マクロ経済学とGDP-大きな対象を捉える

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経済学入門
(13)マクロ経済学とGDP
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2012年7月19日
復習/1

今得たお金を将来のために取っておく行為を貯蓄と
いう

複利は前の期の元利合計に利子が付く

利子率が上昇すると,来年の消費は今年の消費に比
べ有利になる

利子率が上昇すると借り入れによる消費は難しくな
る.
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復習/2
貯蓄の有利さは利子率(%)で測る
利子
利子率=
×100
元本
 100万円預けて利子が100円
 100/1,000,000 × 100=0.01 (%)

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復習
経済学とは個人や企業の
選択
に関する学問


経済問題の発生は次から来る:利用可能な
モノやサービス,機械設備,時間の
希少性
ある物を食べるには他の何かを犠牲にしな
ければならない.
 経済学とは英語で
economics

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復習/2
利己的な行動

消費者は賢く買い物する
企業が儲けようとする
アルバイトで時給を含めた良い待遇を求める




利己的だから経済は上手くいく

あることに資源を多く使えば他の物に使え
る資源は少なくなることはトレードオフが
あるから
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復習/4

機会費用は真の費用

ある選択の機会費用とはそれをすることに
よって諦めなければならないもの

サンクコストはもう既に支出してしまった
金額であり現在のどんな選択によっても取
り戻すことができない支出

ある活動を増やしたときに追加的にかかる
費用を限界費用という

ある活動を増やしたときに追加的に発生す
る便益を限界便益という
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復習/5

現在の利益を我慢して将来の利益を獲得す
る活動を投資という
将来何が起こるか分からないことをリスク
があるという
 将来起こるリスクは出来るだけ避けたい
 トレードオフは他人との交換を促す
 経済学の4つの問題
1.何をどれだけ作る,2.どうやって作るか,
3.誰に与えるか,4.誰が決めるのか

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ミクロとマクロ
1.
ミクロは虫眼鏡
2.
マクロは望遠鏡

正しくは
1.
ミクロ経済学 (microeconomics)-企業や消費者
に焦点を当てる,経済の小さい単位で考える
2.
マクロ経済学(macroeconomics)-経済全体の動
きを分析する.日本経済やEU経済等

経済全体の動きをどう捕らえるか?
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マクロ経済学の目的
1.
日本経済全体をどう診断するか
2.
経済全体の状態を良くする
1.
高い経済成長率
2.
低い失業率
3.
インフレーションやデフレーションがない

分かり易く言うと
1.
たくさん消費したい=高い経済成長
2.
失業者にはなりたくない=低い失業率
3.
安く買いたい=低いインフレ率
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日本と日本人

日本は先進8カ国の一員

最も評判が高い国

人口は国の基本

生産のためには労働が不可欠

少子高齢化

2006年に初めて人口が減少

晩婚化で子供を生まなくなった

他の先進国と比べて日本の人口はどのくらい
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日本の人口
2011年の日本人の人口は約127,000,000人
人口推計 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/
 100年前,1910年(明治43年)の日本の人口はど
のくらいだと思いますか?
約4900万人
 日本の人口はこの100年間に2.6倍増えました

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千人
日本の人口
140,000
120,000
100,000
日本
80,000
60,000
40,000
20,000
1820
1827
1834
1841
1848
1855
1862
1869
1876
1883
1890
1897
1904
1911
1918
1925
1932
1939
1946
1953
1960
1967
1974
1981
1988
1995
2002
0
年
出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/
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5大国の人口(2008年)
千人
350,000
304,228
300,000
250,000
200,000
150,000
127,288
100,000
60,944
82,370
64,058
50,000
0
日本
アメリカ
イギリス
ドイツ
フランス
出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/
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5大国の人口の推移
千人
300,000
250,000
200,000
150,000
日本
アメリカ
イギリス
ドイツ
フランス
100,000
50,000
1820
1828
1836
1844
1852
1860
1868
1876
1884
1892
1900
1908
1916
1924
1932
1940
1948
1956
1964
1972
1980
1988
1996
2004
0
年
出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/
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国の豊かさを測る

1860年では日英米独仏は同じ人口

生産できれば豊かになる .どっちが豊か?
1.
うまい棒1000個生産
2.
うまい棒500個生産

イチローがうまい棒を作る.【生産】
↓

真央ちゃんが食べる,美味しい 【付加価値】

生産と付加価値は表裏一体
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生産と付加価値

国の生産力=国内総生産 GDP

一年間である国がうまい棒を何本生産できるか
=何個食べられるか

国内総生産は付加価値の合計と深く関係している

国全体の生産物をどう集計するか?

