対人援助

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「対人援助の方法」(対人援助学)としての応
用行動分析の“応用”
「対人援助」行動の遂行という文脈で、応用
行動分析という言語行動の書式の
適否を捉える
2009年、●応用行動分析(第4回)、
●心理学研究入門(ミニ心理学史制作)
●応用人間科学研究科「行動分析学特論」の共
通資料
コンテンツ
0. なぜ応用行動分析を選ぶのか?
ひとつの文脈として「対人援助」(Human services)
1.「助ける」とは? 「学」とは?
対人援助の共有ミッション
2.そのために必要な3つの機能(援助・援護・教授)
3. なぜ行動分析の枠組みが求められるか?
応用行動分析学の特徴
・なぜ、ある行動をするのか
ここで、1)の立場を、
S-O-R(ケーラー、トールマンな
ど)を考えると
1)生物学的属性、個人の「能力」?
2)現在と過去の環境との相互作用?
S-O-Rではなく、
S-R-S(Skinner)
という「行動」に対する認識は、
選ぶものである。
2)を選ぶことを「宣言」します!
(どちらが科学的に正しいという事ではない)
3
なんでそんな宣言を?
2)(前頁)を選ぶ、という行動もオペラント行動で
ある。であれば、その行動も特定の「結果」があり、
それゆえに選ぶ行動を客観的に表記できるはず。
それを明示することは、研究者が自分の研究行
動を自らが分析する(=再帰的)ことであり、この
ことも「徹底的(ラジカル)」を表しているといえま
す。
• こうした宣言をすることは、いっ
たいどんな状況で有効なのだ
ろうか?
• 誰が、どんな相手に、どんな行
為をするときに、こんな宣言は
有効なのだろう?
対人援助(=人が人を助けると
4
いう実践行為)という文脈
いったん応用行動分析
から離れます。
対人援助(たすける)の
意味を考えます。
対人援助とは?
Human Services
「知る(測る)」「教える」「治す」ではなく
「助ける」
「助ける=援助」のキモ
「たすける」ということは、外部に基準の
あるものに個人(当事者:被援助者)を一
方的に近づけるのではなく、当事者が選
び判断する「やりたい」行動の成立に向
けて、それに対して過不足ない支援を行
うことである。
それは「おしえる」「なおす」「はかる」とい
う行為とは異なる機能を持つ
Service
御主人(当事者)が、好きな方向(自己決定)へ打
つために最適なボールをあげる。
対人援助は、独立した
「学」として成立するか?
・学=科学は、何かを人に伝えるための
言語行動が公共的であるための「書式設定」であ
る。
「学問」とは、言語行動の書式設定。言語行動は、他の行動
と同じ行動である。誰から強化される行動なのか、どんなと
きに、話者はその言語行動が強化されるか。
・対人援助を「学」とするとき、
誰が誰に何を伝えようとするのか?
(それによって書式が決まる)
・そもそも「伝える必要があるのか」という
大前提も考える必要あり
「助ける」という行為の成立には、果たし
て言葉(言語行動)は不可欠なものだろう
か? 黙々と支援ってのは?
「たすける」
• 「助ける」は普遍的か:行為の起源は?
• 「助ける」は本能的な行為か?
無条件に(そのことに強化がなく)「助ける」行動は維持できない、というのが、
動物実験や人間の実験(八木保樹2007「対人援助の心理学」最終章参照)
• 「過不足なく助ける」とは?
• そのように「助ける」のありかたや、
方法を「表現すること」はなぜ必要か?
「助ける」(直接の支援行為)だけじゃダメか?
職業的に「助ける」行為を考えた場合に、黙々と助ける、という行為はダメな
のか。どうして表現(言語行動)をしないとダメなのか。特定の書式設定
(学)のもとでの言語行動が必要か?
対人援助の3つの機能
• 「当事者がやりたい(続けたい)行動を維持さ
せたり、新しい「やりたい」行動を「できる」よう
にする。そのために、何ができるか?
これが、行動分析学的な「対人援助学」の基本となる枠組み
です。いずれも対人援助者の行う行動です。
「援助」「援護」「教授」
対人援助作業の3つの機能の連環的発展
個人の行動(反応)形成
3
治療・教授
2
Instruction
1
援助
援護
assist
advocate
行動成立のための
新たな環境設定
援助設定の定着のため
の要請
対人援助実践の3つの機能
1)「障害 impairment」があっても先送りすることなく
社会参加を可能にする人的・物理的援助システムの
設計・設定(援助的アプローチ)
2)それを環境に定着させるために周囲に要請する作業(援
護的アプローチ)、
3)援助設定を前提にして諸行動を可能にするための
教育・訓練する作業(教授的アプローチ)
新たな「対人援助」の学とよべるもの
3つの機能的アプローチの連環的「連携」が可能な実践と研
究(=言語表現化)を行う。
「助ける」は表現してナンボである
1)誰かが何か「できる」ようになるには、多くは社会へ
の要請(援護=言語行動)が必要条件である。
2)援助・援護・教授という3つの仕事は、単独では行い
きれない(連携が不可欠)
であれば、共通言語を持つ必要がある。
3)「助ける」は、本来、人が自然に行う行為ではない
かも知れない。であれば絶えずチェックしていないと
アカン。
4)本当に、当事者が望んでいることなのか?
それをどのように確認するか方法(=表現として)を
示す必要がある。
対人援助の実践には「表現」が不可欠
先の4つの表現はどうやれば?
• その表現(=言語行動)のために、行動分析
学の表現方法を用いてみよう。
・ 個人と環境との関係で表現する行動分析学
の特徴は、対人援助実践になぜ有効なのか?
「学」の特徴として
• 当事者の「個人属性の記述」ではなく、
「これ(援助設定)があれば、『できる
(=行動成立)』という条件についての
公共的な表現を追及する
・ 「当事者が「やりたい」行動の選択肢を拡大す
る(できる)」ことを実現していったプロセス(支援
と当事者の選択の過程)を表現する
・ 援護を前提とした支援関係者の「連携」に不可
欠。
「できる」は発見されるもの?
• ある条件があれば「できる」を発見する、という
支援行為に関して・・・
「ある条件」(これが対人援助の内容となる)には
個別の個人や状況で無限に近い方法がある。
・ 現状環境のままでの「できる」にはすぐに限界
(行動の成立やその選択肢拡大に)。
つまり「できる」は、創造していくことである。
創造的な
「これ」があれば「できる行動」の表現
先行事象
反応(行動)
結果事象
この3つで表現
基本枠組みは「行動分析学」(S-R-S)採用