Transcript 発表資料
目次
■テーマ設定の背景
■現状分析
■先行研究
■疑問点
■仮説
■分析
■インプリケーション
■参考文献
2
2010/12/04
なぜネットショッピング・・・
3
2010/12/04
4
2010/12/04
現状分析Ⅰ
2000年:ネットストアスタート
2006年:スタート時の売り上げの12倍(約50億円)
実店舗で最大の売り上げを誇る有楽町店(年間約40億)を超える
結果的に、webと実店舗がカニバリゼーションではなく、
シナジー効果(相乗効果)を引き起こした
5
2010/12/04
現状分析
6
2010/12/04
現状分析Ⅱ
□ネットショッピングの利用頻度
出典:マクロミル(2009)
7
2010/12/04
プレアンケート
Q:ネットショッピングをしたことがある?
Yes!!
70%
No...
30%
Q:今までどのくらいネットショッピングをしたことがある?
①1~2回
>
②3~5回
> ③~10回 > ④10回以上
アンケート概要
対象:大学生123人(男女比1:1)
実施日:2010/08/06~08
8
2010/12/04
ライトユーザーをヘビーユーザーへ
9
2010/12/04
7割が利用経験あり
なぜリピーターにならないのか
ネットショッピング=利便性のあるサービス
なにか利用を妨げている要因があるのだろうか?
10
2010/12/04
なんで
ネットショッピングしないの・・・
11
2010/12/04
なにが不満ですか?
送料が
高いんだよな・・・
実際に商品を
見れないのは
不安よ
商品が届くまでに
時間がかかるんじゃのぉ
登録とか面倒だし、
個人情報って大丈夫かしら
マクロミル(2009)の調査より一部抜粋
12
2010/12/04
不満
=
ネットショッピング利用を妨げる
・・・・これっていったいなに?
13
2010/12/04
先行研究
14
2010/12/04
先行研究
Sandra(2003)
知覚リスク
■金銭的リスク
■製品パフォーマンスのリスク
■時間・利便性のリスク
■心理的リスク
■社会的リスク
■物理的リスク
ネットショッピングに
おけるリスク
ネットショッピングには
関わらないリスク
15
2010/12/04
知覚リスク Sandra(2003)
■金銭的リスク
顧客にとっての金銭的な純損失。クレジットカードが悪用される可能性。
■製品パフォーマンスのリスク
オンライン上で製品の品質をきちんと確認できないため、正確な判断が
できない。製品に触れて感じて試せない。
■時間・利便性のリスク
適切なウェブサイトを見つけ出したりする際の面倒。
製品の受け取りの遅れのために被る時間や利便性のロス。
16
2010/12/04
どのように
「知覚リスク」に
対処するか
17
2010/12/04
知覚リスクの3つの処理方法
1.知覚リスクを減少させる
2.リスクを上回るベネフィットを探す
3.リスクを無視する(冒険)
神山進(1997)『消費者心理と行動』
18
2010/12/04
中谷(2002)
買物行為について
ネットショッピングは
利便性のあるサービス
But
買い物の本質は
エンターテイメント
19
2010/12/04
今のネットショッピングにないもの
・・・・・快楽性・・・・
20
2010/12/04
□井上(2007)
買物動機について
快楽的買物動機
功利的買物動機
快楽的買物動機により
知覚リスクを乗り越えることができるのでは
21
2010/12/04
□井上(2007)
ベネフィット=快楽的買物動機
買物動機について
快楽的買物動機を、
買物の楽しみ方によって分類
思いやり型ショッピング
役割遂行型ショッピング
役割遂行型ショッピング
価値追求型ショッピング
社交型ショッピング
アイデア型ショッピング
流行型ショッピング
リラクゼーション型ショッピング
気分転換型ショッピング
冒険型ショッピング
無計画型ショッピング
22
2010/12/04
疑問点
23
2010/12/04
疑問点
■快楽的買物動機が知覚リスクを乗り越え
るベネフィットになり、ネットショッピングの利用
が増加するのではないか
■どのような快楽的ショッピングが、知覚リスク
を乗り越えるベネフィットとなり得るのか
24
2010/12/04
快楽的買物動機の有効性を検証するために
