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超伝導空洞入門 ~設計から運転まで~ 山本 康史(KEK加速器) 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 1 Contents of this lecture ① Introduction ② What is “Superconducting cavity”? ③ RF design ④ Mechanical design ⑤ Cavity testing, surface treatment, inspection ⑥ Other components for cavity assembly ⑦ Cryomodule assembly & testing ⑧ Beam operation with Superconducting cavity 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 2 ① Introduction 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 3 なぜ超伝導空洞なのか? おそらく今回の合宿に参加されている方の大半は超伝 導空洞なるものを初めて耳にされたのではないかと思 います。 かくいう私もKEKに就職するまでその存在すら知りま せんでした。 しかし、それはある意味当然のことで、日本国内で超 伝導空洞の研究開発を行っているところはKEK唯一つ で、しかもグループも限られております。 21世紀になって、加速器は放射光施設や医療用なども 含めて、かなり一般的な存在になってきておりますが 、そこに使われている加速装置は全て常伝導(銅など の金属)の空洞なのです。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 4 ② What is “Superconducting cavity”? 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 5 超伝導空洞って何なのよ? ニオブ(Niobium)で出来ている(鍍金で行う場合もある) 超伝導状態で動く(転移温度:9.4K) 4.2K(あるいは2K)の(超流動)液体ヘリウムで冷却される 少量の電力で高加速勾配が得られる(表面抵抗が非常に小さい) 大きな断熱真空層に入っている(侵入熱の防止) 磁気シールドに覆われている(超伝導体は磁場を嫌う) 空洞内の真空レベルは10-8Pa相当である(宇宙空間は10-11Pa) 空洞内表面は鏡面のようにピカピカである(不純物が少ない) 極限状態で動いている粒子加速装置!!! 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 6 ニオブって何よ? 原子番号 原子量 比重 結晶構造 融点 沸点 超伝導特性 : 41 : 92.9 a.m.u. : 8.57 : 体心立方構造 : 2750K : 5017K : 第二種超伝導体 Nbはこの中で最も転移温度が高い金属なのです。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 7 超流動ヘリウムって何よ? Helium 4は大気圧下では4.2Kで液体になる(常流動) さらに冷やすと、2.17K(ラムダ点)以下で一部が超流動になる 超流動になると沸騰が収まる 超流動ヘリウムは摩擦の無い液体である(噴水効果など) 超流動はマクロの量子現象である 動画があれば見せる 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 8 超伝導空洞の簡単な歴史 強引に一枚のスライドにまとめてみました。 年代 世界の動き 1965年 スタンフォード大学で世界で初めて超伝導空洞が開発 される(鉛鍍金の空洞) 1975年 コーネル大学で2.86GHzのmuffin-tin構造の空洞による ビーム加速(110μA, 4GeV)に成功する(高エネルギー物理 学への最初の適用) 1977年 スタンフォード大学で初めての超伝導空洞を用いた加 速器が完成する(27mで50MVの加速) 1982年 コーネル大学にあるCESRで世界初のstorage ringにおけ る適用に成功する(12mA) 1980年代半ば 日本国内の動き TRISTAN計画のために世界初の大規模な超伝導空洞の 施設を建設し、32台の空洞の運転に成功 1990年代初頭 DESYでTESLA(超伝導リニアコライダー)計画のための 1.3GHz超伝導空洞の開発が始まる 1997年 CERNでLEP-IIのために300台程度の超伝導空洞が導入さ れる(世界最高台数) 1990年代後半 KEKB計画のために大電流用超伝導空洞が開発される 2005年 KEKBの有限交差角解消のために世界で初めてのCrab空 洞が開発される 2008年 STF(超伝導空洞試験施設)が完成する 2013年(?) cERL実験施設が完成する 2015年(?) 2012/7/15 DESYでX-FELのために650台程度の超伝導空洞が導入予 定(ILCのプロトタイプ的な位置づけ) 2012年ILC夏の合宿@佐賀 9 高校3年の時の物理の教科書より 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 10 世界で使われている(た)超伝導空洞 BNL X-FEL ILC Project-X ERL HEPL CERN LHC, LEP CORNELL CESR, ERL CESR LEP-II SNS LHC TRISTAN 1970 1980 1990 KEKB (Crab) KEKB STF/cERL 2000 2010 2020 2030 DESY X-FEL, TESLA, HERA, PETRA FNAL Project-X IHEP BEPC-II Jefferson Lab. CEBAF, 12GeV upgrade KEK TRISTAN, KEKB, Super KEKB, STF, cERL ORNL SNS 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 11 Other types of cavities for proton or heavy ion driver RFQ @INFN-Legnaro HWR QWR @ANL Spoke Multi-cell Spoke 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 12 Cryomodule with superconducting cavity for Accelerator 実際に加速器で運転する場合は、超伝導空洞に液体ヘリウムのた めのジャケットを付けて、それらを大きな断熱真空層に入れた状 S1-Global @STF 態 にする。 