Transcript 第11回
電子回路Ⅰ 第11回(2009/1/19)
電力増幅
今日の内容
電力増幅の用途
トランジスタの大振幅動作
A級電力増幅回路
B級電力増幅回路
B級プッシュプル電力増幅回路
C級電力増幅回路
これまでの増幅回路の用途
•小信号を増幅
アンテナで検出した信号の増幅
微弱な測定信号の増幅
差動増幅
•広い帯域幅での増幅
低域しゃ断周波数、広域しゃ断周波数
•発振回路
•演算増幅
電力増幅の用途
•電気信号を他の物理量に変換する
スピーカー、モーター、ディスプレイ
ボイスコイル(数~数十Ω)に電流を流す
•電波としてアンテナで送信
ラジオ、テレビ、無線
特定の周波数(搬送波)に信号を載せて送信
トランジスタの大振幅動作
小信号と違う点
電圧、電流ともに大きな振幅となるので、
動作点からかなりはずれたIc,VCEもとる
トランジスタ/FETは非線形素子なので、
hfeなどの動作量が振幅に依存する
これまで行ってきた動作量が振幅に依存
しないという仮定の線形計算は適用でき
ない
Q
大振幅動作における注意 最大許容
最大許容コレクタ電流
ICmax
コレクタ損失
PCmax=IV
最大許容
コレクタ電圧
VCmax
パワートランジスタの特性
(2SA1129) その1
パワートランジスタの特性
(2SA1129) その2
A級電力増幅回路
動作点が A と B
の中央
A級電力増幅回路の出力
幅は
負荷RLに流れる交流電流の振
出力電力PLは
2
I CM 2
1 I CM
RL
PL
RL
8
2 2
VCC
より、 実効値
またI CM
RL
VCC 2
I CM 2
RL
PL
8RL
8
I CM
なので
2
A級電力増幅回路の効率
回路に供給する直流電
力PDCは
PDC I CVCC
ただし
I CはI Cの平均値を表す
I
IC I CQ CM より
2
I CM
VCC 2
PDC I CVCC
VCC
2
2RL
効率は
VCC 2
PL
8RL 2
25%
2
PDC VCC
8
2RL
A級電力増幅回路の損失
効率は25%、残りはどこで消える?
50%
常に直流電流が流れる
2
VCC 2
I CM
直流損失
PRL I C RL
RL
RL
4
2
2
トランジスタにも電圧
、電流が流れるコレク
タ損失
1 ICM 1 VCC VCC 2
コレクタ損失
PC
RL
8
2 2 2 2
25%
負荷に直流電流を流さない
A級電力増幅回路(その1)
スピーカーに直流電流が流れる
と、コイルが焼き切れる
IC1の直流電流分ICQと等しい
電流IC2をQ2に流すと、負荷RL
には交流電流しか流れない
でも効率は25%
カレントミラー回路
負荷に直流電流を流さない
A級電力増幅回路(その2)
変成器(トランス)で交流だけを
伝える
インピーダンス変換も兼ねる
n2
i1 i2
n1
n1
v1 v2 より
n2
n1
v2
2
2
n1 v2 n1
v1 n2
Rl
RL
n
i1
2
i2 n2 i2 n2
n1
i1
i2
v1
v2
B級電力増幅回路(動作点)
Q
VCE,ICの値は無視してください
•動作点をVCC(カットオフ点)に設定
•共振回路による波形整形が必要
B級電力増幅回路(波形と効率)
コレクタ電流の平均値
ICM
IC
sin td t
0
2
I Cに含まれる基本波(角
周波数)の振幅
2
I C1
sin tICM sin td t
0
2
電力効率は
IC12 RL
I CVCC
B級電力増幅回路(波形と効率)
コレクタ電流の平均値
I CM
I CM
I CM
IC
sin
td
t
2
2 0
2
ICに含まれる基本波(角
周波数)の振幅
ICM 2
2
IC1
sin tICM sin td t
sin td t
0
0
2
I I
CM CM
2
2
電力効率は
2
I CM
RL
I C12 RL
2
78.5%
4
I CVCC ICM I R
CM L
VCC ICM RLより
B級プッシュプル電力増幅回路
(回路)
npn
入力信号の正と負を
それぞれのトランジス
タで増幅して合成
pnp
負荷に直流電流が
流れない
B級プッシュプル電力増幅回路
(動作点)
2つのトランジスタのVCE-IC特性を加えた形
VCC=VEEにしないと
上下で出力の振幅
が揃わない
B級プッシュプル電力増幅回路
(効率)
出力電力
2
I R
I
PL CM RL CM L
2
2
電源電力
2I
PDC VCC I C1 VEE I C 2 CM VCC
2
2I CM
I CM RL
2I CM 2 RL
電力効率は
I CM 2 RL
P
2
L
78.5%
PDC 2I CM 2 RL 4
B級プッシュプル電力増幅回路
(問題点)
VBEにある程度の電圧を印加しない
とコレクタ電流が流れない
バイアスをかけてA級に近づける
(AB級)
Single Ended Push-Pull(SEPP)
C級電力増幅回路
B級よりも深くバイアスをかけると
電流が流れない
ic I CM cost cos : t
2
2
2
I CM 2
1 2
IC
i
d
t
cos
t
cos
d t
2 0 c
2 0
2
I
CM sin cos
2 2
2
基本波の振幅
2 2
IC1
i costd t
2 0 c
2I CM 2
I CM
sin
cos
t
cos
cos
td
t
0
2
2
C級電力増幅回路(効率)
直流電流
I
I C CM sin cos
2 2
2
基本波電流
I
I C1 CM sin
2
直流入力
V I
PDC VCC I C CC CM sin cos
2 2
2
基本波出力
V I
V I
PL CC C1 CC CM sin
4
2 2
効率は
P
1 sin
L
PDC 4 sin cos
2 2
2
が小さいほど効率は良くなるが、
出力が減少する
C級電力増幅回路(用途)
波形が著しく歪むので、多くの高
調波を含む
共振回路が必要(周波数は固定)
無線送信用
PWM(Pulse Width Modulation)
周波数にこだわらず、電力増幅をしたいとき(ヒーター、モーター)
入力
元の信号
基準信号
一定の位相(振幅)範囲のみで出力(増幅)
パルス幅を変調して平均出力を制御
出力