川崎病とL型菌の関連について L型菌ナノサイズ微小細胞がアジュバント

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Transcript 川崎病とL型菌の関連について L型菌ナノサイズ微小細胞がアジュバント

川崎病とL型菌の関連について
L型菌ナノサイズ微小細胞が
アジュバント効果を持つ可能性
川崎病の病原体としてL型菌を検討する理由
①
L型菌は今だ十分には検討されていない
②
病巣部からL型菌様の微生物が検出されている
③
ペニシリン系の抗生物質が無効である
④
川崎病は抗生物質の使用開始の頃より発生し始
め、日本に多い(L型菌増加と一致?)
これまでの結果
① 細菌のHSP60はペリプラズムに局在し、L型菌では細胞表
面、または外界に分泌される可能性がある (2008, 細菌学
会)
川崎病ではBCG接種部位の発赤が起こる事との関連
(HSP60が関連すると考えられている)
② 化膿レンサ球菌のL型菌にはストレプトリジンO、ストレ
プトキナーゼを産生しない株が出現する(2010 細菌学会)
川崎病患者にASLO、ASKが検出されない理由
③ 化膿レンサ球菌のL型菌には親株より多くの
ヒアルロニダーゼを産生する株がある
(2010 感染症学会)
川崎病患者の病態と関連する可能性がある
L 型菌の特殊性
増殖過程で大小の細胞ができる
100μm
Staphylococcus aureus L 型菌
Takahashi,T ら、1981より
1μm
Staphylococcus aureus L 型菌
Eda,T. ら、1977より
1μm
Streptococcus pyogenes L 型菌
Eda,T. ら、1979より
1μm
Escherichia coli L型菌
Eda, T. ら、1976より
0.5μm
Brucella suis L 型菌
Slomska, J. S. ら、1982より
Proteus mirabilis L 型菌
Kroll, H. P. ら、1980より
1μm
Streptococcus faecium L 型菌
Bibel,D. J. ら、1975より
Staphylococcus aureus L型菌
Yabu,K. ら、1991より
100 nm
Proteus mirabilis L型菌
Eda, T. ら、1978 より
ポアサイズ100 nm のミリポアフィルターを通過した
化膿レンサ球菌 L 型菌
1μm
L型菌のサイズ
菌種
大型細胞( mm ) 微小細胞( nm )
Proteus mirabilis
Brucella suis
Proteus mirabilis
Escherichia coli
Pseudomonas aeruginosa
4
0.7
2.5
1.7
0.9
16
47
83
111
125
Streptomyces hygroscopicus 5
Bacillus licheniformis
2
group B Streptococcus
3.6
Streptococcus pyogenes
6.2
Streptococcus faecalis
9
Staphylococcus aureus
5
Staphylococcus aureus
80
Streptococcus faecium
100
20
55
66
71
80
83
500
(TOHRE EDA et al. 1978)
(J.SCHMITT SLOMSKA et al.1982)
(HEIN-PETER KROLL et al. 1980)
(TOHRE EDA et al. 1976)
(EARL G.HUBERT et al. 1971)
(J. GUMPERT 1983)
(PRISCILLA B.WYRICK et al. 1973)
( N.C. CHURLOVA et al. 1986)
(TOHRE EDA et al. 1979)
(MARY T.GREEN et al. 1974)
(TOHRE EDA et al. 1977)
(TOYOZOH TAKAHASHI et al. 1981)
( DAVID J BIBEL et al. 1975)
L型菌のサイズ
ウイルス
20~300nm
細 菌(野生型)
0.5~10μm
アジュバント粒子
原 虫
20~500nm
1~60μm
L 型 菌
16 nm~100μm
L型菌のサイズは粒子状アジュバントになりうる
Emulsion of water-in-oil
Freund, J., and Bonanto,M.V.: J.Immunol., 48:325-334, 1944より
L型菌細胞への蛋白等の吸着について
ウシ胎児血清100%での化膿レンサ球菌124L株の培養
L-C株
124L株
化膿レンサ球菌124 L 株のみ菌体沈査に色の変化が見られた
培地成分のアルブミンはL型菌に吸着するか
菌株
培地
培養
化膿レンサ球菌
L 型菌: 124 L 株、
野生型: 124 P 株(親株)K6169 株
L型菌用液体培地
brain heart infusion broth
0.5% yeast extract
4% NaCl
10% FBS
37℃ 好気 静置培養
アルブミン吸着の確認
全菌体成分に対する、sheep anti-bovine albumin
antibody (Bethyl Lab. Inc.,A10-113A)を用いて
ウエスタンブロッティングを行った。
血清加培地で培養したL型菌と野生型のアルブミンの吸着
Sheep anti-bovine albumin antibody によるウエスタンブロッティング
1
2
3
4
1
3
4
kDa
9467-
1. アルブミン
2.K6169 株 (野生型)
3.124 P 株 (野生型)
43-
4.124 L 株 ( L 型)
L 型菌株には、 野生型株より多くのアルブミンが検出された
マイコプラズマでも、培地血清蛋白が吸着することが報告されている
L型菌のアジュバントサイズの微粒子表面に
蛋白等の抗原物質を吸着する性質があれば、
生体内で
粒子状アジュバントとして作用する可能性がある
アジュバントサイズの微粒子であるウイルスも
その表面に抗原物質を吸着する性質があれば、
生体内で
粒子状アジュバントになる可能性があるか?
