APDを用いたシンチレータの波長変換 ファイバー読み出し系の開発

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APDを用いたシンチレータの波長変換
ファイバー読み出し系の開発
京都大学理学研究科 平出克樹
次世代光センサーに関するワークショップ
2005年12月26日-27日
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Contents
1. Introduction
2. APDの基本特性
3. 読み出しエレクトロニクスの開発
4. APD読み出し系の性能評価
5. まとめ
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1. Introduction
T2K前置検出器として用いる
シンチレータ飛跡検出器
棒状
シンチレータ
光検出器
波長変換
ファイバー
n ビーム
2m
2m
0.3m
• 2m x 2m x 0.3m
• チャンネル数~10,000
• 最小イオン化粒子に対し
期待される光量
~125x(量子効率) p.e.
• 磁場0.2T
シンチレータの波長変換
ファイバー読み出しに
アバランシェ・フォト・ダイオード
(APD)が使えないか?
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1. Introduction
T2K前置検出器として用いる
シンチレータ飛跡検出器
棒状
シンチレータ
光検出器
波長変換
ファイバー
n ビーム
2m
2m
APDの利点
•量子効率が高い
低光量の検出に有利
•磁場中で使用可
•コンパクトである
APDの欠点
•自己ゲインが低い
低ノイズ増幅器が必要
•温度依存性が大きい
0.3m
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2-1. APDの基本特性
HAMAMATSU S8550
32ch Si APDアレイ
量子効率の波長依存性
1cm
ピクセルサイズ
1.6 x 1.6 mm2
ピクセル間隔
2.3 mm
動作温度
-20~+60 oC
有感波長帯域
320~1,000 nm
ピーク感度波長
600 nm
量子効率~80% @l~500nm
(波長変換ファイバーのピーク波長で)
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2-2. APDのゲイン-バイアス曲線
20 oC
10 oC
0 oC
-10 oC
-20 oC
Gain 
ADC ( V )
ADC ( V  10 V )
ゲイン(M)のバイアス電圧係数
k V (M) 
1 dM
M dV
kV = 5.5%/V @M=100
ゲイン(M)の温度係数
kT ( M ) 
1 dM
M dT
kT = -5.5%/oC @M=100
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2-3. APDのダークカレント
20 oC
• 室温(20oC), ゲイン100倍
において、
Idark ~ 3.3 nA/channel
10 oC
• 冷却するとダークカレント
は減少する。
+20oC-20oCで約1/70に
0 oC
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3-1. 読み出しエレクトロニクスの概要
フロントエンドボード
32ch
APDアレイ
VA
OP amp.
(ASIC)
(AD8058)
増幅・シリアル化 10倍増幅
12 cm
プロトタイプフロントエンドボード
Bias
for APD
32ch APD
VME
DAQボード
A/D変換
DAQ
PC
VME DAQボード
To VME
DAQ board
VA
Amp
20 cm
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3-2. VAによる信号の増幅・シリアル化
IDEAS VA1 ・・・128チャンネルの入力ラインをもつ
低ノイズpreamplifier-shaper回路
VAによるシリアル化の概略図
VAからの信号のタイミング図
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3-3. VME DAQボード
VME DAQボード
• フロントエンドボードからのアナログ信号を
A/D変換を行う(12-bit flash ADC)。
• VA読み出しシーケンスの制御を行う。
• VAにテストパルスを送ることにより、各チャン
ネル毎にキャリブレーションができる。
K2K前置検出器SciBarのために開発されたもの。
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4-1. 読み出しエレクトロニクスの基本性能
テストパルスを用いた入力電荷に対する線形性の測定結果
入力電荷に対する応答
直線フィットからのずれ
正の電荷に対して約20MIP(最小イオン化粒子)
に対応する30fCまで±2%以内
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4-1. 読み出しエレクトロニクスの基本性能
各チャンネルのゲイン、ノイズレベルの測定結果
ゲインの分布
75~100 mV/fC
ノイズレベルの分布
1,000~2,000 electron RMS
チャンネルによってかなりばらつきがある
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4-2. 期待されるノイズレベル
期待されるVAのノイズレベル
入力負荷容量によるノイズ
ENC
[ e RMS] 
-
load
200  8  C d [pF]

