Chapter 6: A Survey Of GPTs in Western History

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Transcript Chapter 6: A Survey Of GPTs in Western History

インターネットと人間社会
の相互作用
後藤 滋樹
早稲田大学 理工学術院
1 情報通信とグローバル経済
• 水野和夫「人々はなぜグローバル経済の本質
を見誤るのか」日本経済新聞出版社, 2007.
1517 マルティン・ルター 95カ条の意見書
1498 ヴァスコ・ダ・ガマの喜望峰経由のインド
航路の発見
中世を終わらせ、近世・近代の幕を開けた
• IT革命は、これに匹敵する
2
汎用技術としてのインターネット
• 著書 “Economic Transformations”
副題 General Purpose Technologies and
Long-Term Economic Growth
• 著者 Richard G. Lipsey,
Kenneth I. Carlaw, and Clifford T. Bekar
http://www.sfu.ca/~rlipsey/res.html
• 本書では人類の歴史の中で24の汎用技術を掲
げている。コンピュータが20番目、インターネッ
トは22番目に位置する
3
24 Technologies (8/24)
Chapter 5: A Survey of GPTs in Western History:
Part I
10,000 BC to 1450 AD
1.植物の栽培
9000—8000 BC
Process
2.動物の家畜化 8500—7500 BC
Process
3.鉱石の精錬
Process
8000—7000 BC
4.車輪
4000—3000 BC
Product
5.筆記
3400—3200 BC
Process
4.青銅
2800 BC
Product
7.鉄
1200 BC
Product
8.水車
中世初期
中世とは西ローマ帝国の滅亡(476)からルネサンスまで
Product
4
24 Technologies (16/24)
Chapter 6: A Survey Of GPTs in Western History:
Part II 1450 to 2000
9.3本マストの帆船
10.印刷
15th 世紀
16th 世紀
Product
Process
11.蒸気機関 18th 世紀末~19th 世紀初頭 Product
12.工場
18th 世紀末~19th 世紀初頭 Oganizational
13.鉄道
19th 世紀中頃
Product
14.鋼製汽船
19th 世紀中頃
Product
15.内燃機関
19th 世紀終り頃
Product
19th 世紀末頃
Product
16.電気
5
24 Technologies (24/24)
Chapter 6: A Survey Of GPTs in Western History:
Part II 1450 to 2010
17.自動車
20世紀
Product
18.飛行機
20世紀
Product
19.大量生産
20世紀
Organizational
20.コンピュータ
20世紀
Product
21.Lean production
20世紀
Organizational
22.インターネット
20世紀
Product
23.バイオテクノロジー 20世紀
Process
24.ナノテクノロジー 21世紀(予想) Process
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汎用技術が社会を変革する
• 労働力の分布、人々の居住地
• 工場の物理的な形態、労働の慣習
• 工場の経営や財務の仕組
• 製造業の地理的な配置
• 産業の集中の度合
• インフラストラクチャの整備
• 私企業の金融分野の活動と方法
• 教育の制度や内容
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水車を動力として実現できた
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
ビールの製造 (987);
麻の加工 (1040);
織物の縮絨 (1086);
皮なめし (1138);
材木の加工 (1204);
製紙 (1238);
カラシの製造 (1251);
針金の製造 (1351);
顔料の製造(粉末) (1348);
金属の切断加工 (1443);
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グーグル的「あちら側」と「こちら側」
Amazon.co.jp 商品の説明
「あちら側」では、Googleなどの圧倒的な資金力と知
の集積により、高品質なサービスが無料で提供される
ようになった。一方の「こちら側」は、依然と して高いコ
ストを投じて、閉じたシステムを開発し続けている。著
者は今後10年間で、システムや情報をこちら側に持つ
時代から、あちら側のサービス、情報 を利用する時代
へシフトすると予想する。
9
Googleのページランク
• 基本的な仕組は数学的
グラフの行列による表現
W
隣接行列(推移行列、遷移行列)
固有値と固有ベクトル
S
C
G
S学部
W大学
C学科
G研究室
1
a ij  
0
W
0

0
0

1

S
1
0
0
1
C G
0 0

1 0
0 1

1 0 
頂点 i から頂点
j に辺がある
頂点 i から頂点
j に辺がない
行列の上と左のW, S, C, Gは注釈
であり行列に含まれない
WEBページのリンクの関係
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新しい人間が誕生したのか
2008年
2月9日号
 
