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PPPを活用した新たなNT再生スキームの考え方
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1.泉北NTの状況・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.泉北NTの将来イメージ・・・・・・・・・・ 19
3.新たなNT再生スキームの考え方・・・・・・ 26
泉北NTのあり方を考える懇談会
1
はじめに
本レポートは、千里NTに次いで高度経済成長期に開発された泉北NTを対象として、た
だ単にNTの再生という視点だけではなく、今後の日本のまちの縮図ともいえる人口・世帯
数の減少、高齢化の進展の中で、まちを構成する多様なステークホルダーに着目して、現
状をどのようにとらえ、PPPの視点でどのように手を打っていくべきかをモデル的に検討し
たものである
 泉北NTは、大阪都心から約25㎞、難波までの通勤時間は約30分の距離に立地。3つのクラス
ターで構成され、その間に旧集落が点在する。NTの一つ先が、泉北高速鉄道の終着駅の和
泉中央駅で、現在も都市再生機構が宅地開発を行っている
 千里NTに次いで昭和42年にまちびらき。それから40年以上が経過し、以前は若年人口が中
心だった泉北NTの人の構成は、すでに府の平均並みにまでなっており、今後、人口・世帯の
流出と高齢化が急速に起こると予想される。千里NTでは府営住宅でのPFI事業のように個別
に枠組みを示すことにより、民間による自律的な取り組みが進み再生が行われているが、泉北
NTでは、必ずしも同様ではない。
 検討に際しては、沿線全体を捉え、泉北NTの価値向上に向けて、戸建て住宅・マンションの所
有者、大阪府、UR、府公社、交通事業者、商業事業者など、各ステークホルダーが、今後どの
ように協働し何をしていくべきか、それを行うためには、法律、予算、土地利用のバリアがどの
ようなものがあって、今後、この問題にいかに取り組むべきかを検討した
2
はじめに - 泉北NTの概要
 泉北ニュータウンは、昭和 30 年代の大都市圏への人口集中により発生した住宅需要に対応す
るため、千里ニュータウンに次ぐ、大阪府内第2の大規模ニュータウンとして開発。昭和 42 年の
まちびらきから約45年、完了から約30年が経過。
■ 泉北NTの位置図
■ 泉北NTの概要
千里ニュータウン
新大阪駅
大阪駅
大阪駅
から
10㎞
難波駅
20㎞
30㎞
事業手法・主体
新住宅市街地開発事業 大阪府
事業期間
1965(昭和40)年12月~ 1983(昭和58)年3月
入居開始
1967(昭和42)年12月
開発面積
約1,557ha(堺市1,511ha)
地区・住区
3地区 16住区
計画戸数
約54,000戸(堺市53,500戸)
現状戸数(堺市)
約58,100戸
計画人口
約18万人
現状人口(堺市)
136,613人※1
現状世帯数(堺市)
59,210世帯※1
※2
※1 平成22年国勢調査人口に、住民基本台帳人口と外国人登録人口の増減を加減して算出
した人口・世帯数
※2 泉北ニュータウン再生指針資料編をもとに、公的賃貸住宅は平成23年3月31日時点の現
況管理戸数に変更し算定
堺市
泉ヶ丘駅
関西国際空港
和泉中央駅
金剛駅
泉北ニュータウン
栂・美木多駅
泉ヶ丘地区
光明池駅
和泉中央駅
光明池地区
栂地区
3
はじめに - 全国の古い大規模NT
 高度経済成長期に開発がはじまり、完了後30年以上経つ大規模NTは全国に25地区。その内計画戸
数が1万戸を超えるNTは、千里NT、高蔵寺NT、泉北NT、板橋、港南台、洛西NTの5地区
■ 1973(昭和48)年度以前開始、1982(昭和57)年度以前終了、200ha以上の公的な住宅・宅地開発事業
施行面積
事業主体
(ha)
1 那覇第一地区
沖縄県
那覇市
2 千里ニュータウン
大阪府
吹田市、豊中市
3 鳥取
北海道
4 大麻
5 千城台
事業手法
事業年度
(開始)
事業年度
(終了)
事業
期間
完了後
経過年数
計画戸数
(戸)
計画人口
(人)
公的住宅戸数
223 市町村
区画整理
1955
1971
16
41
-
-
1,160 都道府県
新住、一団地
1960
1969
9
43
37,330
150,000
釧路市
485 市町村
区画整理
1962
1968
6
44
-
-
北海道
江別市
214 都道府県 新住
1964
1980
16
32
7,200
27,000
千葉県
千葉市
207 公社
旧住造法
1965
1973
8
39
8,800
-
6 高蔵寺(高蔵寺ニュータウン)
愛知県
春日井市
702 都市機構 区画整理
1965
1981
16
31
20,600
81,000
約8,000戸
7 泉北ニュータウン
大阪府
堺市、和泉市
1965
1982
17
30
54,000
180,000
約19,500戸
8 金剛
大阪府
富田林市、大阪狭山市
216 都市機構 区画整理
1965
1969
4
43
7,740
31,000
9 周南
山口県
周南市
225 都市機構 区画整理
1965
1973
8
39
6,400
26,200
10 北小金
千葉県
松戸市
230 都市機構 区画整理
1966
1971
5
41
7,940
32,000
11 板橋
東京都
板橋区
332 都市機構 区画整理
1966
1971
5
41
17,050
60,000
12 洋光台
神奈川県 横浜市
208 都市機構 区画整理
1966
1973
7
39
8,558
33,000
13 東郷(日の里)
福岡県
宗像市
218 都市機構 区画整理
1966
1969
3
43
5,100
20,000
14 もみじ台
北海道
札幌市
242 市町村
新住
1968
1980
12
32
9,000
32,000
15 将監団地
宮城県
仙台市
207 公社
公的一般
1968
1975
7
37
5,603
19,611
16 港南台
神奈川県 横浜市
299 都市機構 区画整理
1969
1981
12
31
12,230
46,500
約2,400戸
17 洛西ニュータウン
京都府
京都市
261 市町村
新住
1969
1981
12
31
10,900
44,000
約6,500戸
18 名谷(須磨ニュータウン)
兵庫県
神戸市
276 市町村
新住
1969
1981
12
31
9,800
36,000
19 対雁
北海道
江別市
260 市町村
区画整理
1970
1977
7
35
-
-
20 松園ニュータウン
岩手県
盛岡市
217 公社
公的一般
1970
1977
7
35
4,419
15,000
21 新涯西部
広島県
福山市
212 市町村
区画整理
1970
1981
11
31
-
17,000
22 妻木苅間(筑波研究学園都市) 茨城県
つくば市
276 都市機構 区画整理
1971
1977
6
35
6,760
28,000
23 上原(筑波研究学園都市)
茨城県
つくば市
298 都市機構 区画整理
1973
1978
5
34
1,618
6,800
24 冨士見
埼玉県
坂戸市、鶴ヶ島市、川越市
215 都市機構 区画整理
1973
1979
6
33
4,970
18,200
25 落合
兵庫県
神戸市
239 都市機構 区画整理
1973
1978
5
34
9,000
35,000
1,557 都道府県 新住
(資料) 国土交通省土地水資源局土地政策課 「全国のニュータウンリスト」(平成23年3月)に基づき懇談会事務局で作成
約24,000戸
約8,300戸
4
はじめに - PPPとは?
