Transcript 測定点の法線ベクトルN
シンクロトロン放射光用ミラーのための 超精密非球面形状測定装置の開発 - X線集光用楕円ミラーの測定と干渉計との比較- 2005年9月15日 大阪大学大学院工学研究科 附属超精密科学研究センターa 高エネルギー加速器研究機構b 東保男b , 遠藤勝義a, 久米達哉b, 江並和宏b, ○鷹家優一a 発表内容 背景と目的 測定原理と測定装置 測定装置の評価 X線集光用楕円ミラーの測定 まとめ 本研究の背景と目的 シンクロトロン放射光やEUV用リソグラフィーに使用されるX線ミラー ・ X線ミラーにはPV1nmレベルの形状精度が要求される。 ・ X線ミラーの形状は、楕円面・トロイダル面といった非球面形状が必要である。 加 工 数値制御プラズマCVM 数値制御EEM 1nmオーダーの精度で 形状を創成できる。 形状測定精度1nmオーダー(スロープエラーでおよそ1×10-7 rad)の 非球面絶対形状測定技術が必要である 本研究では非球面形状ミラーの法線ベクトル(スロープエラー)を 1×10-7 radの精度で測定することを目標としている。 超精密非球面形状測定法の原理 測定中、常に一定の値をとる 基本原理 Z 最初の測定点への光線ベクトル (nx,ny,nz) (0,y,0)移動後の 検出器 D1 ゴニオの回転中心 測定点 P1 での傾き (0,Ry,0) P1 β ミラー表面 検出器 P0 D0 光の直進性を利用して、ミラー 面上のある点での入射光と反 射光を一致させることにより法 線ベクトルを測定する。 α Y 特徴 法線ベクトルを測定する際、 主に2軸の回転運動を2組用 いることにより、直進運動の 使用を最小限に抑える。 φ θ X 測定点から検出器までの距離 点 P1へのベクトル L 測定中、常に一定の値をとるように、 1軸の微小な直進運動を用いて調整する。 運動精度 : 回転 > 直進 精度が高い回転を 利用して形状を測定できる。 法線ベクトルの測定方法として、 検出器に4分割フォトダイオード を用いた零位法を採用する。 超精密非球面形状測定方法 Z 測定点P1(X,Y,Z) α・β軸回転中心(0,Ry,0) 測定点の法線ベクトルN Y 検出器D (光源、θ・φ軸回転中心) 測定原点P0 光線ベクトル (光路長L) ① 2軸2組(θ,φ),(α,β)の回転運動により、測 定基準点Poの法線ベクトルを測定する。 ② P0を原点とした座標系を決定する。 ③ 光路長Lおよび測定原点Poと回転中心とのずれRy を別の測定機を用いて測定する。 X 超精密非球面形状測定方法 Z 測定点P1(X,Y,Z) α・β軸回転中心(0,Ry,0) 測定点の法線ベクトルN Y 検出器D (光源、θ・φ軸回転中心) 測定原点P0 X 光線ベクトル (光路長L) ④ 次の測定点P1の法線ベクトルを求めるために 2軸(θ,φ)の回転運動でP1近傍に入射光が く るように調整する。 超精密非球面形状測定方法 Z 測定点P1(X,Y,Z) 測定点の法線ベクトルN α・β軸回転中心(0,Ry,0) β Y 光線ベクトル (光路長L) α 検出器D (光源、θ・φ軸回転中心) 測定原点P0 φ X θ 光線ベクトル (光路長L) ⑤ 2軸(α,β)の回転運動によって、入反射光を一致させ、4分割フォトダイ オードを用いた零位法により法線ベク トルを測定する。 yo ⑥ 測定した法線ベクトルを、補間・積分することにより形状を導出する。 形状導出方法 Z 測定点P(X,Y,Z) 測定点の法線ベクトルN α・β軸回転中心(0,Ry,0) β Y α 光線ベクトル (光路長L) 測定原点 φ θ X 光線ベクトル (光路長L) 検出器D(光源、θ・φ軸回転中心) yo nX N nY n Z Tan 1 Tan XP f , , , yo, L, Ry YP g , , , , yo, L, Ry ZP h , , , , yo, L, Ry 導出法の特徴 傾き(法線ベクトルの方向)は、 4軸の回転量のみで求まる。 任意形状のミラーでも成立する。 