Quantum Beam @STF LHC @CERN Crab cavity @KEKB Accelerating cavity @KEKB 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 13 …っで、結局なんで超伝導空洞を使うの? Q値が高い(~1010) 熱損失が少ない 加速勾配が高い(~35MV/m) 高周波のエネルギーがほとんど利用可能 ビームを通すのが楽(70mm) ビームパイプの径を大きく出来る 小さいスペースで高加速が得られる KEKBの場合だと、超伝導と常伝導とでは 3倍程度異なる 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 14 超伝導空洞って良いことだらけなの? 大型冷凍設備 高圧ガス保安法への対応 取り扱いが大変 高価である ランニングコストがかかる 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 15 ③ RF design 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 16 最も簡単な空洞の例① 図のようなPill-box cavityを考える 加速モード:TM010 軸上に加速電場 周方向に磁場 Z方向の長さはRFの半周期 d E – e 500MHzだと30cm 1.3GHzだと約11.5cm (x, y, z) ↓ (ρ, φ, z) B R 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 17 Pill-box空洞のTMモードの解 TMmnp m: φ n: ρ p: z 2012/7/15 umn ρ pπz Ez = E0 cos( )J m ( ) cos(mφ) Jm(x): Bessel function d R umn: n-th root of Jm(x) pπR pπz ' umn ρ E ρ = E0 sin( )J m ( ) cos(mφ) dumn d R u mn ρ mp πR 2 pπz Eφ = E0 )J m ( ) sin( mφ) 2 sin( d R ρdumn H z = 0 (TM modeのため) mωmnp R 2 umn ρ pπz H ρ = iE0 cos( )Jm ( ) sin( mφ) 2 d R ηcρumn ωmnp R pπz ' umn ρ H φ = iE0 cos( )J m ( ) cos(mφ) d R ηcumn pπ 2 η = ε0 = 376 .7Ω umn 2 ωmnp = c γmn + ( ) γmn = μ0 真空のインピーダンス d R 本当はさらに時間変化の因子e-iωtがかかる 2012年ILC夏の合宿@佐賀 18 TM010の解を求めてみよう 先程の式に、m = 0, n = 1, p = 0 を代入する。 2.405 ρ iωt Ez = E0 J 0( )e R E0 2.405 ρ H φ = i J1 ( )e η R Ez iωt 位相が90°ずれているということ Hφ – e ρ/R 0.77 つまりTM010モードの場合、軸上の電場が最大で、かつ磁場は0 となり、 ビームを加速するのに適していることになる。 TM010モードのことを、加速モード、あるいはfundamental modeともいう 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 19 最も簡単な空洞の例② ビームを通してみる(Pill-boxから変形) 実際の空洞にはビームの通り道(ビームパイプ)が付いており 、また、高周波(RF)を送り込む入力結合器が取り付けられて いる。さらにビームが生み出す高調波を取り出すためのポ ートも取り付けられている。 加速によるエネルギー ビームが通過する際は、時間変化をする電場を感じながら空洞内を 通り抜けることになる。 したがって、ビームの得るエネルギーは以下の式で表される。 L/2 E eV e Ez z, t ei z / c dz e + L/ 2 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 20 最も簡単な空洞の例③ ビームが空洞内を通り抜ける際に、様々なモードを励 振していく(Wakefieldの存在)。 高調波(Higher Order Mode)の存在 代表的な高調波 TM110 (dipole) TM011 (monopole) TE111 (dipole) モノポールの代表的なHOM TM011 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 21 空洞内をビームが通過する際に何が起こるか? 敢えて視覚化すると以下の図のようになっているも のと思われる。 実際の空洞内には、RFも送り込まれており、これに ビームから生じるwake fieldが重ね合わされてかなり複 雑な状態である。 空洞内の電磁場=RF + wake 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 22 最も簡単な空洞の例④ Beam TM110 Dipole Mode (Crab mode) H E E TE111 Dipole Mode Beam H 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 23 Multi-cellへの移行 Single cellから2 cellへ移行する TM010モードは境界条件より2つに分離する(TM010-1, TM010-2) π Mode 隣り合うセル同士でRFの周期が 180°ずれている もっとも加速に適したモード π/2 Mode 隣り合うセル同士でRFの周期が 90°ずれている ということはILCの空洞の場合9セルなので… 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 24 以上は、ごく基本的な事柄です。 つまり、解析的に解ける形状、ということです。 しかし、実際の空洞はビームパイプやらRFの通るポートや高調波を取り出す ポートなどが付いてて複雑なので、もはや解析的には解けません。 したがって、現実的な空洞形状の設計にはシミュレーションを使うことに なります。 