 PPP(Public-Private Partnership)は、広範な概念で、一般的・制度的な定義は無い。日本
以外では、PFIも含み公民が連携して公共サービスの提供等を行うスキームをPPP と呼ん
でいるのが一般的である
 EUでも、PPPという用語は統一されていない。一般的には、この用語はサービスを提供す
るインフラの資金供給、建設、更新、運営、維持管理を行う民間と公共の協力の形態をい
う
「EU委員会(2004)」
 IMFでは、PPPは民営化とは別異の概念としてPPPを位置づける一方、公的セクターと民間
セクターが連携して持続的なサービス提供を行うものとし、コンセッション方式 をその概念
に含むとしている。PPPについて、何が構成要素であり、何が構成要素でないかという明確
なコンセンサスはないが、PPPについては大きな二つの重要な特徴がある
① リスクを公的セクターから民間セクターに移転することにより、施設整備や運営、維持管理の個別
の業務を一括して民間が受託し、民間は公共に対して(個別の業務を行うのではなく)サービス
の提供を行う
② 民営化やアウトソーシングとの大きな相違は、公的セクターと民間セクターが連携して持続的な
サービスの提供を行うことである
「IMF(2004)」
(資料)国土交通省『PRE戦略を実践するための手引書(2010改訂版)』(2010) 等
5
はじめに - 全国の公営住宅におけるPFI事業
 大阪府では、平成15 年度より府営住宅のPFI事業に取り組み、現在までに11事業、3,504戸、その内
千里NTでは4事業1,867戸実施。全国のPFI事業戸数(5,826戸)の約6割を占める
■ 全国の公営住宅におけるPFI事業一覧
NO
事業名
1 県営上安住宅(仮称)整備事業
2 PFIによる県営住宅鈴川団地移転建替等事業
3 県営坂地区住宅整備事業
整備戸数
事業方式
実施方針公表
現在の状況
110 広島県
実施主体
BTO
H14.3.29
事業中(管理)約20年
30 山形県
BTO
H15.6.27
事業中(管理)約20年
BTO
H15.11.20
事業中(管理)約20年
160 広島県・坂町
4 大阪府営東大阪島之内住宅民活プロジェクト
66 大阪府
BT
H16.2.6
完了
5 PFIによる京都府府営住宅常団地整備等事業
105 京都府
BTO
H16.7.28
事業中(管理)約20年
6 山形県営松境・住吉団地移転建替等整備事業
133 山形県須田市
BTO
H16.12.27
事業中(管理)約20年
7 大阪府筆ヶ崎住宅民活プロジェクト
278 大阪府
BT
H17.5.20
完了
8 沼津市営住宅自由が丘団地整備事業
214 静岡県沼津市
BTO
H17.7.29
事業中(管理)約20年
9 PFIによる防府・高井県営住宅東ブロック整備等事業
136 山口県
BTO
H17.12.20
事業中(管理)約20年
10 大阪府営苅田住宅民活プロジェクト
248 大阪府
BT
H18.3.29
完了
11 大阪府営岸和田市下池田民活プロジェクト
221 大阪府
12 県営坂地区住宅整備事業(第2期)
13 新星比内町市営住宅建替事業
BT
H18.3.29
完了
80 広島県・坂町
BT
H18.4.19
完了
260 秋田県秋田市
BT
H18.8.2
完了
14 蓮花寺市営住宅建替事業
50 富山県高岡市
BT
H18.8.17
完了
15 米沢市公営住宅塩井町団地建替等事業(1号棟)
40 山形県米沢市
BT0
H18.10.12
事業中(管理)約20年
16 PFIによる市営長曽根団地・深井中町団地建替等事業
200 大阪府堺市
BT
H18.12.25
完了
17 大阪府営千里佐竹台住宅(2丁目)民活プロジェクト
505 大阪府
BT
H19.1.18
完了
18 大阪府営東大阪新上小阪民活プロジェクト
181 大阪府
BT
H19.2.14
完了
BTO
H20.1.25
事業中(管理)約20年
19 PFIによる山形県営通町団地移転建替
16 山形県
20 小松市営川辺町住宅建替事業
110 石川県小松市
BT
H20.3.24
完了
21 大阪府営豊中新千里東住宅民活プロジェクト
450 大阪府
BT
H20.7.4
事業中(整備)
22 大阪府営吹田藤白台住宅民活プロジェクト
527 大阪府
BT
H21.3.12
事業中(整備)
23 市営甲子園九番町団地第1期建替事業
280 兵庫県西宮市
BT
H21.4.1
完了
24 大阪府営堺南長尾住宅民活プロジェクト
443 大阪府
BT
H21.4.22
事業中(整備)
25 大阪府営吹田竹見台住宅民活プロジェクト
385 大阪府
BT
H21.8.12
事業中(整備)
26 米沢市公営住宅塩井町団地建替等事業(2号棟)
BTO
H21.10.23
事業中(整備)約20年
27 市営甲子園九番町団地第2期建替事業
168 兵庫県西宮市
30 山形県米沢市
BT
H22.7.1
事業中(整備)
28 広島市営吉島住宅更新事業
200 広島県広島市
BT
H23.4.22
H24.3実施方針修正版公表
29 大阪府営枚方田ノ口住宅民活プロジェクト
200 大阪府枚方市
BT
H23.4.28
H24.1落札者決定
(資料) 国土交通省所管PFI事業一覧(平成24年1月1日現在)より懇談会事務局が作成。「現在の状況」は、各主体HP等から懇談会事務局で作成。
6
1.泉北NTの状況
7
1.泉北NTの状況
多くの公共ストックで構成されるハードの老朽化が止まらない構造である一方、住民の
高年齢化が進みつつある。これらがアメニティ、コミュニティ、サービスの低下と資産の目
減りを伴いながら、街の魅力を今後30年にわたって確実に低下させていきかねないのが
