講演のスライド集(パワーポイント)

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Transcript 講演のスライド集(パワーポイント)

糖尿病外来患者の管理
井田病院内科
半田みち子
外来糖尿病治療のポイント
• ともかく、早期発見、早期治療につきる。合併症
が進行してからでは手遅れ
外来糖尿病治療のポイント
• ともかく、早期発見、早期治療につきる。合併症
が進行してからでは手遅れ
• 患者本人に糖尿病についての知識をもってもら
い通院を続けさせる
外来糖尿病治療のポイント
• ともかく、早期発見、早期治療につきる。合併症
が進行してからでは手遅れ
• 患者本人に糖尿病についての知識をもってもら
い通院を続けさせる
• 2型糖尿病では食事療法が何よりも重要な治療
法である
外来糖尿病治療のポイント
• ともかく、早期発見、早期治療につきる。合併症
が進行してからでは手遅れ
• 患者本人に糖尿病についての知識をもってもら
い通院を続けさせる
• 2型糖尿病では食事療法が何よりも重要な治療
法である
• 合併症予防には血糖のコントロールだけでなく、
高血圧、高脂血症の治療も充分行う
専門医へ紹介した方が良い場合
1. インスリン依存状態が疑われる場合:1型糖尿病、
著しい高血糖、尿ケトン体陽性、意識レベルの低下、
著しい体重減少、脱水や発熱、食事が摂れないなど
2. 重症感染症などの急性合併症を起こしている
時や中等度以上の手術を要する時
3. 慢性合併症が進行した症例や高度の肝臓・腎
臓障害などを有する症例
4. 妊娠している症例
5. インスリン導入時:インスリン治療に不慣れな場合、そ
の開始を専門医にゆだねるのもひとつの方法である
糖尿病の診断基準
空腹時血糖値≧126mg/dl
または
糖尿病型
随時血糖値≧200mg/dl
または
75gOGTT2時間値≧200mg/dl
糖尿病の診断
①糖尿病症状(口渇、多飲、多尿な
ど)
糖尿病型2回以上
②HbA1c≧6.5%
または糖尿病型1回 +
③糖尿病網膜症
のいずれかあり
糖尿病の分類
• 1型(β細胞の破壊、通常はインスリン欠乏にいたる)
A.自己免疫性
B.特発性
• 2型(インスリン分泌低下を主体とするもの、インスリン抵
抗性が主体でそれにインスリンの相対的不足を伴うもの
などがある)
• その他の特定の機序、疾患によるもの
A.遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの
B.他の疾患、病態によるもの
• 妊娠糖尿病
糖尿病コントロール目標
血糖コントロールの指標と評価
指標
優
良
HbA1c 値(%)
空腹時血糖値
(mg/dl)
食後 2 時間血糖値
(mg/dl)
5.8 未満
可
不可
5.8~6.5 未満
不充分
不良
6.5~7.0 未満 7.0~8.0 未満
8.0 以上
80~110 未満
110~130 未満
130~160 未満
160 以上
80~140 未満
140~180 未満
180~220 未満
220 以上
2004 日本糖尿病学会
その他のコントロール指標
標準体重の維持 体重=22x身長(m)x身長(m)
血圧 130/80mmHg 未満
総コレステロール 200mg/dl 未満(LDL コレステロール 120mg/dl 未満)
糖尿病コントロール目標
血糖コントロールの指標と評価
指標
優
良
HbA1c 値(%)
空腹時血糖値
(mg/dl)
食後 2 時間血糖値
(mg/dl)
5.8 未満
可
不可
5.8~6.5 未満
不充分
不良
6.5~7.0 未満 7.0~8.0 未満
8.0 以上
80~110 未満
110~130 未満
130~160 未満
160 以上
80~140 未満
140~180 未満
180~220 未満
220 以上
2004 日本糖尿病学会
その他のコントロール指標
標準体重の維持 体重=22x身長(m)x身長(m)
血圧 130/80mmHg 未満
総コレステロール 200mg/dl 未満(LDL コレステロール 120mg/dl 未満)
糖尿病コントロール目標
血糖コントロールの指標と評価
指標
優
良
HbA1c 値(%)
空腹時血糖値
(mg/dl)
食後 2 時間血糖値
(mg/dl)
5.8 未満
可
不可
5.8~6.5 未満
不充分
不良
6.5~7.0 未満 7.0~8.0 未満
