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第14章金融(補足Ⅱ)
金融政策の理論
平成16年11月2日
開発経済学
第18回
項目
topic

金融政策
ケインズ経済学
新古典派経済学
合理的期待形成学派(マネタリズム)
実証分析
項目
topic
金融市場
均衡理論
LM
財・サービス市場
均衡理論
IS
IS・LM理論
利子率との関係
(短期)
AD・AS理論
物価水準との関係
長期
国民所得の決定
ポイント
ポイント
労働市場
均衡理論
学派による見解の相違
学派
著名な人物
ケインズ経済
学
J.M.Keynes
Mankiw
金融政策の効 短期:有効
果
長期:有効
主な特徴
新古典派経済
学
Samuelson
J.R.Hicks
合理的期待学
派
R.E.Lucas
R.J.Barro
短期:有効
長期:無効
短期:無効
長期:有効
価格は硬直的、価格は伸縮的、人々は合理的
需給バランス 需給バランス に行動し市場
は不完全
は完全
は均衡する。
Keynesian Model
歴史
1929年 世界大恐慌が勃発
その後、失業者が増大した。
この失業者の増大ついて完全雇用の成立を前提としていた当時の経済学
(アダムスミスを始めとする古典派)では論理的解説ができなかった。
古典派の限界
1935年 古典派の常識を打ち破る理論をケインズ(John
Maynard Keynes)が「一般理論(略)」として公表。
ケインズ経済学の誕生
Keynesian Model
「雇用・利子および貨幣の一般理論」
原題
「The General Theory of Employment Interest and Money」
ケインズの主張
1.国民所得は、財市場と、金融市場によって決定される。(古典派の二分
法の否定)
2.価格は需給によって決定されるが、価格自体下方で硬直的となっている。
3.2から、市場は常に機能しているとは限らない。(完全雇用の否定)
4.3から政府による介入が必要と主張。
5.元来ある経済学を「古典派」と名付け、第1公準、第2公準の2つを取り上
げ、第2公準を否定。
6.ケインズは古典派を否定はしているものの、いったん国民所得が均衡し、
市場の機能が回復すれば、古典派理論も正当化されることを認めていた。
Keynesian Model
IS・LM理論(Hicks)
いかにして国民所得は決定されるかをケインズ理論を
もとに、Hicksが解かりやすくまとめたIS・LM理論、す
なわち金利との関係を用いて解説する。ここでは、
物価は一定、海外との経済関係が無い閉鎖経済を
想定する。
理解のステップ




1.IS理論:財・サービス市場の均衡(需給関係)を明らかにする。
2.LM理論:金融市場の均衡(需給関係)を明らかにする。
3.財・サービス市場と金融市場の均衡を明らかにする。
4.金融政策の効果について言及する。
Keynesian Model
IS理論(財・サービス市場の均衡)
財・サービス市場
国民総供給(国民所得)(Y)=国民総需要
国民総需要=消費(C)+投資(I)+政府支(G)
Y=C+I+G (需要と供給が一致する均衡式)
消費関数 C=c+aY
消費(C)=所得に無関係な消費(c)+所得に応
じて変化する消費(aY) ←aを限界消費性向と一
般的に呼び0<a<1とする。
投資関数 I=i-bY
投資(I)=所得に無関係な消費(I)+投資に応じ
て変化する消費(bi) ←bを限界投資性向と一般
的に呼び0<b<1とする。
数式
Y=C+I+G
 C  c  aY

 I  i  bY
G  G

代入
Y=c+aY+i-bi+g
Y 
i
政府支出(G)は一定とする(g)
G=G
1
1 a
1
b
  bi
 c  I  G
 a  1 Y
a  1  0
 c  I  G
Keynesian Model
IS理論(財・サービス市場の均衡)
利子率
i
1
b
 a  1 Y
 c  I  G
国民所得
Keynesian Model
LM理論(金融市場の均衡)
L
金融市場
貨幣供給(M/P)=貨幣需要(L)
P=1とする。
貨幣需要(L)
=予備的動機( L )
予期せぬものへの備え
+取引動機(dY)
財・サービスを交換するためにひつ
ようなもの
+投機的動機(-fi)
債権投資の機会の準備
流動性選好説
貨幣を資産の1つとみなし、貨幣の
流動性の高さに着目している。
数式
M
 L

 p

 L  L  dY  fi
M
 L  dY  fi
p

1M
Y  
 L  fi 
d  p

i
1 
M 
 dY  L 

f 
p 
Keynesian Model
LM理論(金融市場の均衡)
利子率
i
1
f
dY
LM

国民所得
Keynesian Model
IS・LM理論(財・サービス・金融市場の均衡)
利子率
IS 曲線
i
1
b
a  1Y
 c  I  G
LM 曲線
i
1
f
dY  L  M 
国民所得
Keynesian Model
IS・LM理論上の金融政策