シミュレーションは色々開発されておりますが、大概は有料です。 しかも高いので、一般の人には手が出るものではないでしょう。 CERN Libraryなどとは大分違います。 シミュレーションには主に有限要素法が使われます。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 25 RF設計に用いる計算コード 2 Dimension Super Fish (昔から良く使われている) CLANS (HOM計算に特化している) 3 Dimension MW-Studio (最も汎用性の高いコード) MAFIA (MW-Studioの古いバージョン) HFSS (米国社製) GDfidL (CERNでよく使われている) OMEGA 3P (SLAC独自のコード) ※空洞が形状が一旦決まったら、さらにビームを通してみた影響も 見積もる必要があり、その際にもコードを用いて計算する。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 26 超伝導空洞のセル形状を決めるパラメータ Beam Pipe Half cell λ/4 E. Kako 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 27 Super Fishを用いた計算 f = 1300.99 MHz, W = 0.0071 J, Po = 5.80 mW Eacc = 1.0 MV/m, Esp = 1.98 MV/m, Hsp = 3314 A/m Esp / Eacc = 1.98 Hsp / Eacc = 3314 A/m / MV/m = 41.4 Oe/ MV/m R / Q = 56.7 Ω x 2. G = 271 Ω E. Kako Rs = 26.8 nW, Q0 = 1.01 x 1010 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 28 Multi-cellへの拡張 Dependence on Cell Taper & Radius of Beam Pipe E. Kako 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 29 高調波(trapped mode)の処 置 HOM-passbands/ Dipole 4,000 KEK35-TM120 KEK35-TE121 KEK35-TM111 KEK35-TE112 KEK35-TM110 KEK35-TE111 TESLA-TM120 TESLA-TE121 TESLA-TM111 TESLA-TE112 TESLA-TM110 TESLA-TE111 Frequency [MHz] 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 2012/7/15 E. Kako O-mode -mode 2012年ILC夏の合宿@佐賀 30 最も危険な高調波(TE-iris mode) 9-cell 1-cell 2580MHz, Cell shape of TESLA K. Umemori このモードはアイリス部に 捕獲されるモードで、周波数が TM011モードに近い。 TEなので、ビームを横方向に 蹴るような影響を及ぼす。 しかし、エンドセルを非対称に することで、周波数を微妙に 2 出来る。 ずらすことが Rt/Q=3.1Ω/cm courtesy of Umemori-san 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 31 3 Types of Cavities for ILC, FEL & ERL TESLA Two HOM couplers Same structure TESLA-like Stiffer structure for reduction of effect of LFD KEK-ERL (ML) Two HOM dampers with ferrite Larger beam pipe with groove 2012/7/15 Much better HOM damping than above two cavities 2012年ILC夏の合宿@佐賀 32 超伝導空洞に関係するパラメータ① 常伝導の表面抵抗 RS 電磁場のエネルギー 2 W 2 2 BCS抵抗 RBCS 2012/7/15 A exp T kB T 2 2 H dV 超伝導の表面抵抗(BCS抵抗と残留抵抗の和) RS RBCS (T ) Rresidual E dV 空洞の壁面損失 RS Po 2 2 H dS 空洞のQ値(Quality factor) 2 2012年ILC夏の合宿@佐賀 Qo W Po 33 超伝導空洞に関係するパラメータ② 空洞のQ値(Quality factor) G W Qo RS P0 Geometry factor G 加速勾配 E acc 1 LCavity L 0 H dV 2 H dS E z z, r 0 cos t z dz R/Q(Shunt impedance) 2012/7/15 2 2 E R acc L2 Cavity Q W 2012年ILC夏の合宿@佐賀 34 具体的に数値を入れてみよう!① 270Ω (シミュレーションから求まる) G Qo = = 1.8 ×1010 RS RS = RBCS (T ) + Rresidual 15nΩ (典型的な値@1.8K) 100kPa RBCS ~1kPa 4.2K 3nΩ 12nΩ A exp T kB T 2 漸近値が残留抵抗と見なせる λ point (2.17K) 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 35 具体的に数値を入れてみよう!② 2 Eacc R 2 L = Cavity = 1036 Ω Q ωW PoQo = ωW 100W 1.8 x 10 (シミュレーションから求まる) 1.038m (空洞の全長) 10 Eacc = 41.6MV/m 超伝導空洞に100W程度のパワーを投入しただけで これだけの加速勾配が得られる!!! (ビームを加速できる、とは言っていないことに注意 が、1個あれば、41.6MV/mの加速勾配が立てられる! 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 36 ④ Mechanical design 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 37 RF設計を行った空洞が実際に製作可能かどうか? 