核生成理論

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セラミックス
第7回 6月4日(水)
セラミックスの製造法
[1]セラミックスの焼結法
『焼結法(Sintering)とは何か』
[定義]:粉末成形体を融点以下の温度に加熱して、粉末粒子が互いに表面拡散
(界面拡散)
(凝着,融着)して、多結晶体に変化する現象
(1)焼結体(多結晶体)の分類[・・・焼成状態による分類]
①多孔質体(:ポ-ラス体)
←従来型セラミックス(窯業製品)
②普通焼結体
③緻密体(気孔:内部ガスの残存に起因した空隙のない焼結体)
・・・ニュ-セラミックス,ファインラミックス
(2)焼結過程
①焼結初期(:低温焼結)=焼結反応前期段階
・・・焼成前の粉末成形体と変化は殆どない状態
(粉末粒子間に大小の空隙(隙間)があり、気孔率は30~50%程
度の多孔体)
②焼結中期(:中温焼結)=焼結反応中期段階
・・・粉末粒子間の界面拡散反応が進行し成形体の収縮に伴う
気孔の減少が開始する
③焼結終期(:高温焼結)=焼結反応後期段階
・・・粉末粒子間の気孔が消滅し、結晶粒が成長する
(粉末粒子どうしの界面反応(拡散)に伴う粒成長の発生)
↓
ex.Al2O3セラミックスの焼結過程に伴う
①外観(成形体の形状)[:図3.4参照]
②内部変化(成形体の密度,収縮率)[:図3.5参照]
③組織(微細構造)変化[:図3.6参照]
図3.4 Al2O3セラミックスの焼成温度と
外観変化(左から1000,1200,
1400,1500,1600℃)
図3.5 Al2O3セラミックスの
焼成温度と(a)密度と
(b)収縮率
図3.6 Al2O3セラミックスの焼成温度と
内部微細構造の変化
(3)焼結による粉末粒子の形状変化(:焼結反応の概念)[:図参照]
焼結による粉末粒子の形状変化:緻密焼結体ニューセラミックスの生成過程
(a)焼結前期段階(低温焼結)
L”
:焼結前の成形体と変化なし
(b)焼結中期段階(中温焼結)
:粉末粒子どうしの界面拡散反応が進行し、気孔減少に伴う収縮の発生[:L→L’]
(c)
図1 セラミックス焼結体の緻密化機構
※さらに焼結が進行し(c)「焼結後期段
階(高温焼結)」になると粒子間の
気孔が消滅し、1つの球状粒子に成長する
[:直径L”の球体(L’→L”(L’>L”))]
ニュ-セラミックスの製造法
ニュ-セラミックスの製造法[:図3.1参照]
(1)一般的製造法
・・・多結晶・焼結法(:原料調整→成形→焼結:通常の工程)
(2)特殊製造法
①繊維製造法:複合材料へ利用(FRP、FRM)
②単結晶製造法[:図3.2,図3.3参照]
ガラス、すなわち
③結晶化ガラス製造法,④非晶質体製造法
アモルファスを利用
⑤薄膜製造法,⑥表面コ-ティング法
→ナノテク、
ナノマテリアルへ移行
薄膜プロセス
図3.1 ニュ-セラミックスの製造法
※単結晶製造法[CZ法:チョクラルスキ-(Czochralski)法]
単結晶の種子結晶を高周波溶解や抵抗加熱法によって加熱・溶融し、
下部に設置された溶融体と接触し、上部に引上げ種子結晶と同じ方位
を有する単結晶を成長させる
・・・半導体Si製造用装置(8インチ・ウエハ-作製用)
図3.3 CZ法で作製したBi12SiO20単結晶
図3.2 単結晶製造装置(チョクラルスキ-法)
物質創製・科学研究
現状の材料のプロセスと既存核生成機構
○ 材料(物質)の製造(現状の材料プロセス)
(ex. 金属合金,半導体,無機,有機(含 医薬品及び
タンパク質結晶)材料)
結晶成長(Crystal Growth)
気相プロセス(ex. 半導体,薄膜材料など)
液相プロセス(ex. 単結晶材料のMelt Growth)
固相プロセス(ex. メカニカルアロイング,粉末焼結)
核生成(Nucleation)
※ 全ての材料の結晶成長の前駆段階としての
統一的現象および理論
(固相法の場合は,界面 growth 、界面成長が支配)
既存・核生成理論(核生成機構)
1. 均一核生成(Homogeneous Necleation)
・・・理想状態下で生じる本来の核生成現象
2. 不均一核生成(Heterogeneous Necleation)
・・・通常の材料製造・作製時における核生成現象
(ex. 基板上への薄膜作製,液相からの結晶作製(←溶融・凝
固)
※ 核生成理論の推移
1926年:Volmer, Weber (Z. Phys. Chem, 119 (1926) 277.
1950年:D. Turnbull (J. Chem. Phys., 18 (1950)198.
既存核生成理論
核生成に対 表面自由エ
する駆動力 ネルギー項
体積自由エ
ネルギー項
均一核生成 ・・・
不均一核生成・・・
ΔG(T, r)
r
σLS
ΔGv
θ
: 核生成に伴う系の自由エネルギー変化
: 核の半径
: 固-液間における界面エネルギー
: 温度 T における単位面積当たりの固-液間における
自由エネルギーの差
: 異種固相上に形成された凝固相(結晶化する液相)
のなす角・・・異種固相(不均一核生成サイト)と液相
(核生成する凝固相)との接触角(濡れ角)
θ: 異種固相上に形成された凝固相(これから結晶化する液相)のな
す角
・・・異種固相(不均一核生成サイト)と液相(核生成する凝固相)との
接触角(濡れ角)
異種固相に対してθ≒ 180°ならば,均一核生成として扱える.
既存「核生成理論」(Nucleation Theory)
均一核生成,不均一核生成ともに;
安定(平衡)結晶の成長のみを仮定した統一的理論
21世紀の材料科学(物質科学:Materials Science)
における新たな展開
1. 従来の安定平衡物質(製造,材料物性)の延長でよいか?
2. 既存概念にない新たな構造と物性を発現する.
⇒ 新物質創製(≡非平衡相,非平衡物質)の探索
既存核生成理論に変わる
新たな『非平衡相の核生成理論』構築の必要性