うまい棒 1万本,クルマ800万台,米 900万トン,かき
氷 1万杯
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国内総生産

様々な財の生産をどう測る?

最終的な財の金額を合計すればよい

国内総生産 GDPとは
ある国内での一定期間に市場向けに生産されたす
べての最終的な財とサービスの総額

英語でGross domestic productというのでGDPで省略

自動車部品やうまい棒のコーンは中間財なのでGDP
には入らない
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生産と支出・所得

イチローがうまい棒を作る.【生産】
【所得】=10円
↑

真央ちゃんが食べる.代金の支払い【支出】=10円

つまり,生産,支出,所得は等しくなる.三面等価

総産出量を測るには最終支出を見るのが便利

うまい棒 100万円,クルマ10兆円,米 100億円,かき
氷 200万円

経済全体の総産出量=100万円+10兆円+100億円
+200万円=10兆100億300万円
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10億ドル
5大国の名目GDP(2008年,USドル)
16,000.00
14,441.43
14,000.00
12,000.00
10,000.00
8,000.00
6,000.00
4,886.96
4,000.00
2,684.22
3,673.11
2,866.83
2,000.00
0.00
日本
アメリカイギリス ドイツ フランス
出所:IMF World Economic Outlook Database 2010
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なぜ最終的な財とサービスなのか?
–
–
–
–
中間財を入れないわけ
パナソニックは20000円の費用でデジカメを作った
流通業者のヨドバシカメラに25000円で販売
それをヨドバシカメラは消費者に30000円で売る
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経済主体
金額
パナソニック
20,000
ヨドバシカメラ
25,000
消費者
30,000
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中間にヨドバシカメラ/2
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パナソニックが消費者に直販
– 流通を省く
– パナソニックは20000円の費用で作ったデジカメを
消費者に30000円で直接販売する
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経済主体
金額
パナソニック
20,000
消費者
30,000
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パナソニックが消費者に直販/2
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
パナソニック
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消費者
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最終的な財やサービスの意味






どちらも一台のデジカメ=付加価値
どちらも消費者は30000円を支払っている
→最終支出で測ったGDPは30000円
中間業者の売り上げを入れると
25000+30000=55000
同じ一台のデジカメなのにGDPは大きくなる
中間業者の売り上げはカウントしない
最終的な消費や投資だけをGDPに組み入れる
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結婚の経済学
花嫁を売る跡見っ子.王子は花婿を売る
 美貌,性格の良さ,頭の良さ 【様々な制約】
 お見合いパティー,合コン 【市場】
 働く,家事,子育て 【時間配分】
 一緒に過ごすと楽しい時間=余暇
 晩婚化,少子化の原因:女性の社会進出→所
得の上昇→結婚の機会費用の上昇
 所得額が高いほど結婚率も高くなる
 老人未婚者の死亡率は既婚者の2倍
 高収入な男性が、求める女性、敬遠する女性

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名目と実質
うまい棒を100個生産して価格10円で売れた
名目GDP=10 × 100 =1000円
 値段が11円に上昇した
名目GDP=11 × 100 =1100円
 生産量は変化なし.名目GDPは増加.
 名目=金額で考える,実質=数量で考える
 実質GDPは価格変化の影響を取り除いたGDP
 名目GDPは468兆円
 実質GDPは507兆円

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実質国内総生産(支出側)
500,000
400,000
518,230.90 511,359.00
497,440.70 512,451.90
477,914.90
485,968.30
300,000
503,921.00 523,685.80
507,613.10
489,588.50
200,000
100,000
0
2002
2012/7/19
2003
2004
2005
2006
経済学入門 13
2007
2008
2009
2010
2011
28
国の豊かさを測る

ある国でたくさん生産できれば豊かになる

人が多すぎると困る.どっちが豊か?
1.
うまい棒500個生産,人口が12人
2.
うまい棒500個生産,人口が134人

1人当たりの生産力=国の人口1人当たりの実質GDP

1人当たりの平均的に利用可能な財とサービスに注目

国民1人当たりうまい棒が何個もらえるか
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人口
120,000,000
100,000,000
80,000,000
127,435,000
127,769,510
127,687,000
127,509,567
127,798,704
60,000,000
40,000,000
20,000,000
0
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30
1人当たり実質GDP
500
400
439 434
429
422
420
412
407
402
397
397
300
200
100
0
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
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1人当たりのGDP,グラフの工夫
1人当たりの実質GDPで見ると下落は大きい
 大震災の影響,国勢調査
 実質で測ると回復は早い,2005年レベル回復
 サラリーマンの平均年収は400万円だった
 0から始まると違いが分からない
 様々な工夫が必要

