安定狭心症 Stable Angina ~薬と副作用について~

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Transcript 安定狭心症 Stable Angina ~薬と副作用について~

安定狭心症
Stable Angina
~薬の使い方と副作用について~
4班
五十嵐 博、工藤 千枝子、鈴木 佑輔
西山 修平、吉村 正成、中林 正雄
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
はじめに
原文の題名は、
Unstable Angina
となっていま
すが・・・・・・。
Special Thanks to
ぬのき かずお
図書館、四号館
あじよし
やなぎさわ てるゆき
総勉強時間 30時間くらい
参考テキスト
カッツング、グッドアンドギル
マン、標準薬理学、新薬理学入
門、進臨牀内科学
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
狭心症とは
• 心筋が一過性に虚血、酸素欠乏に陥っ
たために生じる胸部ならびにその近傍
に特有な不快感(狭心痛)を主症状と
する症候群
• 狭心痛とは胸部が締め付けられる、
圧迫される感じ
• 狭心症には安定狭心症と不安定狭心症
がある
症例
•
•
•
•
70歳 男性 T.Y.(薬理学教授)
安定労作性狭心症
長期作用型ニフェジピン
30mg/日→60mg/日
頻拍
足首の腫脹あり
デパートでの買い物中激烈な胸痛に襲わ
れて、ニトログリセリンを舌下投与
↓
すぐに意識消失
↓
うっ血性心不全を伴う不安定狭心症の
ような症状と頻拍が疑われた
症例の問題点(1)
(ニフェジピン投与後)
• 頻拍
• 足首の腫脹
• 激烈な胸痛
(ニトログリセリン投与後)
• 意識消失
症例の問題点(2)
うっ血性心不全を伴う
不安定狭心症のような症状と
頻拍が疑われた
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
薬の選択と副作用について
• 予防時
Caアンタゴニスト(ニフェジピンなど)
βブロッカー(プロプラノロールなど)
持続性亜硝酸薬(ニトログリセリン)
• 発作時
ニトログリセリン
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
ニフェジピン(Caアンタゴニス
ト)
• 作用機序
L型Ca2+チャンネルに結合してこれを遮断する。
• 奏効機序
DHP系カルシウムアンタゴニストは(心筋と比
較して)血管平滑筋をよく弛緩させる。
ジヒドロピリジン系
SO3 H
.
NO2
H 3C
COO CH3
N
H
H
Cl
H
H 3COOC
NO2
COOC2 H5
H 3C
CH3
ニフェジピン
H
H
H3COOC
N
H
CH3 O CH2CH2 OOC
CH2OCH2 CH2 NH2
ベシル酸アムロジピン
フェニルアルキルアミン系
H 3C
N
H
C =C
H
COOCH2
CH3
シルニ ジピン
ベンゾチアゼピン系
CH(CH3 ) 2 CH
3
CH3 O
C-(CH ) - N-(CH 2 ) 2
2 3
CN
.
OCH 3
OCH 3
S
HCl
CH3 O
塩酸ベラパミル
H
H
OCH 3
N
OCOCH3
O
CH2 CH2 N (CH 3 )2 . HCl
塩酸ジルチアゼム
ニトログリセリン、ニフェジピン、ベラパミル・ジルチアゼム
の循環動態に対する作用の比較
ニトログリセリン
前負荷↓↓ 後負荷↓ 心拍出量↓↓
ニフェジピン
後負荷↓ 心拍出量↑
ベラパミル
ジルチアゼム
後負荷↓ 心拍出量↓
Caアンタゴニストの副作用
(1)
•
頻拍の原因
末梢血管の拡張
↓
血圧低下
↓
圧受容器反射
↓
頻拍
Caアンタゴニストの副作用(2)
• 足首の腫脹の原因
Caアンタゴニストにより、
全身の血管が拡張する
↓
静脈血流量が増えるため、
重力を受ける下肢ほど静脈圧が高くなる
↓
下肢の浮腫
Caアンタゴニストの副作用(3)
激烈な胸痛の原因
↓
安定狭心症の悪化
狭心症を悪化させた原因
• Coronary Steal Syndrome
• 頻拍
• 過剰な投与
(通常の使用量は20~40mg)
Coronary Steal Syndrome(1)
←
←
狭窄部位
←
←
←拡張
←
←
←
←
→
通常時
Coronary Steal Syndrome
Coronary Steal Syndrome(2)
障害されている枝の血管は、
すでに拡張しきっているためそれ以上血流が増えない。
一方、正常な枝の血管は、
Caアンタゴニストにより拡張する。
↓
血流はどんどん正常な血管に流れてしまい、
虚血部はさらに血流が悪くなる。
↓
狭心症が悪化する。
※ニトログリセリンではこの現象が起こらない。
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
ニトログリセリン
