ホーンの開発について

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Transcript ホーンの開発について

ホーンの開発について
J-PARC ν Horn Group
Topic
• 強度関係
• 冷却関係
• 電気関係
• メンテナンス関係(支持モジュールについてのみ)
強度関連
強度解析
• アルミ合金A6061-T6
– 引張強さ282MPa
– 疲れ強さ129MPa(1e7回繰り返し後)
– 腐食による強度低下x0.43(Larryからのデータを参照)
– 許容応力を25MPaに設定。
• 強度解析
– ローレンツ力によるストレス
• 第1ホーン: 静解析、動解析
• 第2ホーン: 静解析のみ
• 第3ホーン: 静解析、動解析
– ビーム熱衝撃によるストレス
• 第1ホーン: 動解析(しかし、古いバージョン)
• 第2ホーン: 静解析のみ
• 第3ホーン: 静解析、動解析
ローレンツ力によるストレス:第1ホーン
• 圧力は(I/r)2に比例。⇒p [MPa]=1690/r[mm]2 @320kA
• 第1ホーン内部導体で2.5MPa。
ビーム
直線部で最大19.2MPa
~13MPa
~10MPa
ビームによるストレス(第1ホーン)
④
90
⑤
⑦
⑥
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
②
70
①
60
50
40
N2702
30
20
10
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40
時間(s)
図
Temperature fixed to 25℃
Heat convection
a=1100W/m2K
R
Z
⑬
③
80
温度(℃)
• 旧モデルでの評価では、熱伝達係数が
低かったため、温度が80℃まで上昇した。
実際は8kW/m2/K。
– 温度上昇が1/7程度になる。
– 熱応力も1/7になるので、許容応力以
内に収まる。
温度解析結果/内部導体最高温度部の温度履歴
45
50
ローレンツ力によるストレス(第2ホーン)
•
•
•
最新のモデルで再度行った。
最大30MPa
今からのデザイン変更は出来ないので、このままで行く。
20MPa
30MPa
30MPa
Max
ビームによるストレス(第2ホーン)
• 最大25MPa
25MPa
Max
10MPa
ローレンツ力+ビームによるストレス(第3ホーン)
•
最大18.5MPa
6.6MPa
18.5MPa
2.3MPa
Max
変位測定
•
•
•
レーザー変位計を用いて振動による導体の変位を測定した。
内部導体
– 上流部: 最大20mm ⇔ ANSYS静解析20~25mm
– 下流部: 最大10mm ⇔ ANSYS静解析~30mm
– 下流部がANSYSと合っていない。床自身も動いているためか?今のところ理由
が分からない。
– 固有振動数
• 320kA運転ではピークが見えない。250kAでは200Hzのところにあったが。
• 本番では、パルス電流は1ms幅⇒500Hz
測定は第1ホーンのみ行った。第3ホーンはまだ行っていない(富士のテスト後か?)。
Displacement at Upstream Inner Conductor
60.0
Displacement at Downstream Inner Conductor
20.0
上流部
15.0
Displacement ( μm )
Displacement ( μm )
下流部
17.5
50.0
40.0
Round Part
Flange Part
12.5
10mm
10.0
30.0
20mm
20.0
10.0
5.0
2.5
0.0
Round Part
0.0
7.5
Flange Part
-2.5
-5.0
-10.0
0
20
40
60
Time ( ms )
80
100
0
20
40
60
Time ( ms )
80
100
強度解析まとめ
• 金属疲労と腐食による強度低下を考慮して、許容応力を25MPaとした。
• ローレンツ力およびビーム熱によるストレスの評価をFEM解析にて行っ
た。