8.0 以上
80~110 未満
110~130 未満
130~160 未満
160 以上
80~140 未満
140~180 未満
180~220 未満
220 以上
2004 日本糖尿病学会
その他のコントロール指標
標準体重の維持 体重=22x身長(m)x身長(m)
血圧 130/80mmHg 未満
総コレステロール 200mg/dl 未満(LDL コレステロール 120mg/dl 未満)
2型糖尿病の治療
1.食事療法
2.運動療法
3.薬物療法:経口血糖下降剤
インスリン
糖尿病合併症の治療薬
高血圧、高脂血症の治療薬
食事療法
食事療法の重要性
• 糖尿病の治療は食事療法を抜きにしては
始まらない
• (1)総カロリーの制限、(2)栄養をバランス
良く摂取すること、が食事療法の原則
• 摂取カロリーの計算法:
標準体重 x (25~35 ) kcal
標準体重(kg)=身長(m)x身長(m) x 22
食事指導のポイント
• ゆっくり良く噛んで食べ、腹八分目とする
• 食品の種類は出来るだけ多くする
• 食物繊維を多く含む食品(キノコ、海藻など)を充
分摂る
• 甘いもの、脂っこいものはなるべく食べないよう
にし、飲み物にも気をつける
• 3食を規則正しく摂り、間食、夜食は避けるように
する。
食品交換表
表1
穀物、いも、豆、かぼちゃ、とうもろ
こしなど
表2
くだもの
表3
魚介、肉、卵、大豆とその製品
表4
牛乳および乳製品、チーズなど
表5
油脂、多脂性食品(ベーコン、ピーナ
ツ、アボガドなど)
表6
野菜、海藻、きのこ、蒟蒻など
調味料
味噌、砂糖など
1600キロカロリーの配分例
1単位=80キロカロリー
計20単位(1600kcal)
朝
昼
夕
表2
穀物、いも、豆、かぼちゃ、と
3 4 4
うもろこしなど
くだもの
1
表3
魚介、肉、卵、大豆とその製品 1 1
表4
牛乳および乳製品、チーズなど
1.4
油脂、多脂性食品(ベーコン、
1
ピーナツ、アボガドなど)
野菜、海藻、きのこ、蒟蒻など 0.3 0.4 0.5
表1
表5
表6
調味料 味噌、砂糖など
0.6
2
食品交換表の読み方
1.食品の分類:栄養素により6つのグループに分類(表1-6)
2.1単位=80kcal
①ご飯茶碗1杯、パン6枚切1枚は2単位、うどん1玉3単位
②りんごやバナナ小1個は1単位
③魚1切れ、イカ1杯、肉1人分(80g)、卵1個は大体1単位
③納豆1パック、豆腐1/3丁は1単位
④牛乳1本(200ml)は1.4単位
⑤油大さじ1杯は1単位
⑥野菜は量をあまり気にしなくて良い
大福1個、カステラ1切れは( )単位
3.同じグループ(表)の食品は交換可能
食品交換表の読み方
1.食品の分類:栄養素により6つのグループに分類(表1-6)
2.1単位=80kcal
①ご飯茶碗1杯、パン6枚切1枚は2単位、うどん1玉3単位
②りんごやバナナ小1個は1単位
③魚1切れ、イカ1杯、肉1人分(80g)、卵1個は大体1単位
③納豆1パック、豆腐1/3丁は1単位
④牛乳1本(200ml)は1.4単位
⑤油大さじ1杯は1単位
⑥野菜は量をあまり気にしなくて良い
大福1個、カステラ1切れは(2)単位
3.同じグループ(表)の食品は交換可能
1日の指示エネルギーの配分例
1単位=80kcal
食品交換表
表 1 表2 表 3
表4
表5
表 6 調味料
1200kcal
(15 単位)
6
1
4
1.4
1
1
0.6
1400kcal
(18 単位)
9
1
4
1.4
1
1
0.6
1600kcal
(20 単位)
11
1
4
1.4
1
1
0.6
1800kcal
(23 単位)
12
1
5
1.4
2
1
0.6
1600キロカロリーの配分例
朝
昼
夕
表2
穀物、いも、豆、かぼちゃ、と
3 4 4
うもろこしなど
くだもの
1
表3
魚介、肉、卵、大豆とその製品 1 1
表4
牛乳および乳製品、チーズなど
1.4
油脂、多脂性食品(ベーコン、
1
ピーナツ、アボガドなど)
野菜、海藻、きのこ、蒟蒻など 0.3 0.4 0.5
表1
表5
表6
調味料 味噌、砂糖など
2
0.6
1単位=80キロカロリー
1600キロカロリーの朝食例
1600キロカロリーの昼食例
1600キロカロリーの夕食例
1600キロカロリーの間食例
運動療法
運動療法
• インスリン抵抗性を改善する効果がある
• 自覚的に「きつい」と感じない程度(脈拍数
100~120/分)
• 有酸素運動(歩行など)が望ましい
