平面上の点対応を用いた複数台カメラの動的校正手法のタグチメソッド

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点対応の外れ値除去の最適化による
カメラの動的校正手法の精度向上
名古屋大学
情報文化学部 自然情報学科
複雑システム系 渡辺研究室
金井謙二
背景
複数台のカメラが協調して自動撮影するシステムが
監視カメラなどで求められている
動的校正手法の提案
しかし,動的校正手法では,
移動物体追跡で取得する点対応データによる誤差が生じる
タグチメソッドの導入による精度の向上を図る
背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論
カメラ校正
内部パラメータと外部パラメータを決定すること
内部パラメータ
・カメラの焦点距離やレンズの歪みなどを表す
・ハードウェアを変更しない限りは一定
外部パラメータ
・カメラの位置及び姿勢を表す
・カメラの位置を変更するたびに決定する必要がある
動的校正手法によって推定
背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論
動的校正手法
移動物体

各カメラの
内部パラメータが既知
1.床平面上の移動物体X
を追跡
2.同時刻,同座標の
点対応列を取得
3.Homography行列を求め
外部パラメータを推定
X
m2
m1
カメラ2
カメラ1
m1  H1 X
R 1  r1_1 r2 _1 r3_1
H1  11 A33 _1 r1_1 r2 _1 T1
r3_1  r1_1  r2 _1
背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論




外れ値除去
移動物体追跡により取得した
点対応列には外れ値が含まれている
Homography行列を求める
ために外れ値除去が必要
最小二乗法と非線形最適化手法の
組み合わせによる外れ値除去を行う
カメラ1
120, 108
137, 102
154, 79
148, 64
カメラ2
118, 33
100,47
92,71
102,92
カメラ1
カメラ2
137, 102
100,47
148, 64
102,92
・
・
・
・
・
・
背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論
・
・
・
・
・
・
LMedS法(1/2)
Least Median of Square 法
点対応データ
全点対応データn からランダムに
p 組の点対応を選ぶ
LM法
H1 行列を求める
k 回繰り返す
H1, H 2 ,H k に対して
二乗誤差の中央値を求める
2
M j  med N (H j m1i )  N (m2i )
i 1,...,n
x  x/ z
N y    y / z 
z   1 
  

背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論
カメラ1
120, 108
137, 102
154, 79
148, 64
127, 56
104, 62
123, 73
146, 52
167, 92
145, 77
155, 89
カメラ2
118, 33
100, 47
92, 71
102, 92
132, 100
161, 85
143, 89
188, 56
178, 77
140, 89
111, 40
・
・
・
・
・
・
LMedS法(2/2)
二乗誤差の中央値 M1, M 2 ,, M k
最小値
 
M,H
外れ値除去
2
N (Hˆm1i )  N (m2i )  ( S ˆ )2,
ˆ  1.4826[1  5 /(n  p)] Mˆ
外れ値除去後の
点対応データ
カメラ1
カメラ2
137, 102
100, 47
148, 64
127, 56
104, 62
102, 92
132, 100
161, 85
146, 52
188, 56
145, 77
140, 89
・
・
・
・
・
・
LM法
H 行列を推定
背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論
LM法
Levenberg-Marquardt法
非線形方程式の最小二乗法解を求めるアルゴリズムの1つ
H 行列の初期値 h0 を与える
H 行列の関数 f (h) を解く
(J T J  I )δh  J T f (h)
μ t  max{J T Jii }
 hの値によって
 または hを更新する
背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論
kmax 回繰り返し,
J T f (h)  
となる h を探索する
タグチメソッド