– 許容応力内に収まるようにデザインを行った。
– 第2ホーンで再解析した所30MPaとなってしまったが、現状で行くし
かない。
– 本当に深刻に捉えるなら、電流を300kAくらいまで低くして運転をす
ることも考慮に入れるべき。ニュートリノフラックスの減少は3%程度で
済むが、ローレンツ力による圧力は12%も軽減できる。
Nu-mu flux at Super-K vs. All Horns Current Drop
1.20E+07
1.19E+07
nu-mu/cm^2/10^21 POT
1.18E+07
300kA
1.17E+07
1.16E+07
-3%
1.15E+07
1.14E+07
1.13E+07
1.12E+07
1.11E+07
1.10E+07
1.09E+07
Default Current Current Current Current Current Current Current Current Current Current
-1%
-2%
-3%
-4%
-5%
-6%
-7%
-8%
-9%
-10%
冷却関連
ホーンに落ちる熱量
•
•
•
条件
– 30GeV, rep rate = 2.1s
Radiation (kW)
Joule heating Total
入熱
(kW)
(kW)
Inner
Outer
– ビームによる熱衝撃
Horn1
6.8
4.5
2.5
13.8
– ジュール熱
Horn2
1.9
3.5
2.7
8.1
• Horn1 : 1ms
Horn3
0.5
1.1
1.8
3.4
• Horn2&3 : 3ms
導体温度
– 高温での強度低下: ΔT=170℃で半分に。⇒安全率2として、ΔT=85℃以下にした
い。
冷却方法
• シャワーノズルにより内部導体を冷却する。
– ノズルと外部導体を絶縁。
– 曲がった配管により、振動を吸収する。
• 外部導体は冷却せず。
• ホーンを支持するフレームも冷却が必要。
第1ホーン冷却試験
パルス幅2.2ms ⇒ジュール熱による発熱~6kW
内部導体の温度を測定
ΔT=3.3℃ ⇒8kW/m2/K@60l/min
ビーム運転時9.3kW ⇒ ΔT=5.1℃
Heat Transfer Coefficient ( kW/m2/K )
•
•
•
•
10.0
9.0
8kW/m2/K
8.0
7.0
6.0
3 l/min nozzle
5 l/min nozzle
5.0
Fit (5 l/min nozzle)
4.0
Fit (3 l/min nozzle)
3.0
2.0
1.0
0.0
20
40
60
Water Flow Rate ( l /min )
80
100
第1ホーン外部導体
熱伝導
• 外部導体発熱量4.6kW
• 積極的には冷却しない。
– 下部のみ冷却水が流れる。⇒上下で温度勾配が生じる。
– 温度差による外部導体のゆがみ量を評価した。
• 冷却試験
– ビームによる発熱相当を外部導体に入熱⇒温度差6.4℃
• ANSYSによる評価
– 最大ゆがみ量337mm
– ビーム方向が大部分
– ビームに垂直方向は125mmでゆがみは無視できる。
横方向変位
Max: 49mm
高さ方向変位
Max: 125mm
落ちた水が下部を流れる
⇒強制冷却される
ビーム方向変位
Max: 310mm
第3ホーン冷却試験
•
•
•
•
•
3.2msパルス運転でのジュール熱:~2kW
中心部(Z=±100mm)と端部(Z=±750)の温度を測定
熱伝達係数
– 中心: 1.3kW/m2/K(40l/min), 2.2kW/m2/K(50l/min)
– 端:
0.1kW/m2/K(40l/min), 0.18kW/m2/K(50l/min)
ビーム運転時温度
– 中心: ΔT=3.9℃(40l/min), ΔT=2.4℃(50l/min)
– 端:
ΔT=14.7℃(40l/min), ΔT=7.8℃(50l/min)
40l/minだと端での温度が高すぎるため、50l/minとした。
2500
Z=100
Z=750
Z=0
100
750
フレーム冷却試験
•
•
•
•
外部導体と同程度の発熱があるとすると、冷却が必要。
– 第3ホーンでも冷却なしだと30℃の温度上昇がある。
