荷電交換

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研究計画報告
H 17 / 8 / 11
図子研究室
M1 稲田 優一
背景
周辺プラズマの挙動(不安定性)がプラズマの閉じ
込めに大きく影響すると考えられているが、プラズ
マ周辺部(X-point付近、壁近傍)での粒子輸送の
機構の解明は不十分である
またその測定法も確立されていない
研究課題
高リサイクリング・低温・高密度が望まれる周辺プ
ラズマの物理の理解と制御法の確立のために実
験的・定量的なデータを提供する測定技術を開発
すること
目的
信頼性の高い周辺(ダイバータ)プラズマ計測法を
確立し、密度分布、揺動レベル分布、揺動の周波
数・波数を正確に測定することにより、CPD(ST)
装置における周辺プラズマ挙動と閉じ込めの関係
を明らかにすることを目的としている
問題点
ラングミュアプローブ法も空間分解能をもつ周辺プ
ラズマの計測手段として従来から広く用いられて
きたが、プラズマを直接乱すことに加えて熱的損
傷を受け不純物混入の源となる可能性があるた
め、高温プラズマの測定には適していないと考え
られる
他の計測法が必要
提案計測法と原理
・Liビームプローブ
ラングミュアプローブに代わる周辺プラズマの計測
手段として開発されてきたビームプローブの一種
で、ビームの入射によって起こるプラズマとビーム
の相互作用の結果放出される光を分光学的に観
測することにより、プラズマの密度分布や密度揺
動分布を計測する手法である
特長
計測によってプラズマを乱すことがないこと
多チャンネルの光学測定系を用いることにより電
子密度分布と密度揺動分布の時間発展を同時に
高い空間分解能で測定できること
特徴
・低Zのリチウム原子からなるリチウムビームの入射に
よるプラズマへの影響は極めて小さい
・プラズマからの様々な放射を利用する分光計測はプラ
ズマへの影響が少ない
・プラズマの密度分布および密度揺動分布を1ショットで
同時に測定可能
ビームプローブの分類
解析の際には、ビームエネルギーに依存するビームの
平均自由行程によってリチウムの原子過程も異なって
くることを考慮する必要がある
リチウムの原子過程ごとのエネルギーについて
各種中性リチウムビームプローブは分類される
励起過程
Li + e
-
*
-
(電子衝突励起)
*
z+
(イオン衝突励起)
+
(z-1)+*
(荷電交換)
→ Li + e
z+
→ Li + A
z+
→ Li + A
Li + A
Li + A
Li + hν → Li
*
脱励起時に光を放出
(放射)
計測対象光
(光励起)
電離によりイオン化され
軌道を外れるため、ビー
ム密度は減少
(減衰)
電子衝突励起
・励起断面積が最も大きい
・共鳴線LiIの光は可視領域にあるため、利点として光学
系の設計が容易である
・Liは励起エネルギーが1.85eVと低く、Te=10~100eV
であれば励起レート係数一定とみなせ、電子温度・電子
密度の低い周辺プラズマの計測に適する
共鳴線LiIの光はリチウム原子が励起された位置
におけるプラズマの電子密度を反映した物理量で
あり精密な測定と適切な解析により電子密度を求
めることが可能
電離過程
Li + e
-
+
-
+
z+
+
(z-1)+
→ Li + 2e
z+
→ Li + A + e
z+
→ Li + A
Li + A
Li + A
(電子衝突励起)
-
(イオン衝突励起)
(荷電交換)
電離によってビーム密度が減衰するためリチウム
ビームプローブの適用可能領域が制限を受ける
ビームの減衰を考慮した解析法が要求される
入射ビームのエネルギーによって
支配的に振る舞う過程が決まる
リチウムビームの比較
表 ビームエネルギーによる分類
サーマルビーム
(800K≒0.08eV)
(≒527℃)
レーザーブローオフ
ビーム
(2eV)
高速ビーム
(8keV)
高速ビーム
(40keV)
支配的な励起過程
電子衝突
電子衝突
電子衝突
電子衝突
支配的な電離過程
電子衝突
電子衝突
電子衝突+
荷電交換(H)
荷電交換
(H,C,O etc.)
ビーム速度(cm/s)
1.5×105
7.5×105
4.7×107
1.1×108
0.002
0.010
0.63
1.5
~ 1×1013
~ 2×1013
~ 5×1013
-
◎
×
△
×
空間分解能(cm)
計測限界密度(cm-3)
密度揺動計測
本研究の目的に沿う計測性能
ビームプローブの選択
・サーマルビーム採用の理由
CPD装置の周辺プラズマの密度分布および密度
揺動分布を計測し閉じ込めとの関係を明らかにす
る目的から、ビーム密度が十分に得られ、高いSN
比が実現できることで密度揺動計測に優れる
システムの簡便性と計測時の複雑な解析法を回避
することが可能
実験設備
膜厚計に接続
傾けることにより、計測位置を
ビームに対して垂直方向に移動
RFプラズマをつけることで
プラズマとの相互作用を考
慮した校正実験が可能
断
面
図
GV:ゲートバルブ
シャッター
排気(10-4Pa)
SUSオーブン(≦616℃)
・シースヒーター
・熱電対
水晶振動子
垂水
直晶
に振
設動
置子
すの
る面
を
ビ
ー
ム
に
対
し
、
本実験では発振周波数が
6MHz一定である水晶振動
子にLiビームを3分間照射
し、その堆積量の増加に伴
う発振周波数の減少から
換算を行うことでLi膜厚を
算出できる装置を用いて計
測をおこなっている
水晶振動子
校正実験
・サーマルビームの蒸発束分布を調べる
左に傾け、主
に右側のビー
ムを計測して
いる場合
Li蒸発束
断
面
図
熱源付近温度
(523±1℃)
オーブン
ヒーターコイル
測定域(横線)
0
ⅹ
膜厚測定結果(横線)
d[Å]
peak
100
80
60
40
20
0
-30 -20 -10
0
10
20
30
x[mm]
・蒸発束分布はシート方向に対して一様である
測定域(縦線)
y
0
膜厚測定結果(縦線)
d[Å]
peak
100
80
60
40
20
0
-30 -20 -10
0
10
20
30
y[mm]
・トロイダル方向の半値幅20mmのシートビームである
測定域(中心点)
温度依存性(中心点)
d[Å]
400
300
200
100
0
450
500
550
600
temp[ºC]
650
これからの予定①
窓
距離
・可視分光器を用いた
窓の堆積層の膜厚計測
・ビームの距離依存性等から、
計測有効領域を明らかにする
これからの予定②
テストチャンバー
・テストチャンバーでRFプラズマ
をつけLiビームとの相互作用を
実験する
これからの予定③
・GVにチャンバーを取り付け、
CPDでのビーム計測を行う
・CCDカメラおよびフィ
ルター窓を用いてLiIを
計測し、周辺プラズマの
電子密度分布の把握を
試みる