Transcript 測定装置と積分球
CCDカメラST-9Eの 測光精密評価 和歌山大学 教育学部 自然環境教育課程 地球環境プログラム 天文学専攻 07543031 山口卓也 はじめに ●CCDカメラの性能評価の大切さ 個々の機械は、それぞれ 個性 をもっている。 ↓ この個性を見極めないと、とんでもない落とし穴が・・・ <写真は唯一の天体情報> 多くの場合、測光精度で少なくとも1%の精度が必要。 <公共施設や個人私有のCCDカメラ> 行われるべき性能評価は、安定光源や測定装置が用 意できない等の理由により検査されないまま測光観測 に使用されるケースが多い。 測定装置と積分球 <測定装置全体> <積分球> ●測定装置...安定光源+分光器(+オーダーカットフィルター) +モノクロメー ター ●積分球...一様に光る面を用意するための装置 直径25cm 検査種類および検査結果 ○フラットフィールドにおけるシャッタームラの検出 CCDカメラのシャッター高速開閉時に伴う感度ムラ の検出(初めての検出) ○入力に対する出力の線形性 CCDチップの性能評価(西端2002の再実験) ○フィルター特性 松井(2000)のフィルター特性調査の追究 フラットフィールド <フラットフィールドとは> CCDチップの感度ムラだけではなく、フィルターやレンズ についたホコリ、また周辺減光などによる光量ムラをデー タから補正させるために撮る補正画像である。 ピンボケしたホコリなど 光量ムラ <検出方法> ・CCD測定装置を使用し、 5500Åを中心に1Åの幅の 単色光で検証を試みる。 ・CCDカメラのフィル ターはVフィルターを使用 した。 ・ 露出時間を0.2~0.9、1、 10、20、30、40、50、60 秒に設定し、各フレーム5 枚ずつ用意 コントア・・・画像内のムラを等高 線で描いた画像。 シャッタームラの検出 0.2/60のコントア 5/60のコントア 1/60のコントア 40/60のコントア しかし・・・ 線形性 <検出方法> ・CCD測定装置を使用し、 5500Åを中心に1Åの幅の 単色光で検証を試みる。 ・CCDカメラのフィル ターはVフィルターを使用 した。 ・ 露出時間を2倍ごとに増 やしながら画像を取得し ていく。 結果 6 5 y = 1.0046x + 2.6611 4 3 2 1 0 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 Deviation Gamma=(%) 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 -0.2100 -0.4 -0.6 -0.8 -1 20000カウント 1000 10000 500カウント count 30000カウント 100000 フィルター特性 撮影する波長の範囲を区切るためにCCDカメラにフィルターというものを 取り付ける。よく用いられるフィルターの種類は以下の通りである。 Uフィルター・・・・・紫外線の光をよく感じるフィルター(中心波長370nm) Bフィルター・・・・・青色の光をよく感じるフィルター (中心波長440nm) Vフィルター・・・・・緑色の光をよく感じるフィルター (中心波長550nm) Rフィルター・・・・・赤色の光をよく感じるフィルター (中心波長660nm) Iフィルター・・・・・赤外線の光をよく感じるフィルター(中心波長810nm) これらのフィルターを使用して、星がどのような色をしているのかを知ることができる。 例) Bフィルターで写りがよくRフィルターで写りが悪い・・・青色に近い色をしている Rフィルターで写りがよくBフィルターで写りが悪い・・・赤色に近い色をしている フィルター特性[国際基準] 透過率 フィルター特性 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 300 u b v r I 400 500 600 700 800 波長(nm) 900 1000 1100 1200 結果・まとめ ●フラットフィールドにおけるシャッタームラ ・最低5秒の露出時間をかければシャッタームラが約1%。 ・撮る度に輝度分布の領域の違いが現れることがある。 →シャッターの形状から検証する必要がある。 ●線形性 ・500~30000カウントの間で0.3%以内の精度で線形。 100倍近い違いを同時に写すダイナミックレンジがある。 ●フィルター特性 ・B、Iバンドではより紫外線域で、 V,Rバンドでは赤外線域で「もれ」がある。 ・赤外線カットフィルターの導入を検討すべき。 そして課題・・・ ●日本天文学会和歌山年会 でもポスター発表予定。 ●標準星(特定の波長域での 明るさが正確に測定された 星)のリスト充実に貢献して いく(大学院での仕事)。