)
空洞内表面は鏡面のようにピカピカである(不純物が少ない)
極限状態で動いている粒子加速装置!!!
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ニオブって何よ?
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原子番号
原子量
比重
結晶構造
融点
沸点
超伝導特性
: 41
: 92.9 a.m.u.
: 8.57
: 体心立方構造
: 2750K
: 5017K
: 第二種超伝導体
Nbはこの中で最も転移温度が高い金属なのです。
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超流動ヘリウムって何よ?
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
Helium 4は大気圧下では4.2Kで液体になる(常流動)
さらに冷やすと、2.17K(ラムダ点)以下で一部が超流動になる
超流動になると沸騰が収まる
超流動ヘリウムは摩擦の無い液体である(噴水効果など)
超流動はマクロの量子現象である
動画があれば見せる
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超伝導空洞の簡単な歴史
強引に一枚のスライドにまとめてみました。
年代
世界の動き
1965年
スタンフォード大学で世界で初めて超伝導空洞が開発
される(鉛鍍金の空洞)
1975年
コーネル大学で2.86GHzのmuffin-tin構造の空洞による
ビーム加速(110μA, 4GeV)に成功する(高エネルギー物理
学への最初の適用)
1977年
スタンフォード大学で初めての超伝導空洞を用いた加
速器が完成する(27mで50MVの加速)
1982年
コーネル大学にあるCESRで世界初のstorage ringにおけ
る適用に成功する(12mA)
1980年代半ば
日本国内の動き
TRISTAN計画のために世界初の大規模な超伝導空洞の
施設を建設し、32台の空洞の運転に成功
1990年代初頭
DESYでTESLA(超伝導リニアコライダー)計画のための
1.3GHz超伝導空洞の開発が始まる
1997年
CERNでLEP-IIのために300台程度の超伝導空洞が導入さ
れる(世界最高台数)
1990年代後半
KEKB計画のために大電流用超伝導空洞が開発される
2005年
KEKBの有限交差角解消のために世界で初めてのCrab空
洞が開発される
2008年
STF(超伝導空洞試験施設)が完成する
2013年(?)
cERL実験施設が完成する
2015年(?)
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DESYでX-FELのために650台程度の超伝導空洞が導入予
定(ILCのプロトタイプ的な位置づけ)
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高校3年の時の物理の教科書より
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世界で使われている(た)超伝導空洞
 BNL
X-FEL
ILC
Project-X
 ERL
HEPL
 CERN
 LHC, LEP
 CORNELL
 CESR, ERL
CESR LEP-II SNS LHC
TRISTAN
1970
1980
1990
KEKB (Crab)
KEKB STF/cERL
2000
2010
2020
2030
 DESY
 X-FEL, TESLA, HERA, PETRA
 FNAL
 Project-X
 IHEP
 BEPC-II
 Jefferson Lab.
 CEBAF, 12GeV upgrade
 KEK
 TRISTAN, KEKB, Super KEKB, STF, cERL
 ORNL
 SNS
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Other types of cavities for proton or heavy ion driver
RFQ @INFN-Legnaro
HWR
QWR @ANL
Spoke
Multi-cell Spoke
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Cryomodule with superconducting cavity for Accelerator
実際に加速器で運転する場合は、超伝導空洞に液体ヘリウムのた
めのジャケットを付けて、それらを大きな断熱真空層に入れた状
S1-Global
@STF
態
にする。
Quantum Beam @STF
LHC @CERN
Crab cavity @KEKB
Accelerating cavity @KEKB
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…っで、結局なんで超伝導空洞を使うの?
 Q値が高い(~1010)
熱損失が少ない
 加速勾配が高い(~35MV/m)
高周波のエネルギーがほとんど利用可能
 ビームを通すのが楽(70mm)
ビームパイプの径を大きく出来る
 小さいスペースで高加速が得られる
KEKBの場合だと、超伝導と常伝導とでは
3倍程度異なる
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超伝導空洞って良いことだらけなの?
 大型冷凍設備
 高圧ガス保安法への対応
 取り扱いが大変
 高価である
 ランニングコストがかかる
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③ RF design
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最も簡単な空洞の例①
図のようなPill-box cavityを考える
加速モード:TM010
軸上に加速電場
周方向に磁場
Z方向の長さはRFの半周期
d
E
–
e
500MHzだと30cm
1.3GHzだと約11.5cm
(x, y, z)
↓
(ρ, φ, z)
B
R
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Pill-box空洞のTMモードの解
TMmnp
m: φ
n: ρ
p: z
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umn ρ
pπz
Ez = E0 cos(
)J m (
) cos(mφ) Jm(x): Bessel function
d
R
umn: n-th root of Jm(x)
pπR
pπz ' umn ρ
E ρ = E0
sin(
)J m (
) cos(mφ)
dumn
d
R
u mn ρ
mp πR 2
pπz
Eφ = E0
)J m (
) sin( mφ)
2 sin(
d
R
ρdumn
H z = 0 (TM modeのため)
mωmnp R 2
umn ρ
pπz
H ρ = iE0
cos(
)Jm (
) sin( mφ)
2
d
R
ηcρumn
ωmnp R
pπz ' umn ρ
H φ = iE0
cos(
)J m (
) cos(mφ)
d
R
ηcumn
pπ 2 η = ε0 = 376 .7Ω
umn
2
ωmnp = c γmn + ( )
γmn =
μ0 真空のインピーダンス
d
R
本当はさらに時間変化の因子e-iωtがかかる
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TM010の解を求めてみよう
先程の式に、m = 0, n = 1, p = 0 を代入する。
2.405 ρ iωt
Ez = E0 J 0(
)e
R
E0
2.405 ρ
H φ = i J1 (
)e
η
R
Ez
iωt
位相が90°ずれているということ
Hφ
–
e
ρ/R
0.77
つまりTM010モードの場合、軸上の電場が最大で、かつ磁場は0
となり、
ビームを加速するのに適していることになる。
TM010モードのことを、加速モード、あるいはfundamental modeともいう
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最も簡単な空洞の例②
ビームを通してみる(Pill-boxから変形)
実際の空洞にはビームの通り道(ビームパイプ)が付いており
、また、高周波(RF)を送り込む入力結合器が取り付けられて
いる。さらにビームが生み出す高調波を取り出すためのポ
ートも取り付けられている。
加速によるエネルギー
ビームが通過する際は、時間変化をする電場を感じながら空洞内を
通り抜けることになる。
したがって、ビームの得るエネルギーは以下の式で表される。
L/2
E  eV  e