金融政策とは、民間の市場に存在する貨幣を増やすことで
ある。つまり、貨幣供給量(M)を増やすと言い換えられる。
i
1
f




dY
 L  ⊿M

M  L  dY  fi
金利と国民所得の関係から、切片が低下する。
需給の均衡バランスによれば、貨幣需要もMが増大した分
だけ増えなくてはならない。
金利が一定なら国民所得が⊿M/d上昇する。
国民所得が一定なら金利が⊿M/f下落する。
Keynesian Model
IS・LM理論上の金融政策
利子率
LM
i
1
f
dY  L  M 
縦軸から見て
右へシフト
⊿M
LM
f
i
1
f
⊿M
d
dY  L  ⊿ M 
国民所得
Keynesian Model
IS・LM理論上の金融政策
利子率
LM
i
1
f
dY  L  M 
国民所得は増加し、利子率は低下する
LM
i
1
f
dY  L  ⊿ M 
国民所得
Keynesian Model
金融政策のシナリオ






1.金融政策によって、貨幣供給量を増大させる。
2.貨幣の需給バランスが変化し、利子率が低下する(すば
やく反応:利子率の貨幣供給弾力性が高い)
3.利子率が低下すると投資が増大する。
4.投資が増大すると国民所得は増加する。
5.2.3.4は貨幣の需要バランスが均衡するまで行われる。
6.貨幣の需給バランスが均衡したとき、利子率は減少し、
国民所得は増大している。(利子率と国民所得は同時に変
化している。)
Keynesian Model
AD,AS曲線
IS・LM理論では、財・サービス市場と金融市場を考
慮にいれていた。ここではさらに、労働市場を加え、
国民所得の決定について物価との関係を用いて考
察していく。
AD(All Demand(総需要))=財・サービス、金融市
場から

AS(All Supply(総供給))=労働市場から
Keynesian Model
IS・LM理論上の物価下落のケース
利子率
LM
i
1
f
dY  L  M 
物価が下落すると、国民所得は上昇する
LM
1 
M 
i
 dY  L 

f 
⊿P 
国民所得
Keynesian Model
AD曲線
物価
P 
bM

db 
b 
Y  c  I  G 
 f   a  1 
L
f 
f 

国民所得
Keynesian Model
物価変動のシナリオ






1.物価変動によって、貨幣供給量が変化させる。
2.貨幣の需給バランスが変化し、利子率が変化する(すば
やく反応:利子率の貨幣供給弾力性が高い)
3.利子率が変化すると投資が変化する。
4.投資が変化すると国民所得は変化する。
5.2.3.4は貨幣の需要バランスが均衡するまで行われる。
6.貨幣の需給バランスが均衡したとき、利子率、国民所得
は変化している。(利子率と国民所得は同時に変化してい
る。)
Keynesian Model
AD曲線
ここで、金融政策は、AD曲線にどのような影響を与
えるか。
 Mをあげるということは、金融市場の需給の均衡バ
ランスによって、需要をあげなければならない。
 国民所得が一定なら、物価が下がる。
 他方、物価が一定なら、国民所得が上がる。
 よって、AD曲線は縦軸から見て右にシフトする。

Keynesian Model
AS曲線:労働市場
労働需要は、古典派の第1公準を受け入れる。
労働供給は、古典派の第2公準を否定する。
なぜならば労働賃金が下方硬直的、つまり下がりにくくなっているからである。
理由1.労働組合の存在
New Keynesianの主張
理由2.労働者の意欲を企業が考慮している(最低賃金の保証)。(効率賃金モデル)
理由3.熟練労働者をヘッドハンティングされない(させない)ため。(インサイダーア
ウトサイダーモデル)
理由4.暗黙の契約
労働需要
労働供給
実質賃金
労働量
失業者
Keynesian Model
AS曲線:労働市場:貨幣錯覚
物価をP、名目賃金をWとする。
 物価Pが上がる
 実質賃金W/Pが減少する。
 企業は、今までより、安い賃金で雇えるので、需要
を増やす。(需要曲線の右へのシフト)
 労働者は、名目賃金に注目するため、賃金が下
がったことに気がつかない。(供給曲線の維持)
 結果、雇用が増える。

Keynesian Model
AS曲線:労働市場
実質賃金






物価をP、名目賃金をWとする。
物価Pが上がる
実質賃金W/Pが減少する。
企業は、今までより、安い賃金で雇えるので、需要を増やす。(需要曲線の右
へのシフト)
労働者は、名目賃金に注目するため、賃金が下がったことに気がつかない。
(供給曲線の維持)
結果、雇用量が増える。
物価が上がると、雇用量が上がる
雇用量
Keynesian Model
AS曲線:労働市場:生産関数
国民所得を労働力と、設備投資によってきまるものとする。
Y(N,K)
 Kを一定とすれば、Nが増加すれば、Yも増加することがわか
る

