残響音場における音の方向知覚と音源信号の過渡的特徴

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残響音場における音の方向知覚と
音源信号の過渡的特徴
Perception of Sound Direction
in a Reverberant Space and
Transient Characteristics of Sound
国際情報通信研究科
山崎研究室 修士2年
荻野 晃史
研究の概要
着眼点 : 残響音場における過渡部の変化
―定常部との時間割合
―定常部に対するエネルギー
―音源・受音点間距離
目的 : lateralizationで知覚される方向知覚の検証
(lateralization(偏移):頭外に定位しない方向知覚)
実験
: 音源信号の過渡的特徴と方向知覚に関する試聴実験
(ヘッドホン受聴)
結果 : lateralization(偏移)による方向知覚のしやすい条件
―音源・受音点間距離が2倍
→過渡部の定常部に対するエネルギー割合は概ね3dB必要
音源信号の過渡的特徴と
方向知覚に関する実験
・過渡部の変化
―定常部との時間割合
―定常部に対するエネルギー割合(TSR)
ー音源・受音点間距離
・lateralizationとして知覚される音源方向を評価
(ヘッドホン受聴)
→音源信号の過渡的特徴が音の方向知覚に与える影響を考察
過渡部の定常部に対するエネルギー割合
TSR : Transient to Steady energy Ratio
s

 sn  h n2 
 n


TSR

10
log

2 dB
10 
 r n  g n 

 n


:過渡的音源信号
rL , rR :定常的信号(互いに無相関)
hL , hR :過渡的信号に畳み込む距離別の残響インパルス応答
gL , gR :定常的信号に畳み込む残響インパルス応答
TSR= - 6dB
TSR=0dB
TSR=6dB
・試験音の概要
音源(過渡部)
狭帯域雑音(試験1)
(中心周波数:1024Hz,1/4oct.)
広帯域雑音(試験2)
過渡部の時間割合
10,20,40,80%
音源・受音点間距離
0.1,0.2,0.4,0.8,1.5m(音源方向:60°)
過渡部の定常部に対する
エネルギー(TSR)
-6,-3,0,3,6,dB
定常部は白色雑音,1.5m(音源方向:0°)
・試験方法
―ヘッドホン受聴
―被験者:20代の男性5人
―主観評価値(5段階評価)
1.lateralization の存在がわからない
2.ほとんどlateralization がない
3.少しlateralization がある
4.lateralization がある
5.非常にlateralization がある
試聴実験の結果
・TSRとlateralization(試験1:狭帯域雑音)
音源距離:0.2m
音源距離:0.4m
音源距離:0.8m
音源距離:1.5m
TSR(dB)
Lateralization
音源距離:0.1m
Lateralization
過渡部の時間割合
○: 10%
△: 20%
×: 40%
+: 80%
TSR(dB)
TSR(dB)
・lateralizationが3以上となるTSR (試験1の場合のみ)
直接音領域:rc
V
TR
 0.296m
rc  0.1
過渡部の時間割合
: 10%
: 20%
: 40%
+: 80%
結果
・過渡部とlateralizationとして知覚される
音源方向知覚の関係を評価(狭帯域雑音)
―過渡部の時間割合の増加
→lateralizationの傾向は見られなかった
―過渡部の定常部に対するエネルギーの増加
→lateralizationの向上を確認
・lateralizationが3以上(音源方向を知覚し易い条件)となる
TSRは r を音源距離(m)として
4.43logr  4.20m
以上になることが示された
・今後の課題としてはTSRと過渡的両耳間相関との関係と
TSRと音源方向推定についての検討