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仁科センター 気になる一言シリーズ
奇妙さ
「ストレンジネス
strangeness」
奇妙な
肥山詠美子
肥山ストレンジネス核物理研究室
奇妙な(怪しい)ことを研究している?
(研究室の名前を正しく理解して頂くためにも、
本日は、物質の最も基本的な要素であるクォークから出発して、やさしく説明します)
(と言いながら、奇妙な 怪しい絵が出ましたが)
ギリシャ神話
ウロボロスの蛇 (自分の尾を飲み込む蛇)
始まりも終わりも無い
完全なものの象徴
次に、ウロボロスの蛇 宇宙版
ウロボロスの蛇 宇宙版
原図: S. グラショウ ( ノーベル物理学賞)
宇宙の始まり (ビッグバン)
は素粒子だけの世界。
極大の宇宙から、極小の素粒子まで。
しかし、両端は密接につながっている。
宇宙
銀河
素粒子
星
太陽系
原子核
地球
原子
クォークは何処に存在?
山
DNA 人間
クォークは何処に存在?
中性子
クォーク3個から成る
クォーク
陽子
クォーク
クォーク
拡大
原子核
クォークは6種類ある
クォークは6種類ある
1973年 小林博士・益川博士
3世代、6種類のクォークの存在を予言
(K中間子のCP対称性の破れを説明できる)
2008年 ノーベル物理学賞
u
d
アップ
ダウン
s
c
[ 奇妙な ] ストレンジ
チャーム
b
t
ボトム
トップ
第1世代
自然界に有る
3個で陽子、中性子になる
第2世代
第3世代
人工的に作る
人工的に作る
これらの クォークの組み合わせで 様々な 「素粒子」 が作られる
クォーク 3個の中に
s
クォーク 3個の中に
s
を含む=ハイペロン(総称)
を含まない
s
ストレンジネス (奇妙さ) S =
(例)
特に重要
s
ラムダ粒子(Λ)
d
u
の数 x (-1)
シグマ粒子(Σ)
S=-1 の粒子
u
陽子
s
u
d
s
グザイ粒子(Ξ)
S=-2 の粒子
オメガ粒子(Ω)
S=-3 の粒子
d
s
中性子
s
s
ストレンジネス(奇妙さ)というアイデアの出発点
1947年
誰も予想しなかった奇妙な 不安定な粒子の発見
(霧箱実験) (Λ粒子)
1952年~ 同様な粒子が続々発見された
(加速器実験) (Λ,Σ,Ξ, K など)
ハイパー核の発見
1952年 M. Danysz and J. Pniewski
宇宙線から降ってくる粒子の観測をエマルション(写真乾板)
を使って行っていた。Aテンで臭素か銀に宇宙線が衝突。赤線の方向へ
10-12秒生きた結果、B点で崩壊
A
p
n
Λ
何が「奇妙」なのか
不安定粒子について、従来の常識
1)作られ易く、壊れ易い(短い時間で作られ、短い時間で 他の粒子に変化)
2)作られ難く、壊れ難い
「奇妙な粒子」=作られ易く、 壊れ難い
~10-21 秒
~10-10 秒 (1000億倍の差)
「奇妙な粒子」=作られ易く、 壊れ難い
~10-21 秒
~10-10 秒 (1000億倍の差)
この「奇妙な」現象は、
ストレンジネス(奇妙さ)S という、新しい量子数を提唱し、
クォークモデルに立って、ストレンジ クォーク s
を導入することによって、見事に解決された(以下略)。
ストレンジネスに関わる現代的な課題は?
s
ハイパー核(新しいタイプの原子核)
陽子・中性子・ハイペロンの多体系の
ダイナミクスの研究
ストレンジネス (奇妙さ) を持つ素粒子
ハイペロン(ラムダ粒子など)
中性子
陽子
拡大
注入
s
クォーク3個
(異端者)ハイペロンを含む原子核
=ハイパー核
当研究室の主たる研究対象:
何を研究するのか?
集団
人間社会や自然界において、
ある集団を考察するときの
構成員
基本的な課題の1つは、
構成員の間の相互作用
(力関係、影響の及ぼし合い)
が積み重なって、
集団全体としての性格や行動が
作られて行く
相互作用
というダイナミクスを
明らかにすること。
そのためには、構成員と集団全体との間の
ダイナミクスを解明するための研究方法が必要。
(ハイペロン)
闖入者
1) そういう研究法を作ること、
2) それを応用して様々な課題に応用すること。
私の研究目的
構成員
3) また、同時に、この研究方法は、
外部からの圧力または異端の闖入者に
対して、 集団がどのように対応するかを
調べることにも役立つ。
さらに、構成員と闖入者との未知の
相互作用を解明することにも役立つ。
集団 (原子核)
私の研究目的
6Li(リチウム- 6)原子核 が縮む
Λ
ハイペロン(ラムダ粒子)
実験: 19±4% 縮む!
K. Tanida et.al.,
Phys. Rev. Lett. 86, 1982–1985 (2001)
P :
陽子
n :
中性子
理論的予言: 22% 縮む!
E.Hiyama et.al.,
Phys.Rev. C59, 2351-2360 (1999)
Animation by Murano
これ以外のハイパー核の研究、別の分野の研究の紹介は省かせていただきますが、ここで
3次元の核図表
ハイペロン(ラムダ)
ダブルΛ ハイパー核(S =-2)
Ξ ハイパー核
ストレンジネス
Λ,Σ ハイパー核(S =-1)
通常の原子核(S=0)
中性子数
J-PARC(大強度陽子加速器:東海村)
ハイパー核実験の世界の拠点。
今後、新しいハイパー核の発見。
理研 RIBF(RI ビーム ファクトリー)
不安定核実験の世界の拠点。
ハイペロンを注入する前の原子核、
特に中性子過剰核、の研究に重要。
不安定核の世界で見えづらい現象について
たとえば、ラムダ粒子(闖入者)を入れて、見えやすくする、
原子核の応答をみるというのも面白いのではないか?
これが私の研究
仁科センター 気になる一言シリーズ
「ストレンジネス
strangeness」
異端者(ストレンジネス)を入れてわかる物理:見たいものは
とりあえず、ストレンジネスを入れて、そのレスポンスを
見れば、いろいろなことがわかります。
ハイパー核物理の面白さです。
おわり