Y
物価が上がると、雇用量が上がる
雇用量が上がると国民所得が上がる。
物価が上がると、国民所得が上がる
N
Keynesian Model
AD・AS曲線
物価
金融政策は、物価を上昇させ、
国民所得を増大させる効果がある。
国民所得
Keynesian Model
まとめ
金融政策は、国民所得を増大させるのに効果がある。
また
IS・LM理論では利子率を上昇させる。
AD・AS理論では物価を上昇させる。
New Classical
歴史
新古典派経済学派は、19世紀後期から20世紀始め
にかけて、自由主義的な古典派に、市場均衡の新
しい理論的分析を結びつけて成立した。
新古典派総合
政策によって、ひとたび均衡国民所得に到達すれば、
需給調整機能を前提にした新古典派の経済理論の
妥当性が得られるとするもの。
New Classical
IS・LM理論 金融政策の効果
利子率
LM
IS
国民所得は増加し、利子率は低下する
(ケインズ理論と同じ効果)
貨幣は利子率に依存しない
国民所得
New Classical
AD・AS理論

物価版フィリップス曲線について
長期フィリップス曲線
物価上昇率
自然失業率
0
失業率
AS曲線は、長期的には物価に依存しない。
労働者は長期的には
実質賃金を考慮に入れている
短期フィリップス曲線
New Classical
AS曲線:労働市場
実質賃金
長期的には金融政策は、
物価を上昇させるだけで、効果がない。
雇用量
New Classical
まとめ
金融政策は、
 短期であるIS・LM理論では利子率を下げ、国民所
得を増大させた。
 AD・AS曲線では、短期には物価を下げ、国民所得
に影響を与えるが、長期では物価を下げ、国民所得
に影響を与えなかった。


短期では効果があり、長期では、効果がない。
Monetarism Mark2
(まとめ)IS・LM理論、AD・AS理論
貨幣は、新古典派同様、利子率に依存しない。
したがって、LM曲線は垂直
労働者は短期においても実質賃金を考慮している。
AS曲線は常に、垂直
よって、
短期・長期で、金融政策は効果が無い。
古典派の第1公準
実質賃金は、企業の利潤最大化の過程から、労働の限界生産力(労働者一
人を雇用した場合に増える生産力)に等しくなる。すなわち、現実の経済が、
労働の需要曲線上にあることを認めた。
実質賃金<限界生産力 →労働者を増やす
実質賃金>限界生産力 →労働者を減らす
一人当たり生産力
実質賃金 x
労働者
N人
古典派の第2公準
労働供給は実質賃金が労働の限界不効用に等しいところで決定される、労
働と余暇の関係。
労働時間=1日の時間ー余暇の時間
余暇の価格=実質賃金 (機会費用)
余暇の需要曲線
労働の供給曲線
余暇の価格
余暇の時間
労働時間
古典派の二分法
物価水準は流通に現れる貨幣量によって決定される
という貨幣数量説をとり、商品は生産費という実質
要因で決定される交換比率で取引され、貨幣の増
減は物価水準だけに影響を及ぼし、国民所得には
影響を与えない。実質的側面と貨幣的側面は独立
している。
投資関数 I=i-bY




投資プロジェクトをすることで得られる利益の収益率が、投資をするために必要な資金
を借りる利子率、もしくは債権投資をすることで得られる利子率より高ければ、投資は
決定する。(つまり投資の期待収益率と利子率が等しいところで投資の量は決定す
る。)ただしプロジェクトは期待収益率の高いものは全体として少ないと仮定する。
期待収益率<利子率 →損をするので実行しない(債権に投資する)
期待収益率>利子率 →利益が出るので投資実行する
利子率は投資に関して負の関係をもつ。(微分した場合負の値になる)
期待収益率
利子率
投資
貨幣需要関数
L  L  dY  fi
投機する場合、金利が上がれば他の資産に変更し利益が出る。
よって他の資産への需要量は増える。これは貨幣需要が減ることを意味している。
債権の場合、将来の金利が上昇すると損をする。(割引率の上昇、クーポンが固
定の場合の価格の下落)よって、現在の金利が高ければ、将来の金利は相
対的に上がらないとの期待から、債権への需要が増加し、貨幣への需要は
減少する。
貨幣需要
金利
Keynesian Model
IS・LM理論上の金融政策
金融政策とは、民間の市場に存
在する貨幣を増やすことである。
つまり、貨幣供給量(M)を増や
すと言い換えられる。
 政策運営
1.日銀が、公開市場操作、準備率
操作、公定歩合操作などで、マ
ネタリーベース(ベースマネー)を
動かす。
2.ベースマネーを増加させれば、
貨幣供給量(マネーサプライ)は
増加する。

H(ベースマネー)
m(信用乗数)
M(マネーサプライ)
M=mH
Cn(非金融部門保有現金)
Cb(金融機関保有現金)
Rb(預金準備)
D(預金)
m 
M
H


Cn  D
Cn  Cb  Rb
Cn D  1
Cn D  Cb D  Rb D