Ez  z, t  ei z / c dz
e
+
L/ 2
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最も簡単な空洞の例③
ビームが空洞内を通り抜ける際に、様々なモードを励
振していく(Wakefieldの存在)。
高調波(Higher Order Mode)の存在
代表的な高調波
TM110 (dipole)
TM011 (monopole)
TE111 (dipole)
モノポールの代表的なHOM
TM011
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空洞内をビームが通過する際に何が起こるか?
 敢えて視覚化すると以下の図のようになっているも
のと思われる。
実際の空洞内には、RFも送り込まれており、これに
ビームから生じるwake fieldが重ね合わされてかなり複
雑な状態である。
空洞内の電磁場=RF + wake
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最も簡単な空洞の例④
Beam
TM110 Dipole Mode (Crab mode)
H
E
E
TE111 Dipole Mode
Beam
H
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Multi-cellへの移行
Single cellから2 cellへ移行する
TM010モードは境界条件より2つに分離する(TM010-1, TM010-2)
π Mode
隣り合うセル同士でRFの周期が
180°ずれている
もっとも加速に適したモード
π/2 Mode
隣り合うセル同士でRFの周期が
90°ずれている
ということはILCの空洞の場合9セルなので…
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以上は、ごく基本的な事柄です。
つまり、解析的に解ける形状、ということです。
しかし、実際の空洞はビームパイプやらRFの通るポートや高調波を取り出す
ポートなどが付いてて複雑なので、もはや解析的には解けません。
したがって、現実的な空洞形状の設計にはシミュレーションを使うことに
なります。
シミュレーションは色々開発されておりますが、大概は有料です。
しかも高いので、一般の人には手が出るものではないでしょう。
CERN Libraryなどとは大分違います。
シミュレーションには主に有限要素法が使われます。
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RF設計に用いる計算コード
 2 Dimension
 Super Fish (昔から良く使われている)
 CLANS (HOM計算に特化している)
 3 Dimension