情報探索と比較していく
野島(2003)
■情報探索とは、知覚リスク削減策のうちのひとつ
■知覚リスクを感じる人は、能動的に情報を収集する
■快楽的要素は含まず、功利的買物動機に分類できる
25
2010/12/04
仮説
26
2010/12/04
仮説
ベネフィットにより、再購買意欲が形成される
1.快楽的買物動機は、
知覚リスクを上回るベネフィットとなりうる
2.情報探索のみ行っている場合よりも、
快楽的買物動機が存在する場合の方が、
より知覚リスクを感じなくなる
3.男女で知覚リスクの感じ方が異なる
27
2010/12/04
アンケート概要
■アンケート対象:大学生
■調査実施期間:10/22~11/04
■有効回答数:n=184(男性n=94・女性n=90)
問1:デモグラフィック属性
問2:ネットショッピング利用時において感じる知覚リスク
仮説3の検証
問3:シチュエーションA:金銭的リスク
送料が決められており知名度があるが、
仮説1,2の検証
返品制度や実店舗がない
シチュエーションB:製品パフォーマンスのリスク
送料は無料だが知名度がなく、
返品制度や実店舗がない
シチュエーションC:時間・利便性のリスク
送料が無料で実店舗があるが、
知名度や返品制度がない
28
2010/12/04
分析
29
2010/12/04
分析手順
1.項目分析
2.下位尺度の信頼性分析
3.分散分析
■それぞれのリスクを感じている状態で、
情報探索よりも有効な値を示すショッピングがあるか
どうか比較する(仮説2)
■男女で感じるリスクが異なるか
どうか比較する(仮説3)
30
2010/12/04
仮説2の検証
2.情報探索のみ行っている場合よりも、
快楽的買物動機が存在する場合の方が、
より知覚リスクを感じなくなる
31
2010/12/04
1.街中の実店舗で商品の現物を確認することができない
情報探索
2.専門家による評価があり、他サイト・雑誌で紹介されている。
3.消費者による、商品や取引に関する評価がある(コミュニティ、口コミサ
イト等)。
4.商品の在庫状況や、配送方法、納期が明確である。
5.個人情報取扱規定の掲載がある。
6.そのサイトで特売品を探すことは楽しい。
7. 質がよいものが見つかるので楽しい。
8.気に入った商品が見つかるまで探すのが楽しい。
9.喜ばれるプレゼントが見つかるのでうれしい。
10.友人や家族など特別な人に特別なものを買うことができるので気分が良
くなる。
11.思い通りのプレゼントが見つかるので楽しい。
12.コミュニティでの他人とのやり取りが楽しい。
価値追求型ショッピング
思いやり型ショッピング
下位尺度の作成
問3
(A・B・C)
13.他人との絆を確認するために、そのサイトのコミュニティに行く。
14.コミュニティで、有益な情報を得ることは楽しい。
15.流行のファッションについていけるため楽しい。
16.どのような新製品がそこで手に入るのか確認することができるため楽し
い。
17.未知の製品を知ることができるため楽しい。
18.気分転換できたり、ストレスを解消したりできる。
19.そのサイトでの買物は一種の冒険であり、何らかのスリルを味わうこと
ができる。
気分転換型ショッピング
20.そのサイトで買物すると、自分の世界に浸ることができる。
無計画型ショッピング
21.後先考えずに買物できるのが楽しい。
22.お勧めや、限定商品が多くあるので楽しい。
23.目的の商品なしに、そのサイトを訪問して買ってしまうのが楽しい。
32
2010/12/04
仮説2の検証
内的整合性を検討
⇒各下位尺度に含まれる項目についてα係数を算出
金銭的リスクを感じる状態
□情報探索
□価値追求型ショッピング
□思いやり型ショッピング
□社交型ショッピング
□流行型ショッピング
□気分転換型ショッピング
□無計画型ショッピング
33
0.83
0.86
0.90
0.80
0.85
0.78
0.74
2010/12/04
仮説2の検証
内的整合性を検討
⇒各下位尺度に含まれる項目についてα係数を算出
製品パフォーマンスのリスクを感じる状態
□情報探索
□価値追求型ショッピング
□思いやり型ショッピング
□社交型ショッピング
□流行型ショッピング
□気分転換型ショッピング
□無計画型ショッピング
34
0.80
