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少数粒子系厳密計算
肥山詠美子(理研)
特定領域「ストレンジネスを含むクオーク多体系」公募研究
~H21年度)連携研究者??
世話人から(A02:初田さんから)
1.現在の計算法について説明
2.今後5年間でどこまで到達できるか、目指すか
3.研究者間のどのような連携が必要か
4.計算資源やアルゴリズム開発に関する希望
QCDによる核力との関連(A01班とのつながり)、
天体現象との関連(A03班とのつながり)について
適宜入れるように
これを20分で話すことが要求
原子核だけでなく、素粒子・宇宙の方にも分かりやすく・・
1.計算法
「無限小変位ガウス・ローブ法」を大学院の時に提唱
量子力学的3体系、4体系のシュレディンガー方程式を
厳密に(近似的ではなく)解く方法
汎用性が高いので、物理学のさまざまな分野に適用。
精密に解くことによって初めて解明できる物理がある
ことを明らかにしてきた。
3体問題シュレーディンガー方程式 : 6変数2階偏微分方程式
3体問題
4体問題
少数多体系のシュレーディンガー方程式を精密に解く
「無限小変位ガウス・ローブ法」の利点
クーロン3体問題は
10桁の精度
V(R)
・ 構成粒子は何でもよい、
質量、電荷を問わない。
強い相関 (核力など)
(電子、陽子、中性子、クオーク、・・・・・)
・ 粒子間に強い相関がある場合
にも精密に適用できる。
3体問題
4体問題
0
R
現在は、
さらに
5体問題
3体系のシュレーディンガー方程式の一般形
6変数の2階偏微分方程式の固有値問題 ( 固有値 E と 固有関数
H: ハミルトニアン
を求める)。
4体系:9変数、
5体系:12変数
R (X,Y,Z)
量子力学の教科書にある一般的な解き方:
未知関数
を、基底関数系
r (x,y,z)
で展開し、
(できるだけ完全形に近い)
ハミルトニアンをこの基底で対角化して、
固有値
と 係数
を求める。
行列要素を計算(多変数積分)する。
N i n = <Φi | 1 | Φn >
* Φ dr dR
≡ ∬Φ
i
n
H i n= <Φi | H | Φn >
(非直交系でもよい)
行列の一般化固有値問題となる。これを解いて 、
Hi n
Ni n
Cn =
エネルギー固有値のセット :
波動関数のセット :
Cn
1,
2,
3 , ・・・・・
1,
2,
3 , ・・・・・
を得る。
ここで、厳密解を得るために最も重要なことは、
良い基底関数を用いること
良い基底関数とは、 例えば、
1)すべての粒子間の(強い)相関を取り入れられる。
2)波動関数の遠方の漸近の形をよく記述できる。
3)行列要素の計算が容易に、
N i n = <Φi | 1 | Φn >
できるだけ解析的に行える。
H i n= <Φi | H | Φn >
基底関数
4体問題・5体問題に適用するために・・
無限小変位ガウス・ローブ法
左辺:従来の基底関数
(Infinitesimally-Shifted Gaussian Lobe)
右辺:無限小変位ガウス・ローブ基底関数
シフト係数
シフト・ベクトル
すべての積分は単純なガウス積分なので、手計算は非常に簡単。
面倒な球面調和関数は全く現れない。
シフトを無限小にする極限は、行列要素を解析積分した後に行う。
そこにも重要な工夫がある(省略)
3体・4体系の束縛状態関しては、汎用性が高く、
非常に精度の高い方法が確立した。
スーパーコンピュータ 応用ライブラリプログラムを作成・公開 : 解説論文
[1] 上村正康、肥山詠美子、木野康志、Jan Walenius,
「厳密3体理論による量子力学的3体系束縛エネルギーと 波動関数(そのI )
: ミュオン分子」, 九州大学大 型 計算機センター広報29巻2号 (1996) 78.
[2] 肥山詠美子、上村正康、木野康志、
「厳密3体理論による量子力学的3体系束縛状態エネルギーと波動関数(そのII)
九州大学大型計算機センター広報30巻2号(1997) 117.
[3] 肥山詠美子、上村正康、木野康志,
「厳密3体理論による量子力学的3体系束縛状態エネルギーと波動関数(そのIII)
九州大学大型計算機センター 広報31巻4号(1998) 199.
