太陽アクシオン探索に用いるガス圧自動制御装置の開発
Download
Report
Transcript 太陽アクシオン探索に用いるガス圧自動制御装置の開発
太陽アクシオン探索用
ヘリウムバッファー中の
ガス密度自動制御装置の開発
東京大学大学院
理学系研究科物理学専攻
太田良介
概要
•
•
•
•
•
•
•
•
アクシオンとは
過去の実験とCAST
アクシオン-X線コヒーレント転換
ヘリウム密度安定化の必要性
常温でのガス圧自動制御
低温におけるガス圧自動制御
ヒーター制御によるバッファー温度安定化
今後の予定
アクシオン(axion)とは
• QCDにおける強いCP問題解決の為に導入された粒子
• 暗黒物質として存在する可能性(質量~1-100μeV)
• 天体から放射される可能性(質量~0.01-1eV)
→太陽が理想的な放射源 ←研究対象
• 光子と結合
→電磁場によりアクシオンー光子転換が起こる
過去の太陽アクシオン探索
(東大グループ)
• 望遠鏡型の装置にして
太陽を追跡
• Heガス(~5K)により
光子に見かけ上の質
量を持たせる
(質量 ≦ 0.27eV)
• 超伝導磁石による
強磁場(4T,2m)でX線
(~数keV)に転換
• PINフォトダイオードで
転換X線を検出
過去の実験結果とCAST
• 過去の実験
g a 7 10 10 GeV -1
(ma 0.27 eV)
• CAST
– B=9T, L=9m
g a 0.9 10 10 GeV -1
(ma 0.02 eV)
アクシオン-X線コヒーレント転換
( g a BL ) sin( qL/ 2)
p
4
qL / 2
2
2
m m
2
q
2 Ea
2
a
• アクシオン質量~1eVまで質量範囲を細かく走査
• PCを用いた自動制御で探索を行う
Heガスの密度安定化
4N e
2
m
me
N e: 電子密度
• 測定中Heガス密度を一定(0.1%精度)に保つ必要がある
• ガス供給制御:圧力一定、ヒーター制御:温度一定
→密度一定
• 圧力を変化させて質量範囲を走査
常温でのガス圧自動制御実験
• 目的
– ピエゾバルブの性能確認と制御方法の確立
• 容器にガスを導入
• PCを用いて圧力センサーの値を取得し、流量
にフィードバック制御をかける
• 流量の制御にはピエゾバルブを使用
– アナログ電圧による微小流量制御
• 目標精度は0.1kPa以上
実験装置外観
容器用圧力制御系
ピエゾバルブ
• 堀場エステック社PVシリーズ
– 電圧印加により圧電素子を伸縮→バルブ開度調節
– 応答速度0.5秒以内
ピエゾバルブの性質
• コンダクタンス
– 0Vから電圧上昇→ほぼ電圧の4乗に比例
– ヒステリシスがある
• ON-OFF制御
– 圧力サンプリング間隔 ~5秒
– 圧力範囲Δp以内であれば両側を最小に絞る
– 供給ガス:大気
コンダクタンス
• ON-OFF制御による圧力時間変化
– 目標の精度は出せている
– 圧力のオーバーシュートが見られる
• 比例制御
– 圧力サンプリング間隔 ~5秒
– 圧力範囲Δp以内ならば圧力差に比例した流量
– 供給ガス:大気、窒素、ヘリウム
コンダクタンス
• 比例制御による圧力時間変化
– 目標の精度は出せている
– 圧力のオーバーシュートも無くなった
低温における圧力、温度制御
• 太陽アクシオン望遠鏡を冷却
• 望遠鏡内部のヘリウムバッファーに
対してガス圧力と温度の制御を行う
• 圧力一定、温度一定→密度一定
アクシオン望遠鏡低温部
圧力制御系
外観
バッファー用圧力制御系
• 流量を絞った比例制御
– 圧力サンプリング間隔 ~5秒
– ガス流入による温度上昇を防ぐ
コンダクタンス
• 流量を絞った比例制御による圧力時間変化
– Q=50%で0.15K、Q=10%で0.03Kの温度上昇
– 10kPaでの制御では更に3Pa以内に入ったときは
ピエゾバルブを最小まで絞っている
ヒーター出力制御による
温度安定化
•
•
•
•
0.1%の精度が温度にも必要
冷凍機の冷却性能に揺らぎ
打ち消す為にヒーターで熱を加える
ヘリウムバッファーの温度を計測しPCを
用いたフィードバック制御によりヒーター
の出力を調節
バッファー用温度制御系
温度制御方法
• 制御できるのはヒーターのみ
– 無制御時より高い温度で維持させる
• 比例積分制御
– 比例制御のみでは温度にオフセットができる
– 積分制御を用いてオフセットを打ち消す
– 温度サンプリング間隔 ~5秒
P 0.1(T [K]) 0.02(T [K])[W]
無制御時
制御結果
制御における寄与
• 冷凍機の揺らぎに対してヒーター出力が追随
• 温度制御には積分制御が有効
まとめ
コヒーレント転換とガス密度安定化
予備実験:常温での圧力制御
アクシオン転換領域のHeガス密度安定化
コンピュータを用いた自動制御
ピエゾバルブで圧力制御
:比例制御により10kPaまで達成
ヒーターで温度安定化
:積分制御により一応達成
今後の予定
• 制御系関連
– ガス導管の詰まり→調査及び改良
– 望遠鏡が太陽追尾可能なセットアップにする
• 全体
– 安全対策(ガス導管設計変更、破裂板の設置)
– PINフォトダイオード修理
– 水平回転用モーター修理
– アクシオン質量探索範囲の決定
目標