如何に優れたRF設計でも、実際に作れないと意味が無い。 さらに、製作時に2Kの液体ヘリウム環境下で運転される、 という点も考慮する必要がある。 高圧ガス法に則った設計を行う必要がある。 ① 製作時に耐圧・気密試験に合格すること ② 高圧ガス保安協会の認可を受けること ③ (運転時には)各都道府県庁の認可を受けること あまり複雑な工程にすると、コストと時間がかかる。 取り扱いも大変になる。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 38 空洞の機械振動の計算 Mechanical Vibration Modes; 972MHz 空洞の機械振動を計算するために、 ANSYSやABAQUSなどのコードを用いる。 1. Multi-cell Mode (I) f = 87 Hz d f xk f mod e d x k 2. Multi-cell Mode (II) f = 169 Hz d f dl fk Fz d l d Fz l 0 df B 2 Eacc A d l KS 4. Tuner Mode (I) f = 294 Hz 41. Single-cell Mode(II) f = 3.91 kHz Ks : Total Stiffness of Jacket & Tuner 2012/7/15 E. Kako 2012年ILC夏の合宿@佐賀 39 ⑤ Cavity testing, surface treatment, inspection 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 40 KEK Tsukuba Campus South CFF (Cavity Fabrication Facility) East STF 2012/7/15 ATF/ATF2 North 2012年ILC夏の合宿@佐賀 West 41 Outline of STF Cryogenic liquefier EP No.2 tunnel underground 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 42 Typical Process for Vertical Testing as received from a vendor Optical inspection f0 & Field flatness measurement surface treatment (bulk EP∼100μm) annealing >96% surface treatment (light EP ∼20μm, degreasing, HPR) Optical inspection pre-tuning ☠ Cryomodule test V.T. 2012/7/15 Cavity string 2012年ILC夏の合宿@佐賀 43 Cavity diagnostic system at STF 396 carbon resistors 182 PIN photo diodes 8 second sound sensors Radiation monitor Electron probe 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 44 空洞性能試験(縦測定)に向けた準備 Fit check for EP bed CP around flanges After HPR During HPR HPR system 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 45 空洞性能試験(縦測定)の様子 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 46 縦測定と運転時の違い 縦測定 縦測定の方が実験設備が小さくて楽 連続的励振 10 1.0 x 10 @35MV/m 無反射条件(数百W) 横測定(運転時) パルス的励振(1.5ms/5Hz) 0.8 x 1010 @31.5MV/m 大きな反射(数百kW) ビームが通る際は無反射になる 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 47 無反射条件での空洞内からの電磁波の消失 下の画像は空洞に送り込んでいるRFを切った瞬間の写真です。 f Q f 光は1秒間に30万km移動できますが、 上の写真によると超伝導空洞内では1秒経っても、 まだ依然としてその一部が空洞内に留まっている、 ということを意味します。 これはすごい!!! 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 48 Q0 vs. Eacc Curve 超伝導空洞の性能を評価する上で最も基本的となるグラフ 35.4MV/m Power limit 37.2MV/m Cell #1 heating 9.2MV/m power limit ILC spec.に到達するためには、35MV/mで0.8 x 1010に達している必要がある 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 49 ILC spec.に達しなかったも ところが、様々な理由により空洞性能 の は制限されてしまう こういう空洞は何故性能が出なかったのかを調べることが非常に重要!! そのためのツールとして、STFで以下の3つが開発された。 ↓ 温度/X線マッピング装置、内面検査カメラ、局所研磨装置 (STF3種の神器) 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 50 空洞性能を制限するもの Thermal Quench ある場所に defect (欠陥)が存在する場合、そこで発熱を起こ し、クエンチに到る。 Field Emission 空洞内のアイリス部に defect がある場合や dust が混入した 場合に電子放出が起こり、高放射線が発生する。時にその 電子が空洞内のどこかに当たり、そこで発熱を引き起こし 空洞をクエンチさせることもある。 Multipacting あるフィールドで表面から飛び出て来た電子が、電磁場に 捕獲されて再び元の場所へ戻っていくという、一種の共鳴 現象。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 51 MHI#15号機の例 MHI#15号機の例 π, 3π/9@23~24MV/m 62° 6π/9 @33MV/m 6~7mm Cell #2の赤道部から新しい欠陥が出現!! 