JointWS_ISONO

Download Report

Transcript JointWS_ISONO

山口大学大学院 理工学研究科
修士2年
礒野靖子
銀河系アストロメトリ
銀河系内にある天体は...
① 精確な距離
② 固有運動
の測定が難しい
特にouter regionで顕著
回転曲線の決定 ( Honma et al. 2007 )
回転曲線の決定・銀河回転モデルの構築・質量分布・
形成論・密度波理論など銀河系の研究全体に影響
地上で最も高い分解能をもつVLBIを用いた年周視差法が有効
6.7GHz メタノールメーザをプローブとした
高精度アストロメトリVLBI観測の実現
(VERAプロジェクトの拡張版)
6.7GHz メタノールメーザの特徴
 強度が強い
 スポットサイズは3AU程度 ( Menten et al. 1992 )
 H2O、SiOメーザと比較すると




内部固有運動が小さい (12.2Gで計測)
大部分のスペクトル成分の寿命は8年以上
変動のタイムスケールは約4年
大質量星形成領域に付随
→銀河系の腕に多く存在
銀河面上に広く分布
G9.62+0.20スペクトル
(山口32m単一鏡観測)
銀河面付近のメタノール分布 ○印:メタノールメーザ 灰色の輪郭:CO分子輝線( Pestalozzi
2005 )
et al.
JVN で得られる絶対位置の精度
2006年の6.7 GHz VLBI 観測の実測SEFDから
おおよその精度を算出
位相補償観測の参照電波源を
500mJy/Beam 、2時間観測すると仮定
JVN 6.7 GHz 観測アレイ
4局でのイメージング感度(2M帯域)は24 mJy/Beam
∴ S/N = 21
2006年の実測SEFD
SEFD (Jy)
山口
2881
水沢
5980
入来
46333
石垣
5727
精度 (合成ビーム/ SN比)
数百 μas
4 局+VERA小笠原+臼田 +受信機性能向上
→ 数十 μas の精度を見込む
これまでの研究
6.7GHz メタノールメーザの位相補償観測
 EVN で複数実施
~2kpc の5個の天体の
年周視差測定に成功 !!
絶対位置精度 : 3 mas ( Goddi
et al. 2007 )
 JVN Cep A で成功 !!
R.A. 22h 56m 17s .9042
Dec. +62°01′49″.577
絶対位置精度 : 1 mas
Cep A スポット分布図 ( Sugiyama et al. 2008 )
他周波との重ね合わせが目的 ・アストロメトリ
12.2GHz メタノールメーザの位相補償観測
VLBA で W3(OH) の年周視差測定
+約10天体
( Xu et al. 2006 )
W3(OH)
 強度の強い天体(約3000Jy)
 内部固有運動が小さい
(0.15mas/yr @12G)
 ペルセウス腕上、outer galaxy に位置
 JVN では2005年にマッピング観測
 他周波の結果と比較可能
12.2 GHz CH3OH メーザ ( Xu et al. 2006 )
年周視差: 0.512±0.010 mas
距
離: 1.95±0.04 kpc
W3(OH) スペクトル
(山口32m単一鏡観測)
22.2 GHz H2O メーザ ( Hachisuka et al. 2006 )
年周視差: 0.489±0.017 mas
距
離: 2.04±0.07 kpc
JVN 6.7GHz帯でアストロメトリを目指した
試験観測には最適の天体 !!
観測概要
参加局
(受信偏波)
山口、VERA水沢・入来・石垣
直線
(片円
観測日
参照天体
片円
直線)
2007年7月30日
J0244+62
離角2.2°5分スイッチング
観測時間
~ 2 hours W3(OH)
~ 1 hour J0244+62
フリンジ間隔
最長基線 : 4.1 mas (水沢―石垣)
最短基線 : 31.7 mas (山口―入来)
静止周波数
6668.518 MHz
観測帯域幅
16 MHz → 2MHz
分光点数
512 点
速度分解能
0.175 km/s
ビームサイズ
9.4×3.0 mas
イメージ感度
310 mJy/Beam
W3(OH) 試験観測アレイ
W3(OH)のUV-coverage
結果① ~スポット分布図~
約2秒角に広がった
123個のスポットを検出
(>7σ)
スポット分布図の比較
2007. July
1992. April
( Menten et al. 1992 )
15年のスパンでもクラスター分布はほぼ変化せず安定!!
スポット分布図の重ね合わせ
2007. July
April
V.S.
1992.
ピークスポットを含むクラスターで、
スポットがよく一致するように重ね
合わせ
スポット分布は
数mas のオーダーで
15年間にわたって安定 !!
●: 2007.July
6.7GHz ○: 1992.April
6.7GHz
○: 1992.April
12.2GHz
結果② ~絶対位置~
W3(OH) のピークスポットに位相準拠
2MHz 帯域のデータで参照電波源J0244+62 のマッピングに成功 !!
ピーク
: 450 mJy/Beam
イメージノイズ : 50 mJy/Beam
ダイナミックレンジ : ~9
得られた絶対位置 (ピークスポット位置)
R.A. 02h27m03s.81813
±0.2 mas
Dec. +61°52′25″.2260 ±0.4 mas
絶対位置比較
Xu et al. 2006 に掲載されている
9個のスポット絶対位置(12.2G)
V.S.
Xuと同じ視線速度をもつ、
本観測で得られたスポット(9個)
~10 mas の系統的なずれ
原因は今のところはっきりしていないが、
2エポック目の解析結果を見て再度検討
■: Xu et al. 2006 12.2
GHz
◆: 本観測 6.7 GHz
まとめ
 6.7 GHz メタノールメーザでアストロメトリを目指すため
W3(OH) で試験観測を実施
 詳細なスポット分布図の取得に成功 !!
約2秒角に広がった123個のスポットを検出
スポット分布は数masのオーダーで15年にわたり安定
 絶対位置を決定 !!
200 μas の精度で絶対位置を決定
ただし12.2 GHz の位置とは~10masの系統的なずれ
今後の展望
 2008.5. に2エポック目の観測をおこなった(これから解析)
 絶対位置の比較
 スポットの同定
 固有運動の検出
 アレイの変化による性能評価
 JVN6.7GHz アレイは現在6局 →フルアレイ
1年間に複数回のデータ取得が理想