現状である
 住宅ストックは既に約7割が築30年以上と老朽化が進みつつある。公的住宅の各保有者など
が単に自らの経済合理性を追求する状況になれば、建替えがより進まず、今後30年間にわ
たって未曾有の老朽化が進行する恐れがある
 大阪府の平均と比べても生産年齢人口の多い、若々しい街だった泉北NTは、急速に高齢化
が進んでいる。現状ではすでに府の平均並みにまでなっており、30年後には生産年齢人口が
今の半分になり、構成比も63%から49%に減少すると予測されている
 泉北NTの土地価格(公示価格)は、以前は周辺地域より高かったが、ここ数年下落幅が拡大
しており、不動産を保有する個人は資産の目減りが大きいため住替えが進まない状況にある
 生産年齢人口の激減にともなう地域経済の縮小により、さまざまなアメニティ、コミュニティ、
サービスの低下が始まっており、このことがさらに新たな住民にとっての魅力減につながってい
る
8
1.泉北NTの状況(ハード) ー 住宅ストックの状況
 住宅ストックは既に約7割が築30年以上と老朽化が進みつつある。さらに、公的住宅の各保有者
などがそれぞれの経済合理性を追求する結果建替えは行われず、今後30年間にわたって未曾
有の老朽化が進行する恐れがある
大阪府(H20)
築10年未満
泉北NT(H20)
(4.8千戸)
(630千戸)
築10-19年
(2.2千戸)
(5.0千戸)
(800千戸)
築20-29年
泉北NT(30年後)
(706千戸)
(2.6千戸)
30年後
(7.6千戸)
・公営(府営)は建替によ
り1,000戸新たに供給。
・戸建て、マンション等は
各々1,000戸/10年 活
用地等での供給を見込
む。
(2.9千戸)
合計56千戸
築30-39年
(690千戸)
(2.8千戸)
合計61千戸
(33.1千戸)
築40-49年
築50-59年
(353千戸)
(4.9千戸)
(77千戸)
(5.0千戸)
(0.1千戸)
(7.1千戸)
・戸建て住宅は築50-59
で500戸滅失、築60年
以上で1,000戸滅失す
ると想定
合計3,371千戸
築60年以上
(115千戸)
(0.1千戸)
0,0% 10,0% 20,0% 30,0%
0,0%
(33.8千戸)
10,0% 20,0% 30,0% 40,0% 50,0% 60,0%
0,0%
10,0% 20,0% 30,0% 40,0% 50,0% 60,0%
公営
UR・公社
民営借家
公営
UR・公社
民営借家
公営
UR・公社
民営借家
戸建て
マンション等
その他
戸建て
マンション等
その他
戸建て
マンション等
その他
(資料) 平成20年 住宅土地統計調査により懇談会事務局で作成
9
1.泉北NTの状況(ハード) - 公的ステークホルダーの状況
 公的賃貸住宅の各ステークホルダーは、それぞれの経営体としての方針が優先され、泉北NT再生
を目指した取り組みになっておらず、UR・府公社はほとんど現状のまま
■ 各主体における管理・運営方針
ストック数
府営住宅
UR賃貸住宅
府公社賃貸住宅
15,797戸
(府域135,842戸)※1
8,324戸
(府域114,679戸)※1
5,385戸
(府域22,047戸)※1
 この10年で建替えや集約化で戸  この10年で一部戸数削減を行うが、 耐震改修等を実施し、耐用年限ま
泉北NTにあ 数削減を約3,000戸行うが、その 大半は耐震改修等を実施し、耐用 で活用
るストックの 他の住宅は、耐震改修等を実施 年限まで活用
し、耐用年限まで活用
考え方
耐用年限
まで
活用戸数
約12,000戸※2
(約75%)
約8,000戸※2
(約95%)
 今後の必要数を見極める中で、  現在のストック(約77万戸)について、
良質なものは活用することを基本
居住者の居住の安定を十分確保し
に、長期的な視点から世帯数の
つつ、平成30年度までに、約10万
減少動向や市場全体の状況を勘
戸の再編に着手し、約5万戸のス
案し、総合的に施策を展開。
トックを削減
各主体の経
営方針  これらにより、将来のストック戸数  平成60年頃までに、現在のストック
の半減をめざす。
の概ね3割を削減
「大阪府財政構造改革プラン(案)」
(平成22年10月公表)
※1 平成23年3月31日現在
※2 各主体の現計画をもとに、懇談会事務局で推計
5,385戸※2
(100%)
現在進めている建替事業を推進す
るとともに、一部の団地で経営を廃
止することにより、概ね10%、2400
戸を削減し、約2万2千戸の管理戸
数となる。
「UR賃貸住宅ストック再生 ・再編方 「自立化に向けた10年の取組み」
(平成20年6月公表)
針 」(平成19年12月公表)
10
1.泉北NTの状況(ハード) - 地価の状況
 泉北NTの土地価格(公示価格)は、以前は周辺の地域より高かったが、ここ数年下落幅が拡大
している。不動産を保有する個人にとっても、資産の目減りが顕著で、住替えの障害になってい
る
公示価格の推移(H13-H24)
公示価格の推移(H13年基準の指数)
H13
価格
地域
H24
価格
下落率
大阪市住宅地平均
310
231
▲25.5
堺市住宅地平均
180
124
▲30.8
金剛(大阪狭山市)
163
123
▲24.5
のぞみ野(和泉市)
136
93
▲32.4
竹城台(堺市南区)
170
107
▲37.1
槇塚台(堺市南区)
152
91
▲40.1
金剛
竹城台
泉ヶ丘駅
大阪市
金剛駅
金剛
堺市
栂・美木多駅
槇塚台
のぞみ野
光明池駅
竹城台
槇塚台
和泉中央駅
のぞみ野
(資料)土地総合情報システム(総務省)より懇談会事務局で加工
※単位千円/㎡
11
1.泉北NTの状況(ハード)