不活化日本脳炎ウイルス粒子をアジュバントとして使用する方法
課題を解決するための手段[0010][3]
不活化日本脳炎ウイルスが粒子状構造であることを特徴とする
(化学及血清療法研究所 特許出願書 2009 より)
ウイルス粒子も (粒子状)アジュバントになる
L型菌の動物感染実験
● 黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌のL型菌をラットの肺、
腹腔に接種、30日間観察
L型菌のみ30日まで検出 (親株は15日まで)。
L型菌はマクロファージ内外で生存・増殖
野生型より強い炎症反応を引き起こした
(Lilia Michailovaら、2000、2006)
● 化膿レンサ球菌 L型菌をマウスの腹腔に接種し1年間観察
L型菌の抗原は一年間検出。
L型菌の抗原は、肝臓、腎臓、心臓、脾臓の全てに出現。
全ての組織の血管で反応が見られ、壊死や出血性病変が見られた。
心臓では、心内膜、心外膜、間質組織、心筋繊維、特に血管周辺部に
見られ、強い血管炎を示し、瘤状の拡張 fibrinoid swelling を形成した
L型菌はマクロファージの細胞内外に見られる
(G. Kaganら、1976)
結 果 と 考 察
1. L型菌の細胞サイズ
微小細胞
16 nm
50~500 nm
大型細胞
( ウイルスサイズ )
( アジュバントサイズ )
500~10000 nm
( 細菌サイズ )
100000 nm
( 原虫サイズ )
2.L型菌の細胞膜は外来性の蛋白等を吸着する可能性がある。
3.L型菌の微小細胞が粒子状アジュバントとして作用する可能性
がある。
4.この機序によって、川崎病等、膠原病の多様な免疫反応と
病因特定の困難さが生じている可能性がある。
川崎病の急性期抹消血では
CD14+モノサイト/マクロファージ
数が増加する。
化膿レンサ球菌L型菌をラット腹腔
に接種した場合、
マクロファージ、モノサイトが
野生型より激しく増加する
(Lilia Michailova
ら、2000)
推測される L 型菌の作用
擬似ウイルス
アジュバント作用
毛細血管の塞栓
マクロピノサイトーシス
結合組織への侵襲
免疫複合体形成
擬似寄生虫
持続・潜伏感染
血管内皮細胞への吸着
細胞外増殖
貪食細胞内増殖
L型菌が疑われている膠原病
●サルコイドーシス
Etiology of sarcoidosis : the role of Propionibacterium
acnes.
(Eishi Y, ら 2003)
Histologic obserbations of variably acid-fast pleomorphic
bacteria in systemic sarcoidosis
(Cantwell AR Jr. 1982)
●全身性エリテマトーデス
Histologic Observation of Coccoid Forms Suggestive of
Cell Wall Deficient Bacteria in Cutaneous and Systemic
Lupus Erythematosus
(Cantwell AR Jr. ら 1982)
個々のL型菌は様々な変化ができる
ウイルスサイズ、 細菌サイズ、 寄生虫サイズ
細胞内寄生
細胞外寄生
持続感染
潜伏感染
増殖性細胞
非増殖性細胞(100nm以下)
細胞壁成分あり
細胞壁成分なし
L型菌相
野生型相(親株への復帰)
×
多くの菌種が L 型菌に変化する