Transcript PPP - 札幌市立大学

札幌市の少子化
その特徴と要因
2006-9-16
札幌市立大学
教授
デザイン学部
原俊彦
人口学的な特徴
Sapporo City University
2
合
計
特
殊
出
生
率
1960
61
62
63
64
1965
66
67
68
69
1970
71
72
73
74
1975
76
77
78
79
1980
81
82
83
84
1985
86
87
88
89
1990
91
92
93
94
1995
96
97
98
99
2000
01
02
03
04
2005
合計特殊出生率の推移
合計特殊出生率の推移1960年-2005年：全国・北海道・東京・札幌市
2.40
2.20
全国
北海道
2.00
東京
札幌市
1.80
1.60
1.40
1.20
1.00
0.80
年次
全
国
の
合
計
特
殊
出
生
率
を
１
と
し
た
場
合
1960
61
62
63
64
1965
66
67
68
69
1970
71
72
73
74
1975
76
77
78
79
1980
81
82
83
84
1985
86
87
88
89
1990
91
92
93
94
1995
96
97
98
99
2000
01
02
03
04
2005
全国との出生力格差
合計特殊出生率(全国)との格差 1960年-2005年 ：北海道・東京都・札幌市
1.20
北海道
1.10
東京
札幌市
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
年次
年齢別出生率の特徴
年齢５歳階級別出生率：札幌市の特徴
0.60
北海道
札幌市
0.50
年
齢
別
出
生
率
0.40
全国
25-29歳：東
京都の次に低
い。
13大都市
東京都
0.30
30-34歳
政令指定都市
中最低
0.20
35-39歳
政令指定都市中
最低
0.10
0.00
１５～１９歳
２０～２４歳
２５～２９歳
３０～３４歳
年齢階級
３５～３９歳
４０～４４歳
●年齢別有配偶出生率
年齢５歳階級別有配偶出生率：札幌市の特徴
3.50
北海道
3.00
札幌市
全国
年
齢
別
有
配
偶
出
生
率
13大都市
2.50
東京都
2.00
1.50
30-34歳
政令指定都市
中最低
1.00
35-39歳
政令指定都市
中最低
25-29歳：政
令指定都市の
平均より低い
0.50
0.00
１５～１９歳
２０～２４歳
２５～２９歳
３０～３４歳
年齢階級
３５～３９歳
４０～４４歳
●年齢別有配偶率
年齢５歳階級別女子有配偶率：札幌市の特徴
0.90
0.80
北海道
札幌市
0.70
年
齢
別
有
配
偶
出
生
率
全国
13大都市
0.60
25-29歳：政
令指定都市の
平均よりわず
かに高い
東京都
35-39歳
政令指定都市
の平均僅かに
低い
0.50
0.40
30-34歳
政令指定都市
の平均僅かに
低い
0.30
0.20
0.10
0.00
１５～１９歳 ２０～２４歳 ２５～２９歳 ３０～３４歳 ３５～３９歳 ４０～４４歳
年齢階級
●女子未婚初婚率
年齢５歳階級別女子未婚初婚率：札幌市の特徴
0.65
北海道
0.55
札幌市
全国
年
齢
別
女
子
未
婚
初
婚
率
13大都市
0.45
東京都
0.35
25-29歳
東京都と並
び政令指定
都市中最低
0.25
35-39歳
政令指定都市
中最低
0.15
30-34歳
政令指定都市中
最低
0.05
１５～１９歳
２０～２４歳
２５～２９歳
３０～３４歳
-0.05
年齢階級
３５～３９歳
４０～４４歳
全国値との格差：要因分解
2000年の合計特殊出生率：全国値との格差要因分解
北海道
札幌市
13大都市
0.05
0.00
-0.05
全
国
値
と
の
格
差
-0.10
-0.15
-0.20
-0.25
-0.30
全体の格差
年齢別有配偶出生率による格差
年齢別有配偶率による格差
-0.35
地域
東京都
有配偶出生率による格差
年齢別有配出生率による格差
0.06
0.04
北海道
札幌市
13大都市
東京都
0.02
全
国
値
と
の
格
差
0.00
-0.02
-0.04
-0.06
-0.08
１５～１９歳
２０～２４歳
２５～２９歳
３０～３４歳
年齢階級
３５～３９歳
４０～４４歳
年齢別有配偶率による格差
年齢別有配偶率による格差
0.06
0.04
0.02
全
国
値
と
の
格
差
北海道
札幌市
13大都市
東京都
0.00
-0.02
-0.04
-0.06
-0.08
-0.10
-0.12
１５～１９歳
２０～２４歳
２５～２９歳
３０～３４歳
年齢階級
３５～３９歳
４０～４４歳
社会経済要因の分析
学
歴
関
係
