リーガルメソッド(第2回) 2 法的判断と法適用

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Transcript リーガルメソッド(第2回) 2 法的判断と法適用

法とコンピュータ08 (第2回)
2 法適用
慶大法学部(三田校舎教室)
2008/4/15
吉野一
目次
1.
2.
3.
4.
5.
紛争の法的解決としての法適用
法適用の構成要素
法的正当化の推論と法的三段論法
法的正当化の推論に法創造の推論
法適用による問題解決のプロセス
1.紛争の法的解決としての法適用

法は「現実の世界」=事実に適用される




法による紛争解決


社会の平和な秩序を実現するために
紛争を法的に解決するために
よりよき社会を作るために
法的紛争解決⇒法の適用
法の適用の結果



法的判断
具体的義務法文の定立
義務法文の強制
2.法適用の構成要素


法文と推論
法的推論



法的正当化の推論
法的創造(発見)の推論
法文は三つの要素から構成させる



法
事実
判断(決定)
3.法的正当化の推論と法的三段
論法







法的判断は出来事に法を適用することによってなされる。
法適用における正当化の推論は、法的三段論法の構
造を示す。
何が適用される法であるか、
何が事実であるか、
そして何を結論とすべきかが重要である。
これらの三者の確定は相互に関係していることを教示
する。
この三者について詳細に教授していく。
法的三段論法
法
• 大前提:法
• 小前提:事実
• ⇒
• 結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
事実
法的判断
法的三段論法(伝統的説明)
法規
• 大前提:法規
• 小前提:認定事実
• ⇒
• 結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
認定事実
法的判断
法的三段論法(伝統的説明):例
刑法第204条:
人の身体を傷害した者は、十年
以下の懲役又は三十万円以下
の罰金若しくは科料に処する。
• 大前提:法規
• 小前提:認定事実
• ⇒
• 結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
安藤昇は人の身体
を傷害した者である
安藤昇は十年以下の懲役
又は三十万円以下の罰金
若しくは科料に処する
法的三段論法(伝統的説明):例:論理式
刑法第204条:
∀X{十年以下の懲役又は三十万円
以下の罰金若しくは科料に処する(X) ←
人の身体を傷害した者(X)}
• 大前提:法規
• 小前提:認定事実
• ⇒
• 結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
人の身体を傷害した者である(安藤昇)
十年以下の懲役
又は三十万円以下の罰金
若しくは科料に処する(安藤昇)
伝統的な法的三段論法の問題点

法を法規と同一視している




事実は生の事実ではない。



法原理の役割が説明されていない
判例の役割が説明されていない
法規の解釈の役割が説明されていない
認定された事実であり、
それは法的推論の結果であるということが把握され
ていない。
法律家の常識知識の役割が説明できない
正しく理解された法的三段論法:例:論理式

大前提:法






法規
具体化(判例・解釈)
事例用解釈
小前提:認定事実


刑法第204条:
∀X{人の身体を傷害した者(X)→
十年以下の懲役又は三十万円
以下の罰金若しくは科料に処する(X)}
事実の記述
事実の資料
⇒
結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
∀X{人の身体を傷害した者(X)←
身体の生理機能に障害を与えた(X)}
∀X{身体の生理機能に障害を与えた(X)←
胸部に十日間疼痛を与えた(X)}
人の身体を傷害した者である(安藤昇)
胸部に十日間疼痛を与えた(安藤昇)
十年以下の懲役又は三十万円以下の
罰金若しくは科料に処する(安藤昇)
4.法的正当化の推論に法創造の推
論

大前提:法






法規
具体化(判例・解釈)
事例用解釈
小前提:認定事実


刑法第204条:
∀X{人の身体を傷害した者(X)→
十年以下の懲役又は三十万円
以下の罰金若しくは科料に処する(X)}
事実の記述
事実の資料
⇒
結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
∀X{人の身体を傷害した者(X)←
身体の生理機能に障害を与えた(X)}
∀X{身体の生理機能に障害を与えた(X)←
胸部に十日間疼痛を与えた(X)}
人の身体を傷害した者である(安藤昇)
胸部に十日間疼痛を与えた(安藤昇)
出来事に関する資料
十年以下の懲役又は三十万円以下の
罰金若しくは科料に処する(安藤昇)
5.法適用による問題解決のプロセス
5.1 依頼人のための法律構成
依頼人の要望と問題概略を把握
事実の資料(証拠)収集
依頼人の要望を確認
事実のメモ作成
適用法の探索と確認
法律構成⇒論理構築
法律的メモ作成
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
1.
⇒(意見書、訴状、準備書面)
事実の資料:事例問題3b
課題




ホームポジションからブライドタッチで正確に入
力できるようにしなさい。
パワーポイントを用いて何かプレゼンテーション
を作成しなさい。(自己紹介、私の主張等)
設例8についてCISGを適用して法律関係を確
定する推論を試みなさい。
事例3bについて


事実を要約して箇条書きで記述しなさい
適用法条を確定しなさい