5π/9, 7π/9@30~31MV/m 事前の検査では当該個所に何も見つかっていなかった。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 52 MHI#14号機の例 T-mapping π mode X-ray-mapping 13MV/m 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 53 MHI#14号機の例 T-mapping 4π/9 mode X-ray-mapping 34MV/m 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 54 MHI#14号機の例 Cell #8-9アイリス部から新しい欠陥が出現!! Field emissionにより 放出された電子は ある平面内に捕獲されるπ @13MV/m 4π/9 @34MV/m 6π/9 @30MV/m 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 55 局所研磨機を使って補修する 歯医者さんが虫歯を直すようにグラインダーで欠陥を削り取る 素手に研磨材を持って直接行う場合もある。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 56 局所研磨により性能を回復した空 洞 STFの3種の神器を駆使して性能が大いに向上!! 2008~2012年の5年間の研究の結果、 空洞内から欠陥を完全に除去出来ればILC spec.に 到達することが出来る、ということが分かった。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 57 縦測定の最新結果 41MV/m!!! 3日前に今年の夏前の最後の測定で日本最高記録を更新!!! 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 58 ⑥ Other components for cavity assembly 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 59 空洞以外の必要部品 入力結合器(カプラ) 周波数調整機構(チューナー) ヘリウムジャケット+磁気シールド 高調波結合器(HOM) Remote Control System 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 60 入力結合器(カプラ) TTF-III Coupler (DESY/FNAL) 2012/7/15 STF-II Coupler (KEK) 2012年ILC夏の合宿@佐賀 61 周波数調整機構(チューナー) Blade Tuner (FNAL/INFN) 2012/7/15 Saclay Tuner (DESY) Slide-Jack Tuner (KEK) 2012年ILC夏の合宿@佐賀 62 ⑦ Cryomodule assembly & testing 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 63 Test Results of the International S1-Global Cryomodule 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 64 International Team for “S1-Global” C. Pagani, P. Pierini, A. Bosotti, R. Paparella, INFN (Italy) K. Jensch, D. Kostin, L. Lilje, A. Matheisen, W.-D. Moeller, M. Schmoekel, P. Schilling, H. Weise, N. Walker, DESY (Germany) T. Arkan, S. Barbanotti, M. Battistoni, H. Carter, M. Champion, A. Hocker, R. Kephart, J. Kerby, D. Mitchell, Y. Pischalnikov, T.J. Peterson, M. Ross, W. Schappert, B. Smith, FNAL (USA) C. Adolphsen, C. Nantista, SLAC (USA) M. Akemoto, S. Fukuda, K. Hara, H. Hayano, N. Higashi, E. Kako, H. Katagiri, Y. Kojima, Y. Kondo, T. Matsumoto, H. Matsushita, S. Michizono, T. Miura, H. Nakai, H. Nakajima, K. Nakanishi, S. Noguchi, N. Ohuchi, T. Saeki, M. Satoh, T. Shidara, T. Shishido, T. Takenaka, A. Terashima, N. Toge, K. Tsuchiya, K. Watanabe, S. Yamaguchi, A. Yamamoto, Y. Yamamoto(Kirk), K. Yokoya, M. Yoshida, KEK (Japan) 61 persons from 5 Labs! 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 65 横測定での性能劣化 ☠☠ 2012/7/15 ☠ ☠ 2012年ILC夏の合宿@佐賀 66 ⑧ Beam operation with Superconducting cavity ここまで手が回りませんでした。 早野さんにお任せします。 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 67 さらに勉強したい人のために 参考書 RF SUPERCONDUCTIVITY FOR ACCELERATORS (H. Padamsee, et al.) Proceedings for SRF Conferences OHO seminar textbooks (1984~2011) 現場見学 STFは見学者をいつでも歓迎します!! DESYのX-FELの建設現場に行くのも良いでしょう 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 68 ご清聴ありがとうございました 2012/7/15 2012年ILC夏の合宿@佐賀 69