セラミックス講義08回目 6月08日(火)スライド(pptファイル)

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セラミックス
第8回目
6月 8日(火)
ファインセラミックスの製造法
担当教員:永山 勝久
ニュ-セラミックスの特性支配因子
(-特性と構造の関係-)
セラミックスの特性[:図2.1参照]
構造特性・・・内部の気孔,粒子サイズ等のマクロ因子に依存[:構造敏感]
機能特性・・・原子配列,原子価,イオン半径,電子状態等のミクロ因子に依存
図2.1 セラミックスの特性支配因子
[1]セラミックスの焼結法
『焼結法(Sintering)とは何か』
[定義]:粉末成形体を融点以下の温度に加熱して、粉末粒子が互いに表面拡散
(界面拡散)
(凝着,融着)して、多結晶体に変化する現象
(1)焼結体(多結晶体)の分類[・・・焼成状態による分類]
①多孔質体(:ポ-ラス体)
←従来型セラミックス(窯業製品)
②普通焼結体
③緻密体(気孔:内部ガスの残存に起因した空隙のない焼結体)
・・・ニュ-セラミックス,ファインラミックス
物質創製科学
現状の材料のプロセスと既存核生成機構
○ 材料(物質)の製造(現状の材料プロセス)
(ex. 金属合金,半導体,無機,有機(含 医薬品)材料)
結晶成長(Crystal Growth)
気相プロセス(ex. 半導体,薄膜材料など)
液相プロセス(ex. 単結晶材料のMelt Growth)
固相プロセス(ex. メカニカルアロイング,粉末焼結)
(2)焼結過程
①焼結初期(:低温焼結)=焼結反応前期段階
・・・焼成前の粉末成形体と変化は殆どない状態
(粉末粒子間に大小の空隙(隙間)があり、気孔率は30~50%程
度の多孔体)
②焼結中期(:中温焼結)=焼結反応中期段階
・・・粉末粒子間の界面拡散反応が進行し成形体の収縮に伴う
気孔の減少が開始する
③焼結終期(:高温焼結)=焼結反応後期段階
・・・粉末粒子間の気孔が消滅し、結晶粒が成長する
(粉末粒子どうしの界面反応(拡散)に伴う粒成長の発生)
↓
ex.Al2O3セラミックスの焼結過程に伴う
①外観(成形体の形状)[:図3.4参照]
②内部変化(成形体の密度,収縮率)[:図3.5参照]
③組織(微細構造)変化[:図3.6参照]
図3.4 Al2O3セラミックスの焼成温度と
外観変化(左から1000,1200,
1400,1500,1600℃)
図3.5 Al2O3セラミックスの
焼成温度と(a)密度と
(b)収縮率
図3.6 Al2O3セラミックスの焼成温度と
内部微細構造の変化
(3)焼結による粉末粒子の形状変化(:焼結反応の概念)[:図参照]
焼結による粉末粒子の形状変化:緻密焼結体ニューセラミックスの生成過程
(a)焼結前期段階(低温焼結)
L”
:焼結前の成形体と変化なし
(b)焼結中期段階(中温焼結)
:粉末粒子どうしの界面拡散反応が進行し、気孔減少に伴う収縮の発生[:L→L’]
(c)
図1 セラミックス焼結体の緻密化機構
※さらに焼結が進行し(c)「焼結後期段
階(高温焼結)」になると粒子間の
気孔が消滅し、1つの球状粒子に成長する
[:直径L”の球体(L’→L”(L’>L”))]
ニュ-セラミックスの製造法
ニュ-セラミックスの製造法[:図3.1参照]
(1)一般的製造法
・・・多結晶・焼結法(:原料調整→成形→焼結:通常の工程)
(2)特殊製造法
①繊維製造法:複合材料へ利用(FRP、FRM)
②単結晶製造法[:図3.2,図3.3参照]
ガラス、すなわち
③結晶化ガラス製造法,④非晶質体製造法
アモルファスを利用
⑤薄膜製造法,⑥表面コ-ティング法
→ナノテク、
ナノマテリアルへ移行
薄膜プロセス
図3.1 ニュ-セラミックスの製造法
※単結晶製造法[CZ法:チョクラルスキ-(Czochralski)法]
単結晶の種子結晶を高周波溶解や抵抗加熱法によって加熱・溶融し、
下部に設置された溶融体と接触し、上部に引上げ種子結晶と同じ方位
を有する単結晶を成長させる
・・・半導体Si製造用装置(8インチ・ウエハ-作製用)
図3.3 CZ法で作製したBi12SiO20単結晶
図3.2 単結晶製造装置(チョクラルスキ-法)
[2]セラミックスの種々の焼結法
(1)ホットプレス法(Hot Pressing:HP法)[:図 参照]
:カ-ボン製の型に原料粉末を入れ、
高周波加熱によりカ-ボン型を加熱し
ながら加圧して焼結する方法
圧力:200~400kg/cm2
SiC :2000~2200℃
Si3N4:1700~1800℃
特徴:高温,短時間焼結が可能
(高純度,高密度の焼結体製造法 )
図 ホットプレス法
