Transcript レジュメはここ
移住女性の生活と健康 九州大学 平野(小原)裕子 移住女性と健康 • 「移住者」であり「女性」であること の二重のvulnerability 日本における移住女性 • 日本人と結婚した者 • 「興行ビザ」など労働目的で来日した者 在留資格別外国人登録者数 300000 250000 200000 150000 100000 50000 0 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 興行 日本人の配偶者等 移住女性の抱える健康問題 • 1.感染症(STDなど) • 2.妊娠・出産 • 3.暴力(人身売買・ドメスティック・ バイオレンス) 入国管理局による一斉摘発と 外国人の健康 • 移住者は「不健全な他者」 • 入国管理局による摘発 感染症の「潜在化」へ 移住女性の受診理由 (九州在住外国人調査から) 風邪 妊娠・出産 定期検診 腹痛 筋肉痛 皮膚炎 事故・負傷 その他 0 10 20 30 40 50 移住女性の妊娠・出産の動向 • 移住女性の妊娠・出産の急増 • 母親が外国人、父親が日本人のパターン が最も多い • わが国で誕生する37人に1人は、父・母 双方またはどちらか一方が外国人 外国人女性の妊娠・出産 • 死産率、乳児死亡率の高さ • 乳児死亡率(出生千対) 日本: フィリピン: タイ: 4.2 17.8 12.0 日本における国籍別死産率 1992年‐1996年区分(出産千対) 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 韓 国 中 ・ 朝 鮮 国 フ ィ タ リ ピ ン イ ブ ラ ペ ジ ル ル 米 ー 国 英 国 そ の 外 他 の 外 国 国 日 全 体 本 その他の問題点 <飛びこみ分娩が多い> • 背景:病院へ行けない(保険がない、 摘発を恐れるため) • 定期健康診断受診率が低い <母子手帳を持っていない> • 妊娠届を出さない(摘発を恐れるた め) 移住女性の母子保健問題 (日本生まれの母親との比較) • 母子保健に関連する情報を得る機会が少 ない • eg)母子手帳、公費妊婦検診、休日夜間 診療案内、予防接種通知の受け取りなど 無国籍児 • いかなる国籍(父親の国籍・母親の国 籍・日本国籍)もとれない子ども。 将来、教育や福祉サービスを受けられ なくなる可能性あり。 無国籍児の推移 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 日本家族のFamily Dynamicsと移住女性 -日本人と結婚した外国人妻たち• 自分のためではなく、イエのために子 どもを産む(産まされる)こと • 夫婦関係をにつめる間もなく、結婚し たらすぐに産み急がされること 移住女性と暴力 • 人身売買の対象となりやすい移住女性 • 「ストレスフルな」日本の家族におい て、暴力の対象となりやすい移住女性 「ストレスフルな」日本の家族 における移住女性 • コミュニケーション上のストレス 相互の母語が理解できない 夫やその家族が自分の文化に興味を持たない • 姑(義母)の絶大な家庭内支配力への戸惑い • 早期妊娠・出産に関わるストレス • 「夫が日本人女性と結婚できなかった」ための 代替としての自己存在 移住女性と ドメスティック・バイオレンス • 背景-日本人カップルのケースと基本的 に共通 • 助けを求めにくい どこに逃げこんでいいのかわからない。 離婚されると日本にいられなくなるかも。 介護者としての移住女性 • 「呼び寄せ」(自分の親を呼び寄せる) • 「嫁」に期待される役目(義父母の面倒 をみる) • 介護労働目的で来日(現在のところ「介 護ビザ」はなし) 移住女性のエンパワーメント と多文化共生社会 • 移住女性の自律を目指して • 移住女性が日本を変える