[4] 肥山詠美子、上村正康、
「厳密3体理論による量子力学的3体系束縛状態エネルギーと波動関数(そのIV)」
九州大学大型計算機センター広報32巻4号(1999) 189.
[5] 肥山詠美子、上村正康、
「厳密4体理論による量子力学的4体系束縛状態のエネルギーと波動関数(そのI)
:任意中心力ポテンシャル」、九州大学情報基盤センター広報6巻2号、(2006) 26.
現在使用している計算機資源
・KEK HITACHI SR11000
大きな計算を1回まわすにはいいかも。
でも、プログラムを作成して、テスト計算したりするのは、
混みすぎてちょっと大変
・九大 FUJITSU PRIMERGY RX200S3
VPP5000の後のマシン
ずっとFUJITSUを使ってきたので、私には使いやすい。
今のところ、これが使え続けられたら、問題なし。
16コア(11.2GB)を1年間リース
年額:12万円
ここの予算で、来年度か再来年度から支出してもらったら、
ありがたい・・。
私の研究の
進め方の特徴
ハイパー核物理
新学術領域+J-PARCを
視野に入れて今後5年間、
こちらを強化
フィードバック:
不安定核物理
適用・貢献
私の研究法の発展
宇宙・天体核物理
私が創った研究法
「無限小変位ガウス・ローブ法」
(量子力学的3体・4体問題を
精密に解く方法)
ミュオン触媒核融合
少数粒子系物理
ハドロン物理
p
n
n
Y
p
n
n
中性子
核子
n
p
Λ
p
Ξ
陽子
Σ
・
・
・
・
ハイパー核
(中性子 + 陽子 + ハイペロン)
n
p
Y
ハイペロンと
呼ばれる素粒子
総称して Y と書く
ハイパー核物理は、
J-PARCプロジェクト
(2009年に稼動)
の柱の一つ。
ハイパー核物理
不安定核物理
適用・貢献
私の研究法の発展
私が創った研究法
「無限小変位ガウス・ローブ法」
J-PARCプロジェクト:
高エネルギー研究所と
原子力研究所が協力し
て、東海村に大型の
陽子加速器施設を建設。
ハイパー核物理分野の目的の一つ
すべてのバリオン間相互作用を決定すること
n
p
中性子
陽子
Λ
n
ラムダ粒子
n
p
Λ
n
ラムダ粒子
Λ
中性子
核子
バリオン
Λ
Ξ
陽子
Σ
ハイペロンと
呼ばれる素粒子
Ξ
グザイ粒子
…
ハイパー核物理分野の目的の一つ
すべてのバリオン間相互作用を決定すること
相互作用を決める方法: 2粒子の2体散乱実験
p
p
核子ー核子間 散乱実験データ: 4000個
ハイペロンー核子間 散乱実験データ:40個
ハイペロンーハイペロン間 散乱実験データ:0個
原因: 現在の世界のハイパー核実験施設での
ハイペロンー核子散乱実験が非常に難しい
核子ー核子間 相互作用の
研究が飛躍的に発展
ハイペロンー核子間、
ハイペロンーハイペロン間
相互作用の理論的研究が
まだ不十分
相互作用を決めるための新たな方法
n
n
n
Y
p
n
p
Y
ハイパー核
の構造
相互作用の決定
実験と理論がタイアップした
現在のハイパー核物理の流れ
相互作用を決めるストラテジー
ハイペロン(Y)-核子(N)、ハイペロン(Y)-ハイペロン(Y)相互作用
中間子理論
クオーク理論
③改良点を指摘
①使用
ハイパー核構造の精密計算
No direct
informationX
私の少数粒子系
精密計算法
② 比較
ハイパー核の高分解能の分光実験
Ge検出器を用いたガンマ線分光技術の発展
ハイパー核の励起準位からのガンマ線を数keVの精度で測定可能
例:YNスピン軌道力の望ましい強さの予言と決定
ハイパー核分野で最重要課題の一つ
ハイペロン(Y)-核子(N)のスピン軌道力の大きさは?
2つの立場から提案された相互作用
中間子理論 V中間子
クオーク理論
Vクオーク理論
V中間子 ≫ Vクオーク理論
2つの立場で
全く異なる!
どちらが望ましい?
BNL-E930
BNL-E929
YN スピン軌道力 分岐
高精度分光実験
Λ (0s)
3/2+
γ
2+
5/2+
γ
0+
1/2+
8Be
1/2-
Λ (0p)
ΔE
3/2-
ΔE
スピン軌道力
分岐
0+
γ
1/2+
12C
9Be
γ
13C
Λ
Λ
3体、4体計算
E. Hiyama, M. Kamimura, T. Motoba, T. Yamada and Y. Yamamoto
Phys. Rev. Lett. 85 (2000) 270.
