9 - 環日本海域環境研究センター 生体機能計測研究部門

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A-9
針状磁気プローブによる神経モデル
からの信号検出の可能性
環日本海域環境研究センター
発表者
:Hoang Thi Thu Ha
指導教員:山田 外史 教授
目次
1.
研究背景および目的(数μAオーダの神経信号の検出)
2.
神経信号(活動電流の発生)
3.
神経モデルの作製
4.
針状磁気プローブ
5.
神経信号の電流源および計測系システム
6.
信号検出の実験および結果・評価
7.
まとめおよび今後の課題
1. 研究背景および目的
神経が刺激された時、電気的な信号
が発生し、伝達されていく
医療応用
検出・測定
神経組織の病気の診断・治療
電位差の計測
神経モデル
磁気検出
磁気検出
電極による心電図・
Squidsによる心磁図・
脳電図など針状磁気プローブ 脳磁図
針状プローブによる神経に極めて近い距離で、
低侵襲・超小形・高感度の
どちらでも神経から離れた位置での検出なので
センサ素子
数μAオーダの微弱な電流の検出
得られた信号は広域な信号源から重なった信号
2. 神経の活動電流の発生
+++
細胞外
- - - 細胞内
-i
細胞外
Axon
-B
B
+++
---
Node
of
1μm
Ranvier
細胞外
+++
細胞内
---
i
細胞外
1~2mm
Myelin
図2 活動電流の発生
図1 神経細胞の構造
3.モデルの作製

シリコン板(厚さ:約2.5mm)に直径200μmの穴を一定の間隔であ
け, 直径20μmの銅線を編んでいく
センサ
z
B
I
-I
-B
I
B
x
y
-B
-I
I
B
-B
-I
図3 実際作製した神経モデルの空間的な図面
3.1 作製したモデルの磁界分布


l=1.0mm
d=2.45mm
s=0.2mm I
d
y (μm)
モデル化にした部分
s

穴の大きさ :s=200μm
板の厚さ
:d=2.5mm
銅線の直径 :20μm(人間の神経線維の太さ)
測定位置 :y0=20μm
l

-I
y01
(0,0,0)
y02
z (μm)
図4 神経モデルの上面図
x (μm)
4.針状磁気プローブ
神経信号が電流双極子
センサ素子を極めて近い距離
(1mm以下)で測定する必要がある
プローブコネクタ
針&センサ素子
Cover
Length
15 mm
センシング軸

針が幅数十μm、長さ20mmで生体に
低侵襲で体内に挿入し測定可能
針状磁気プローブの先端にミクロン
オーダの大きさ・高感度の巨大磁気抵
抗効果(GMR)センサ素子付き
40 m
75 m

図5 針状磁気プローブ
5.神経信号の電流源および
5.1.神経信号の電流源回路
計測系システム
発信器に抵抗値の高い可変抵
+周波数 :1kHz; duty:20%
抗を取り付け、理想電流源として
微弱な電流(数百A~数μAの
+パルス信号:1~10V
オーダの電流)を流す
神経モデル
+抵抗器Rm :100kΩ~1MΩ
I
Rm
osilloscope
E
v[V] 10
0
r
GMR sensor
amp
0 2 4 6 8 10
t[s]
104
L
図6 理想電流源&神経モデルの電気等価回路
5.2.計測系システムの組み立て
センサ
マイクロメーター
神経モデル
図7 計測系システムの図面
z
y
図8 x,y,z方向の距離の微調整
(約10μm)システム
x
6.1. モデルに発生した磁界の解析
6. 信号検出の方法・結果・評価
銅線に発生した磁束密度Bz の理論値は
ビオ・サバールの法則により計算された
B センシング-B y (μm)
B
位置
l
s

-I
d
I
-I I
-B
l=1.0mm
d=2.45mm
モデル化にした部分
s=0.2mm
y01 -I
yI02
-I y03
I
x (μm)
(0,0,0)
z (μm)
測定範囲
図10 神経モデルおよび測定座標系
図9 神経の伝達信号の磁界分布
 
 μ i dl  r
dB 
4π r 3

dB:被測定点の磁束密度
r :距離

i ・ dl:電流素
6.2. 磁束密度Bzの
実験値と理論値との比較
x 10
-7
Flux density Bz
1.5
Bz
1
0.5
Bz
0
0
x
-0.5
-1
-1.5
1.4
y[mm]
1.3
0
0.5
x[mm]
1
6.3 測定結果1

電流 i =5μAのパルス信号

yo :神経モデルからセンサ素子
までのy方向の距離
0.04
磁束密度Bz[μT]
0.03
0.02
i =5μA、yo =20μm
実験値
理論値
0.01
0
-0.01 0
100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
-0.02
-0.03
-0.04
x 方向の距離[μm]
図11 5μAの入力信号による検出信号の磁束密度の変化
I [uA ]
6.4 入力・検出信号の波形
10
5
0
2
4
6
8
t [s ]
10
8
t [s ]
10
12
14
x 10
-4
( a)
U out [m V ]
60
40
20
0
-20
2
4
6
( b)
12
14
x 10
図12 10μAの方形波を流した時の検出された信号の波形
-4
6.5 測定結果2
12
10
検出信号の電圧 V [mV]
検出信号の電圧 V [mV]
14
8
6
4
2
0
i=100μA
5
4
3
2
1
0
0
20
40
60
80 100 120 140 160 180 200
正弦波の入力電流 i [μA]
図13 入力信号の振幅の変化による
検出信号の変化
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900 1000
周波数 f [Hz]
図14 入力信号の周波数の変化による
検出信号の変化
7.まとめおよび今後の課題
◆まとめ

神経モデルを作製し、針状磁気プローブを用いて微弱な電流の検出を検討した

磁気プローブ&神経モデルの位置設定および計測系システムを考えた

針状磁気プローブによる5μAオーダの微弱な電流を検出可能であった

入力信号の周波数に依存せず、電流の振幅に比例する微弱な信号の検出ができた
◆今後の課題

検出した信号にのったノイズをできれば小さくする

計測系システムの正確度を改善する

実際の動物実験行う必要がある
検出信号の電圧 V [mV]
6.7 測定結果5
i=100μA
5
4
3
2
1
0
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900 1000
周波数 f [Hz]
図15 正弦波の入力信号の周波数の変化による検出信号の変化