0.85
0.93
0.82
0.81
0.80
0.79
2010/12/04
仮説2の検証
内的整合性を検討
⇒各下位尺度に含まれる項目についてα係数を算出
時間・利便性のリスクを感じる状態
□情報探索
□価値追求型ショッピング
□思いやり型ショッピング
□社交型ショッピング
□流行型ショッピング
□気分転換型ショッピング
□無計画型ショッピング
35
0.71
0.83
0.92
0.78
0.81
0.81
0.75
2010/12/04
仮説2の検証
金銭的リスク
「情報探索よりも
快楽的動機があった方が
利用する」
平
均
値
情
報
探
索
シ価
ョ値
ッ追
ピ 求
ン 型
グ
シ思
ョい
ッや
ピ り
ン 型
グ
シ社
ョ交
ッ型
ピ
ン
グ
2.情報探索のみ
行っている場合よりも、
快楽的買物動機が
存在する場合の方が、
より知覚リスクを感じなくなる
シ 流シ 気シ 無
ョ行 ョ分 ョ計
ッ型 ッ転 ッ画
ピ 換ピ 型
ピ
ン 型ン
ン
グ
グ
グ
36
2010/12/04
仮説2の検証
製品パフォーマンスのリスク
○
「情報探索よりも
快楽的動機があった方が
利用する」
平
均
値
情
報
探
索
シ価
ョ値
ッ追
ピ 求
ン 型
グ
シ思
ョい
ッや
ピ り
ン 型
グ
シ社
ョ交
ッ型
ピ
ン
グ
シ 流シ 気シ 無
ョ行 ョ分 ョ計
ッ型 ッ転 ッ画
ピ 換ピ 型
ピ
ン 型ン
ン
グ
グ
グ
2.情報探索のみ
行っている場合よりも、
快楽的買物動機が
存在する場合の方が、
より知覚リスクを感じなくなる
37
2010/12/04
仮説2の検証
時間・利便性のリスク
「情報探索よりも
快楽的動機があった方が
利用する」
平
均
値
情
報
探
索
シ価シ思
ョ値 ョい
ッ追 ッや
ピ 求ピ り
ン 型ン 型
グ
グ
シ社
ョ交
ッ型
ピ
ン
グ
シ 流シ 気シ 無
ョ行ョ分ョ計
ッ型ッ転ッ画
ピ 換ピ 型
ピ
ン 型ン
ン
グ
グ
グ
2.情報探索のみ
行っている場合よりも、
快楽的買物動機が
存在する場合の方が、
より知覚リスクを感じなくなる
38
2010/12/04
仮説1,2の検証
製品パフォーマンスのリスクにおいて
情報探索よりも
快楽的買物動機
が有効
(価値追求型ショッピング・思いやり型ショッピング)
仮説
○
○
1.快楽的買物動機は、
知覚リスクを上回るベネフィットとなりうる
2.情報探索のみ行っている場合よりも、
快楽的買物動機が存在する場合の方が、
より知覚リスクを感じなくなる
39
2010/12/04
仮説3の検証
3.男女で知覚リスクの感じ方が異なる
40
2010/12/04
下位尺度の作成
8.通信費や送料がかかる。
金銭的リスク
9.クレジットカードが悪用される。
10.商品選択を間違えて、損をするかもしれない。
問2
製品パフォーマンス
のリスク
時間・利便性
のリスク
11.商品の質感が伝わりにくい。
12.店員の詳しい話が聞けない。
13.商品を使いこなせない(着こなせない)かもしれない。
14.注文手続き(個人情報の入力など)が面倒である。
15.注文したものが届かないかもしれない。
16.個人情報が漏洩する恐れがある。
41
2010/12/04
仮説3の検証
内的整合性を検討
⇒各下位尺度に含まれる項目についてα係数を算出
□金銭的リスク
□製品パフォーマンスのリスク
□時間・利便性のリスク
42
0.47
0.71
0.71
2010/12/04
仮説3の検証
交互作用が有意ではなかった
F(1.92,349.58)=1.35,n.s.
リスクごとの主効果が有意である
F(1.92,349.58)=38.35,p<.001
性別の主効果が有意である
F(1,182)=10.15,p<.01
男女ともに
製品パフォーマンスのリスクを
最も強く感じていることが分かった
しかし、差はあるが
感じ方は異なっていない
金
銭
的
リ
ス
ク
の
リ
ス
ク
製
品
パ
フ
ォ
ー
マ
ン
ス
の
リ
ス
ク
時
間
・
利
便
性
×
3.男女で知覚リスクの
感じ方が異なる
43
2010/12/04
結論
情報探索より快楽的買物動機の方が
ネットショッピングしたくなる
快楽的買物動機は
知覚リスクを乗り越えるベネフィットとなり得る
しかし快楽的買物動機では
乗り越えられない知覚リスクもある….