 公的ストックは各クラスターの駅周辺に集中。各主体の現行計画では、30年後も駅前地域のストッ
クは、そのままの状況となる
泉北NT(H22)
泉北NT(30年後)
※ 各主体の現計画をもとに、懇談会事務局で作成
12
1.泉北NTの状況(ソフト) - 将来人口推計とその構成
 泉北NTは、現状の年齢構成は大阪府全体とほぼ同じであるが、30年後は人口は35%減、大阪全
体の減少率の2倍のスピードであり、高齢化率も42%と大阪府全体(38%)より5%高い。
泉北NT 将来人口推計
大阪府 将来人口推計
(千人)
157
(千人)
(7.0%)
→推計
878
135
(11.9%)
(23.4%)
→推計
881
(23.0%)
721
(38.2%)
(75.1%)
88
(42.4%)
(73.0%)
(63.3%)
(63.8%)
(52.6%)
(48.8%)
(17.9%)
(13.3%)
(15.0%)
(8.8%)
(13.2%)
(資料) 総務省「国勢調査」、泉北NT:堺市推計、大阪府:大阪府企画室推計
(9.3%)
13
1.泉北NTの状況(ソフト) - 将来人口推計とその構成
 大阪府の平均と比べても生産年齢人口の多い、若々しい街だった泉北NTは、急速に高齢化が進
んでいる。すでに府の平均並みにまでなっているが、30年後には生産年齢人口が今の半分にな
り、構成比も63%から49%に減少すると予測されている
泉北NT 将来人口推計
大阪府 将来人口推計
42.4%
老
年
人
口
30
30
23.4%
20
80
7.0%
(32千人)
23.0%
(2755千人)
20
10
(2024千人)
(1048千人)
(11千人)
0
80
75.1%
70
年
少
人
口
(37千人)
11.9%
10
0
生
産
年
齢
人
口
38.2%
40
40
将来人口 増加・減少率
73.0%
70
63.3%
60
63.8%
60
48.8%
50
52.6%
150,0%
50
100,0%
40
40
30
(118千人)
(86千人)
20
10
10
0
0
17.9%
13.3%
10
(28千人)
(18千人)
0
平成7年
平成22年
(5622千人)
(43千人)
20
20
(6412千人)
30
20
8.8%
(8千人)
平成52年
10
(3790千人)
100,0%
87,7%
50,0%
72,9%
150,0%
(1321千人)
13.2%
(1161千人)
0
平成7年
平成22年
(資料) 総務省「国勢調査」、泉北NT:堺市推計、大阪府:大阪府企画室推計
87,9%
100,0%
9.3%
50,0%
100,0%
年少(泉北)
年少(大阪)
50,5%
64,3%
(667千人)
平成52年
59,1%
36,4%
0,0%
15.0%
生産(泉北)
生産(大阪)
28,6%
0,0%
平成7年
平成22年
平成52年
14
1.泉北NTの状況(ソフト) - 将来世帯推計とその構成
 泉北NTの世帯数は、大阪全体よりも急速に減少。特に「夫婦と子」世帯が20年後に1/2の9千世
帯になると想定されている
泉北NT 将来世帯推計
大阪府 将来世帯推計
(千世帯)
(千世帯)
→推計
→推計
52.5
51.4
53.1
52.8
3,591
50.5
3,705
3,739
3,745
3,694
3,600
3,455
48.1
3,270
44.2
39.6
(資料) 総務省「国勢調査」、泉北NT:懇談会事務局推計、大阪府:大阪府住宅まちづくり部推計
15
1.泉北NTの状況(ソフト) - 住宅種類別の入居者の状況
 戸建て住宅は入居者が動かずそのまま高齢化。UR・公社住宅は、入居期間が短く、若年世帯が
定住しない状況になっている
昭和46~55年に建設された各住宅の入居期間
戸
建
て
マ
ンン
等シ
ョ
U
R
・
公
社
公
営
4 000
3 500
3 000
2 500
2 000
1 500
1 000
500
0
1 500
1 000
500
0
4 000
3 500
3 000
2 500
2 000
1 500
1 000
500
0
3 000
2 500
2 000
1 500
1 000
500
0
各住宅の世帯主の年齢階級別世帯数
(79.8%)
3 920
(8.9 %)
(4.5%)
438
221
(34.3%)
(21.2%)
(20.7%)
1 157
700
715
(6.8%)
333
(23.9%)
805
(45.4%)
(20.2%)
1 733
(18.8%)
(15.5%)
1 329
1 612
3 000
2 000
1 000
0
4 000
3 000
2 000
1 000
0
(34.0%)
(24.2%)
(21.7%)
5 041
(12.0%)
(1.0%)
143
(7.1%)
1 050
(16.2%)
(1.4%)
155
1 727
(17.2%)
(5.0%)
649
2 214
1 781
(18.1%)
1 934
(14.6%)
1 881
3 217
(22.7%)
3 593
(27.2%)
(14.4%)
2 423
(19.9%)
2 561
2 907
(23.0%)
2 961
1 544
(20.3%)
2 613
(34.0%)
(30.0%)
(19.2%)
(16.8%)
2 551
2 248
1 262
28~37年
3 890
6 000
5 000
4 000
3 000
2 000
1 000
0
1 436
5 000
4 000
3 000
2 000
1 000
0
(32.8%)
(25.1%)
(18.1%)
(12.4%)
(2.5%)
342
1 667
8~17年
~7年
29歳以下
30歳代