方法
– アルミフレームの内側四隅にSUS配管を押し付けて冷却する。
– SUSとアルミの熱伝導が悪いので、間に熱伝達材を挟む。
– 候補は、グラファイトシートおよび純アルミ。
冷却試験
– グラファイトが最も熱伝達係数が良く、1.65kW/m2/K。
– 固定間隔によらない。⇒密着性が良い。
グラファイトを採用。
10cm
5cm
挿入なし
10cm
5cm
グラファイト
10cm
5cm
純アルミ
アルミフレーム
SUS配管
冷却試験まとめ
• 第1ホーン
– 流量60l/minで8kW/m2/K ⇒ ビーム運転時ΔT=5.1℃
– 外部導体: 強制冷却しなくてもゆがみは無視できる程度。
• 第2ホーン
– 流量40l/min(予定)
– ものが来てから測定する。
• 第3ホーン
– 流量50l/min
– 中心2.2kW/m2/K、端0.18kW/m2/K⇒中心ΔT=2.4℃、端ΔT=7.8℃。
• フレーム
– SUSとアルミとの間にグラファイトシートを挟み、熱伝達を改善。
– 熱伝達係数1.65kW/m2/K
ノズル部の水漏れについて
• 長期試験の結果、ノズルフランジを固定するボルトが繰り返し振動で緩むことが
分かった。
– ボルトが緩むことにより、シールが悪くなり水漏れした。
• 緩み止め対策
– 第1ホーン: ボルト同士を溶接で固定し、回らないようにした。
– 第3ホーン: 外部導体にSpiralokのヘリサートを入れた。
• 改善後の長期試験の結果
– 双方とも、43万回の運転でも水漏れが発見されなかった。
– 緩み止め対策が功を奏している。
– 実機では、Spiralokのヘリサートを使用し、かつボルトを溶接で固定する。
バスバーの冷却について
•
•
•
バスバーへの入熱
– 耳部にはビーム熱+ジュール熱
– その他ものジュール熱
– 冷却が必要。(第2ホーンは特に。)
ヘリウム冷却
– バスバーをダクトで囲み、中にヘリウムを流す。
– 耳部を特に冷やしたいので、バスバー全体をダクト
で覆う。
問題点
– コンプレッサの容量のため、最大でΔT=15℃くらい
までしか冷やせない。ヘリウム温度20℃に下げても、
バスバー温度は35℃になる。
– ヘリウムを耳部まで漏れを少なく送れるかは分から
ない。
• 少なくとも、リモート着脱部バスバーでのダクト
をどうするかまだ決まっていない。
電気関連
ホーン回路について
•
•
ホーン回路=LCR回路
– パルス電源→高圧ケーブル(~100m)→トランスで10倍に増幅→バスバー(~15m)
→ホーン本体
– L、R: 高圧ケーブル、トランス、バスバー、ホーン
– C: コンデンサ
充電電圧、ピーク時間
V  I p /  0 C  exp a t p 
t p  1 /   arctan  a 
a  R / 2 L ,  0  1 / CL ,    0  a
2
– L,R小→V小
– C小→tp小、V大
2
2
2
高圧ケーブル
トランス
~100m
巻数比10:1
電源
32kA
320kA
バスバー
~15m
ホーン
運転電圧について
第2,3ホーン:電源1台で1台のトランスから2つのホーンを直列接続
1st horn
R[μΩ]
ホーン
2nd horn
L[μH]
101.5
0.470
81.2
2次側合計
1次側から見て
R[μΩ]
L[μH]
R[μΩ]
23.1
L[μH]
R[μΩ]
0.530
L[μH]
0.990
0.207
99.3
0.429
182.7
0.677
157.4
1.419
18268
67.7
15736
141.9
2170
11.4
2170
11.4
1次側導線
12943
11.3
12943
11.3
回路合計
33381
90.4
30849
164.6
変圧器
0.460
2nd and 3rd horns
58.1
バスバー
35.0
3rd horn
• 高圧ケーブル: ~100m(片道、4本並列)
• バスバー: 13.2m (horn1)、27.3m (horn2&3)
コンデンサ容量 vs 充電電圧
第1ホーン
第2・3ホーン
C [mF]
R [mW]
L [mH]
Ip [kA]
Tp [ms]
Vp [kV]
C [mF]
R [mW]