• 1日30分~60分、週4日以上を目安とし、体
調や天候の悪い日は無理をしない
• インスリンや血糖下降剤を用いている人で
は低血糖に注意する。
運動を禁止あるいは制限する
必要がある場合
空腹時血糖値250mg/dl以上、尿ケトン体陽
性、眼底出血、腎不全、虚血性心疾患、
骨・関節疾患がある場合など
薬物療法
糖尿病の薬物療法
• 経口血糖下降薬
(1)スルホニル尿素(SU)薬
(2)速効型インスリン分泌促進剤
(3)チアゾリジン薬
(4)ビグアナイド薬
(5)αグルコシダーゼ阻害薬
• インスリン:超速効型、速効型、中間型、混合製剤、超持続型
• 合併症の治療薬
• 高血圧、高脂血症の治療薬
経口血糖降下剤
経口血糖降下薬
1.インスリン分泌促進系
スルホニル尿素薬
速効性インスリン分泌促進薬
2.インスリン抵抗性改善系
チアゾリジン薬
ビグアナイド薬
3.糖吸収遅延系
αグルコシダーゼ阻害薬
スルホニル尿素(SU)薬
• 膵臓を刺激してインス
リンを分泌させる
• 主な副作用は低血
糖
• 欠点として、2次無
効、体重増加
速効性インスリン分泌促進薬
• 速やかなインスリン分
泌により食後の高
血糖を抑制
• 必ず食直前に服用
• ナテグリニドは透析患
者では禁忌
• SU剤との併用は不
可
チアゾリジン薬
• 主として脂肪組織
に作用してインスリン
抵抗性を改善する
• 副作用として、浮腫、
心不全、肝障害、肥
満増強など
• 心不全患者、心不
全既往患者には禁
忌
ビグアナイド(BG)薬
• 主として肝臓に作用し
てインスリン抵抗性を改
善する
• 副作用として、乳酸ア
シドーシス、胃腸障害な
ど
• 高齢者、アルコール
依存、肝・腎・心・肺機
能障害では要注意
αグルコシダーゼ阻害薬
(αGI)
• 炭水化物の吸収を遅延
させることにより、食後
の高血糖を改善する
• 食直前に服用
• 低血糖が起きたらブド
ウ糖を投与する必要が
ある
• 副作用として、消化器
症状(下痢、腹満、便秘、
放屁など)、肝障害など
経口血糖降下薬の使い方
• インスリンの適応でない患者で、
食事、運動療法を出来る限り行わせてもHbA1c
が8%以上の場合
• いずれの薬剤から開始しても良いが、患者の状
態により適応や副作用を考慮して使用する
• 少量からスタートし、出来れば2週間以内に来院
させて反応を確かめる
• 薬剤の追加や変更は、HbA1c 6.5%を目標に、
通常同一薬剤で2-3ヶ月経過をみてから行う
糖尿病のインスリン治療
• インスリンの絶対的適応
1型糖尿病
糖尿病昏睡
重度の肝障害、腎障害
重症感染症、中等度以上の外科手術
糖尿病を合併した妊娠
• インスリンの相対的適応
空腹時血糖が200mg/dl以上といった未治療放置例や急性増悪例
随時血糖350mg/dl以上または尿ケトン体陽性
食事療法が遵守され、肥満がなく、αGIに加え極量のSU剤が投与され
ているにもかかわらず、HbA1cが数ヶ月間8%以上を続けている症
例
外来インスリン治療のポイント
• 1型糖尿病など、インスリンの絶対的適応であるとい
う診断がなされた場合あるいは疑われる場合は専
門医に紹介したほうが良い
• 2型糖尿病でも、インスリン導入は専門医に委ねる
のも一つの方法である
• 合併症が進行する前に、早めにインスリン導入する
• 2型糖尿病で病状が安定したらかかりつけ医で治療
を続行する
• 原則として血糖自己測定をさせる
インスリンの種類
(持続時間による分類)
1.超速効型
持続時間3-5時間、食直前投与
2.速効型
持続時間5-8時間、食前30分投与
3.中間型
持続時間18-24時間、1日1-2回投与
4.混合型
(1)超速効型と中間型(超速効型25%、30%、50%混合)
(2)速効型と中間型(速効型10-50%混合)
5.持効型溶解
あきらかなピークなく持続時間約24時間、1日1回投与
インスリンの種類
(デバイスによる分類)
1.ペン型カートリッジタイプ
カートリッジをペン型の注入器に装着して使用
ノボペン、ヒューマペン、オプチクリック
2.ペン型使い捨てタイプ
製剤・注入器(ペン形)一体型の使い捨てタイプ
フレックスペン、ヒューマカートキット
3.イノレット
製剤・注入器(キッチンタイマーのような形)一体型の使い捨
てタイプ
4.シリンジ
ノボペン
ヒューマペン
オプチクリック
フレックスペン
ヒューマカートキット
イノレット
主なインスリン製剤
分類