(資料) 平成20年 住宅土地統計調査により懇談会事務局で作成
18~27年
(9.1%)
1 234
40歳代
4 425
2 440
50歳代
60歳代
3 382
70歳以上
16
1.泉北NTの状況(アメニティ) - 鉄道、近隣センターの状況
 泉北NT内の3駅の乗降人員は徐々に減少してきたが、平成21年度は減少幅が拡大している。近
隣センターでは医療や福祉サービス業への業態変更がなされているが、全体としては、核店舗が
半減し、機能の低下がみられる
泉ヶ丘地区近隣センター業態別の店舗数の推移
主要駅の一日の乗降人員の推移
(店舗数)
(人)
泉ヶ丘駅
(▲4.4%)
金剛駅
(▲2.5%)
光明池駅
(▲6.7%)
和泉中央駅
( 8.5%)
栂・美木多駅
(年度)
(▲7.9%)
17
1.泉北NTの状況 - リスクシナリオ(30年後)
ステークホルダー
個人
• 1次取得者が亡くなり相続が発生するが、子世帯は別のところに居を構える。値引き価格での売却は
買い手が見つからず空家化も。遠方所有者の家は、維持管理もされず荒廃化し、地域の防災・防犯力
の低下が懸念される。
(戸建て、マンション
28,600戸)
大阪府
• 府営住宅は、耐震化と空家対策のために、今後10年間で建替え(4団地)や集約化(12団地)により戸
数削減を行う予定であるが、耐震性を優先して一度に大量の活用地が創出されるため、処分できず、
空き地化が懸念される。
(府営住宅15,797戸)
都市再生機構
(UR賃貸住宅8,324戸)
府公社
(府公社賃貸住宅5,385
戸)
交通事業者
(鉄道・バス)
商業事業者
(近隣センター)
堺市
現状のままの場合の30年後の姿
• UR賃貸住宅は、2団地において集約化を行い戸数削減を行う予定であるが、その他は耐震化等を行
い現状維持。現状では空家も少なく収益を確保されているが、世帯減少と建物の老朽化、まちの魅力
低下により、郊外団地を中心に収益の悪化が懸念される。
• 府公社賃貸住宅は、現状では、耐震改修等のストック改善は予定されているが、建替えや集約化など
の投資を行う予定はない。現状では一定収益を確保できているが、駅から遠方の団地が多く、世帯減
少と建物の老朽化、まちの魅力低下により空家が急速に増え、収益の悪化が懸念される。
• 鉄道は、和泉中央の開発により、沿線で見た場合、乗降客数の減少が抑えられているが、今後数年で
開発が終了し、急速に減少すると想定される。またバスは、学校や病院などへの利用がない地域は利
用客が落ち込んでいる。今後さらに人口減少と高齢化が進展し、運行本数の減少や路線の廃止が懸
念される。
• 近隣センターは16センター中、地区センターから近い4センターで核店舗がない状況。人口減少と高齢
化で需要が急速に減少し、近隣センターの商業機能が無くなり、住区の衰退と買い物難民の増加が懸
念される。
• 人口減少、地価の下落による住民税、固定資産税の歳入の減少と、高齢化による福祉・介護に係る歳
出の増加により、老朽化した道路や公園等の公共施設への投資が減少し、魅力低下に拍車がかかる。
※ 30年後の姿は懇談会事務局で作成したものであり、各施設管理者等の了解を得たものではありません。
18
2.泉北NTの将来イメージ
19
2.泉北NTの将来イメージ
NT全体で進行する構造的な老朽化・高齢化に対応するためには、地区を一体的に捉え、
地区全体の価値を向上をさせるために複数のステークホルダーが協調的に考え、行動す
ることが必要である。また、人口流入の鈍化、地価の下落を抑えるためには、今いる住民
と新たな住民両方が将来に希望を持てるような、泉北NTの価値向上につながるグランド
デザイン/コンセプトを示し、ブランド化を図ることが重要である
 駅周辺地域については、今いる住民が幸せに住み続け、また新たな住民の流入を確保し、さ
らにできるだけ民間の投資を呼び込めるよう、複数ステークホルダーにまたぐ公的ストックの
活用や、全体グランドデザイン/コンセプトの提示など、関係者が連携するさまざまな打ち手
が必要になる
 戸建て住宅地中心の郊外住宅地は、流動性に課題があり、老朽化、空家化が懸念される。こ
の部分に対して、駅前の開発利益や公的ストックを活用して公共が積極的に整理、取りまと
めを行い、工場や農地、森などへの用途転換を図り新しい価値を創造する
 駅周辺と郊外との間の部分については、できるだけコストをかけず今あるストックをリノベー
ションし、多様なニーズに柔軟に対応していける受け皿を用意する
 上記を泉ヶ丘地区で具体的に組み立ててみると、今後30年にわたって、40haの活用地を生み
出し、民間が駅前を中心に約1,000億円投資して約5,000戸の住宅を建てなおすと共に、郊外
の住宅地の用途転換に係る費用を公共が100億円投資するイメージ
20
2.泉北NTの将来イメージ
 将来イメージは、今いる住民(高齢者)が明るく元気に過ごし、グランドデザイン/コンセプトを提示し、
子育て世帯や多様な能力を持つ人、さらに外国人を惹き付けるまちを目指し、そのために今ある公的
ストックを最大限活用し、PPPにより、まちの価値を最大化する
捉え方
高齢者
新たな人
 今後高齢者となっても、利便性の高  PPPにより、公的賃貸住宅
い駅前に移り住む、住み慣れた地
の用地を活用し、高齢者
域に住み続けるなど、各自の嗜好
向け住宅や社会福祉施設
にあった住まいを選択できるよう、
等を整備。利便性と安心を
PPPにより多様な住まいを用意する
求める高齢者へ提供し、
住替えを促進する
 子育て世帯や、芸術家や技術者
などの多様な能力を持つ人を呼
び込むため、魅力ある住まいと環
境を用意する
(子育て世
 子育て世帯に対しては、駅前の活
帯・多様な
用地においてマンションや小規模
能力のあ