MW-Studio (最も汎用性の高いコード)
MAFIA (MW-Studioの古いバージョン)
HFSS (米国社製)
GDfidL (CERNでよく使われている)
OMEGA 3P (SLAC独自のコード)
※空洞が形状が一旦決まったら、さらにビームを通してみた影響も
見積もる必要があり、その際にもコードを用いて計算する。
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超伝導空洞のセル形状を決めるパラメータ
Beam Pipe
Half cell
λ/4
E. Kako
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Super Fishを用いた計算
f = 1300.99 MHz,
W = 0.0071 J, Po = 5.80 mW
Eacc = 1.0 MV/m,
Esp = 1.98 MV/m, Hsp = 3314 A/m
Esp / Eacc = 1.98
Hsp / Eacc = 3314 A/m / MV/m
= 41.4 Oe/ MV/m
R / Q = 56.7 Ω x 2.
G = 271 Ω
E. Kako
Rs = 26.8 nW, Q0 = 1.01 x 1010
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Multi-cellへの拡張
Dependence on
Cell Taper & Radius of Beam Pipe
E. Kako
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高調波(trapped mode)の処
置
HOM-passbands/ Dipole
4,000
KEK35-TM120
KEK35-TE121
KEK35-TM111
KEK35-TE112
KEK35-TM110
KEK35-TE111
TESLA-TM120
TESLA-TE121
TESLA-TM111
TESLA-TE112
TESLA-TM110
TESLA-TE111
Frequency [MHz]
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
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E. Kako
O-mode
 -mode
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最も危険な高調波(TE-iris mode)
9-cell
1-cell
2580MHz,
Cell shape of TESLA
K. Umemori
このモードはアイリス部に
捕獲されるモードで、周波数が
TM011モードに近い。
TEなので、ビームを横方向に
蹴るような影響を及ぼす。
しかし、エンドセルを非対称に
することで、周波数を微妙に
2 出来る。
ずらすことが
Rt/Q=3.1Ω/cm
courtesy of Umemori-san
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3 Types of Cavities for ILC, FEL & ERL
TESLA
Two HOM couplers
Same structure
TESLA-like
Stiffer structure
for reduction of effect of LFD
KEK-ERL (ML)
Two HOM dampers with ferrite
Larger beam pipe with groove
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Much better HOM damping than above two cavities
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超伝導空洞に関係するパラメータ①
常伝導の表面抵抗
RS 

電磁場のエネルギー
2
W
2

2
BCS抵抗
RBCS
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
 

A
exp  
T
 kB  T 

2
2
H dV 
超伝導の表面抵抗(BCS抵抗と残留抵抗の和)
RS  RBCS (T )  Rresidual

E dV
空洞の壁面損失
RS
Po 
2

2
H dS
空洞のQ値(Quality factor)
2
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Qo 
W
Po
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超伝導空洞に関係するパラメータ②
空洞のQ値(Quality factor)
G W
Qo 

RS
P0
Geometry factor
G  
加速勾配
E acc 
1
LCavity

L
0
H dV
2
H dS
E z z, r  0 cos  t z dz
R/Q(Shunt impedance)
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

2
2
E
R
 acc L2 Cavity
Q W
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具体的に数値を入れてみよう!①
270Ω (シミュレーションから求まる)
G
Qo =
= 1.8 ×1010
RS
RS = RBCS (T ) + Rresidual
15nΩ (典型的な値@1.8K)
100kPa
RBCS
~1kPa
4.2K
3nΩ
12nΩ

 