注射のタイミング
超速効型
食直前
速効型
中間型
混合型
超速効型と
中間型
速効型と中
間型
持効型溶解
主なインスリン製剤
ノボ゙ラピッド、ヒューマログ
ノボリンR、ヒューマカートR、
ペンフィルR、イノレットR
朝、夕、食前30 ノボリンN、ヒューマカートN、
分、就寝前
ペンフィルN、イノレットN
ノボラピッド30ミックス、ヒュー
食直前
マログミックス25、50
食前30分
食前30分
1日1回定時
ノボリン10-30R、ヒューマカート3/7、
ペンフィル10-50R、イノレット30R
ランタス
血糖自己測定について
• 目的および有用性
患者自身が血糖レベルを知ることで自己管理の意識が向
上する。その結果より良い血糖コントロールが期待できる
治療する側にとっても外来でのインスリンコントロールが容
易となる
• 対象
インスリン治療中の1型、2型糖尿病
糖尿病妊婦または妊娠を希望する糖尿病患者
ただし、血糖自己測定の手技、意義を理解できること
合併症の治療
細小血管障害の治療(1)
糖尿病性網膜症
• 初診時には必ず眼科を受診させ、その後も定期
的に受診しているか確認する
• 眼科受診間隔の目安(原則として眼科医の指示
に従う)
正常~単純性網膜症初期:1回/年
単純網膜症中期以上:1回/3-6ヶ月
増殖前網膜症以上は必ず眼科医の指示通り
• 急激な血糖や血圧の変動は網膜症を悪化させ
ることがあるので注意
細小血管障害の治療(2)
糖尿病性腎症
• 尿中アルブミンを定期的にチェックする(随時尿
で可、尿Crで補正)
正常アルブミン尿:<30mg/gクレアチニン
微量アルブミン尿:30-299mg/gクレアチニン
顕性蛋白尿:>=300mg/gクレアチニン
• 血糖管理のほか血圧をしっかり下げる(ARBや
ACE阻害薬が第一選択)ことも重要
• 尿蛋白2-3+になったら早めに専門医へ
細小血管障害の治療(3)
糖尿病性神経障害
• アルドース還元酵素阻害薬(キネダック)、
ビタミンB12、メキシレチン、NSAID、抗う
つ剤など
• 進行したものは治療が困難
大血管障害の治療(1)
心筋梗塞・脳血管障害
• 高血圧・高脂血症の治療
• 禁煙
• 低用量アスピリンの投与
大血管障害の治療(2)
糖尿病性足病変
• 足を清潔にし、よく観察するよう患者に指
導する
• 壊疽、潰瘍を発見したらすぐに専門医に送
る
糖尿病に合併する高血圧の治療
• 高血圧の管理目標値
収縮期血圧 130mmHg 未満
かつ
拡張期血圧 80mmHg 未満
• アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、やア
ンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、長時間
作用型Ca拮抗薬が第一選択薬で、効果が不充
分な場合は少量の利尿薬を追加。症状によって
はβ遮断薬やα遮断薬を追加してもよい。
糖尿病に合併する高脂血症の治療
• 高脂血症の管理目標値
LDLコレステロール:120mg/dl未満
(冠動脈疾患があるときは、100mg/dl未満)
総コレステロール:200mg/dl未満
(冠動脈疾患があるときは180mg/dl未満)
中性脂肪:150mg/dl未満(早朝空腹時)
HDL-コレステロール:40mg/dl以上
• スタチン系薬、フィブラート系薬等を用いる。
日常生活の注意
(患者さんに)
•
•
•
•
•
禁煙
体重測定は毎日
血圧の高い患者は家庭血圧測定も考慮する
症状がなくても年1-2回は、眼科、歯科へかかる
足を清潔に保ち、ヤケドやケガをしないよう、靴ず
れや爪を切るときも注意
• 熱が出たり食事が摂れなくなった時、その他何か
異常があった時は早めに受診すること
まとめ(1)
外来糖尿病治療のポイント
1.
2.
3.
4.
5.
早期発見、早期治療
通院・検査を定期的に続けさせる
患者本人に知識を持たせる
2型糖尿病ではまず食事・運動療法
合併症予防には血糖のコントロールだけでなく、高
血圧、高脂血症の治療も重要
まとめ(2)
糖尿病患者の管理目標
• 食後血糖 180mg/dl未満
• HbA1c 6.5%未満
• 血圧 130/80mmHg未満
• LDLコレステロール 120mg/dl未満
(総コレステロール 200mg/dl未満
HDLコレステロール 40mg/dl以上)
中性脂肪 150mg/dl未満
2007年春井田病院
ご清聴ありがとうございました