戸建て住宅を供給し、多様な能力
る人)
を持つ人に対しては、その能力に
応じて駅前のSOHOや中間地域で
の安い賃貸住宅の供給などを行う
外国人
駅周辺地域
 PPPにより、公的賃貸住宅
の用地を活用し、多様な機
能をもった多様な世帯向
けのマンションを供給
(SOHO等)
 活用地にITや研究所など
周辺環境に悪影響を与え
ない企業を誘致し、まちの
価値を高め雇用を確保
 活用地に学校等を誘致し、
地域の高齢者との交流を
図り、また学生が将来、泉
北NTに居住してもらうきっ
かけを作る。
 さらに、これまでの延長線ではなく、  活用地に世界標準となる
世界標準の外国人を呼び込むた
セキュリティや環境を備え
めに、世界から人を惹き付ける新
た住まいを提供
たなグランドデザイン/コンセプト
 活用地にインターナショナ
を提示
ルスクール等外国語を教
 特に駅周辺地域を中心に外国人
える学校を誘致
の生活を支える住まいや機能を整
備する
中間地域
郊外地域
 PPPにより、良質な公的賃
貸ストックを高齢者向けの
住まいや施設にリノベー
ション。地域に住み続けた
い高齢者の居住の安定を
図る。
 戸建て住宅の高齢者に対
して、リフォームの相談や
業者あっせん、生活支援
サービスの提供を行う
 PPPにより、公的賃貸ス
トックを若年世帯向けにリ
ノベーション
 戸建て住宅を子育て世帯
向け、三世代同居向けに
リノベーションし、安い価
格・賃貸料で提供
 芸術家等に安い住まいを
提供し、その代替として、
地域や駅前で教室を開い
てもらう
 公的賃貸ストックをシェア
居住できるようリノベーショ
ンし、学生や留学生等の
寮として活用
 公的賃貸ストックを民間企
業に売却やスケルトン賃
貸し、企業の特性に応じた
多様な住まいへリノベー
ションする
 大学等に賃貸し、学生や
留学生等の寮として活用
 公共等が空家を借上げ、
広い家や庭を必要とする
芸術家等に安く転貸
 公共等が戸建て住宅の空
家を借上げ、内装を生活
習慣に応じてリノベーショ
ンし、駅前に立地する企業
の従業員などに安く転貸
21
2.泉北NTの将来イメージ
 将来イメージは、駅周辺地域は、人と金を集められるプロジェクトを実施し、駅から遠いところについて
は、工場や農地、森などの用途に転換。その間については、できるだけコストをかけず今あるストック
をリノベーションし、多様なニーズに柔軟に対応していくイメージ
駅周辺地域
農地へ転換
 まちの顔となる新しいグランドデザイン/コンセプ
トを提示し、今いる住民も新たな住民もまちに期
待感が持てる住まいや施設を公的用地を活用し
整備
ストックの
有効活用
若年世帯・
外国人の呼
び込み
高齢者
住替え
促進
 公的住宅ストックの建替えや集約化により新たな
土地を生み出し、子育て世帯向けマンションや今
いる住民のための高齢者向けのマンションや福
祉・医療施設などを誘致
若年世帯
向け住宅
中間地域
駅
高齢者
向け住宅
高齢者
住替え
促進
ストックの
有効活用
若年世帯・外
国人の呼び
込み
 公的ストックの住棟、住戸をリノベーションし、若
年世帯向け、高齢者向け、社宅、学生寮、芸術家
の寮など多様なニーズを受け止める住まいを提
供
郊外地域
工場を誘致
 郊外地域では、活用されていない空家の戸建て住
宅は、駅前の開発利益や周辺にある公的ストック
を活用し、公共が借上げや買取り、交換などを行
い、工場や農地、森などに転換し、新たな価値を
生み出していく
22
2.泉北NTの将来イメージ - グランドデザイン/コンセプト
 人口減少と高齢化、地価の下落を抑えるためには、今いる住民と新たな住民が将来に希望を持てる
ようなグラインドデザイン/コンセプトが必須。思い切ったアイデアを募るために国際コンペなどを実
施し、希望と価値をあらかじめ高めつつ、実現させていく
(コンセプト例) - 普通の街からの脱却 ~世界から注目されるNTへ~
① 環境負荷低減・エネルギー自立化
- ドイツフライブルグ市のように、まち全体が環境 ロハスな生活
- 太陽光発電、地熱発電などの利用で、発電所への負荷をかけないまち
② 災害に強いまちづくり
- 自然災害に強い(企業・住民の経済損失が最小限)
- 災害時に防災拠点となる
③ 農業、自然と共生するまちづくり
- 農とともに暮らす生活(自給自足等)クラインガルテン
- 日々自然と触れ合える生活
ドイツ クラインガルテン
23
2.泉北NTの将来イメージ(新たなコンセプト例 環境)
◆ 環境先進都市ドイツ・フライブルグ市の取り組み
〇取り組みの背景
①
②
③
④
市議会議員はボランティア、市役所職員は担当業務の専門家
市民、市行政、市議会が一体となって合意を形成、施策を行う土壌
土地利用計画を基盤として作成、そこから発展して交通政策、エネルギー政策を形成
単独の対策を行うのではなく、複合的に組み合わせそして長期間継続して実施
A. 土地利用計画 土地利用計画
 コンパクトな街作り→人口密度の増加
 土地利用の制限→すぐに自然にアクセスできる環境
 郊外大規模店舗の規制→中心部の空洞化を防ぐ
B. 総合交通計画 総合交通計画
 公共交通の利便性向上
⇒レギオカルテ※中心部のトランジットモール化、トラムの利便性向上、交通の集中
 自転車の利便性向上 ⇒自転車道の設置、駐輪場設置
 交通静寂化 ⇒交通の誘導により歩行者・子供に優しい街
 マイカー交通の集約化 ⇒通行制限、駐車場の集約、カーシェアリング
 駐車場の料金 ⇒中心部ほど高い料金
※レギオカルテ
月額固定料金(47ユーロ、約5300円)で域内の交通機関の乗り換えが自由に行える定期券
C. 省エネルギー住宅・住宅地:ヴォーバン住宅地
„





子供や家族連れに優しい、住民主導で作られた、道幅が広く公園・緑が多い住宅地