2007
35 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
brave new world, 2008/2/7
By recluse - レビューをすべて見る
今週号のダイヤモンドですが、今週の特集を読んで、ぶっ飛んでしまいました。ぜひ一読を
進めます。おそらく今週の特集は時代に残ります。というよりも、この特集が時代の刻印とし
て永遠にその生命を残すのかもしれません。もちろん見る人によってその意味は違うでしょ
う。21世紀初頭の愚行やdepth of shallownessの証明として。週刊誌ジャーナリズムの堕
落もしくは、21世紀の日本が生み出した「新しい人間」の描写としてかも知れません。今回
の特集となった人物の嫌味のない素直なナイーブさと価値観のためらいのなさも印象的で
す。僕にはわかりません。でもそれくらい衝撃的な中身でした。時代は 変わってしまったこ
とをこれほど切実に伝えてくれる特集はこれまでありませんでした。そう「新しい人間」が誕
生しているのです。みなさんもぜひ一読してみてください。
http://www.amazon.co.jp/%E9%80%B1%E5%88%8A-%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89-2008%E5%B9%B4-9%E5%8F%B7%E9%9B%91%E8%AA%8C/dp/B0012Z6ZSI
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なぜITは社会を変えないのか
The Social Life of Information
2000
2002
1. 私たちは「極度にデザインされた」世界に住んでおり、各種のデザインが生み出した強みと弱み
から限界を学ぶことが大変重要である
2. いわゆるITは現実の事象を極度に単純化してデジタルに押し込めるので、よほどデザイナーが
優秀でないと、現実とはかけ離れたものになる
3. ビジネスの進歩はプラクティス(実践)から生まれるため、一度固定されたトンネル・デザインにな
ると、その進歩が止まりがちになる
4. 学習と組織はよくデザインされたものが必要であり、学習機能こそが知的資本蓄積の根元にある。
これはデジタルや情報エージェントでは補助はできても、代替できない
5. 紙は情報をコンパクトにデザインしてまとめたものであり、電子ではHTMLのようにユーザーへの
コミュニケーション手法を考えたものであれば訴求するが、単なる文字の固まりでは紙に劣る
By 勝間和代: http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/point_of_view/2004/11/it_the_social_l.html 12
すでに起こった未来
1994
2000
The Ecological Vision:
Reflections on the American Condition
あなたが重要と考えている「情報」「インフォメーション・テクノロジー(IT)」について
まず触れましょう。これらは重大な変化というわけではありませ ん。質問の中では
目立ちませんでしたが、もっとも重要なのは、「労働力構造の変化」と「人口」です。
これら二つは、日本にとって特に重要です。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/a/biz/shinzui/shinzui1122/shinzui_06_02.shtml
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頭も体のうち
• 頭脳はタンパク質であり、学習は化学変化
に他ならない
• 人間の頭脳を「今晩リセット」したり、内容を
「15分でダウンロード」することはできない
• 情報通信の技術は進歩しているが、それを
使うのは人間である
• 情報通信技術は世の中の一部を変革した
が、人間を変革したとはいえない
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インターネットに押し寄せる
社会変革の波
• インターネットに代表される情報通信技術(ICT)
がグローバリゼーションをもたらした
• グローバリゼーションが世界の経済構造を変え、
政治・経済・社会のすべてを変える
• この変化が情報通信に戻ってくる(来ている)
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2
グローバル経済、社会の変化
• 2007年度上半期ビジネス書 第2位
• 水野和夫 著
三菱UFJ証券参与・チーフエコノミスト
• 「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」
• 日本経済新聞社, 2007年3月.
• 同主旨の水野氏の講演(南山大学)
http://www.sc.mufg.jp/inv_info/ii_report/m_report/pdf/mr20070713.pdf
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グローバリゼーションによる
大きな構造変化(3)
1. 帝国の台頭、国民国家の退場=帝国化
2. 金融経済の実物経済に対する圧倒的な優位
=金融化
3. 均質性の消滅、拡大する格差=二極化
IT(情報技術)革命と、それを駆使するグローバリゼーション
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1.帝国化
• 資本が容易に国境を越える
• 16世紀には資本が主権国家と結婚した
21世紀には資本は帝国をパートナーとする
• 経済的な国境が低くなり、国境内に権力を及
ぼす国民国家の力が衰退する
• 米国は金融帝国
旧帝国の台頭:中国、インド、ロシア
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2.金融化
• 先進国において「資本の反革命」により賃金
が抑制される、ないし低下する
=中流階級の没落
• その結果、先進国ではディスインフレないしデ
フレが定着する
• 金融政策が緩和基調となるから、実物経済に
比べてマネーが膨張する
• 資産価格が上昇しやすい
• 先進国経済は資産価格依存症候群に陥る
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3.二極化
• 近代において国民は均質であった
国家単位の均質性は消滅する