• 作用機序
代謝されてNO2を遊離し、さらにNOが生じて可溶
性グアニル酸シクラーゼを活性化させ、cGMPの産
生が高まり平滑筋を弛緩させる。
• 奏効機序
太い冠動脈を拡張させる(細動脈は拡張させない)
全身の静脈を拡張させる。
ニトログリセリンの副作用
• 起立性低血圧
• 反射性頻拍、動悸
• めまい(脳への血流量低下)
• 頭痛(脳硬膜の動脈拡張)
• 意識消失(血管迷走神経性失神)
血管迷走神経性失神
vaso-vagal syncope
①静脈への血液のプーリング
②心拍出量が減少し、脳への血液供給が低下(めま
い)
③交感神経が働き、反射性頻拍・心筋収縮力増大
④心拍数・収縮力の上昇により、心室の機械受容器が
活性化
⑤副交感神経が活性化、交感神経が抑制される
⑥急激な心拍数の低下により脳虚血がおこり失神
(リスクファクター)
• ニトログリセリンの少量投与
• 温かい部屋
• 直立姿勢
使用上の注意
• 起立性低血圧の副作用があるために、
坐位で舌下投与する
• 発作時(短期作用型)使用量
0.15ー1.2mg
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
心筋酸素需要・供給と狭心症の病態
収縮力
血圧(後負荷)
心拍数
左心室圧
心室容積
酸素
需要
酸素
供給
冠動静脈酸素含有量の較差
心筋酸素分布 冠血流量
大動脈圧
(拡張期)
冠血管抵抗
壁張力
静脈還流(前負荷)
虚血
自覚症状
狭心痛
心電図異常
代謝障害
心室機能不全
ST下降(労作性狭心症) 乳酸・H+ の産生
ST上昇(安静時狭心症) K + の漏出
壁運動異常
不整脈
心拍出量低下
アデノシン遊離
拡張終期圧上昇
症例の対処法
心筋の酸素需要を減らす
↓
予防薬としてニフェジピンのほかに、
βブロッカーを使えばよかった
βブロッカー
• 作用機序
β受容体を遮断
• 奏効機序
心拍数、心収縮力を減少させ心筋酸素需要を減らす
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
診断について
• 安定狭心症なのか不安定狭心症に移行
しようとしているのか
• 浮腫の診断では、薬の副作用(医原
性)によるものかうっ血性心不全(病
原性)によるものかの鑑別
医原性、病原性浮腫の鑑別
• 胸部X線での重大な心不全像の有無
• 超音波診断での心収縮機能の状態
• Caアンタゴニストの使用停止による
浮腫の解消
狭心症の分類
いくつかの分類がある
• 狭心症の経過により
安定狭心症と不安定狭心症
• 狭心症の発症様式により
労作狭心症と安静狭心症
• 狭心症の発生機序から
器質性狭心症と冠血栓性狭心症
狭心症の種類(1)
• 安定労作性狭心症
冠動脈の器質的狭窄+心筋酸素需要の増加
器質的狭窄→プラーク形成が原因
発作の原因
労作による心筋の酸素需要の増加
治療薬
βブロッカー、持続性亜硝酸薬、Caアンタゴニス
ト
安定労作性狭心症
内皮
内腔
内腔
内膜
内膜
冠拡張薬
Caアンタゴニスト
+
K
チャネル開口薬
など
脂質・
アテローム
冠動脈スパスム(攣縮)
動脈硬化(器質的狭窄)
βブロッカー
抗脂血症
治療薬
亜硝酸化合物、抗血小板薬
狭心症の種類(2)
• 不安定狭心症 Unstable Angina
心筋梗塞への移行が危惧される狭心症
冠血栓性狭心症
器質性+血栓形成
• ここでは安定労作性狭心症から不安定
狭心症へ移行しているかどうかがひと
つのポイントとなる
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
考察(1)
なぜ最初はニフェジピンが効かなかったの
か?
-可能性としては
①ニフェジピンに対する耐性が上昇
②不安定狭心症に移行
③Coronary Steal Syndromeによるもの
この場合は③ではないかと考えた。
考察(2)
他の治療法は?
心機能が低下していなければ、予防時に
ベラパミルやジルチアゼムを使用する
↓
これらは過度に末梢動脈を拡張すること
がなく(血管選択性がないため)、
過度の頻脈を抑制する作用がある
目次
1. 狭心症の定義と症例
2. 薬の選択と副作用について
(1)Caアンタゴニスト
(2)ニトログリセリン
(3)症例の対処法
3.診断について
4.考察
5.問題と解答
問題
1. 副作用で反射性頻拍を起こさない薬は?
①nitroglycerin
②nifedipine
③propranolol
2. DHP 系の薬と併用すると作用が増強するもの?
①オレンジジュース ②グレープフルーツジュース
③青汁
3.日本で開発されなかったものは?
①ジルチアゼム ②ニコランジル ③ミノキシジル
④シルデナフィル ⑤青汁
解答
1. ③
2. ②
3. ③、④
クエスチョン・タイム
Hiroshi Igarashi
Chieko Kudo
fin
Yusuke Suzuki
Shuhei Nishiyama
Masanari Yoshimura
Masao Nakabayashi