就
業
関
係
従属変数リスト
00高卒以下女子割合　00高卒以下男子割合　00高卒以下男女比　00大卒男女比　00大短大卒男女比　00女子学校在籍割合2024　00男子学校在籍割合2024　女子高校生の大学等進学率
男子高校生の大学等進学率
00新規学卒者就職率（高校）
00女子就業率　00男子就業率　00男子第１次産業従事者比率1564
00男子第２次産業従事者比率1564
00男子第３次産業従事者比率1564
00女子第１次産業従事者比率1564
00女子第２次産業従事者比率1564
00女子第３次産業従事者比率1564
00第３次産業従事者比率
00完全失業率(男）
00完全失業率(女）
註
*15-19歳を除き、20-29歳、30-39歳、
40-49歳と10歳刻み。いずれも最終学
歴。高卒以下は小中学校卒を含む。男
経
女比は男性／女性。大短大卒男女比 済
は、男性大卒／女性短大以上
関
係
*15-19歳と30歳以上はなし。
*15-19歳は2000年。20-24歳は1994-98
年の平均、25歳以上も同様。
*15-19歳のみ
＊いずれも５歳階級別
＊いずれも５歳階級別
そ
の
他
＊15-19歳は高卒初任給、20-24歳は大
00所定内給与額男　卒初任給、25歳-29歳、35歳-39歳は年
00所定内給与額女　齢階級。30歳-34歳は35歳-39歳で代
用。40歳-44歳は45-49歳を代用。
00所定内給与額男女比　00女子パート賃金
00所定内給与額（女）地域間物価補正
00消費者物価
＊過去３年の平均
00教育費支出ＡＶ3
＊過去３年の平均
00住居費割合ＡＶ3
99農林水産業生産額割合
00保育所定員比率
00昼 夜 間 人 口 比 率
00人口集中地区人口比率
00人工死産率
沖縄ダミー
東京ダミー
Sapporo City University
12
女子未婚初婚率への影響要因
女子未婚初婚率の重相関・決定係数：2000年　都道府県別データ
ステップワイズ法による回帰分析結果
年齢階層
1.000
15-19
0.900
20-24
0.800
R
・
R
２
・
調
整
済
み
R
２
0.700
25-29
0.600
30-34
0.500
0.400
35-39
R
R2
調整R2
0.300
0.200
40-44
0.100
0.000
15-19
20-24
25-29
30-34
年齢階級
35-39
40-44
主要な決定要因
β係数
00最終学歴高卒男1519
00消費者物価
沖縄ダミー
00最終学歴小中高卒男子2029割合
00国調男子就業率2024
00教育費支出ＡＶ3
00国調男子就業率2529
00男子第２次産業従事者比率（15-6４）
00最終学歴高卒男女比2029
00女子第２次産業従事者比率（15-64）
沖縄ダミー
00完全失業率(男）
00女子第２次産業従事者比率（15-6４）
00最終学歴高卒男女比3039
00最終学歴格差3039大学Ａ
男子高校生の大学等進学率7983ＡＶ
昼 夜 間 人 口 比 率00
00最終学歴格差4049大学Ｂ
00男子第１次産業従事者比率（15-6４）
00女子第２次産業従事者比率（15-6４）
保育所定員比率2000
所定内給与額（女）地域間物価補正2000
00完全失業率(男）
沖縄ダミー
東京ダミー
0.56
-0.37
0.31
0.54
0.30
-0.20
0.71
0.24
0.16
0.47
0.48
-0.64
0.40
0.50
0.31
-0.23
-0.22
-0.26
0.96
0.44
-0.27
1.21
-0.91
0.91
-0.34
有配偶出生率への影響要因
女子有配偶出生率の重相関・決定係数：2000年　都道府県別データ
1.000
ステップワイズ法による回帰分析結果
主要な決定要因
年齢階層
00男子第２次産業従事者比率（15-64)
15-19
00消費者物価
00女子パート賃金
20-24
00最終学歴大卒男女比2029
女子高校生の大学等進学率8993ＡＶ
25-29
所定内給与額25-29（男）
沖縄ダミー
人工死産率
30-34 00動態女子平均初婚年齢
人口集中地区人口比率％00
女子高校生の大学等進学率8488ＡＶ
沖縄ダミー
男子高校生の大学等進学率7983ＡＶ
所定内給与額3539賃金格差
35-39
00教育費支出ＡＶ3
00動態女子平均初婚年齢
人工死産率
沖縄ダミー
00男子第２次産業従事者比率（15-6４）
00動態男子平均初婚年齢
40-44
00最終学歴高卒男女比4049
00最終学歴格差4049大学Ａ
00国調男子就業率4044
0.900
0.800
R
・
R
２
・
調
整
済
み
R
２
0.700
0.600
0.500
0.400
R
R2
0.300
調整R2
0.200
0.100