44
2010/12/04
インプリケーション
45
2010/12/04
製品パフォーマンスのリスク
金銭的リスク
時間・利便性のリスク
製品パフォーマンスのリスク
◆比較的感じやすいリスク
4.0
3.8
◆情報探索や快楽的ショッピングでも
乗り越えにくいリスク
3.6
平
均
値
3.4
3.2
3.0
2.8
◆価値追求型ショッピングが有効
金
銭
的
リ
ス
ク
の
リ
ス
ク
パ製
フ 品
ォ
ー
マ
ン
ス
の
リ
ス
ク
時
間
・
利
便
性
情
報
探
索
価
値
追
求
思社流気無
い交行分計
や
転画
り
換
情
報
探
索
価思社流気無
値い交行分計
追や
転画
求り
換
◆思いやり型ショッピングが有効
46
情
報
探
索
価思社流気無
値い交行分計
追や
転画
求り
換
2010/12/04
金
銭
的
リ
ス
ク
製
品
パ
フ
ォ
ー
マ
ン
ス
の
リ
ス
ク
インプリケーション
最も感じる人の多かった
製品パフォーマンスのリスク
に焦点を当てる
更にその中でも有意な差が見られた
の
リ
ス
ク
時
間
・
利
便
性
①思いやり型ショッピング
②価値追求型ショッピング
に向けたインプリケーション
47
2010/12/04
□思いやり型ショッピング□
相手のことを思って買い物をすることに快楽を感じるショッピング
彼女にプレゼントを贈りたい!
だけど、何が欲しいかな・・。
なにあげよう・・・。
イベント
「贈り物の悩みを一掃、
私達にお任せくださいキャンぺーン」
48
2010/12/04
贈り物の悩みを一掃、
私達にお任せくださいキャンペーン
①父の写真をスキャニング
②父の写真に
プレゼントしたい商品を合わせ、
相応しいか確認
③気に入ったら購入
Ex)父の日の場合
相手に合った
コーディネートの
シミュレーション
49
2010/12/04
贈り物の悩みを一掃、
私達にお任せくださいキャンペーン
■プレゼントを決められない場合■
オススメ商品
送る相手の情報の入力
性別
女
年齢
23歳
身長
160cm
性格
怒りっぽい
趣味
登山
検索
出所 : Gap Japan
50
2010/12/04
贈り物の悩みを一掃、
私達にお任せくださいキャンペーン
送る側
商品決定
もらう側
商品購入の際、メッセージを入力
⇓
サイト側が手紙にして
ラッピングしたプレゼントに同梱・配達
51
2010/12/04
□価値追求型ショッピング□
価格の安いものや品質の良いものなど、納得のいく商品を
買うことに快楽を感じるショッピング
商品動画の配信
52
2010/12/04
3D技術を生かしたサービス
53
2010/12/04
□価値追求型ショッピング□
贈り物の悩みを一掃、
私達にお任せくださいキャンペーン
これに付随し
イベント参加者に次回購入時に割引サービス特典
54
2010/12/04
ネットショッピングを楽しむこと
それは
日本の未来を活性化する
一筋の
55
である
2010/12/04
参考文献
前野智純 「webと実店舗の共食いを超えた先」
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0906/28/news002.html(2010/08/30)
マクロミル 「ネットショッピングの利用実態調査」
http://www.macromill.com/r_data/20090327netshopping/index.html (2010/08/30)
「消費行動に関する調査」
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2009/02/03/4558 (2010/08/30)
浅川雅美(2008)「ネットショッピングに対するイメージが利用に及ぼす影響について」『文教大学女子短期大学部研究紀要』 51
集 1-6 (2008年)
Sandra M.Forsythe(2003)「インターネット・ショッピングにおける消費者の愛顧と知覚リスク」 佐藤志乃訳 『Journal of
Business Research』Vol.56 (2003年11月号) pp.867-875.
井上綾野(2007)「快楽的買物行動と支出行動」『目白大学 経営学研究』 5号 (2007年3月) pp.63-74.
博報堂買物研究所(2007)『買物欲とマーケティング』ダイヤモンド社
杉本徹雄(1997)『消費者理解のための心理学』福村出版株式会社
中谷俊介(2002)『人はなぜネットでものを買わないか』ソフトバンクパブリッシング株式会社
富士通総研(2008)『インターネットショッピング2008』株式会社富士通総研
UNITED ARROWS http://www.united-arrows.jp/ (2010/09/23)
SHEL’TTER WEBSTORE http://www.ec-store.net/ (2010/09/23)
野島美保(2003)「オンライン・ショッピングの情報提供と戦略マネジメント」
神山進(1997)『消費者心理と行動』中央経済社
Gap JAPAN http://gap.co.jp/ (2010/11/18)
無印良品 http://www.muji.net/ (2010/11/29)
ユニクロトップ http://www.uniqlo.com/jp/ (2010/11/29)
56
2010/12/04