パターン化した希土類薄膜磁石 - Ceramics Research Laboratory

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高速熱処理結晶化Nd-Fe-B系薄膜永久磁石
背景
最近では携帯電話に代表されるような電子機器の軽薄短小化に伴い、高性能な希土類永久磁石において小型化、高性能化が進められている。
本研究室ではスパッタリング法などによる薄膜永久磁石の研究を行っている。この薄膜磁石は、狭い空間で強い磁場を必要とするマイクロ磁
気デバイスやマイクロマシンの分野においてアクチュエータやセンサなどへの応用が期待されている。しかし薄膜磁石では膜法線方向に強い
反磁界が働くために高保磁力と高い角形比が必要とされ、なおかつある程度の磁束を発生させることが必要である。
Nd-Fe-B系磁石
Nd-Fe-B系磁石は、主に焼結法で作製されており、現在最も強力な永久磁石として使用されている。
薄膜永久磁石に求められる条件
面直方向に強い磁化が発生する
大きな磁化、高保磁力特性:バルク体同様、単磁区粒子で磁壁をもたない微構造
Nd-Fe-B系磁石の高保磁力機構はその微細構造に大きく依存していると考えられている。
Nd2Fe14Bは結晶構造上c軸方向に
磁化されやすい(垂直磁気異方性)
磁性体の磁化機構は、磁壁の移動と磁化の回転
により起こるが、 Nd2Fe14B相は粒内では磁壁が
大変動きやすいため、一方向に着磁した磁石に逆
磁場を印加すると、結晶粒内に逆磁区の芽が発生
し磁壁移動により磁化の反転が生じてしまう。
垂直磁気特性のためには膜法線方向に磁化容易軸
を配向させる。(〈00n〉に結晶成長させる)
単磁区粒子で磁壁をもたない微構造でなけ
ればならない。
Fig. Crystal structure of Nd2Fe14B
スパッタリング法
製膜
薄膜永久磁石の作製方法
スライドガラス
基板加熱型
基板電極
基板を加熱しながら結晶化させる方法
Mo基板
配向制御に適するため再現性が高い
Nd-Fe-B薄膜
熱処理結晶化型
ターゲット
あらかじめ冷却された基板上に形成した非晶質膜を熱処理して結晶質
膜を形成させる方法
Tiコーティング層
ターゲット電極
粒径制御に適するため単磁区粒径に制御し、高い磁気特性が
得られる
レーザーアニーリング法
レーザー照射前の膜の特性
Intensity (a.u)
KrFエキシマレーザ(波長:248 nm )
パルス幅:20 ns
照射回数:1回
エネルギ密度:0.4 J/cm2
→エネルギー密度の最適化
(00n)の結晶成長
2θ(degree)
Nd-Fe-B薄膜
レーザー照射後の膜の特性
Intensity (a.u)
熱処理
非晶質膜を製膜する
2θ(degree)
レーザー照射
レーザー照射により瞬時に
非晶質膜を結晶化させる
垂直磁化特性出現
薄膜磁石の応用が磁気記録媒体
やセンサ、半導体素子との集積化
などへ大きく広がる
H(kOe)
パターニング磁石の作製
ステンレス製線状スリットを用いてレーザー
アニールすることで磁気パターンを作製
パターニング磁石の磁気特性
磁気光学インディケーターによる磁気パターンの観察
磁気光学薄膜
Nd-Fe-B膜
結晶質(硬磁性)
Intensity (a.u)
レーザーアニールによるパターニング磁石
H(kOe)
非結晶質(軟磁性)
2θ(degree)
センサ材料に期待
マスク
100μm
H(kOe)
Nagoya Institute of Technology Ceramics Research
Laboratory
H(kOe)
2500μm
Fig. Magnetooptical Image of Nd-Fe-B film patterned by laser annealing