電気機器I 1. エネルギー変換

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Transcript 電気機器I 1. エネルギー変換

エネルギー工学
3.原子力発電
九州工業大学工学部総合システム工学科
趙孟佑(ちょうめんう)
[email protected]
1
原子核反応によるエネルギー
核融合反応
2
1
H  He  He  p  E
3
2
4
2
2.0141u+3.0160u=5.031u
1
1
4.0026u+1.0073u=5.0099u
0.021uの質量欠損⇒19.53MeV
核分裂反応
235
92
U  n
1
0
95
42
Mo 
139
57
3.7x1014 J/kg
La  2 n  E
1
0
Δm=0.2233u
0.2233uの質量欠損⇒208MeV
8.4x1013J/kg
2
質量欠損とエネルギー
核分裂
核反応の結果、結
合エネルギーの大
きな原子ができる
と、余った分を放
出する
核融合
3
核分裂反応の生成物
235
92
U  n
1
0
95
42
Mo 
139
57
La  2 n  E
1
0
ウラン235に中性子があたると
常に同じものがでるとは限らな
い
全て確率
•ウランがまっぷたつに割れるこ
とは稀
•普通は重いものと軽いものに分
かれる
核分裂反応によって生じる核種の生成確率
4
出典:電気工学ハンドブック
核分裂連鎖反応
1. ウランに中性子が衝突
2. 中性子が複数発生
3. 別のウランに衝突
繰り返し
5
衝突断面積
面積 A
核の断面積
原子の密
度n
x+dx
典型的な値 ~10-28m2
x
中性子
(直進)
速度v
10-28m2を1b(バーン)ともいう
x=0
体積中にある原子の数
N n  nAdx
原子によって塞がれる面積
N n   nAdx 
dx動く間に衝突する確率
N n
A

nAdx 
A
 n  dx
6
衝突
直進する中性子
x
• 全ての中性子が集団として一方向に速度v(スピードではない)で進
んでいると仮定する
• 中性子が原子に衝突すると、速度vを失い、集団から脱落する
• dx進む間に集団から脱落する中性子の数
dN
n
  N n n  dx
一個の中性子が衝突する確率
7
衝突
中性子
x
• X=0での中性子の数をNoとする
dN
n
  N n n
dx
N n  N o exp(  n  x )
8
衝突断面積
N n  N o exp(  n  x )
  は衝突断面積と呼ばれる
• 中性子と原子の衝突の場合、原子核のおよその
大きさ10-28m2(=1b, 1バーン)が基準

9
平均自由行程
• 衝突までに動く距離
N n n  dx
自由行程がxとx+dxである確率

 mfp 
自由行程の平均(期待値)

 mfp 
x
0
N o exp(  n  x ) n  dx
No
平均自由行程:λmfp

m fp
x
0
N n n  dx
No
 x exp(  n  x ) n  dx 
0
 
No

1
n
1
n
10
平均自由行程
• 集団中に残る中性子の数

x 
N n  N o exp 

  mfp 
ポアソン過程
1
0.8
e
0
0.6
N /N

0.4
0.2
0
0
0.5
1
1.5
2
x/ 
2.5
3
3.5
11
運動量の保存
m1
v1
m1
m2
v1’
m2
v2
v2’
衝突前
衝突後
• 衝突の瞬間に外力は働かない(相互作用の時間があまりに
短い~10-21秒)
• 全運動量は保存される
• 質量中心の運動エネルギーは保存される
12
運動量の保存
m1
v1
m1
m2
v1’
m2
v2
v2’
衝突前
運動量保存
衝突後
r
r
r'
r'
m 1 v1  m 2 v 2  m 1 v1  m 2 v 2
エネルギー保存
Ek 
質量中心速度
r
vg 
相対速度
換算質量
1
2
m v 
2
1 1
2
r
r
m 1 v1  m 2 v 2
m1  m 2
r
r
r
v r  v1  v 2
 
