12/23講義資料

Download Report

Transcript 12/23講義資料

日本と東アジア貿易専題研究(一)
日本對東亞貿易專題研究(一)
1
今日学ぶこと
教科書:伊藤元重(2005)『ゼミナール国際経済入門』
日本経済新聞社。
第5章 国際貿易の基本構造
Ⅱ. 貿易の基礎理論←12/16
Ⅲ. 産業内貿易の理論← 12/16 、12/23
テクニカル・コラム←12/23
第6章 変貌する通商システム
Ⅴ. 規模の経済性の下での貿易←12/30
2
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●輸出企業の採算レート
⇒輸出企業の利益がゼロとなるような為替レー
トを採算レートという。
⇒採算レートは産業部門によって異なる。
⇒例えば、ある産業の採算レートを100円/ドル
とする。為替レートが円高となり、90円/ドルと
なれば、この産業は生き残れなくなる。
⇒円高が続くと国際競争力を失い、この産業は、
輸出産業から輸入産業に変わっていく。
3
4
顕示比較優位指数(RCA:Revealed
Comparative Advantage)
●比較優位の推移
⇒比較優位は時間とともに変化します。
⇒比較優位構造は、RCAによって推計されます。
●顕示比較優位指数(RCA:Revealed Comparative
Advantage)
⇒ある国がある地域との貿易においてどのくらい比較
優位を持っているかを表す指数。
⇒RCAが1よりも大きいとき、その国は当該輸出財に
比較優位を持つ。
5
顕示比較優位指数(RCA)
●日本の機械産業の東アジアにおける比較優位の度
合い
⇒RCA指数=(①/②)/(③/④)
①/②:日本の東アジアへの総輸出額に占める機械の
輸出額の割合。
①=日本の機械の東アジアへの輸出額
②=日本の東アジアへの総輸出額(全産業)
③/④:日本の世界への総輸出額に占める機械の輸出
額の割合。
③=日本の機械の世界への輸出額
④=日本の世界への総輸出額(全産業)
6
7
8
9
10
11
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●貿易構造の変化とGNP
⇒輸入額=平均輸入性向×GNP
平均輸入性向:GNPのうちどれだけが輸入に
支出されたかを表す指標。平均輸入性向が
0.2のとき、GNPの20%が輸入財に支出され
ている。
12
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●貿易構造の変化とGNP
日本:輸入額J=平均輸入性向J×GNPJ
アメリカ:輸入額U=平均輸入性向U×GNPU
輸入額J:日本がアメリカから輸入した額(アメリ
カが日本に輸出した額)。
輸入額U:アメリカが日本から輸入した額(日本が
アメリカに輸出した額)。
●貿易収支の均衡
⇒日本の対米輸出額(輸入額U)=日本の対米
輸入額(輸入額J)
13
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●貿易構造の変化とGNP
日本:輸入額J=平均輸入性向J×GNPJ
アメリカ:輸入額U=平均輸入性向U×GNPU
⇒貿易収支が均衡するとき、
⇒平均輸入性向J×GNPJ=平均輸入性向
U×GNPU
⇒GNPJ/GNPU=平均輸入性向U/平均輸入性
向J
⇒日本とアメリカのGNPの比は、平均輸入性向
の比で表される。
14
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●貿易構造の変化とGNP
⇒アメリカ人の日本製品への輸入性向が高まっ
た場合、日本のGNPは相対的に増えるでしょ
うか?
⇒(GNPJ/GNPU)↑=平均輸入性向U↑/平均輸入
性向J
⇒日本人のアメリカ製品への輸入性向が高まっ
た場合、日本のGNPは相対的に増えるでしょ
うか?
15
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●貿易構造の変化とGNP
⇒ GNPJ/GNPW=平均輸入性向W/平均輸入性
向J
GNPJ/GNPW:日本のGNPの世界シェア
GNPW:世界のGNP
平均輸入性向W:世界のGNPに占める輸入の
割合。
⇒表5-7には、日本、アメリカなどのGNPの世界
シェアの推移が記されています。
16
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●貿易構造の変化とGNP
⇒表5-7を見ると、日本の1955年のGNPの世
界シェアは、2.2%でした。
⇒ GNPJ/GNPW=平均輸入性向W/平均輸入性
向J
=0.022
⇒GNPの世界シェアが低かった理由は、世界
の日本からの平均輸入性向が低く、日本の