車を個人所有・自宅に駐車しない利用方法、通り抜けできない道路設計
雨水の地下浸透による水資源保全策
省エネ住宅(パッシブハウス)、コジェネレーションシステムなどの省エネルギー対策実施
市・市議会・市民が共同参加したユニークな計画形成プロセス
D. 再生可能エネルギー活用 再生可能エネルギー活用
„





2010年までの実績
2009年12月より省エネ建築の義務化
太陽光発電で12MWの出力=4,400世帯分の電力
風力発電で6基、10.8MWの出力=5,600世帯分の電力
コジェネレーション、地域暖房=市内の消費電力の半分提供
24
2.泉北NTの将来イメージ(新たなコンセプト例 防災)
 泉北NTは丘陵地を大規模に造成したため、切土、盛土が一定あるが、今後予想される主要な地震
に対して優位であり、沿岸部から離れているため津波等に対しても安全である。
発生確率
(30年以内)
地震規模
(M)
【堺市の盛土造成地おける
被害予測】
※棟数は堺市全域の合計
60~70%
8.5前後
<東南海・南海地震>
◆全壊4棟/半壊8棟
中央構造線断層帯
0~14%
6.9~7.7
<中高構造線断層帯地震>
◆全壊645棟/半壊1,559棟
上町断層帯
2~3%
7.5
生駒断層帯
0~0.1%
7.0~7.5
東南海・南海
東南海・南海地震
•
発生確率が高い東南海・
南海地震における被害は
ほとんどない(大阪全体
の被害率が低い)
<上町断層帯地震>
◆全壊308棟/半壊727棟
上町断層帯地震
中央構造線断層帯地震
•
東南海に次いで蓋然性
が高い中央構造断層帯
では、他地域より被害
率は高まるが、実数的
は限定的
•
府内で最も被害が大き
いと言われている上町
断層帯地震で、泉北NT
の「防災度」は高い
25
3.新たなNT再生スキームの考え方
26
3.新たなNT再生スキームの考え方
公的主体を含む複数のステークホルダーによる地域の「経営」を可能にするには制度設
計・法律の整備と、投資とリターンのありかたなどについての試算が必須。また、それに先
立つ全体のグランドデザイン/コンセプトの立案なども求められる。来年度「泉北ニュータ
ウンのあり方についての懇談会」はこれらに取り組んでいきたい
 協議会形式ではタイミングよくそれぞれの関係主体が意思決定することは期待しにくく、泉北NT
のような状況では機能しにくい。また、現状のPFI/PPP手法に基づくコンセッションは個別案件
については機能するものの、長期に渡る「経営」については対応できない。実質的に「経営」する
には、「Think & Do Tank」組織(自律的PPP組織)が必要。一方で経営を委託する各公的主体
から見たガバナンスの設計も必須となる
 このような組織・しくみの実現のためには、これを可能にする制度設計・法律の整備と共に、各
公共主体からこの「自律的PPP組織」への授権のあり方、リスク負担のあり方などを決めていく
ための、デューデリジェンスあるいはその簡易版の実施による具体的なしくみの設計に取り組
みたい
 ガバナンスとマネジメントのあり方のパターンについて海外事例などいくつか収集しているが、さ
らに研究も必要。おそらくガバナンス機能、マネジメント機能、ファンド機能を組織としてどのよう
に組み合わせていくかがポイントになると思われる
27
3.新たなNT再生スキームの考え方 -泉北NT再生府市等連携協議会
 泉北NT再生府市等連携協議会を立ち上げ、各主体の連携方策について協議・調整を行い徐々に
進んできているが、1章で見てきたような今後のまちの状況を考えると、スピード感と大胆さにおい
て、今の組織形態では不十分
28
3.新たなNT再生スキームの考え方 - 新たな主体の検討①
 現状のPFI/PPP手法に基づくコンセッションは個別案件については機能するものの、長期に渡る
「経営」については対応できない。また協議会方式では、関係主体がタイミングよくスピード感をもっ
て意思決定することは難しい
PFI(コンセッション方式)
府営
UR
公社
運営権の譲渡等
民間
民間
民間
協議会方式
府営
UR
新たな仕組み
公社
府営
UR
公社
各主体の協議会への参画
公的資産の移管と
公的主体によるガバナンス
府市等連携協議会
自律的PPP組織
協議会の決定事項遵守
運営
運営
運営
• PFI方式は、基本的には公
的主体単位の発注となり、
全体を捉えた仕組みでな
い。またコンセッション方式
は管理・運営のみで建替え
事業や集約事業を想定した
仕組みになっていない。
運営
運営
運営
• 協議会方式では、会長を選
出しガバナンスの仕組みは
一定用意されているが、実
際は調整の場であり、Think
& Do Tankにはなっていな
い。
一体的な運営
民間
民間
民間
29
3.新たなNT再生スキームの考え方 - 新たな主体の検討②
 実質的な「経営」を可能にするには「Think & Do Tank」といえる組織(自律的PPP組織)が必要。一方
で経営を委託する各公共主体から見たガバナンスの設計も必須となる
〇〇地区
①土地・建物所
有権移転
②建物所有権の
み移転
(借地権設定)
府営住宅
移管
UR賃貸
対価
移管
府公社賃貸
対価
対価
移管
その他公的資産
対価
移管
自律的PPP組織
(株式会社、一般財団法人等)
公的融資
公的補助
ガバナンス(株主総会、理事会等)
府、市、資産保有主体、住宅・経営の専門家 等
民間資金
ファンド
(開発利益、
住民・企業
寄付等)
マネジメント(取締役会、役員会等)
① プランニング機能
- 再生コンセプト、再生ビジョン等の策定
② 資産マネジメント機能
- 資金調達や資産管理、テナント等のマネジメント
③デベロップメント機能