0.000
15-19
20-24
30-34
25-29
年齢階級
35-39
40-44
β係数
-0.58
-0.50
-0.79
-0.24
0.55
-0.91
0.74
0.48
0.71
-0.62
0.23
0.71
-0.29
-0.26
-0.28
0.54
0.35
0.45
-0.28
0.30
0.30
0.27
-0.27
シミュレーションによる分析
1965年から2000年までの時系列相関
＜人口学的要因＞
 女子未婚初婚率
 女子有配偶出生率
＜社会経済要因＞
 男子の最終学歴高卒割合
 男子の第２次産業就業割合
女 子 の 未 婚 初 婚 率 倍 数 20-24
1.2
1.4
1
1.2
0.8
倍数　1965＝1.00
倍数　1965＝1.00
女 子 の 未 婚 初 婚 率 倍 数 15-19
0.6
0.4
0.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0
1965-70 1970-75 1975-80 1980-85 1985-90 1990-95 1995-00
1965-70 1970-75 1975-80 1980-85 1985-90 1990-95 1995-00
年次
年次
女 子 の 未 婚 初 婚 率 倍 数 30-34
1.2
1.2
1
1
0.8
倍数　1965＝1.00
倍数　1965＝1.00
女 子 の 未 婚 初 婚 率 倍 数 25-29
0.6
0.4
0.2
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0
1965-70
1970-75 1975-80
1980-85
年次
1985-90 1990-95
1995-00
1965-70 1970-75 1975-80 1980-85 1985-90 1990-95 1995-00
女 子 の 未 婚 初 婚 率 倍 数 40-44
1.2
1.2
1
1
0.8
0.8
倍数　1965＝1.00
倍数　1965＝1.00
女 子 の 未 婚 初 婚 率 倍 数 35-39
0.6
0.4
0.2
0.6
0.4
0.2
0
0
1965-70
1970-75
1975-80
1980-85
1985-90
1990-95
1995-00
1965-70
1970-75
1975-80
年次
1980-85
年次
1985-90
1990-95
女子の未婚初婚率倍数45-49
1.2
女子未婚初婚率
倍数　1965＝1.00
1
最終学歴高卒以下割合男子
0.8
0.6
第二次産業就業者割合男子
0.4
0.2
予測値
0
1965-70
1970-75
1975-80
1980-85
年次
1985-90
1990-95
1995-00
1995-00
年齢別女子 有配偶出生率　20-24　倍数
3
1.2
2.5
1
2
0.8
1.5
倍数
倍数
年齢別女 子有配偶出生率　15-19　倍数
1
0.6
0.4
0.5
0.2
0
0
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
1965
1970
1975
1980
年次
1985
1990
1995
2000
年次
年齢別女子 有配偶出生率　25-29　倍数
年齢別女 子有配偶出生率　30-34　倍数
1.2
1.8
1.6
1
1.4
1.2
0.6
倍数
倍数
0.8
0.4
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0.2
0
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
年次
0
1965
1970
1975
1980
1985
年次
1990
1995
2000
年齢別女 子有配偶出生率　35-39　倍数
年齢別女 子有配偶出生率　40-44　倍数
2
3
1.8
2.5
1.6
1.4
2
倍数
倍数
1.2
1.5
1
0.8
1
0.6
0.4
0.5
0.2
0
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
0
1965
1970
1975
年次
1980
1985
1990
1995
年次
年齢別女子有配偶出生率　45-49 倍数
1.4
1.2
年齢別有配偶出生率(女)
倍数
1
最終学歴高卒以下割合男子
0.8
0.6
第二次産業就業者割合男子
0.4
0.2
予測値
0
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
年次
2000
表７　シミュレーション結果の比較（未婚初婚率と有配偶出生率の影響）
年齢別出生率（合計）
実際の変化