 一億総中流意識の崩壊
• 格差は構造的問題であり、景気回復によって
解決するものではない
• 成長を目指す政策は人々の将来への不安を
高める。刹那主義が蔓延して少子化が進む
• インフレ=成長を基本とする政策はBRICsで
は妥当。先進国では弊害がある
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英語圏と非英語圏の差
• 水野氏
非英語圏が成熟してポストモダンに移行
英語圏では近代化が続いている
• 中世の帝国から国民国家へ
ラテン語の権威が失墜して母国語へ
• インターネット革命の下で
英語が世界の共通言語に
英語圏の国ではサービスを中心に特需
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諸問題が日本で顕著に現れる
• 柄谷行人 (からたに こうじん), 2002.
日本の事例を考察すれば、西洋で起こったこ
との本質がより鮮明に示される
• 近代化を欧米よりも短い期間で達成した日本
では、矛盾が大きな形で顕在化する
• 現在の日本の諸課題は
10年後の欧米の姿
BRICsの数十年後の状況
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3 日本の不得意なモジュール化
A社のパソコン
B社のパソコン
部品
パソコンはモジュール化されている
青木昌彦(著)谷口・滝沢訳「比較制度分析に向けて」(MIT Press), NTT出版, 2003年9月.
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モジュール化されている例
• 自転車はモジュール化されている
自動車はモジュール化されていない
→インテグレート
• ただし将来の自動車はモジュール化の方向
電気自動車はパソコンに近づく
• オートバイは無理矢理モジュール化されている
藤本隆宏「ものづくり経営学」光文社新書293, 2007年3月.
24
インターネットはモジュール化の
典型例
マルチベンダ
オープン
⇔ メインフレーム時代のコンピュータ・ネットワークは摺り合わせ型
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モジュール化を歓迎すべきか
• 参入障壁が低い
標準化が重要
中小企業に機会がある
大企業が有利になる訳ではない
(他力本願)
• 激しい競争社会になる
ニッチ (隙間)での戦い
モジュール化は避けられない
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モジュール化を勝ち抜くために
• 低価格路線 vs.
他には出来ないことを実現する
• 研究開発が不可欠
後発でキャッチアップするのは儲からない
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研究開発とリスク管理
• 研究開発は成功率が低い
95%は瞬時に失敗
• リスク管理は社会の知恵
一人の社会では保険という制度が無意味
• チャレンジする人を応援する仕組み
これは一種の分業である
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シリコンバレー モデル
• 日本では、うまく作用しない
米国でも、ほとんどの地域では失敗
• ベンチャーキャピタリストと起業家が
相互に助け合う
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シリコンバレーでの逸話
• 筆者のNTT研究所時代の部下(米国人)の
2人が、たまたま同じ会社(start-up)で働く
• その会社の応援演説を頼まれた
私は製品の詳細を知らないが、能力のある
技術者が2人いるのは事実と述べた
• これは教科書に載っている応援の方法
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Silicon Valley Model
by Prof Masahiko Aoki
• It did not work in Japan.
Follow-up trials mostly failed even in the US.
• A venture capitalist and an entrepreneur do
help each other.
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日本モデル
• メインバンク
• 市場型ファイナンス
• 護送船団
• 契約型官僚
上は古い米国モデル
新しい21世紀モデル?
諸問題がICTで顕著に現れる
これを解決して強いICTになれるか
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個人としての人間は
とても弱い
• 走れば犬に負ける
• 力では馬に負ける
岩波講座インターネット第2巻「学習の手引き」 p.xvi
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人間社会の一体感
哲学者パスカル
Blaise Pascal (1623—1662)
『パンセと小品集』
真空論序言
「一人一人の人間が日々に学問に進歩する
のみでなく,全体としての人類が,宇宙が
老いていくにつれてたえず前進するので
ある.」
http://www-groups.dcs.st-and.ac.uk/~history/PictDisplay/Pascal.html
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インターネットによる
人類の一体感
• [例] 身近になったアジアの友人たち
メールに返事のない国内よりも
即答のシンガポールが頼りになる
→ 返事がくると思えば依存する
• パスカル的な一体感は,多くのSFの
モチーフになっている
[例] アーサー・C・クラーク
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21世紀は期待外れ
• アーサー・クラーク「2001年宇宙の旅」
• スタンリー・キューブリック監督
映画としても有名
1968年公開
楽しむ
社会全体の中での役割を認識
• 分業、分担、を「ズルい」と言わない
• 良い結果も、悪い結果も公開する
• 情報を共有(share)して社会全体の
価値を高める
• チャンスもリスクも取れる人が取る
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