1017eVにおける最前方粒子測定実験 LHCf --
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Transcript 1017eVにおける最前方粒子測定実験 LHCf --
1017eVにおける最前方粒子測定実験 LHCf
-- 計画概要とCERNでのテストビームによる性能評価 --
~ 来るべきTA観測結果の解釈のために ~
増田公明,﨏隆志,村木綏,松原豊,小幡康義,田中康一 (名大STE研)
シンチ・PMT
笠原克昌 (芝浦工大) モンテカルロ
鳥居祥二,田村忠久,吉田健二 (神奈川大) SciFi・MAPMT
O. Adriani, L. Bonechi, M. Bongi (フィレンツェ大,イタリア) シリコントラッカー
A. Faus, J. Velasco (Centro Mixto CSIC-UVEG,スペイン)
M. Haguenauer (エコールポリテクニック,フランス)
W. C. Turner (LBNL,アメリカ)
日本物理学会 第60回年次大会 (2005年3月24日) 24pXH8
Contents
1.最高エネルギー宇宙線研究の課題
2.エネルギー較正実験 LHCf の概要
3.プロトタイプ機
4.2004年夏のCERNテスト実験
5.テスト実験の解析結果(経過報告)
6.今後の予定
Flux
Xmax (g/cm2)
最高エネルギー宇宙線の課題
Knapp et al., 2003
1016
Elab(eV)
化学組成の変化
1020
19
Super GZKの有無
20
Log10(E) (eV)
課題を克服するために
Monte Carlo simulation
エネルギー決定はMCに頼らざるを得ない。
しかし,1020eVの相互作用モデルは誰も保証しない。
LHC(7 TeV p×7 TeV p)ならば実験室系で 1017eV の
相互作用を検証することが可能。
1020eV
モデル不定性とシャワー発達
Feynman X @ 1017eV
for p-p collision
2つの極端なモデル
が異なるシャワー発達
を与える。
0.1
Feynman X
700 800 900 1000
1.0
最前方 X分布(エネルギー分
布)
X∝P//~E @最前方
シャワーの発達には前方放出粒子の寄与が大きい。
→ collider の最前方に検出器を置く。
Interaction
Point
95mm
140m
LHCではIPから140mのところでビームをわける。
95mmの隙間にカロリメータを置くことが可能。
最前方にシャワーカロリメータを置き、発生したπ0(一部η)からのガンマ線と
中性子のエネルギーを測定する。(荷電粒子は磁場でスイープされる。 )
LHCf 実験
2004年6月LHCCに
認められた。
From J. Engelen @ Workshop ‘Physics at LHC’
Underground Works Civil Engineering
LHCb
全周27 km
ATLAS
LHCf カロリメータ
SciFi(1 mm幅)による
シャワー位置の測定
(x, y @ 6, 10, 34 r.l.)
4 cm×4 cm
3 cm×3 cm
2 cm×2 cm
の3つのタワー
17枚のプラスチックシンチレータと
タングステン板によるサンプリン
グ・シャワーカロリメータ
(2/4 r.l. step,全長54 r. l.)
エネルギーキャリブレーション
(MC)
π0→2γ のガンマ線の
エネルギー・運動量を別々の
タワーで測定することで,π0 の
不変質量を測定することが可能
試作機のビームテスト
(2004年7月30日~8月11日,CERN SPS H4)
テスト実験の課題
• 95mmの幅の中にカロリメータ,エレキを収められるか。
• 2cm×2cmというカロリメータでちゃんとエネルギーを測定
できるか。(端のイベントを補正できるか。)
50, 100, 150, 200, 250 GeV/c の電子,
150 GeV/c のミューオン, 150, 300, 350 GeV/c の陽子
• 入射位置を変えて照射
• シリコントラッカーで入射位置を50μmの精度で決定
2004年試作機(内部写真)
280mm
MAPMT用
front-end回路
MAPMT
(H7546)
カロリーメータ用
PMT(H3164-10)
4cmタワー
2cmタワー
シンチレーションファイバー(SciFi)と
マルチアノード光電子増倍管(MAPMT)
2 cm
SciFi Belts
Hamamatsu
64 ch (8x8)
8 dynode
4 cm
MAPMT
1 MIP > 5 p.e.
SciFi 1mm Sq.
Clear Fiber
Joint
Viking Chip
VA32HDR14
IDEAS
MAPMT+FEC
2004年試験セットアップ
L1 L2
L3
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
Beam
Beam trigger
Moving table
Si tracker
Calorimeters
(20mm◇, 40mm ◇)
2004年試験セットアップ(写真)
2004年試験(Quick-Lookモニター画面)
SciFiデータサンプル @10r.l.
