Transcript 補講講義資料
日本と東アジア貿易専題研究 アジア研究所 小山直則 1 講義計画 ●年間講義計画 ⇒http://www.geocities.jp/naonorikoyama/ztku100a/ ztku100a.htm ⇒講義資料は上記のweb siteから各自ダウンロードし て下さい。 ●講義方法 ⇒基本的に参加者の報告とコメントで講義を進める。 ●教科書 伊藤元重(2011)『ゼミナール現代経済入門』日本経済 新聞社。 Friedman D., Hidden Order The Economics of Everyday Life, Harper Paperbacks.( デイビット・ フリードマン(1999)『日常生活を経済学する』日本経 済新聞社、第21章。) 2 講義内容 ●前半 ⇒2000年代以降の日本経済の状況を学びながら、経 済学の基礎的な用語を学ぶ。 ⇒消費者や企業という経済主体の行動と市場メカニズ ムについて学ぶ。 ●後半 ⇒前半で学んだ基礎理論を結婚の経済学や国際貿易 の理論に応用する。 ⇒東アジアの水平貿易の経済効果を自由貿易協定や 産業集積の観点から学んでいく。 3 役に立つサイト ●経済データ ⇒なるべく一次統計を用いて欲しいと思います が、便宜上二次統計が豊富なweb siteを紹 介します。 ⇒社会実情データ図録(二次統計) http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index_list .html 4 伊藤『現代経済入門』 第1章 現代経済を解剖する 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか 第4節 経済的な視点を持つ 5 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか ●経済産業省(2010) 「産業構造ビジョン2010」 http://www.meti.go.jp/co mmittee/summary/00 04660/vision2010gist. pdf ●水平貿易 例. iphoneなどの産業 米国 ⇒研究開発(ソフトフェア、 マーケティング・コンセ プト) 台湾、韓国 ⇒半導体や液晶など 中国 ⇒組み立て 6 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか ●日本の携帯市場 ⇒一部アジアの部材を用 いているが、基本的に は全て日本製。 ⇒日本独自のソフトウェア を用いている。 ⇒日本はアジアの国際分 業から取り残されてい る。 ●日本の課題 ⇒日本は世界の国際分 業の進展の中で取り残 されることがないように、 ⇒水平分業の流れを取り 入れていかなければな らない。 ⇒もう一つの課題は、表 1-1を見て欲しい。 7 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか ●日本企業の一社当たり 表1-1. の市場規模 ⇒日本の企業一社当たり の市場規模が韓国より も小さいことの意味は、 ⇒日本の国内市場には韓 国よりも相対的に多数 の企業が存在すること を意味する。 ⇒なぜこれが問題なの か? 8 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか ●日本の産業構造の変化 (1) 重厚長大型経済(60年代 以降の高度成長期) ⇒鉄鋼、造船、電力、石油化 学などの産業が成長。 ⇒さらに、道路、鉄道、港湾、 発電所などのインフラ整 備が進んだ。 ⇒この時期は日本経済は内 需主導型で成長した。 (2) 家電、精密機器など機械 産業(70年代以降) ⇒石油危機以降、資源集約的 な産業に移行した。 (3) 自動車産業(80年代以降) ⇒輸出や海外生産が拡大す る中で自動車産業が産業 の中核となった。 (4) 今後中心となる産業は何 か? 9 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか ●日本の産業構造の変化 (4) 今後中心となる産業は何 か? ⇒日本経済は自動車産業に 頼りすぎた。 ⇒そのため、生産拠点が中国 やインドなどに移転して以 降、 ⇒金融危機が日本国内で起き ていないのにも関わらず、 日本経済は先進国の中 で最も落ち込んだ。 ⇒新しい中核産業を創出し、 アジアに進出しなければ ならない。 例. インフラ輸出(水ビジネス、 発電所、高速鉄道、道路) 例. 化粧品、アパレル、食料飲 料、日用雑貨など。 10 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか ●日本の産業構造の変 化 (4) 今後中心となる産業 は何か? ⇒少子高齢化時代の国 内産業として、 ⇒医療や介護産業などが 挙げられる。 ⇒これら医療健康産業の 市場規模は、約40兆 円といわれている。 ⇒GDPの約8%の市場規 模である。 ⇒図1-8(日本の医療費の 規模) 11 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか ●日本の医療産業の特 徴 ⇒政府規制 ①免許制度(医師、薬剤 師、看護師) ②価格規制(医療の診療 報酬や薬価は政府が 決めている)。 ③病床数の規制 ⇒情報通信技術の発達 やグローバル化にい かに対応すればいい のか? 12 第3節 日本の産業はどちらに向かっているのか ●日本の企業組織や取 引慣行 ⇒日本的経営が変化して きている。 例. メインバンク 終身雇用制 年功序列賃金 下請け制度 ⇒グローバル化の中でな ぜ日本的経営が変化 してきているのです か? ⇒なぜ制度の変革は難し いのか? *制度補完性(p. 40) 13 第4節 経済学的な視点を持つ ●Question ⇒以下の政策の是非を考 えよう。 1. 規制緩和、自由化 例. 郵政民営化、貿易自 由化、介護産業への 参入 2. 規制強化 例. タクシー業界に参入 規制、金融機関の規 制、環境規制 3. 所得の再分配政策 例. 累進所得制度、子供 手当て、農家戸別所 得補償制度、失業手 当 ●経済学用語(p. 48) 14 第4節 経済学的な視点を持つ 1. 生産活動とGDP ⇒生産活動に貢献した労働者や投資家に所得が 分配される。これがGDP(所得)である。 15 第4節 経済学的な視点を持つ 2. GDPの構成 ⇒GDPは消費に用いられ、残りは貯蓄と政府へ の税と社会保険料の支払いとなる。 16 第4節 経済学的な視点を持つ 3. GDPと支出 ⇒GDPは消費、投資、政府支出、純輸出の形で 支出される。 17 第4節 経済学的な視点を持つ 4. 貯蓄の流れ ⇒国民の貯蓄は、国民の借入、政府の借入、海 外部門の借入として用いられる。 18 第4節 経済学的な視点を持つ 5. 政府の経済活動 ⇒政府は税や社会保険料を徴収し、これで公務 員の給与の支払いや公共投資(政府支出)を 行う。 19 第4節 経済学的な視点を持つ 5. 政府の経済活動 ⇒さらに、子供手当てや農家戸別所得補償など の所得移転を行う(所得の再分配政策)。 20 第4節 経済学的な視点を持つ 1. GDPの分配 GDP=雇用者所得+営業 余剰+固定資本減耗 *営業余剰=企業利潤 (配当)+資本費用(利 子) *固定資本減耗:機械や 工場価値が生産活動 によって磨り減った分 を人工的に計算したも の。 2. GDPの支出 GDP=消費+投資+政府 支出+輸出ー輸入 3. GDPの構成 GDP=消費+貯蓄+税収 +社会保険料 21 第4節 経済学的な視点を持つ ●子供手当てでGDPが増えないのはなぜ? ⇒GDPは生産活動や支出活動によって拡大する。 所得移転だけでは拡大しない。移転された所 得が消費されて始めてGDPが増える。 22