形状測定装置 装置の性能 法線ベクトル測定系 試料系 β φ 回転角度の読み取り精度 (ロータリーエンコーダ の分解能) 1.745×10-8 rad 並進変位の読み取り精度 (リニアエンコーダ の測定精度) 0.1μm 回転軸ずれ精度 (組み立て精度) θ α 0.1μm 目標 Y スロープエラーの 測定精度1×10-7 rad の形状測定 角度較正 QPD リニアスライドテーブル ゴニオメータ dx’ dx レーザー測長機 dL L L ロータリーエンコーダ dX dL dX ' dX dX t an L t an dX ' L dL ・光路長5mのときミラー上で100mmの範囲内では ±2×10-7radの精度で較正を行うことができた 平面ミラー測定の再現性 測定方向 50mm ゴニオメータ 200mm (試料系) ゴニオメータ (光学系) 平面ミラー測定プロファイル 測定条件 0 H eightl(nm ) -5 F irst S econd T hird -10 -15 σ=0.75nm -20 測定ピッチ 測定範囲 測定時間 : : : 4.2mm 120mm 20min -25 0 50 100 P sition(m m ) 150 200 120mmの範囲で、PV5nm以下の再現性を達成した 平面ミラー測定による測定精度の検討 測定方向 B A B 50mm A ゴニオ 200mm (1) A→Bに平面ミラーを測定 (2) ミラーの左右を入れ替える (3) B→Aに平面ミラーを測定 (試料系) ゴニオ (光学系) 0 6 A→ B B→A -10 -15 σ=2nm 4 Height(nm) -5 A B ミラー回転前と回転後の形状誤差 200mm平面ミラープロファイル H e ig h t( n m ) A 2 0 -2 -20 -4 -25 0 50 100 P o s itio n (m m ) 150 200 0 50 100 Position(mm) 150 200 SiC平面ミラー測定による測定精度の検証 φ30mm 測定条件 V-Block 測定ピッチ 測定範囲 測定時間 レーザー径 Fixed by glue First measurement of our instrument First measurement of Zygo :1mm :25mm :20min :4mm Second measurement our instrument Second measurement of Zygo 6 Height(nm) 4 2 測定再現性 :±1.5nm 本測定装置と干渉計との比較: ±2nmで一致 0 -2 -4 -6 -8 -15 -10 -5 0 5 Position(mm) 10 15 本測定機を用いて平面ミラーの長周期のうねりを測定できた X線集光用楕円ミラーの測定 ミラーの仕様 視射角 4.15mrad ミラー長 100 mm 焦点距離 150mm 楕円関数係数a 500.1265 m 楕円関数係数b 66.0096-3m 集光径 参照 Jpn.J.Appl.Phys,Part2,44(18),L539-542(2005) 36nm,FWHM ミラー表面にPtコーティング 測定条件 レーザー径. 3mm 光路長 4.85m 測定ピッチ 0.83mm 測定時間 40 min 4-lines 50 mm (0.83mm pitch) 100 mm 測定再現性 測定形状 First Second Third 14 12 Height(μm) 10 8 曲率が大きいため nmオーダーでの違いが見て取れない 6 4 2 0 0 20 40 60 80 100 Position(mm) 3回の平均とそれぞれの測定形状の相違 1.5 First Second Third Residual(nm) 1 連続した3回の測定の再現性は 0.5 PV 2.5nm σ=0.8nm 0 -0.5 を達成 -1 -1.5 0 20 40 60 Position(mm) 80 100 干渉計との比較 本測定装置による測定形状 12 10 10 8 8 Height (nm) 12 6 6 4 4 2 2 0 0 0 20 40 60 80 0 100 20 40 60 80 Position (mm) Position (mm) RADSIと本測定装置との比較 σ=1.7nm 3 2 Height (nm) Height (μm) RADSI(relative-angle-deternable stitching interferometer)による測定形状 RADSIと本測定装置の 測定結果は PV5nmで一致した 1 0 -1 -2 -3 0 20 40 60 Position (mm) 80 100 100 干渉計との比較 6 4 4 2 2 Residual (nm) 6 0 -2 -4 0 -2 -4 -6 0 20 40 60 80 100 -6 0 Position (mm) 20 40 60 80 100 Position (mm) 6 6 4 4 2 2 Residual (nm) Residual (nm) Height (nm) 水平方向4ラインのRADSIと本測定装置の比較 0 -2 -4 0 -2 -4 -6 0 20 40 60 Position (mm) 80 100 -6 0 20 40 60 Position (mm) 80 100 結言 • 本測定に重要な回転運動の精度を補償するため、ゴニオメー タの較正を行い、現在光路長5mの位置で100mmの範囲では ±2×10-7radの精度で較正を行うことができた • ミラーの左右をひっくり返して測定したところ、一致度は σ=2nmであった • Φ30mmの平面ミラーの測定結果をZYGO社の干渉計と比較 したところ±2nmで一致したことから、本測定機を用いてミラー の長周期の形状を測定できることがわかった • X線集光用楕円ミラーの測定精度はPV5nm以下を達成した 今後の方針 • X線集光用楕円ミラーの左右をひっくり返 した測定を行い、測定制度の検証を行う • 今より広範囲にわたり1×10^-7radの精度 でのゴニオメータの較正を行う • 放射光ミラーの測定、集光シュミレーション、 実際の集光 • 形状導出プログラムの作成 測定原理 X L ゴニオメータの回転中心 θ X1 X2 dL X1 L dL X1 X 2 1 X 1 Tan L Y 0 平面ミラーの固定方法 φ30mm 接着 45 ° 今まで、真空チャック+テフロンシートでミラーを固定していたが、 固定時にミラー表面の変形が見られたため、 現在テフロンシートの厚さと変形量の関係を検証している。 そこで、今回の実験では上図の固定方法を用いた。 ゴニオメータ角度較正結 7.E-06 6.E-06 5.E-06 4.E-06 3.E-06 2.E-06 1.E-06 0.E+00 -1.E-06 -2.E-06 0.0E+00 α軸ゴニオメータ較正結果 2.0E-06 右端 中央 左 左端 1.5E-06 右 中央 1.0E-06 回転誤差(rad) 誤差(rad) θ軸ゴニオメータ較正結果 5.0E-07 0.0E+00 -5.0E-07 -1.0E-06 5.0E-05 1.0E-04 1.5E-04 -1.5E-06 0.0E+00 ロータリーエンコーダによるゴニオの回転量(rad) 5.0E-05 1.0E-04 1.5E-04 ロータリーエンコーダによるゴニオメータの回転量(rad) 左 4×10-2rad ゴニオメータ 右 連続した20目盛の目盛内誤差 7.E-06 6.E-06 回転誤差(rad) 5.E-06 4.E-06 3.E-06 2.E-06 1.E-06 0.E+00 -1.E-06 -2.E-06 0.E+00 5.E-05 1.E-04 2.E-04 ロータリーエンコーダによる回転量(rad) ±2×10-7radで一致する。 平面ミラーの固定方法 φ30mm 片方のみ接着 45 ° 今まで、真空チャック+テフロンシートでミラーを固定していたが、 固定時にミラー表面の変形が見られたため、 現在テフロンシートの厚さと変形量の関係を検証している。 そこで、今回の実験では上図の固定方法を用いた。 光路長変化に伴う測 0.0225 a+Δa b2×0.0225 c0.0225 φ30mm平面ミラーを同角送りで測定する際、光路長Lの変化は最大で22.5μm。 反射光の結像位置 は、 a 焦点深度が、 z f 2 2r2 b 2 0.0225 f b 2 0.0225 f a 0.287m 後方になるが、 668.7m であり、結像位置はまったく変化しない。 そのためQPDの位置を変化させる必要がなく、ビーム径もまったく変化しないと言える。 また、QPD上での角度分解能も、 l 2 a a c 0.0625 10.00013 nm と変化しない。 b 2 0.0625 本研究の背景と目的 シンクロトロン放射光やEUV用リソグラフィーに使用されるX線ミラーの製作 ・ X線ミラーには1nmオーダーの形状精度が要求される。 ・ X線ミラーの形状は、楕円面・トロイダル面といった非球面形状が必要である。 加 工 数値制御プラズマCVM 数値制御EEM 1nmオーダーの精度で 形状を創成できる。 形 状 計 測 平面や球面を基準面とした干渉計測 ・ 基準面が必要。 ・ 平面・球面以外の非球面形状を測定するのは困難。 基準面を用いない、形状測定精度1nmオーダー(スロープエラーにすると 1×10-7 rad オーダーに相当)の非球面絶対形状測定技術の開発が必要である。 本研究では非球面形状ミラーの法線ベクトル(スロープエラー)を 1×10-7 radの精度で測定することを目標としている。