1
m1m 2
m1  m 2
m2v 
2
2
1
2
( m 1  m 2 )v 
2
g
1
2
 vr
2
可変
不変
v g は変化しない
もし変わるものがあるとする
と、相対速度のみ
13
質量が変わらない時
弾性or非弾性
衝突前のエネルギー
1
2
v 
2
r
衝突後のエネルギー
1
v
' 2
r
 E
質量中心系
2
 E  0 弾性衝突
 E  0 非弾性衝突
(運動エネルギーが内部エネルギーに変換)
 E  0 非弾性衝突
(内部エネルギーが運動エネルギーに変換)
14
弾性散乱
衝突後の速度は、いろいろに曲げられる
15
中性子による原子核反応
• 中性子は電荷がない
– クーロン力働かず、原子核反応が起きやすい
• 吸収
– 中性子が原子核に捕らえられる
– 核分裂
– 放射性捕獲
• ガンマ線を放出
• 散乱
– 弾性散乱
• 運動量とエネルギーが保存
– 非弾性散乱
• 運動量だけ保存
16
17
核分裂で生じる中性子
大体数MeV程度のエネルギーの中性子が放出される 速度~2x107m/sec
U235の核分裂で平均して2.3個の中性子が発生
18
核分裂反応で生じる200MeVのうち、5MeV位は中性子に行く
核反応に必要なエネルギー
(n,f): 核分裂反応, (n,γ): 吸収反応
エネルギーの低い方が効果的
(熱中性子炉)
ウラン235
エネルギーの高い方が効果的
(高速炉)
ウラン238
19
核分裂に必要なエネルギー
出典:関井・脇本:「エネルギー工学」
• ウラン235で連鎖的に核分裂反応を起こさせる
には、核分裂で発生する中性子(~MeV)を減速さ
せる必要(~0.02eV程度)
熱中性子:0.02eV程度のエネルギーをもった中性子
20
中性子サイクルと臨界
臨界:1個の熱中性子から平均1個の熱中性子が再生される状態
核分裂反応が持続する
21
臨界状態の維持
• 臨界状態を超えて暴走(核爆発)
– 1回の反応で熱中性子が1個以上できてしまう
• 臨界を下回る
– 核分裂反応が停止
• 発電としてエネルギーを定常的に取り出すには、臨界(1回
の核反応で熱中性子が一個)を維持しないといけない
• 臨界状態の維持
– 吸収:余った熱中性子を取り除く
– 減速:高速中性子(1回の反応で平均2.3個できる)から熱
中性子を作り出す
• 原子力発電の運転は吸収と減速のバランスをとることが大事
22
弾性衝突によるエネルギー移動
m1
m2
m2
m1 v1’
v1
v2’
衝突前
運動量
エネルギー
(静止)
衝突後
m 1v 1  m 1v 1  m 2 v 2
,
E 
v1 ' 
v2'
1
mv 
2
m2
m1
2
1 1
,
1
2
,2
1 1
m v '
1
2
m 2v
, 2
21
v 2 '  v1
2 m1
m1  m 2
v1
23
弾性衝突によるエネルギー変化
m1
m2
m2
m1 v1’
v1
v2’
衝突前
(静止)
m2のエネルギーの変化
エネルギー変化の割合
衝突後
E 
1
2
E
E

m2v
'2
2
4 m1m 2

1
m 1  m 2 
2
2
2
m 1 v1
4 m1m 2
m 1  m 2 
2
24
中性子の減速
E

E
4 m1m 2
m 1  m 2 
2
Nc回衝突した後のエネルギーは
a
E  E o exp(  aN c )
4 m1m 2
m 1  m 2 
2
Eo: 初期エネルギー
Eo=2MeVをE=0.025eVに減速するのに必要な衝突回数

Nc  

ln E / E o 
a

18
a
25
中性子の減速
Eo=2MeVをE=0.025eVに減速するのに必要な衝突回数
Nc  
a

4 m1m1
m 1  m 2 
Mが大きいと
2
a 
4
M
ln E / E o 
a

原子量Mで表すと
18
a
a
4M
1  M 
2
軽い相手ほど、aが大きく、
衝突回数が少なくてすむ

26
減速材
• 効果的に減速できる(減速能)
– 減速するのに必要な距離が少なくて済む
– Nc=18/aと平均自由行程の積が小さい
– aと散乱断面積σの積が大きい
• 中性子が吸収されにくい(減速率)
– 吸収断面積σa
– 散乱断面積σs
主な減速材

a
s
a
が大きい

軽水(1H216O)
重水(2H216O)
ベリリウム(Be)
黒鉛(C)
 mfp 
a
1
n s
4M
1  M 
 軽水を使うのが一般的
(安い)
27
2
熱中性子炉
熱中性子(~0.025eV)を使ってウラン235の核分裂反応を起こす
減速材として軽水を使う軽水炉が主流
28
沸騰水型
出典:四国電力ホームページ
29
加圧水型
出典:四国電力ホームページ
30
加圧水とは?
大体150気圧
くらいかけ
る
http://www.monominami.jp/image90.jpg
加圧することで、高温でも液体状態を保つ
31
沸騰水型と加圧水型
• 加圧水
– 水が3系統に分かれる
• 中性子を減速させる水
• 蒸気にかわる水⇒タービンを廻す
• 蒸気を冷やす水(海水)
– 放射性物質の閉じ込めが2重
– 建設コストがかかる
• 沸騰水
– 水が2系統
• 中性子を減速させる水+蒸気に変わる水⇒タービンを廻す
• 蒸気を冷やす水(海水)
– タービン周辺が放射性物質に曝される
32
– 建設コストが安い
原子炉
出典:中部電力ホームページ
33
核燃料
天然ウラン鉱石中
U238: 99.28%
U235: 0.72%
精錬後
34
35
燃料ペレット
比重は大体10
直径1cm、高さ1cm
出典:Wikipedia
1個8gぐらい
二酸化ウラン等の化合物の粉末を焼き固めたセラミック燃料
36
U235の濃度は2~5%
燃料棒
燃料棒1本あたり約3kgのペレット
ウラン濃縮度3%としてU235が100g
加圧水型
燃料集合体は燃料棒が179~264本
原子炉内に121~193個の集合体
37
出典:東京電力ホームページ
制御棒
• 中性子を吸収させて、核
反応を鈍らせる
• 吸収断面積の大きな物質
– ホウ素
– カドミウム
– ハフニウム
出典:東芝ホームページ
38
遮蔽
• 放射線を遮る
• 放射線による発熱を防ぐ(熱遮蔽)
– 鉄板
• 放射線から人間を守る(生体遮蔽)
– コンクリート
39
40
出典:ATOMICA