世界からの平均輸入性向が高かったからで
ある。
17
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●GNPの世界シェアが低かった理由
⇒1955年ころは、繊維などの軽工業に比較優
位があった。しかし、繊維業は世界各地であ
り、世界の日本からの輸入性向は低かった。
⇒鉄鉱石や石油などの一次産品や機械設備な
どの世界からの輸入性向が高かったからで
ある。
⇒同じ時期のアメリカのGNPの世界シェアは、
36%以上もあった。
18
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●貿易構造の変化とGNP
⇒高度成長とともに、日本の輸出構造が変化し
た。
⇒輸出品目が軽工業から高付加価値の重化学
工業へと変化した。
⇒日本の世界からの輸入性向よりも世界の日
本からの輸入性向の方が早く成長した。
⇒日本のGNPの世界シェアが上昇した。
19
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●ヘクシャー・オリーン(Hechsher and Ohlin)
の貿易理論
⇒各国の生産要素の賦存量の格差が貿易の
重要な決定要因となる。
⇒生産要素とは、労働、土地、資本などである。
⇒この理論によると、技術格差がなくても要素
賦存格差で貿易が生じる。
20
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●ヘクシャー・オリーンの貿易理論
⇒アメリカには、土地が広大にあるが、日本に
は稀少である。
⇒土地と労働の比率、土地/労働を考える。
⇒(アメリカの土地/労働)>(日本の土地/労働)
⇒アメリカは相対的に土地が豊富にあり、日本
は相対的に労働が豊富にある。
⇒アメリカは相対的に地代が安く、日本では相
対的に高い。
⇒アメリカでは相対的に賃金が高く、日本では
21
安い。
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●ヘクシャー・オリーンの貿易理論
⇒アメリカは相対的に地代が安く、日本では相
対的に賃金が安い。
⇒日本は労働集約財(工業品)に比較優位を持
つ。アメリカは土地集約財(農産物)に比較優
位を持つ。
⇒日本は工業品を輸出し、農産物を輸入する。
⇒アメリカは工業品を輸出し、農産物を輸入す
る。
22
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●ヘクシャー・オリーンの貿易理論の問題点
⇒オランダは日本より少し面積が大きいくらい
の小国である。
⇒しかし、花市場において世界の60%以上の輸
出シェアを占めている。
⇒花は土地集約財であり、 ヘクシャー・オリー
ンの貿易理論ではこの事実を説明できない。
23
Ⅱ. 3. 比較優位理論の展開
●要素価格均等化
⇒相対的に土地が豊富に存在する中国のよう
な国と相対的に資本が豊富に存在する日本
が貿易をすれば、地代と賃金率は均等化す
る。
⇒もちろん、自由貿易の下で。
⇒貿易前の日本の地代は中国よりも高い。
⇒農産物貿易を自由化すれば、理論的には、
日本の地代は下落する。中国の地代は上昇
する。
24
Ⅲ. 産業内貿易の理論
●産業内貿易
⇒同じ財の分類に入る商品が一方で輸出され
ると同時に他方で輸入されるという現象。
●産業間貿易と比較優位
⇒工業品と農産物のような異なる産業間の貿
易は、比較優位で説明できたが、
⇒同じ産業内の貿易は比較優位では説明しに
くい。
25
Ⅲ. 産業内貿易の理論
●産業内貿易の規模の計測(313頁)
⇒Grubel-Lloyd指数(G-L指数)
これは、ある国の貿易額に占める産業内貿易
の規模を表す指数である。
⇒GL=(X+MーIX-MI)/(X+M)×100
X:輸出額、M:輸入額、 IX-MI:輸出額と輸入額
の差の絶対値
⇒G-L指数が100に近いほど、産業内貿易の規
模が大きいと考える。
26
Ⅲ. 産業内貿易の理論
●産業内貿易の規模の計測(313頁)
⇒GL=(X+MーIX-MI)/(X+M)×100
X:輸出額、M:輸入額、 IX-MI:輸出額と輸入額
の差の絶対値
⇒日本がアメリカに毎年100億円の自動車を輸
出し、同額の自動車をアメリカが日本に輸出
しているとき、G-L指数は100となる。
⇒G-L指数が100に近いほど、産業内貿易の規
模が大きいと考える。
27
Ⅲ. 産業内貿易の理論
●産業内貿易の規模の推移(313ページ)
⇒多くの先進国では、産業内貿易の規模は高
い。
⇒日本は無資源国、オーストラリアは資源豊富
国。
⇒日本やオーストラリアのように資源賦存量が
他国に比べて際立って異なる国は、産業内
貿易の規模が小さい。
28