A
exp  
T
 kB  T 
2
漸近値が残留抵抗と見なせる
λ point (2.17K)
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具体的に数値を入れてみよう!②
2
Eacc
R
2
L
=
Cavity = 1036 Ω
Q ωW
PoQo = ωW
100W
1.8 x 10
(シミュレーションから求まる)
1.038m (空洞の全長)
10
Eacc = 41.6MV/m
超伝導空洞に100W程度のパワーを投入しただけで
これだけの加速勾配が得られる!!!
(ビームを加速できる、とは言っていないことに注意
が、1個あれば、41.6MV/mの加速勾配が立てられる!
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④ Mechanical design
2012/7/15
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RF設計を行った空洞が実際に製作可能かどうか?
 如何に優れたRF設計でも、実際に作れないと意味が無い。
 さらに、製作時に2Kの液体ヘリウム環境下で運転される、
という点も考慮する必要がある。
 高圧ガス法に則った設計を行う必要がある。
① 製作時に耐圧・気密試験に合格すること
② 高圧ガス保安協会の認可を受けること
③ (運転時には)各都道府県庁の認可を受けること
 あまり複雑な工程にすると、コストと時間がかかる。
 取り扱いも大変になる。
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38
空洞の機械振動の計算
Mechanical Vibration Modes; 972MHz
空洞の機械振動を計算するために、
ANSYSやABAQUSなどのコードを用いる。 1. Multi-cell Mode (I)
f = 87 Hz
d f 
  xk
 f   
mod e  d x  k
2. Multi-cell Mode (II)
f = 169 Hz
d f dl
   fk 
Fz
d l d Fz
l  0

df B  2
 Eacc
  A 
d l KS 

4. Tuner Mode (I)
f = 294 Hz
41. Single-cell Mode(II)
f = 3.91 kHz
Ks : Total Stiffness of Jacket & Tuner
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E. Kako
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⑤ Cavity testing, surface treatment, inspection
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40
KEK Tsukuba Campus
South
CFF (Cavity Fabrication Facility)
East
STF
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ATF/ATF2
North
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West
41
Outline of STF
Cryogenic liquefier
EP No.2
tunnel underground
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Typical Process for Vertical Testing
as received from a vendor
Optical inspection
f0 & Field flatness
measurement
surface treatment
(bulk EP∼100μm)
annealing
>96%
surface treatment
(light EP ∼20μm,
degreasing, HPR)
Optical inspection
pre-tuning
☠
Cryomodule test
V.T.
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Cavity string
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Cavity diagnostic system at STF
396 carbon resistors
182 PIN photo diodes
8 second sound sensors
Radiation monitor
Electron probe
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空洞性能試験(縦測定)に向けた準備
Fit check for EP bed
CP around flanges
After HPR
During HPR
HPR system
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空洞性能試験(縦測定)の様子
2012/7/15
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縦測定と運転時の違い
 縦測定
縦測定の方が実験設備が小さくて楽
 連続的励振
10
 1.0 x 10 @35MV/m
 無反射条件(数百W)
 横測定(運転時)
 パルス的励振(1.5ms/5Hz)
 0.8 x 1010 @31.5MV/m
 大きな反射(数百kW)
 ビームが通る際は無反射になる
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無反射条件での空洞内からの電磁波の消失
下の画像は空洞に送り込んでいるRFを切った瞬間の写真です。
f
Q
 