Λ
4He 4He
9Be
Λ
Λ
4He
4He
4He
13C
Λ
YN スピン軌道力
1) 中間子理論: Nijmegen Model D, F, soft core’97 a – f.
2) クオーク理論 : Kyoto-Niigata, FSS
H. Akikawa et al.
Phys. Rev. Lett. 88 (2002)
082501; H. Tamura et al.
Nucl. Phys. A754 (2005) 58c
YN スピン軌道力 分岐の予言と実験
9Be
Λ
BNL-E930
80
5/2+
200
keV
~
3/2+
3/2+
5/2+
35
~
40
keV
クオーク理論
中間子論
13C
Λ
3/2+
5/2+
実験
43±5 keV
BNL-E929
360
3/2-
960
keV
~
1/2-
中間子論
1/23/2クオーク理論
150
1/2~
200
3/2keV 実験
152 ± 54
±36
keV
S.Ajimura et al.
Phys. Rev. Lett. 86,(2001) 4255
相互作用を決めるストラテジー
ハイペロン(Y)-核子(N)、ハイペロン(Y)-ハイペロン(Y)相互作用
中間子理論
クオーク理論
①使用
No direct
informationX
③改良点を指摘
9Beと13Cのハイパー核構造の精密計算
Λ
Λ
② 比較 スピン軌道力の望ましい大きさはクオーク
理論が示唆するような大きさである。
ハイパー核の高分解能の分光実験
Ge検出器を用いたガンマ線分光技術の発展
ハイパー核の励起準位からのガンマ線を数keVの精度で測定可能
Future subjects at J-PARC
・ΛN相互作用->だいたい分かってきた。(NNと比べるとまだまだ)
・ΣN相互作用?
J-PARC
・ΛΛ相互作用?
・ΞN相互作用?
メインには、ハイパー核の構造からの
研究(もちろん、YN,YY散乱実験が
できれば、ラッキーだが。
今後5年間(?)の研究計画
QCD
現在の
S= -1, -2 の世界
Lattice QCD
ハドロン
中間子理論
クオーク模型
YN散乱実験
極端に少ない
ハイペロンー核子(YN)、
ハイペロンーハイペロン(YY)間力
私の役割
(Few-body計算法
を用いて)
X
よく分かっていない
多体系のダイナミクス
Few-body計算
Shell 模型
Cluster模型
まずは、構造の研究から、相互作用を決めるのが、先決なのが現状
中性子星の
内部の研究
まだまだ
発展途上
最新の研究動向
QCD
Lattice QCD
ハドロン
中間子理論
クオーク模型
N. Ishii, S. Aoki and T. Hatsuda,
Phys. Rev. Lett. 99, 022001(2007)
核子ー核子間力(NN)
ハイペロンー核子(YN)間力
まだまだ荒削りではあるが、
QCDから、バリオン多体系の
構造を理解できる日が近い?
このことについて、石井さんが講演
5年後、10年後のハドロン物理研究の考えられる将来像
(personal view)
QCD
ペタコンの導入でさらに
発展
Lattice QCD
ハドロン
現実的相互作用(YN、YY、メソンーバリオン)
新しくこの矢印が生まれる!
有限温度における
多体系のダイナミクス
高密度状態の物理
(中性子星内部の研究)
Shell 模型
J-PARC
YN散乱実験
Few-body計算
Cluster模型
今は予想もできない現象を予言可能
チャーム核、オメガハイペロンを原子核に入れた
ハイパー核、いろいろなメソンを原子核に入れた
エキゾチックな原子核を予言
J-PARC
高分解能ガンマ線実験
ペタコン
研究者間の連携(私の考え)
QCDから相互作用を提供(青木、石井、根村・・)
生の核力だけなく、
有効相互作用も欲しい(藤井?)
少数粒子系計算(肥山、もう一人?PD?)
もしくは、殻模型計算
比較・検討
相互作用の妥当性の議論
J-PARCでの実験
改良されつつあるYN
・YY相互作用の提供
有効相互作用
(藤井?)
中性子星内部研究者
どなた??
これがうまくいけば、
初田さんのおっしゃるQCDと天体とうまく融合できる!