- 建替え、集約化、用地処分の計画策定とコンペ実施
又は
金融機
関・証
券会社
等
行政
公的融資
公的補助
PFI事業
用地処分
コミュニティ
支援
郊外支援
民間資金
30
3.新たなNT再生スキームの考え方 - ギャップ・ファンディング方式の検討
 「自律的PPP組織」から個別プロジェクトを発注する場合、特に賃貸住宅を建設する場合は、市場
の成立が難しいことから、イギリスのギャップ・ファンディング方式等を検討し、賃貸住宅経営等を
支援するスキームを検討する
〇ギャップ・ファンディング方式
「総事業費(開発コスト)」と、「事業後の不動産推定市場価格(収益:エンドバリュー)」との差額を政府が補助す
る方法。
■ギャップ・ファンディングの特徴
( イギリスで1999年から導入 )
○ 効果 :
① 補助金の効率化
(Single Program : 2002年~、5,000億円/
イングランド )
② 事業成立の担保
③ 民間開発事業者の誘導確保
■ギャップ・ファンディングの申請条件
① 地域経済戦略に資すること
② 持続性ある事業であること
③ RDA(地域開発公社)の行動計画に合致
④ 政府の政策目標と整合性が取れていること
○ 特徴 :
・地域と開発主体者により補助金上限率(7.5%~
50%)が異なる。
・各種の他補助金額がギャップファンド補助金から減
じられる。
(資料)南部 繁樹 「平成19年度 「土地月間記念講演会」海外事例等からみたわが国の土地活用について」 より抜粋
31
3.新たなNT再生スキームの考え方 - ファンドの検討
 国土交通省では、中心市街地やNTを支援するため、「街なか居住再生ファンド」を設け、施設整備
に出資支援することで、民間資金を呼び込み、プロジェクトの推進を図っている。本制度を応用し、
公的賃貸住宅等の「自律的PPP組織」への移管資金を確保することを検討
◆街なか居住再生ファンド出資事業スキーム例(特定目的会社(TMK))
(資料)「街なか居住再生ファンドの手引き」全国市街地再開発協会より抜粋
32
3.新たなNT再生スキームの考え方 - 今後の検討課題
今年度の以上の検討を踏まえ、来年度「泉北ニュータウンのあり方を考える懇談会」は泉
北NTを一体的に捉えて、泉北NTの価値を最大化を図るために、ブランディングするため
のグランドデザイン/コンセプトの設定と、それを支える仕組み、法制度の検討、実現に向
けての各ステークホルダーとのディスカッションを行う
 泉北NTをブランディングするためのグランドデザイン/コンセプトを設定するために、コンペ/
コンテストを実施し、アイデアを募る。それに基づき財政的なシミュレーションや実現に向けて
の仕組みや法制度のあり方について検討する
 実現に向けての仕組み、法制度の検討に際しては、イギリスの非営利組織のHA(Housing
Association)や地域住宅会社(Local Housing Company)、民間企業への公営住宅の移管の仕
組みや、アセットマネジメントを行いながら政府と市場とパートナーシップを築き、地域のまちく
りを行っているまちづくり事業体(Development Trust)などの仕組みを参考に、検討を深める
 これらの検討と並行して、各ステークホルダーとのディスカッションを行い、実現可能なグランド
デザイン/コンセプトの提案と、仕組みの構築を図っていきたい
33
3.新たなNT再生スキームの考え方 - イギリスの事例
 イギリスでは公営住宅の非営利組織「地域住宅会社(Local Housing Company)」や民間企業への
移管や、非営利組織「まちづくり事業体(Development Trust)」が政府・市場セクターとパートナー
シップを築き、ハード・ソフトのまちづくりを行っている事例があり、これらを参考に、泉北NTでの仕
組みの検討を行う
■ 地域住宅会社(HAを含め約2000)
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公営住宅移管事業に伴い、その住宅ストックの受け
皿として設立された非営利組織の一つ。
会社法の有限責任保証会社
-収益を株主に配当せず、公益活動に再投資
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活動は、移管された公営住宅の改善と地域再生対
策が中心 約5000戸
理事会は、①住民代表、②地方自治体の代表(議
員)、③住宅や組織経営の専門家などの第3者が同
じ割合で理事会を構成。
-住民コントロール、行政コントロールを高めることで、アカウ
ンタビリティの確保を図っている。
■ まちづくり事業体(全土で400以上)
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大都市都心周辺の貧困地区で、都市貧困層を対
象に物的環境整備、社会サービス提要、雇用創
出などの事業を独自に展開
会社法の有限責任保証会社
-収益を株主に配当せず、公益活動に再投資
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理事会は、コミュニティ代表の住民から構成
社会サービスを長期安定的に提供できるよう、外
付けの民間営利事業部門を運営する場合と自治
体などから土地・建物を入手し経営するアセット
マネジメントする場合がある。
〇HAの基本的な住宅供給・管理活動とHCが公的資金利用を認めている活動
(資料)イギリス住宅政策と非営利組織 堀田 祐三子 日本経済評論社
(資料)イギリスのガバナンス型まちくり 西山 康雄 西山八重子 学芸出版社
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