両倍数=1
両倍数とも推計値
未婚初婚率倍数のみ
有配偶出生率倍数のみ
1965
1.87
1.87
1.87
1.87
1.87
1970
1.84
1.84
1.88
1.84
1.88
1975
1.68
1.77
1.69
1.71
1.75
1980
1.51
1.76
1.50
1.49
1.76
1985
1.45
1.76
1.30
1.25
1.79
1990
1.31
1.76
1.22
1.11
1.85
図８　シミュレーション結果の比較（未婚初婚率と有配偶出生率の影響）
2.20
札
幌
市
の
合
計
特
殊
出
生
率
2.00
1.80
1.60
1.40
1.20
1.00
0.80
1965
1970
1975
1980
1985
年次
実際の変化
両倍数とも推計値
未婚初婚率倍数のみ
有配偶出生率倍数のみ
1990
1995
両倍数=1
2000
1995
1.17
1.76
1.16
1.00
1.92
2000
1.07
1.76
1.10
0.93
1.96
シミュレーション結果のまとめ




1965年から2000年にかけての札幌市の合計特殊
出生率の動向をよく再現している。
1965年以降の出生力低下は、主として女子未婚
初婚率の低下→女子有配偶率の低下を反映した
ものである。
これに対し女子の有配偶出生率は1980年以降は
むしろプラスに作用していたと解釈できる。
男子第２次産業就業者割合と最終学歴高卒以下
割合の二つの変動要因で十分に説明しうる 。
その他の要因
Sapporo City University
22
高い離婚割合の影響
Sapporo City University
23
試算結果（年齢階級別：離別）
Sapporo City University
24
試算結果（全体：離別）
年齢別離別人口割合に関するシミュレーション
1.50
1.45
全国
北海道
札幌市
道内他地域
1.40
1.35
合
計
特
殊
出
生
率
1.30
1.25
1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
実績値
全国平均の離別割合
シミュレーションの条件
離別割合＝0
Sapporo City University
25
高い人工妊娠中絶率の影響
人工妊娠中絶率の比較：2000年
700
614
600
出
生
1
0
0
0
に
対
す
る
中
絶
件
数
500
484
420
400
300
286
200
人工妊娠中絶率：出生1000に対する中絶件数
100
0
全国　平成12（2000） 北海道　平成12
年
（2000）年
札幌市　平成12
（2000）年
道内他地域　平成12
（2000）年
地域
Sapporo City University
26
高い人工妊娠中絶率（年齢階級別）
Sapporo City University
27
試算結果（年齢階級別：中絶率）
年齢別中絶率によるシミュレーション：札幌市
0.60
札幌実績値
中絶０年齢別出生率
0.50
中絶率が全国平均年齢別出生率
全国値
0.40
年
齢
別
出
生
率
0.30
0.20
0.10
0.00
15
～
19
20
～
24
25
～
29
30
～
34
35
～
39
40
～
44
45
～
49
年齢階級
Sapporo City University
28
試算結果（全体：中絶率）
年齢別人工妊娠中絶率に関するシミュレーション
2.00
1.90
1.80
1.70
合
計
特
殊
出
生
率
1.60
1.50
1.40
1.30
1.20
全国　平成12（2000）年
北海道　平成12（2000）年
札幌市　平成12（2000）年
道内他地域　平成12（2000）年
1.10
1.00
実績値
全国平均の中絶率
シミュレーションの条件
中絶率＝0
Sapporo City University
29
人口移動率の影響（男性）
Sapporo City University
30
人口移動率の影響（女性）
Sapporo City University
31
札幌市の少子化対策との関連



少子化の進行・全国との格差拡大は、学
術ｻｰﾋﾞｽ産業都市としての市の特性に起因
していると考えられる。
従って、政策的な対応により出生力を上
昇させることは難しいと思われる。
むしろ少なく生まれる子供たちを大切に
育てることに重点を置くべきだろう。
少子高齢化：その他の影響要因
転
出
低出生力
他の大都市圏への流出：特に若年層
周辺地域への流出：特に家族形成期
再生産年齢人口
転
入
年少人口割合
生産年齢人口割合
平均寿命の延び
他の大都市圏からの流入・周辺地
域への流入：特に若年層と高齢者
老年人口割合
Sapporo City University
34