C. pneumoniae

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Chlamydia pneumoniae
クラミジア・ニューモニエ
Chlamydia(クラミジア)属
(1999年に上3種はChlamydphila(クラミドフィラ)属へ新規分類された)
C. trachomatis(眼,泌尿器領域感染症,新生児肺炎)
C. psittaci(オウム病起炎菌)
C. pneumoniae
1965年:台湾の児童の結膜から分離(TW-183株)
1978年:フィンランドで流行した肺炎患者の血清がTW-183と反応
1986年:ワシントン大学の学生から類似株が分離(AR-39株)
1989年:TWAR株とされていた株から新種として確立
(Grayston JT et al: J Infect Dis 161: 618-625, 1990 )
C. pecorum (反芻動物が宿主)
クラミジア・ニューモニエの疫学的特徴
1.市中肺炎に占める頻度が高い.(=ありふれている)
2.誰でも少なくとも一生に一回は感染しうる.
3.肺炎に限らず,上気道炎,副鼻腔炎,気管支炎などの多く
の呼吸器感染症の病態をとる.
4.従って健常人でも既感染による抗体価陽性例が存在する.
5.マイコプラズマと異なり,高齢になる程感染頻度は高い.
6.潜伏期間は3〜4週間と長い.
マイコプラズマ・ニューモニエの疫学的特徴
1.市中肺炎に占める頻度が高い.(=ありふれている)
2.誰でも少なくとも一生に一回は感染しうる.
3.肺炎に限らず,上気道炎,副鼻腔炎,気管支炎などの多く
の呼吸器感染症の病態をとる.
4.高齢者では頻度は低い.
5.潜伏期間は2〜3週間と長い.
成人におけるクラミジア・ニューモニエ
に対する抗体保有率
1) 60%以上:
Grayston JT et al: J Infect Dis 161: 618-625, 1990
2) 67.4% (呼吸器感染症例では74.2%): (本邦)
川崎医大 岸本寿男:感染症誌 64: 986-993, 1990
C. pneumoniae 肺炎と M. pneumoniae 肺炎の年齢別発生頻度
1年間に1,000人対
6
C. pneumoniae 肺炎
M. pneumoniae 肺炎
5
4
3
2
1
0
10
20
30
40
年 齢
50
60
70<
(Grayston, JT: Clin Infect Dis 15:757, 1992)
クラミジア・ニューモニエの特徴1
Chlamydia pneumoniaeは1989年に新種として確立した.
濾過性病原体と称され,これもウイルスと考えられていた.
しかし,
(1)原核生物である,
(2)DNAとRNAを持つ,
(3)二分裂で増殖する,
の特徴から細菌の一種と認識されている.
クラミジア属の特徴2
独特の生活環を有し
基本小体 (Elemental Body :EB):(350nm)
代謝的に不活性,細胞外で生存可能,蛋白分解酵素や機械的処理に
も強い.
網様体 (Reticuler Body :RB):(800-1000nm)
増殖中は宿主細胞と結合して物質のやりとりを行っている.分裂増殖中
のRBの代謝系を標的に抗菌化学療法を行う.
グラム陰性菌と同様のLPSと外膜蛋白を有する.
本来の宿主では不顕性感染が多く持続感染している.
ST合剤はC. trachomatis(トラコーマ・クラミジア)に対してのみ有効
クラミジア属の特徴
●エネルギー産生系を感染宿主に依存する
偏性細胞内寄生病原体である.
●このため細胞内移行性の良好な抗菌薬を選択しなければ治療効
果がない.(マクロライド,キノロン,テトラサイクリン)
●独特の生活環
Elemental Body(代謝的に不活性なので抗菌薬無効)
Reticuler Body(宿主細胞からのエネルギーで二分裂する.
分裂増殖中のRBの代謝系を標的に抗菌化学療法を行う.)
クラミジアの特殊な生活環
細胞内で増殖するRBの時期にしか抗菌薬は効かないため,
治療期間は10〜14日間が推奨されている