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物理学的裁判
立命館大学理工学部 物理科学科２回生 S さん
痛い ！！！！！ ある電車内での風景 電車が動き出すと同時に よろけてしまい、 前に座っている 人の足をふんでしまいました。
ごめんなさい
これは、よく見かける風景
…
でも実は、
これは物理学的に考えると どこかおかしいのである！！
その前に、ちょっと準備 何がおかしいのかを 説明するために、今から 何問か問題を解いて頂きます。 みなさんで、後の（問）に 答えてみてください！！
６０ｋｍ
/h
(
問１
)
等速（時速６０
km
）で走る電車内の人が、ボールを床に落とした時、 このボールは地面にどういう軌跡を描いて落ちるでしょうか？？
６０ｋｍ
/h
（答①）： ボールを離しただけなので電車が動いていようが、 関係なくボールは真っ直ぐに落ちる。
６０ｋｍ
/h
（答②） いやいや、電車は動いているのでボールを落とせば、 電車が前に進んだ分だけ、ボールは少し後ろに落ちる。
① ６０ｋｍ
/h
② ① or ②、さて、どっちでしょう？
慣性の法則①
等速で動く、ある座標系においては 以下の法則が成り立つ。 何か力を加えない限り、静止しているものは 静止しつづけ、動いているものはそのまま の運動状態を保とうとし続ける。
① ６０ｋｍ
/h
② 電車は等速で動いているので、電車内は慣性の座標系だと考えます。 すると、この人はボールをただ下に落としただけで、その後ボールは 重力以外の力を受けないので
…..
答えは ①
では次に、 徐々に電車が速くなっていくような 加速度系における座標において 同じ実験を繰り返したとき、ボールは どのような運動をするか考えてみましょう？
だんだん速くなっていってる
(
問２
)
徐々に速くなる電車内で、人がボールを床に落とした時、 このボールは地面にどういう軌跡を描いて落ちるでしょうか？？
① だんだん速くなっていってる ② ①
or
②、さて、どっちでしょう？
慣性の法則②
等速でない座標系においては、 以下のような運動を行う。 物体は動く座標に対して 常にその場にとどまろうとし続ける。 そのため、動く座標内にいる人から見ると 物体があたかも動く方向とは 逆向きに動いているように見える。
① だんだん速くなっていってる ② 電車は加速していってるので、電車に乗っている人から見ると ボールはあたかも電車の進行方向とは逆向きの力を受けているように見える。 だから、ボールの落ちていく様子は
…..
答えは ②
って、ことで
… ここまでの物理的知識を得たうえで、 一番初めに、みなさんに見ていただいた 電車に乗ったお二人さんに ここでもう一度登場していただくことにしましょう。
痛い ！！！！！ ある電車内での風景 加速している電車内において、 よろけてしまったこの人は 本当に悪かったのだろうか？？
ポイントの整理
• 立っていた人は、あくまでも慣性の法則に従い、静止しつづけようとして いただけである。 • 座っていた人は電車と同じ加速度で、電車と同じ運動を行っていた。 • 静止しつづけた状態の立っている人に、座っている人が電車と同じ加速 度でもってぶつかってきた。 • 結論 ぶつかってきたのは、むしろ椅子に座っていた人間の方やないか～～～ ～～ッッッッッ？！
と言うことで、 ちゃんと座っていた方の人に 謝ってもらいましょう。
てめぇが、 ぶつかってきたんだろー が！！ ごめんなさい！！
注意事項 これは、あくまでも物理法則を 理解して頂くために用いた例であって、 実際に椅子に座っている人の足を踏めば 素直に謝ってください。 このことが原因で、ケンカになったとしても 私は一切責任を負いません！！ のであしからず。