(2)反応焼結法(Reaction Sintering:RS法)
:固相の原料成形体に気相あるいは液相を化学反応させ、セラミックスの合成と
緻密化を同時に行い、焼結体を得る方法
ex.1)Si3N4の反応焼結:Si微粉末成形体を窒素雰囲気中で加熱・化学反応
3Si+2N2→Si3N4
ex.2)SiCの反応焼結:SiCの成形体とC粉末からなる成形体をSiの気相あるい
は液相と高温で反応させ、SiC+Siの焼結体を得る
(焼結体の気孔にSiが充填→緻密変化を促進)
(3)常圧焼結法(Pressureless Sintering:PLS法)
:大気圧下の各種雰囲気中で、焼結助剤(バインダ-)を用いて緻密に焼結させる
方法・・・一般的なセラミックスの焼結手法
特徴:複雑形状の焼結が可能で、生産性に優れる
(4)HIP法(Hot Isostatic Pressing)
:熱間静水圧焼結法と呼ばれ、不活性ガス雰囲気を圧力媒体として、周囲から等方
的に加圧しながら高温で焼結する方法
Si3N4のHIP法・・・圧力:2000気圧
温度:2000℃
(5)GPS法(Gass Pressure Sintering)
:ガス圧焼結法と呼ばれ、Si3N4の成形体を50~120気圧のN2雰囲気下で
1800~2000℃の温度で焼結する方法
(6)PS法(Post Sintering)
:2段焼結法と呼ばれる新しい焼結法で、反応焼結法と常圧焼結法を組み合せた
Si3N4の焼結法[・・・Si3N4の緻密化焼結法]
(7)化学気相析出法
(CVD:Chemical Vapor Deposition)
:加熱領域に原料ガスを導入して化学反応により非揮発性物質を基板上に析出させ
る方法[:図3.7参照]
特徴:①材料の融点より低い温度で合成できる
②高純度,高密度のものが合成できる
③2元素以上で構成される材料の組成制御が可能
④結晶構造を制御でき、特定の結晶面を配向可能
⑤粉体の粒径を制御できる
⑥焼結に必要な粘結剤や焼結助剤が不要
⑦複雑な形状の焼結体に被覆できる
⑧準安定状態の物質の合成が可能
⑨多層被覆が容易にできる
図3.7 CVD法による工程概念図
図3.8 各種セラミックスの焼結法の比較
一般的なニューセラミックスの製造工程
セラミックスの製造工程[:図3.9参照]
(1)原料調整
セラミックス原料粉末の製造工程
(2)成形
(3)焼成(焼結)
最終製品となる
「セラミックス焼結体
の特性支配因子」
*
*沈殿方法
①金属イオンを含む水溶液
+アンモニア水と混合
↓
②金属水酸化物を生成
ex)Al2O3の場合
Al2(OH)3:が水酸化アルミが出発原料
図3.9 セラミックスの製造工程と特性の関係
↓
(各製造工程における諸因子が、
③分解・仮焼させ原料酸化物を作製
焼結体(最終製品)の特性を支配する)
(ex.Al2O3人工原料粉末)
IC基板の製造工程
焼結・・・成形体を加熱・熱処理(:焼結)によって粒子同士の拡散を促進
→相互拡散の促進や緻密な焼結体を得るために焼結助剤の添加
ex.Si3N4の焼結・・・焼結助剤:MgO,Y2O3の添加
※焼結法によるファインセラミックスの製造プロセス[:図3.10参照]
①
②
③
④
[重要]
「ニューセラミックス
の製造工程」
*
①人工原料粉末の
成分調整・混合工程
(有機物系
↓
バインダー)
*
②成形体の作製
(焼結前工程)
*成形、焼結
↓
促進用添加剤
③焼結(焼成)工程
↓
④最終製品化
(仕上げ工程) 図3.10 焼結法によるファインセラミックス(IC基板)の製造プロセス
補足資料
ファインセラミックスの製造法
酸化物系セラミックス製品の内訳
(1)ファインセラミックス(ニュ-セラミックス):80%
①エレクトロニクスセラミックス(電子・磁気関連)
②エンジニアリングセラミックス(機械・構造用)
③バイオセラミックス(生体・生命科学・医療用)
(2)窯業製品:20%
①エレクトロニクスセラミックス
絶縁、誘電、圧電、半導体、
永久磁石、磁気記録材料
②エンジニアリングセラミックス
機械的機能を有するもの
耐摩耗、切削、耐熱材料など
③バイオセラミックス
生体適合機能を有するもの
人工骨、人工歯根材料など
人工骨:Ca3(PO4)2
バイオセラミックス
製造方法の飛躍的な進歩
(1) 微視的(ミクロ)構造の制御が可能
・・・電気・電子的機能特性に有効
(誘電性,圧電性,半導電特性等)
①添加元素効果
②焼結温度制御
(2) 巨視的(マクロ)構造の制御が可能
ファインセラミックスの原料粉末の条件(:成形体製造に対する最重要因子)
①粉末形状が等方的(真球形状が最適)
②粒径が均一かつ超微細
③高純度(人工原料)
④構成相を容易に制御できる
写真 ニューセラミックスの人工原料粉末