f
光は1秒間に30万km移動できますが、
上の写真によると超伝導空洞内では1秒経っても、
まだ依然としてその一部が空洞内に留まっている、
ということを意味します。
これはすごい!!!
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Q0 vs. Eacc Curve
超伝導空洞の性能を評価する上で最も基本的となるグラフ
35.4MV/m
Power limit 37.2MV/m
Cell #1 heating
9.2MV/m
power limit
ILC spec.に到達するためには、35MV/mで0.8 x 1010に達している必要がある
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ILC spec.に達しなかったも
ところが、様々な理由により空洞性能
の は制限されてしまう
こういう空洞は何故性能が出なかったのかを調べることが非常に重要!!
そのためのツールとして、STFで以下の3つが開発された。
↓
温度/X線マッピング装置、内面検査カメラ、局所研磨装置
(STF3種の神器)
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空洞性能を制限するもの
 Thermal Quench
 ある場所に defect (欠陥)が存在する場合、そこで発熱を起こ
し、クエンチに到る。
 Field Emission
 空洞内のアイリス部に defect がある場合や dust が混入した
場合に電子放出が起こり、高放射線が発生する。時にその
電子が空洞内のどこかに当たり、そこで発熱を引き起こし
空洞をクエンチさせることもある。
 Multipacting
 あるフィールドで表面から飛び出て来た電子が、電磁場に
捕獲されて再び元の場所へ戻っていくという、一種の共鳴
現象。
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MHI#15号機の例
MHI#15号機の例
π, 3π/9@23~24MV/m
62°
6π/9 @33MV/m
6~7mm
Cell #2の赤道部から新しい欠陥が出現!!
5π/9, 7π/9@30~31MV/m
事前の検査では当該個所に何も見つかっていなかった。
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MHI#14号機の例
T-mapping
π mode
X-ray-mapping
13MV/m
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MHI#14号機の例
T-mapping
4π/9 mode
X-ray-mapping
34MV/m
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MHI#14号機の例
Cell #8-9アイリス部から新しい欠陥が出現!!
Field emissionにより
放出された電子は
ある平面内に捕獲されるπ @13MV/m 4π/9 @34MV/m
6π/9 @30MV/m
2012/7/15
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局所研磨機を使って補修する
歯医者さんが虫歯を直すようにグラインダーで欠陥を削り取る
素手に研磨材を持って直接行う場合もある。
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2012年ILC夏の合宿@佐賀
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局所研磨により性能を回復した空
洞
STFの3種の神器を駆使して性能が大いに向上!!
2008~2012年の5年間の研究の結果、
空洞内から欠陥を完全に除去出来ればILC spec.に
到達することが出来る、ということが分かった。
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2012年ILC夏の合宿@佐賀
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縦測定の最新結果
41MV/m!!!
3日前に今年の夏前の最後の測定で日本最高記録を更新!!!
2012/7/15
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⑥ Other components for cavity assembly
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空洞以外の必要部品
入力結合器(カプラ)
周波数調整機構(チューナー)
ヘリウムジャケット+磁気シールド
高調波結合器(HOM)
Remote Control System
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入力結合器(カプラ)
TTF-III Coupler
(DESY/FNAL)
2012/7/15
STF-II Coupler (KEK)
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周波数調整機構(チューナー)
Blade Tuner
(FNAL/INFN)
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Saclay Tuner
(DESY)
Slide-Jack Tuner (KEK)
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⑦ Cryomodule assembly & testing
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2012年ILC夏の合宿@佐賀
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Test Results of the International
S1-Global Cryomodule
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International Team for “S1-Global”
C. Pagani, P. Pierini, A. Bosotti, R. Paparella, INFN (Italy)
K. Jensch, D. Kostin, L. Lilje, A. Matheisen, W.-D. Moeller,
M. Schmoekel, P. Schilling, H. Weise, N. Walker, DESY (Germany)
T. Arkan, S. Barbanotti, M. Battistoni, H. Carter,
M. Champion, A. Hocker, R. Kephart, J. Kerby, D. Mitchell,
Y. Pischalnikov, T.J. Peterson, M. Ross,
W. Schappert, B. Smith, FNAL (USA)
C. Adolphsen, C. Nantista, SLAC (USA)
M. Akemoto, S. Fukuda, K. Hara, H. Hayano, N. Higashi, E. Kako,
H. Katagiri, Y. Kojima, Y. Kondo, T. Matsumoto, H. Matsushita,
S. Michizono, T. Miura, H. Nakai, H. Nakajima, K. Nakanishi, S. Noguchi,
N. Ohuchi, T. Saeki, M. Satoh, T. Shidara, T. Shishido, T. Takenaka,
A. Terashima, N. Toge, K. Tsuchiya, K. Watanabe, S. Yamaguchi,
A. Yamamoto, Y. Yamamoto(Kirk), K. Yokoya, M. Yoshida, KEK (Japan)
61 persons from 5 Labs!
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横測定での性能劣化
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☠
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⑧ Beam operation with Superconducting cavity
ここまで手が回りませんでした。
早野さんにお任せします。
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さらに勉強したい人のために
 参考書
 RF SUPERCONDUCTIVITY FOR ACCELERATORS
 (H. Padamsee, et al.)
 Proceedings for SRF Conferences
 OHO seminar textbooks (1984~2011)
 現場見学
 STFは見学者をいつでも歓迎します!!
 DESYのX-FELの建設現場に行くのも良いでしょう
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ご清聴ありがとうございました
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