 途中からグラフを書く.例:人口1億人から
 増加率を表示する
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550,000
540,000
530,000
520,000
510,000
500,000
490,000
480,000
470,000
460,000
450,000
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実質国内総生産(支出側)
518,231
512,452
511,359
497,441
503,921
477,915
485,968
経済学入門 13
523,686
507,613
489,589
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経済成長
前の年より豊かになったかが重要だ
 普通,国の人口は僅かでも増えていく
 経済全体の産出量よりもその増加率が重要だ
 成長率=増加率
 毎年2%の増加率は2倍は35年かかる
 毎年1%だと70年かかる
今年のGDP-去年のGDP
今年のGDP成長率=
× 100
去年のGDP

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経済成長率



小数点第2
位を四捨五
入せよ
2010 年の実質GDPは 511兆円
2011 年の実質GDPは508兆円
2011年の日本の実質GDPの成長率は? -0.6%
508 - 511
× 100
2011年のGDP成長率=
511
-3
=
× 100 = -300 ÷ 511
511
= -0.587 ≒ -0.6
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経済学入門 13
35
実質国内総生産成長率
6.0
4.4
4.0
2.0
1.7
2.4
1.3
1.7
2.2
-1.0
0.0
-2.0
-0.7
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
-4.0
-6.0
-5.5
-8.0
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経済学入門 13
36
ドル
国民1人当たりの実質GDP(2007年)
50000
42897.41884
45000
40000
35000
32176.28226 31302.89922
30587.48054
30000
29632.25749
25000
20000
15000
10000
5000
0
日本
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アメリカ
イギリス
経済学入門 13
ドイツ
フランス
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45000
5大国の国民一人当たりのGDPの推移
40000
35000
30000
ドル
25000
日本
20000
アメリカ
15000
イギリス
10000
ドイツ
5000
フランス
1970
1972
1974
1976
1978
1980
1982
1984
1986
1988
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
0
年
出所: Penn World Table http://pwt.econ.upenn.edu/
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経済学入門 13
38
支出アプローチ

最終財に対する需要を金額で表示して合計

モデルで簡単化
1.
日本の住民,外国の住民
 国内需要,外国需要 → 内需と外需
2.
民間と政府
 民間需要,公的需要 → 民需,公需
3.
消費と投資
 今満足を得て無くなる財(うまい棒)
 将来の生産に役立つ財(うまい棒用焼き機=パフマシ
ーン)
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39
生産=供給は需要に等しい
日本国における財の供給=需要
 国内総生産+輸入(海外生産)=民需+公需+外需
 民需=消費+投資
 公需=政府購入
 外需=輸出 (外国人が日本の財を需要)
 消費等には外国の財も含まれる e.g.ルイヴィトン

国内総生産+輸入=消費+投資+政府購入+輸出
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経済学入門 13
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最終財アプローチ
国内総生産=消費+投資+政府購入+輸出-輸入



1.
2.
3.
4.
前の式の輸入を右辺に移項した
ルイヴィトンのバックの購入は消費と輸入で相殺
主体を考える
消費者
民間部門
企業
日本
公的部門
政府
世界
外国
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経済学入門 13
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重要な公式
1.
2.
3.
4.
5.
6.
消費(consumption)
C
投資(investment)
I
政府購入(government)
G
輸出(export)
X
輸入(import)
M
純輸出:X-M
国内総生産=消費+投資+政府購入+純輸出
GDP=C+I+G+X-M
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経済学入門 13
42
復習1

マクロ経済学は経済全体の動きを分析する

その目的:高い経済成長,低い失業率,低い
インフレ率
国内総生産 GDP
Gross domestic product

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経済学入門 13
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復習2







ある国内での一定期間に市場向けに生産され
たすべての最終的な財とサービスの総額
消費 consumption
C
投資 investment
I
政府購入 government
G
輸出 export
X
輸入 import
M
GDP=C + I + G + X – M
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宿題,アンケート

テキスト第8章p.223~p.248を読む

ポータルの宿題とアンケートに答える
1.
テキストp.249復習問題1.なぜ一国の経済の所得
と支出が等しくなければならないのか?
2.
名目GDPと実質GDPの違いは何だろうか?

締め切り7月24日(火)
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