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5章 母数の推定
(Estimation Of Parameters)
5.1 平均の推定(分散は既知)
■点推定
点推定(Point Estimation):
標本平均: 母数 = 母平均 の推定値
標本中央値: 母数=母集団中央値 の推定値
Q) その母数推定精度はどのくらい?
A) 『標準偏差○○○』
区間推定(Interval Estimation):
『母平均 μ は 95% の確からしさで、
標本平均値 ○○ ±○○○ の範囲にある』
と言った統計的推論の形式。
■推定量の性質
推定量(Estimator)
= 母数の推定に用いる標本統計量
1) 不偏性(Unbiasedness) … 持っていれば
好ましい性質(持たない重要推定量も多い)
推定量の期待値が母数になること。
1 n

E[ X ]  E   X i   
 n i 1 
n

1
2
2
2
X i  X    
E[ S ]  E 

 n  1 i 1

2) 一致性(Consistency)
… 持っている必要がある性質
観測個数(標本サイズ) n ⇒ ∞
推定量 ⇒ 母数の一点に確率収束
例:大数の法則により
標本平均:母平均 μ に確率収束
標本分散:母分散 σ2 に確率収束
※理論母集団分布には、収束しないものもある。
3) 最小分散性、漸近的正規性など
良い推定量を調べる分野 … 推定理論
■母平均の区間推定
μ (分散既知または大標本法)
左2.5%線
95%
信頼帯
μH
μ の95%
信頼区間
右2.5%線
μL
95%
信頼帯
o
_
x
_
X
数式による導出
 X 

P  Z ≦ zo   P 
≦ zo 

/ n


標準化された分布


 P  z  / n ≦   X ≦ z  / n 
 PX  z  / n ≦  ≦ X  z  / n 
 P   X ≦ zo / n
o
o
o

o
定理) 母平均 μ の信頼区間
標本平均 ~ 正規分布(中心極限定理など)
[–zo, zo] : 標準正規分布の中央 100 β % 区間

σ
σ 
P  X  zo
≦ μ ≦ X  zo
 β
n
n

実際的な表現
  x  zo

n
x
100 β% 信 頼 区 間 
用語
区間の左端値: 下方信頼限界(μL)
区間の右端値: 上方信頼限界(μH)
β : 信頼係数 or 信頼水準
大標本法(目安: n ≧ 25)
母標準偏差 σ が未知な時、
標本標準偏差 s で置き換える。
例
小学6年生の身長の分布:
過去の経験から σ = 7 cm。
n = 25 人 の標本を取り、
標本平均 146 cm が得られた。
a) μ に関する 95% 信頼区間、
b) μ に関する 90% 信頼区間を求めよ。
a) 中央 95% ( β = 0.95 )
⇒ 標準正規分布上の点: zo ≒ 1.96
μ に関する 95%信頼区間

7
  x  zo
 146 1.96
 146 2.744 (cm)
n
25
b) 中央 90% ( β = 0.9 ) ⇒ zo ≒ 1.645
μ に関する 90%信頼区間

7
  x  zo
 146 1.645
 146 2.303 (cm)
n
25
5.3 分散の推定
■母分散と母標準偏差の区間推定
σ2
45度線
左2.5%線
← 95%信頼帯 →
右2.5%線
σH2
s2
σL2
S    / n  1
2
s2
2
2
S2
数式による導出
Y 
n 1
S 2 ~ 自由度 n  1 の 2分布
2
2
P  L2 ≦ Y ≦  H


n 1 2
 2
2 
 P  L ≦
S ≦ H 
2






2
1 
 1

 P 2 ≧
≧ 2 
2
 L(
n  1) S

H 





正の値の逆数の関係


n 1 2
n 1 2
2
 P
S ≧ ≧
S 
2
2
H
 L

定理) 母分散 σ2 と母標準偏差 σ の
信頼区間
母集団分布形: 正規分布
[ χ2L , χ2H ] : 自由度 n – 1 のカイ自乗分布の
中央 100 β % 区間
 n 1 2
n 1 2 
2
P 2 S ≦σ ≦ 2 S   β
χL
 χH


n 1 
 n 1

P
S ≦σ ≦
S  β
2
2
χL 

 χH

例
農家 - 地鶏の卵を出荷
卵の大きさにバラツキがある
n = 36 個の卵の重さを計測
標準偏差 s = 6 g
母標準偏差 σ に関する 95% 信頼区間
自由度 n – 1 = 36 – 1 = 35 のカイ自乗分布
中央 95% ( β = 0.95) に対応する両端点
χ2L = (p = 0.975列) 20.57
χ2H = (p = 0.025列) 53.20
n 1

2
H
s ≦ ≦
n 1

2
L
s 
σ = [ 4.9, 7.8 ] g
36  1
36  1
 6 ≦ ≦
6
53.20
20.57
(95%信頼区間)