ばらつきの少ない製品を開発・設計段階で効率的につく
りこむ開発技法
パラメータ設計
外れ値除去に適応し,精度向上を図る
頻
度
特性
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
パラメータ設計の全体フロー
1.基本機能の検討
動的校正法の精度を評価
2.パラメータと水準の選定
外れ値除去に適応
3.実験計画
L18直交表へ割り付け
4.SN比の計算
5.要因効果図の作成
6.最適条件の推定
7.確認実験
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
評価方法
動的校正法の精度を静的校正手法と比較することで 評価する
(静的手法)-(本手法)=誤差
d
~
Tzh
θ
~
T
並進ベクトルの誤差
~u
zh
~
u
回転ベクトルの誤差
回転ベクトルの誤差の方が大きい
回転ベクトルの誤差を最小にする条件
最適条件
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
パラメータと水準の選定
外れ値除去に効果があると考えられるパラメータを8種類選定
LMedS法から
・点対応列の全データ数 : n
・ランダムサンプル数 : p
・計算の繰り返し数 : k
・ σ の係数 : s
LM法から
・終了条件 : kmax
・閾値 : t
・H 行列の初期値 : H01 , H02
A
B
C
D
E
F
G
H
因子\水準
全データ数 n
ランダムサンプル数 p
繰り返し数 k
σの係数 s
終了条件 kmax
閾値 t
H行列の初期値 H 01
H行列の初期値 H 02
1
400
4
50
1
50
0.0001
0.1
0.5
2
800
16
6000
2.5
1000
0.001
0.5
1
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
3
-
20
16000
4
10000
0.01
1
2
L18直交表
L18直交表とは
効率の良い実験計画
本来は 2  3  4374 通りの組
み合わせ実験をしなければな
らない
1
7
18回の実験のみで最適値を推
定できる
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
A
B
C
D
E
F
G
H
n
p
k
s
kmax
t
H 01
H 02
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
1
1
2
2
2
3
3
3
1
1
1
2
2
2
3
3
3
1
2
3
1
2
3
1
2
3
1
2
3
1
2
3
1
2
3
1
2
3
1
2
3
2
3
1
3
1
2
2
3
1
3
1
2
1
2
3
2
3
1
1
2
3
3
1
2
3
1
2
2
3
1
1
2
3
2
3
1
3
1
2
2
3
1
1
2
3
3
1
2
1
2
3
3
1
2
2
3
1
2
3
1
3
1
2
1
2
3
1
2
3
3
1
2
3
1
2
1
2
3
2
3
1
2
3
1
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
実験


移動物体としてレーザーポインターを使用し,その光を
追跡させ点対応列を取得
カメラ配置
Canon製 VCC-4カメラ
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
SN比の算出
タグチメソッドの適用により,誤差のばらつきを最小にする
ばらつきの尺度=SN比
望小特性のSN比 
 yi
  10 log10 
 i 1 n
n
yi :誤差の値
2




A
n
No.
1
400
2
400
3
4
…
400
400
…
17
800
18
800
…
…
…
…
…
…
…
…
…
H
SN比
H 02
η
誤差平均
0.5
1.883 7.864.E-01
1
1.355 8.555.E-01
2
2
…
1.474 8.439.E-01
1.158 8.719.E-01
…
…
2
1.515 8.348.E-01
0.5
1.748 8.161.E-01
n :同条件の実験の繰り返し回数,今回は n  10とした
SN比を最大⇔ばらつきを最小⇔誤差が最小
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
要因効果図
各パラメータのSN比の
水準平均を求める
A
B
C
D
E
F
G
H
因子\水準
全データ数 n
ランダムサンプル数 p
繰り返し数 k
σの係数 s
終了条件 kmax
閾値 t
H行列の初期値 H 01
H行列の初期値 H 02
1
2
1.38
1.89
3
-
2.01
1.45
1.46
1.45
1.46
2.01
1.65
1.83
1.43
1.64
1.93
1.34
1.96
1.37
1.58
1.82
1.55
1.54
1.62
1.47
1.82
水準値を変えたときの
結果の変化を調べる
回転ベクトル要因効果図
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
最適条件の推定
SN比が最大になるように最適な組み合わせを選ぶ
最適条件は A2 B1C3 D2 E2 F1G1H3 と推定できる
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
確認実験
推定された最適条件を用いて,
本手法の精度が向上するか確認実験を行った
SN比,誤差平均は10回の平均値
初期条件
最適条件
A
B
C
D
E
F
G
H
n
p
k
s
kmax
t
H 01
H 02
400
800
4
4
50
16000
2.5
2.5
100
1000
0.001
0.0001
0.25
0.1
1
2
SN比
増加
誤差平均 減少
S/N比
誤差平均
1.491
3.999
8.423.E-01
6.240.E-01
ばらつき 減少
精度
向上
タグチメソッド(評価方法 パラメータ選定 直交表 実験 SN比 要因効果図 最適条件 確認実験)
考察

取得する点対応データを変えて,パラメータの最適化を
行った.

外れ値除去においてHomography行列の初期値は
誤差への影響が比較的小さい

その他のパラメータの最適水準には統一性がない

含まれる外れ値の割合が不明の場合,パラメータの
水準幅はできるだけ広く見積もったほうが,精度向
上につながりやすい
背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論
結論

動的校正手法の外れ値除去に対して,タグチメ
ソッドを適応した

タグチメソッドから推定した最適なパラメータの組
み合わせにより,SN比の改善が見られた

動的校正手法の精度向上に役立てることが確認
できた.
背景 校正法 外れ値除去 タグチメソッド 実験 考察 結論