p
[  s]

p
ダークカレントによるノイズ
ENC
ENC [ e RMS] 
-
ENC
2

load
[ e RMS]  106 
-
dark
 ENC
dark
[  s]  I d [nA]
2  ~390 electrons RMS
測定されたノイズレベルは期待されるVA
のノイズレベルよりはるかに大きい
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4-3. テスト電荷に対するVAの出力波形
入力に何もつながって
いないチャンネル
APD読み出しに
用いているチャンネル
入力に何もつながっていないチャンネルに比べ
Peaking timeが短く、オーバーシュートがある。
アセンブリの際にVAにダメージが与えられてしまったように思われる。
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4-4. APD読み出し系の性能評価
Temperature
Temperature
chamberchamber
1.2m
1.2m
1mm
WLSfiber
fiber
1.0mm WLS
PMT
PMT
LED
LED
APD front-end
APD front-end
electronics
electronics
VME
DAQ
back-end
VME
module
board
• LEDのパルス光を波長変換ファイバーを通してAPDに入射させる
• 性能比較および光量モニターのため、PMTでも同時に測定する
• 恒温槽で温度を0.1oC以内で一定に保つ
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4-4. APD読み出し系の性能評価
Temperature
Temperature
chamberchamber
1.2m
1.2m
1mm
WLSfiber
fiber
1.0mm WLS
PMT
PMT
LED
LED
APD front-end
APD front-end
electronics
electronics
ペデスタル
VME
DAQ
back-end
VME
module
board
LED
イベント
PMTでの測定
光量:18.6 p.e.
分解能: 23.8%
最小イオン化粒子が厚さ1cmの
シンチレータを通過したときの信号
と同程度
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4-5. 常温(20oC)でのパフォーマンス
APD読み出し系のADC分布
APDゲイン ~ 100
S/N比
~ 7.0
分解能
~ 18.6%
 得られた信号は期待値の
約65%。
ファイバーの受光面への接
触不良, 量子効率の不定性
 ペデスタルの幅はエレクト
S/N 
(シグナルの大きさ
( ペデスタルの幅
)
)
ロニクスのノイズが決めて
いる。改善の余地あり
 PMTより良い分解能が得
られた。
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4-6. 低温(-10oC)でのパフォーマンス
APD読み出し系のADC分布
APDゲイン ~ 250
S/N比
~ 18.5
分解能
~ 16%
冷却することでAPDの自己ゲイン
が大きくなり、S/N比が向上した。
S/N 
(シグナルの大きさ
( ペデスタルの幅
)
)
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5. まとめ
 APDを用いたシンチレータの波長変換ファイバー
読み出しシステムの開発を行い、その性能評価
を行った。
 常温で、最小イオン化粒子からの信号に相当する入
射光に対し、S/N~7が得られた。
 ノイズレベルはエレクトロニクスのノイズが支配的で、
改善の余地がある。
 エネルギー分解能はPMTより良い。
 冷却することによりさらにパフォーマンスは上がる。
 ただし、温度コントロールをする必要がある。
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Backup slides
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VAによる信号の増幅・シリアル化
21
VAによる信号の増幅・シリアル化
22
フロントエンドボードのノイズ対策
APDバイアス電源ライン
にバイパスコンデンサ
を実装した
APDバイアス電源の
GNDとボードのGNDを
太いケーブルでつないだ
VAの電源ラインに
多くのバイパス
コンデンサを実装した
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コモンモードノイズ
読み出しエレクトロニクスのノイズの測定結果
あるチャンネルの
ペデスタルのADC分布
-- あるチャンネルのもとのADC分布
-- コモンモードノイズを差し引いた後の
ADC分布
全チャンネルに共通にのっている
ノイズがまだ存在している
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