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保全・再生分科会
問題提起
総合地球環境学研究所
湯本貴和
保全・再生分科会のテーマ
JBONで構築するモニタリング・ネットワークやデータベースを「順応
的管理」をキーコンセプトにして、いかに保全・再生の現場に役立
てるのか?
1)保全・再生の目標設定や計画策定、実施施工に、いかに反映させ
るか?
2)各地で独自におこなわれている保全・再生事業の教訓を、いかに
共有するか?
3)生物多様性を重要視した全国的な制度設計の構築には、どのよう
な障害があるのか?
4)アジアあるいは世界に、どのようにつなげるのか?
日本の自然が抱えている現在の諸問題
(新・生物多様性国家戦略 2002)
第1の危機
開発や乱獲による
生物種の絶滅や脆弱な生態系への悪影響
第2の危機 都市集中=山村過疎、たとえば獣害
農山村での人間活動の縮小と生活スタイルの変化に伴う耕
作放棄地の拡大や里山生態系の崩壊
第3の危機
移入種による在来生態系の変容
1963年
1996年
大台ヶ原 トウヒ林の変化
(撮影:菅沼孝之氏、環境省)
1980年
1994年
日光白根におけるシラネアオイの消失
(撮影:桑原光二氏)
国立公園 28
国定公園 55
原生自然環境 5
自然公園の2/3に
シカ生息.
その2/3で影響
常田邦彦氏による
国立・国定公園の位置と大きな影響が報告されている地域
日本全国でさまざまな保全・再生の試み
たとえば、
1)シカの増加に伴う植生の変化
対策:シカの個体数管理、シカ柵設置
2)草原の森林化
対策:野焼きの実施(担い手の組織化や育成)
3)里山管理
4)「自然再生」と称するさまざまな植樹・植林
日本全国でさまざまな保全・再生の試み
それぞれが互いに情報の共有なしに、失敗や成功を繰
り返し、その失敗や成功の生態学的あるいは社会学・
経済学的な分析もなされず、膨大な無駄と「より深刻な
危機」を生み出しているのではないか?
いくつかの試み
「草原再生ネットワーク」など
モニタリングデータの共有が必要
たとえば、「シカ柵ネットワーク」
空間的スケールアップの突破口
•
シカ柵ネットワークを例として
日本列島でこれほど異なるのに少数の事例だけでは
全体を把握できない
– 被害を与えないシカ密度は5頭/km2とされている(日野ほか2003).
1. シカ柵をネットワークでつないだ解析
– 空間的異質性 ⇒ 小規模柵多地点データを統合
– 気候帯の差 ⇒ 日本列島スケールでの比較研究
•
•
さまざまな地域のシカ柵をもちいて,シカと植生の関係を統合的理解
単一の研究グループによって広い空間スケールにまたがる多数のシ
カ柵を維持することはほぼ不可能
2. シカ柵調査の規格化
– 規格化されてこそ比較ができる.
– 規格化された方法はなさそうだ(ただし,正木2006; 星崎・阿部2008).
3. ニホンジカ当量(よいアイデアなし)
– シカ自体の差 ⇒ シカの重さや排糞速度(乾重)とか?
10
正木(2006)「森林の生態学」pp331-323; 星崎・阿部(2008)「森の芽生えの生態学」pp163-189; 日野ほか(2003)保全生態学研究8: 145-158
日本からアジア、そして世界へ
さらに失敗や成功の生態学的あるいは社会学・経
済学的な分析なしに、アジアや他の地域に保全再
生事業として膨大な無駄と「より深刻な危機」を「輸
出」していくおそれはないだろうか?
世界的なスタンダードに沿っているだろうか?
たとえば、
マングローブ再生
保全・再生分科会
湯本貴和 (総合地球環境学研究所)
趣旨説明および司会進行
1)香坂玲(名古屋市立大学)
「生物多様性条約と順応的管理:COP10に向けて」
2)三橋弘宗(兵庫県立人と自然の博物館)
「生物多様性の保全計画・保全対策・保全施策のフレームワーク:数値目標をいかに設定し、実行
可能性をいかに担保するのか?」
3)市川昌広(高知大学)
「森林の生物多様性の総合的アセスメント手法の構築と課題」
4)角谷拓(国立環境研究所)
「生物の空間分布・動態と生態的形質との関係:マクロエコロジーからのアプローチ」
5)中村浩二(金沢大学)
「里山里海の保全・再生による能登半島の地域活性化:生物多様性の視点から」
保全・再生分科会のテーマ
JBONで構築するモニタリング・ネットワークやデータベースを「順応
的管理」をキーコンセプトにして、いかに保全・再生の現場に役立
てるのか?
1)保全・再生の目標設定や計画策定、実施施工に、いかに反映させ
るか?
2)各地で独自におこなわれている保全・再生事業の教訓を、いかに
共有するか?
3)生物多様性を重要視した全国的な制度設計の構築には、どのよう
な障害があるのか?
4)アジアあるいは世界に、どのようにつなげるのか?