(40mm, 200GeV/c electron)
X
Y
Y
Y
X
X
普通の電磁カスケードシャワー
2粒子同時入射イベント?
SciFi Detector
結果と改善の可能性
Example Image of One Event (e 200 GeV/c HV-600V)
e 200 GeV/c (HV-600V) ~5000 events
X
Lay1(6 rl)
Lay2(10 rl)
Y
Lay1
6 r.l.
Lay3(34 rl)
0
Dynamic Range :
1/7~1/5 of Full Range for e 200 GeV/c
→ Electrons up to a few TeV can be detected
Further Improvement :
ADC :250 kHz ⇒ 500 kHz
Viking Chip :Radiation Hard
・0.8μ⇒0.35μprocess
・SOI (Silicon On Insulator)
ADC
8000
Lay2
10 r.l.
Lay3
34 r.l.
ADC-Ped. (Max.~30000)
Scinti.+W calorimeter
Event sample (transition curve for 4 cm detector)
粒
子
数
Scinti Layer
200GeV/c electron fully contained
50GeV/c electron fully contained
200GeV/c electron partially contained
350GeV/c proton
電子シャワーに対す
るCERN実験(50250 GeV/c)のMC
simulation から得ら
れる粒子数(=光
量)と各PMTの出力。
2 cm カロリメータと
4 cmカロリメータを
一緒にプロット。集
光率の違いはミュー
オンに対する応答で
補正済み。
比例していないので,
4パラメータの曲線
でfit。
PMT出力
CERN実験におけるシンチレータ用PMT出力の較正
粒子数
粒子数 map
Y
Preliminary
各シンチ層の粒子数分布
2 cm カロリメータ
200 GeV/c electron beam
Σ粒子数(全エネルギー)
20 mm
NMIP_map_EXP_znorm_
20mm_200GeV
X
4 cm カロリメータ位置依存
(エッジ補正)
200 GeV/c electrons
(preliminary)
カロリーメータの端に入った
シャワーは粒子数が減る。
→ エネルギーの underestimate
分解能(%)
位置依存性を補正することで
端に近いイベントも正しく
エネルギーを決められる。
(補正は近似的に
energy independent)
0
20 mm
エッジからの距離
シャワーの位置はSciFiの
データで求める。
(今回はシリコンで測った
入射位置)
2cmカロリメータ位置依存 - エッジ補正
(preliminary)
分解能(%)
MC simulation
0
10 mm
エッジからの距離
200 GeV/c electron
実験値をMC curveで補正
2 mm
5%
5%
0
10 mm
エッジからの距離
粒子数 map
Preliminary
Y
NMIP_map_corr_layer_EXP
_20mm_200GeV
X
エッジ補正後の各シンチ
層の粒子数分布
2 cm カロリメータ
200 GeV/c electron beam
PMT の linearityと較正
CERN実験では 250 GeVまでを確認。
本番のエネルギー(数TeVまで)に対応する光量
を与えてPMTの応答を調べる。
そのためのレーザーと fast pulser を用いたキャリ
ブレーションシステムを立ち上げた。
Calibration of
PMT(H3164-10)
Fast pulser (<10ns)
to simulate pulse shape
from plastic scinti.
Laser diode (440nm)
triggered by the fast
pulser
Reference PMT (H1161)
CERNテスト実験のこれまでの結論
LHCf 実験のための検出器のプロトタイプを
製作し,ビームテストを行った。
入射位置補正後,端の2 mmを除けば十分
な精度で入射光子のエネルギーを測定でき
る。
カロリメータ出力(PMT)のエネルギー較正
が可能。
まとめ
•
1017eVでの相互作用モデルを検証するための加速器実験
LHCf がスタートした。来るべき最高エネルギー宇宙線観
測のデータ解釈に不可欠な基盤を与えると期待される。
•
実験は LHCCで承認され,検出器設置場所等の具体的な
つめをおこなっている。2007年LHC立ち上げ時の低
luminosity(<1030 cm-2s-1)での測定ランを目指している。
•
2004年7‐8月に CERN SPSにおいてプロトタイプによるテス
ト実験を行った。実験は無事終了し,これまでにいくつかの
preliminary な結果を得た。現在さらに詳細なデータ解析中
である。
•
今後検出器に改善を加え,本番実験の準備をすすめる。
End