L [mH]
Ip [kA]
Tp [ms]
Vp [kV]
0.5
33.4
90.4
32
0.33
14.5
2.5
30.8
164.6
32
0.97
9.0
1.0
33.4
90.4
32
0.46
10.5
4.0
30.8
164.6
32
1.35
6.6
1.5
33.4
90.4
32
0.55
8.7
6.0
30.8
164.6
32
1.47
6.1
この計算は、理想的なもの。実際には現場合わせで折り合いのつく範囲で
コンデンサ容量、ピーク時間、充電電圧を決める必要がある。
電源について
•
•
•
•
K2Kのものを再利用する。
– 320kA運転に際して、特別に改造した箇所はなかった。
– 10数年間の使用で、内部に埃が被っていた。絶縁板で絶縁が破れたところ
があったので、内部をきれいに清掃して使用する必要がある。
運転条件
– サイリスタ:耐圧4kVx3台=12kV
– コンデンサの耐電圧はもっと上だという話。
– サイリスタが充電電圧をリミットしている。12kV以下での運転は必須。
高圧ケーブル
– 今までは耐圧6kVのものを使用していた。⇒絶縁が破れた。
– 耐圧10kV以上のものを使用する。
– 4本並列にして、入力抵抗を減らす。⇒負荷を減らせる。
– 端子部を新しくし、強度の高い構造のものを使用する。
その他
– 耐電圧ぎりぎりで運転することには、不安がある。
• パルス幅を広げてでも充電電圧を下げることも必要である。
トランスについて
•
•
•
•
K2Kトランスを再利用。
– 2次側端子(バスバー側)での振動が大きいため、補強した。
– 発熱を気にする必要が出てきた。水冷を行う。
現有数
– K2Kビームラインに2台(放射化)
– ホーンテスト棟に1台(ひび割れあり)
– 富士実験室に1台(小型版。未使用)
放射化トランスの再利用
– 新規に制作するよりは遥かにコストは低い。
– K2KのTSから北カウンターホールまで引っ張ってきて、そこで放射線の測定
を行う必要がある。東海への輸送に際しては、県および村への申請が必要。
使用計画
– 現状では、放射化2台をTSサービスピットに置き、ひび割れ1台をTS地上部
の試運転用に使う予定。
– 小型トランスの方が高周波数用に作られているので、第1ホーンに使う可能
性もある。富士でのテストで試してみる。
– 新規製作は、マンパワー的に今年度は無理である。来年度以降に余裕があ
る時に製作を行う。
バスバーについて
• 厚さ10mm、幅400mmのアルミ導体板
– 行き4枚、戻り4枚の8枚使用。
– セラミックディスクにより固定する。⇒セラミック割れが起こった。
• バスバーサポート方法を改善
• セラミックの面取り
• 高純度アルミナを使用する。←新規製作分のみ
• 強度
– ローレンツ力により、一枚当たり約0.05MPaの圧力がかかる。
• 応力が25MPa以下になるよう、固定間隔を決定した。
• 連結部
– 連結部は電気抵抗を減らすため、Agメッキする。
• 連結部の接触抵抗を1mW以下に抑えられる。
• 連結部の角にRを取ることにより、応力集中を軽減する。
• 耐電圧
– ヘリウム雰囲気中でのバスバー耐電圧: 3.5~4kV ⇔1kVの負荷
メンテナンス関連
支持モジュール
Concrete shield
Iron shield
•
•
•
支持モジュール ~ 12トン
– ホーンを懸下する。
ホーンと切り離し可能な構造。
– 配管、熱電対、バスバー等の着脱。
上部4点に位置調整機構⇒3次元移動が可能。
Support module
リモート着脱部
ホーン結合部
M30ボルト
配管
外管(下部が
六角ソケット)
Swagelokナット
M30ナット
六角穴
Swagelok
コネクタ
バスバーリモート着脱部
•
•
構造
– パンタグラフ方式
– バスバーを両側から挟みこむ。
– バスバーに当たる部分の接触圧が不均一だったが、加
工精度の良いセラミックに変え、皿バネを入れることによ
り、均一に圧力をかけることが出来た。
試験
– 必要な15トンの荷重をバスバーにかけることが出来た。
– 長いシャフトを使用して試験を行ったが、15トンまで問題
なく(かなりの力は必要だが)荷重をかけることが出来た。